第114回(R7) 看護師国家試験 解説【午前61~65】

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61 最も新しく制定された法律はどれか。

1.母子保健法
2.児童虐待の防止等に関する法律
3.子どもの貧困対策の推進に関する法律
4.医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律

解答

解説
1.× 母子保健法は、1965年(昭和40年)に制定された。
・母子保健法とは、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。

2.× 児童虐待の防止等に関する法律は、2000年(平成12年)に制定された。
・児童虐待の防止等に関する法律とは、児童虐待防止に関する施策を促進し、児童の権利・利益を擁護することを目的としている。児童に対する虐待の禁止、虐待に関する地方自治体の責務、児童の保護措置などが規定されている。

3.× 子どもの貧困対策の推進に関する法律は、2013年(平成25年)に制定された。
・子どもの貧困対策の推進に関する法律とは、子どもの貧困が世代を超えて連鎖することを防ぎ、子どもの健やかな育成を社会全体で支援することを目的とした法理である。貧困状態にある子どもへの学習支援、生活支援、保護者への就労支援などが、この法律に基づいて推進されている。

4.〇 正しい。医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律は、最も新しく制定(2021年:令和3年)された法律である。医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律とは、人工呼吸器を装着しているなど、医療的ケアが日常的に必要な子どもたち(医療的ケア児)とその家族への支援を目的とした法律である。学校や保育所等における医療的ケアの提供体制の整備、医療的ケア児の支援調整員配置、関係機関の連携強化などが、この法律によって推進されています。

 

 

 

 

 

62 一次性の夜尿症で通院中の7歳の女児。
 保護者への生活のアドバイスで適切なのはどれか。

1.「1日に飲む水分の量を減らしましょう」
2.「寝る直前に水分をしっかり飲ませましょう」
3.「おねしょをしても叱らないようにしましょう」
4.「夜中、決めた時間に起こして排尿を促しましょう」

解答

解説

夜尿症とは?

・一次性夜尿症とは、5歳以上の子どもが夜間の睡眠中に無意識におねしょをしてしまう状態で、これまでに一度も夜尿が止まった期間がないものを指す。多くの場合、成長とともに自然に治ることが多いが、膀胱の機能的な未熟さや睡眠中の覚醒反応の低さなどが関係していると考えられている。

・二次性夜尿症とは、ある病気や症状が、別の原因となる病気や状態に続いて発生することを指す。例えば、「二次性夜尿症」の場合は、一度おねしょが治まっていたのに、ストレスや他の病気などが原因で再びおねしょが始まった状態を指す。元の病気や状態が改善すれば、二次性の症状も良くなる可能性がある。

1.× 「1日に飲む水分の量を減らしましょう」と伝える必要はない。なぜなら、水分摂取の制限は、脱水や便秘の原因となる可能性があるため。水分摂取のタイミングを調整することが重要である。

2.× 「寝る直前に水分をしっかり飲ませましょう」と伝える必要はない。むしろ、症状を悪化させる可能性がある。なぜなら、寝る直前に多量の水分を摂取すると、夜間の尿量が増加するため。
したがって、夕食後、特に寝る2〜3時間前からは水分摂取を控えめにするよう指導する。また、カフェイン入りの飲み物(緑茶、紅茶、ココアなど)を避けるなどの工夫が有効である。

3.〇 正しい。「おねしょをしても叱らないようにしましょう」と保護者へアドバイスする。なぜなら、夜尿症は子供の意思でコントロールできるものではなく、叱ることで子供の自尊心を傷つけ、精神的なストレスを与える可能性があるため。これにより、夜尿症の改善が遅れるだけでなく、別の精神的な問題を引き起こすこともある。

4.× 「夜中、決めた時間に起こして排尿を促しましょう」と伝える必要はない。なぜなら、子供の睡眠を妨げ、睡眠の質の低下につながるため。また、膀胱の機能が自然に発達する機会を奪う可能性もある。

 

 

 

 

 

63 生後6〜8か月ころの乳児で、親などの特定の人が自分の傍から離れたときに泣いたり後追いをしたりするのはどれか。

1.分離不安
2.アニミズム
3.自我の芽生え
4.アンビバレント

解答

解説
1.〇 正しい。分離不安は、生後6〜8か月ころの乳児で、親などの特定の人が自分の傍から離れたときに泣いたり後追いをしたりする。
・分離不安とは、強く愛着をもった人あるいは本人と引き離されてしまうのではないかという非現実的な不安のことである。たえず親のそばから離れなかったり、不登校になったりする場合もある。

2.× アニミズムとは、一般的に、人間を含むあらゆる生き物や無生物に霊魂や精霊が宿っているという考え方や信仰体系である。ピアジェが提唱した概念で、一般的に2歳から7歳頃の前操作期の子供に見られる。例えば、「お日様が笑っている」「お人形さんがお腹を空かせている」などと、生命のないものにも生命や感情があるかのように話したり、扱ったりする行動である。

3.× 自我の芽生えとは、幼少期(2歳前後)にみられる、いわゆるイヤイヤ期のことである。ただダダをこねているのではなく、自己主張や気持ちの抑制を学ぼうとしている姿勢である。前頭前野の機能が発達して、徐々に自分の気持ちをコントロールできる3歳~4歳ごろから減少する傾向にある。

4.× アンビバレントとは、両価性ともいい、同じ対象に対して正反対の感情を同時に抱くことである。思春期には自我が発達し、絶対的な権威であった親に対して批判的・反抗的になる一方で、これまでどおり親への依存心・甘えの感情を抱く。

 

 

 

 

 

64 A君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群と診断され入院した。ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減し、血圧は128/80mmHg、尿蛋白+であった。
 A君に説明する必要があるのはどれか。

1.手指衛生
2.床上安静
3.水分摂取の制限
4.蛋白質の摂取の制限

解答

解説

本症例のポイント

・A君(6歳、男児、腹痛、ネフローゼ症候群)。
ステロイド治療が開始:本日7日目。
・尿量の増加がみられ浮腫が軽減。
・血圧:128/80mmHg、尿蛋白+。
→ネフローゼ症候群とは、尿から大量の蛋白が漏れ出すことで血液中の蛋白が減少、血液の浸透圧が低下し水分が血管内から血管外へ移動することで、全身の浮腫や腹水・胸水などを引き起こすものである。小児の治療として、ステロイド治療により改善することが多い。ネフローゼ症候群に対する食事に関しては、蛋白尿が陽性の間は減塩食にする。一般的に水分の制限は必要ないとされており、その理由は水分制限による脱水や血栓症の危険性が増加するためである。

1.〇 正しい。手指衛生は、A君に説明する必要がある。なぜなら、ネフローゼ症候群の治療でステロイドが使用されると、免疫機能が抑制され、感染症にかかりやすくなるため。
・副腎皮質ステロイド薬の副作用は、①易感染性、②骨粗鬆症、③糖尿病、④消化性潰瘍、⑤血栓症、⑥精神症状(うつ病)、⑦満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満などである。

2.× 床上安静する必要性は低い。なぜなら、A君はステロイド治療開始7日目で、尿量の増加と浮腫の軽減が見られており、病状が改善傾向にあるため。むしろ、過度な安静は、精神的なストレスにつながる可能性がある。ただし、ネフローゼ症候群の急性期や浮腫が強い時期には、腎臓への負担を減らすために床上安静が指示されることもある。先生と相談しながら、活動制限は病状に合わせて段階的に緩和されるのが一般的である。

3.× 水分摂取の制限する必要性は低い。なぜなら、A君はステロイド治療開始7日目で、尿量の増加と浮腫の軽減が見られており、病状が改善傾向にあるため。むしろ、適切な水分摂取は体内の代謝維持に重要である。

4.× 蛋白質の摂取の制限する必要性は低い。なぜなら、ネフローゼ症候群では尿中に大量の蛋白質が排泄されるため、体内の蛋白質が不足し、低蛋白質血症を引き起こすため。したがって、病状が安定し、回復期に入れば、むしろ失われた蛋白質を補うために、良質な蛋白質を十分に摂取することが推奨される。

 

 

 

 

 

65 セクシュアリティに関する用語と説明の組合せで正しいのはどれか。

1.性的指向:表現する性
2.セックス:性愛の対象
3.ジェンダー:生殖性の性
4.ジェンダーアイデンティティ:自身の性別の認識

解答

解説

セクシュアリティとは?

セクシュアリティとは、直訳:人間の性、性のあり方と訳され、4つの構成要素からなり、「①からだの性(生物学的な性)」「②こころの性(性自認)」「③好きになる性(性的指向)」「④ふるまう性(性表現)」などの要素からなると考えられている。人間における性的本能の充足に関係する行動や性的振る舞いの総体を指し、健康の概念においても重要である。

1.× 表現する性は、「性的指向」ではなくジェンダー表現である。
・ジェンダーとは、生物学的な性別に対して、社会的・文化的につくられる性別のことを指す。つまり、特定の社会で共有されている価値観を元に、男女の役割などで区別される性別のことである。
・性的指向とは、恋愛感情などが異性か、同性か、両性か、どちらに向かうかのことである。

2.× セックスは、「性愛の対象」ではなく生物学的な性別である。生物学的な性別としてのセックスは、染色体、生殖器、ホルモンなどの特徴に基づいて「男性」や「女性」と区別される。

3.× ジェンダーは、「生殖性の性」ではなく性役割、つまり心理・社会的属性(ジェンダー)である。生殖性としての性は、種の保存のために行われる性行為である。種の保存と繁栄を目的とする生物学的な性の側面を持つのが特徴である。

4.〇 正しい。ジェンダーアイデンティティ:自身の性別の認識
・ジェンダーアイデンティティとは、「自分がどのような性別であるか」という自身の内面的な認識、つまり自己認識としての性別のことである。これは生物学的な性別(セックス)や、社会的な性別(ジェンダー)と一致することもあれば、異なることもある。

性の種類

①快楽性(衝動性):性的指向
②生殖性:種の保存
③性役割:心理・社会的属性(ジェンダー)
④連帯性(親密性):人間関係の形成
⑤性別:性別学的な男性・女性を区別する。

 

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