第114回(R7) 看護師国家試験 解説【午後101~105】

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次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
 Aさん(80歳、女性)は、アパートの1階に1人で暮らしている。半年前に軽度のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断され、抗認知症薬の内服治療を開始した。要支援2の認定を受けている。
 Aさんが屋内でぐったりしているのを訪問した近所の人が発見し、救急搬送された。来院時のバイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数20/分、脈拍92/分、血圧130/82mmHgで、皮膚に軽度の発汗がみられた。頭痛や吐き気はなかった。看護師がAさんに状況を聞くと、最近は食欲がなく、食べたり飲んだりしていなかったし、昨日は排尿回数も普段より少なかったと話した。

101 Aさんは、経過を観察するため入院となった。入院2日、Aさんの全身状態は改善し、食事が開始された。Aさんは歩行時にふらつきがあるため、看護師が見守ることになった。看護師はベッドから離れるときは、ナースコールを押すようにAさんに説明した。そのときAさんは「忘れずにできるかしら」と呟いた。しばらくすると、Aさんが1人で移動しているところを看護師が発見した。
 Aさんへの対応で適切なのはどれか。

1.ヒッププロテクターを使用する。
2.ベッドサイドに車椅子を設置する。
3.ナースコールが目立つように目印をつける。
4.爪先が床につくようにベッドの高さを調整する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(80歳、女性、1人暮らし:アパートの1階)。
・半年前:軽度Alzheimer型認知症(抗認知症薬の内服治療、要支援2)。
・脱水状態を観察するため入院。
・入院2日:全身状態は改善、食事開始。
歩行時にふらつきがあるため、看護師が見守る。
・ベッドから離れるときは、ナースコールを押す
・Aさん「忘れずにできるかしら」と呟いた。
・Aさんが1人で移動している。
→ほかの選択肢が消去できる理由も上げられるようにしよう。

1.× ヒッププロテクターを使用する優先度は低い。なぜなら、Aさん1人で歩いてしまうことに対する予防策とはいえないため。「ベッドから離れるときに看護師に知らせる」という行動をAさんが忘れないようにするための支援が優先される。
・ヒッププロテクターとは、転倒時に股関節を外力から守って大腿骨頚部骨折を予防する方法である。この骨折の発生率が非常に高くなった状態、たとえば、転倒リスクが上昇した後期高齢者に使用すると有効とされている。

2.× ベッドサイドに車椅子を設置する優先度は低い。なぜなら、ベッドサイドに車椅子を設置したとしても、Aさん1人で歩いてしまうことに対する予防策とはいえないため。「ベッドから離れるときは、ナースコールを押す」ようにするにはどうすべきか考える。

3.〇 正しい。ナースコールが目立つように目印をつける。なぜなら、「ベッドから離れるときは、ナースコールを押す」ことに対し、Aさんは「忘れずにできるかしら」とつぶやいているため。したがって、ナースコールの場所や使用方法を忘れている可能性が高い。ナースコールが視覚的に分かりやすく、Aさんの行動範囲で常に目に留まるように工夫することは、Aさんがナースコールを使用する行動を促すことにつながる。

4.× 爪先が床につくようにベッドの高さを調整する優先度は低い。なぜなら、さらに転倒するリスクが高まるため。ベッドから降りる際に、足裏全体がしっかりと床につく高さに調整することが望ましい。支持基底面が広くなり、転倒予防へとつながる。

 

 

 

 

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
 Aさん(80歳、女性)は、アパートの1階に1人で暮らしている。半年前に軽度のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断され、抗認知症薬の内服治療を開始した。要支援2の認定を受けている。
 Aさんが屋内でぐったりしているのを訪問した近所の人が発見し、救急搬送された。来院時のバイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数20/分、脈拍92/分、血圧130/82mmHgで、皮膚に軽度の発汗がみられた。頭痛や吐き気はなかった。看護師がAさんに状況を聞くと、最近は食欲がなく、食べたり飲んだりしていなかったし、昨日は排尿回数も普段より少なかったと話した。

102 入院3日。Aさんは明日の退院が決まった。看護師が朝食後に抗認知症薬の配薬に行くと、Aさんが「もう薬の時間ですか」と言った。また、自分の病室を間違えることが数回あった。
 Aさんが退院後の在宅療養を継続するために、看護師が担当の介護支援専門員へ伝える情報で最も適切なのはどれか。

1.歩行状態
2.食事の摂取量
3.入院中の治療内容
4.認知機能障害の出現状況

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(80歳、女性、1人暮らし:アパートの1階)。
・半年前:軽度Alzheimer型認知症(抗認知症薬の内服治療、要支援2)。
・脱水状態を観察するため入院。
・入院3日:明日の退院予定。
・朝食後に抗認知症薬の配薬:Aさん「もう薬の時間ですか」と。
・自分の病室を間違えることが数回あった。
・Aさんが退院後の在宅療養を継続する。
→介護支援専門員とは、介護保険法等を根拠に、ケアマネジメントを実施することのできる公用資格、また有資格者のことをいう。免許という位置づけではなく、要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う。

1~2.× 歩行状態/食事の摂取量より優先されるものが他にある。なぜなら、Aさんは「もう薬の時間ですか」といったり、自分の病室を間違えることが数回あったため。したがって、認知機能の評価が優先される。

3.× 入院中の治療内容より優先されるものが他にある。なぜなら、介護支援専門員は、退院後の在宅療養継続に情報が必要であるため。退院後の介護サービスや生活支援を計画するために直接影響する、Aさんの現在の機能状態が必要である。

4.〇 正しい。認知機能障害の出現状況が最も優先される。なぜなら、Aさんは「もう薬の時間ですか」といったり、自分の病室を間違えることが数回あったため。また、Aさんは半年前に「軽度のアルツハイマー型認知症」と診断されている。退院後の在宅生活を継続する上で、介護支援専門員がケアプランを見直し、必要なサービスを増やすか、内容を変更するかを検討するための非常に重要な情報となる。

アルツハイマー型認知症とは?

アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。

 

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 A君(12歳、男児)は、肥満を心配した保護者に連れられて来院した。A君と保護者は、医師から「1日の食事内容を毎日記録し、1週後に再診してください」と説明された。
 既往歴と家族歴:特記すべきことはない。
 生活歴:スナック菓子などの間食を好む。時間があればポータブル型のゲーム機でサッカーゲームばかりして、就寝時刻は毎晩午前0時を過ぎる。A君は、学校生活は楽しく思っているが朝起きられず遅刻して登校することが多い。また、運動することが嫌いなため運動の習慣はない。
 身体所見:身長153.0cm(標準152.4cm)、体重61.7kg(標準44.1kg)。血圧100/60mmHg。心音と呼吸音に異常はない。腹部は平坦、軟で、肝臓と脾臓を触知しない。

103 A君の肥満度(%)に最も近いのはどれか。

1.25
2.30
3.35
4.40
5.45

解答

解説

本症例のポイント

・A君(12歳、男児)
・身体所見:身長153.0cm(標準152.4cm)、体重61.7kg(標準44.1kg)

【公式】
肥満度(%) =(実測体重-標準体重)÷標準体重×100

【A君の体重】
①実測体重:61.7kg
②標準体重:44.1kg

 (61.7kg-44.1kg)÷ 44.1kg × 100
=17.6 ÷ 44.1 × 100
=0.3990…×100
=39.90…%

したがって、選択肢4.40がA君の肥満度(%)に最も近い。

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 A君(12歳、男児)は、肥満を心配した保護者に連れられて来院した。A君と保護者は、医師から「1日の食事内容を毎日記録し、1週後に再診してください」と説明された。
 既往歴と家族歴:特記すべきことはない。
 生活歴:スナック菓子などの間食を好む。時間があればポータブル型のゲーム機でサッカーゲームばかりして、就寝時刻は毎晩午前0時を過ぎる。A君は、学校生活は楽しく思っているが朝起きられず遅刻して登校することが多い。また、運動することが嫌いなため運動の習慣はない。
 身体所見:身長153.0cm(標準152.4cm)、体重61.7kg(標準44.1kg)。血圧100/60mmHg。心音と呼吸音に異常はない。腹部は平坦、軟で、肝臓と脾臓を触知しない。

104 A君の1週間の食事内容の記録によると、野菜が不足し、高カロリーな菓子類や甘い飲み物を好んで摂取していることが判明した。A君と保護者は「食事内容を見直し、体重を減らすことが大切です」と医師から説明され、食事摂取基準のパンフレットを渡された。パンフレットには、学童期の脂質エネルギー比率(%エネルギー)は20〜30%と記載されている。A君が診療を終えて帰宅する際、保護者は看護師に「痩せるために脂質は可能な限り0%にしないとだめですね」と話した。
 脂質エネルギー比率(%エネルギー)に関する看護師の助言で適切なのはどれか。

1.「標準的な目標量である25%程度が良いですよ」
2.「当面は35%くらいだとストレスがないでしょう」
3.「その通りです。0%に近づける努力をしましょう」
4.「10%程度で成人になるまで続けるのが効果的です」
5.「脂質は急に減らさず、野菜の摂取で栄養を補いましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・A君(12歳、男児)
・既往歴と家族歴:特記すべきことはない。
・1週間の食事内容:野菜が不足し、高カロリーな菓子類や甘い飲み物を好んで摂取。
・医師「食事内容を見直し、体重を減らすことが大切です」。
・学童期の脂質エネルギー比率(%エネルギー)は20〜30%
・保護者「痩せるために脂質は可能な限り0%にしないとだめですね」と話した。
→ほかの選択肢が消去される理由もあげられるようにしよう。A君と保護者は、正しく理解・知識があるのか考えていこう。

1.〇 正しい。「標準的な目標量である25%程度が良いですよ」と助言する。なぜなら、保護者は「可能な限り0%にしないとだめですね」と誤解しているため。脂質は、エネルギー源としてだけでなく、細胞膜の構成成分、脂溶性ビタミンの吸収、ホルモン生成など、子どもの成長・発達に不可欠な栄養素である。パンフレットには「学童期の脂質エネルギー比率(%エネルギー)は20〜30%」と記載されており、25%は標準的な目標量となる。

2.× 「当面は35%くらいだとストレスがないでしょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、パンフレットの推奨範囲より超えているため。ストレス軽減に関わらず、まずは健康上の目標に焦点を当てるべきである。

3.× 「その通りです。0%に近づける努力をしましょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、脂質は、子どもの成長・発達に不可欠なエネルギー源であり、必須脂肪酸や脂溶性ビタミンの吸収にも必要であるため。脂質エネルギー比率を0%に近づけるという極端な制限は、栄養不足や健康障害を引き起こす危険性がある。

4.× 「10%程度で成人になるまで続けるのが効果的です」と伝える優先度は低い。なぜなら、パンフレットに記載されている学童期の脂質エネルギー比率は20〜30%であるため。10%は推奨範囲を下回っている。

5.× 「脂質は急に減らさず、野菜の摂取で栄養を補いましょう」という助言は、保護者の質問の意図(会話の流れ)から逸脱している。保護者が誤解している「0%に近づけるべき」という点に対する具体的な数値目標を、修正することが望ましい。

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 A君(12歳、男児)は、肥満を心配した保護者に連れられて来院した。A君と保護者は、医師から「1日の食事内容を毎日記録し、1週後に再診してください」と説明された。
 既往歴と家族歴:特記すべきことはない。
 生活歴:スナック菓子などの間食を好む。時間があればポータブル型のゲーム機でサッカーゲームばかりして、就寝時刻は毎晩午前0時を過ぎる。A君は、学校生活は楽しく思っているが朝起きられず遅刻して登校することが多い。また、運動することが嫌いなため運動の習慣はない。
 身体所見:身長153.0cm(標準152.4cm)、体重61.7kg(標準44.1kg)。血圧100/60mmHg。心音と呼吸音に異常はない。腹部は平坦、軟で、肝臓と脾臓を触知しない。

105 A君の保護者は「この機会に、Aの生活リズムの乱れも改善したいと思います。
どんなことから始めるのが良いですか」と看護師に尋ねた。
 看護師の説明で適切なのはどれか。

1.「ゲーム機で遊ぶのを禁止しましょう」
2.「起床したら朝日を浴びると良いでしょう」
3.「サッカークラブに所属すると良いでしょう」
4.「しばらく学校を休ませて自宅で生活リズムを整えましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・A君(12歳、男児)
・既往歴と家族歴:特記すべきことはない。
・生活歴:スナック菓子などの間食を好む。時間があればポータブル型のゲーム機でサッカーゲームばかりして、就寝時刻は毎晩午前0時を過ぎる。学校生活は楽しく思っているが朝起きられず遅刻して登校することが多い。また、運動することが嫌いなため運動の習慣はない。
・身体所見:身長153.0cm(標準152.4cm)、体重61.7kg(標準44.1kg)。血圧100/60mmHg。
・1週間の食事内容:野菜が不足し、高カロリーな菓子類や甘い飲み物を好んで摂取。
・医師「食事内容を見直し、体重を減らすことが大切です」。
・保護者「この機会に、Aの生活リズムの乱れも改善したいと思います。どんなことから始めるのが良いですか」と。
→ほかの選択肢が消去される理由もあげられるようにしよう。

1.× 「ゲーム機で遊ぶのを禁止しましょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、全面的にゲームを「禁止」してしまうと、A君のストレスを増大させ、反発を招く可能性があるため。したがって、「禁止」にするより、時間制限やルール作りなど、A君の納得する形で、適切な線引きをすることが望ましい。

2.〇 正しい。「起床したら朝日を浴びると良いでしょう」と説明する。なぜなら、睡眠リズムが乱れている可能性が高いため。「朝起きられず遅刻して登校することが多い」とも記載されていることから、起床時に朝日を浴び、体内時計をリセットし、生活リズムを整える必要がある。

3.× 「サッカークラブに所属すると良いでしょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、A君は「運動することが嫌いなため運動の習慣はない」とあるため。いきなり「サッカークラブに所属する」というのは、抵抗感が強く、継続が難しい可能性が高い。

4.× 「しばらく学校を休ませて自宅で生活リズムを整えましょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、A君は「学校生活は楽しく思っている」と記載されているため。したがって、学校を休ませることは、A君の精神的な負担を増大させ、生活リズムの改善をかえって困難にする可能性がある。

 

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