第114回(R7) 看護師国家試験 解説【午後11~15】

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11 左心房と左心室の間にある弁はどれか。

1.三尖弁
2.僧帽弁
3.大動脈弁
4.肺動脈弁

解答

解説

(※図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.× 三尖弁は、全身の静脈血が最初に通過する。三尖弁とは、右心房と右心室の間に位置し、血液の逆流を防ぐ役割を果たす弁である。

2.〇 正しい。僧帽弁は、左心房と左心室の間にある弁である。

3.× 大動脈弁とは、左心室から大動脈への血流を制御するための弁である。

4.× 肺動脈弁とは、右心室と肺動脈の間にあり、3枚の弁で構成されている。

 

 

 

 

 

12 胆汁の作用はどれか。

1.脂肪の乳化
2.蛋白質の分解
3.胃酸分泌の促進
4.炭水化物の分解

解答

解説

胆汁とは?

肝臓で合成されるアルカリ性の物質で、胆嚢で濃縮されたうえ、貯蔵される。胆汁中には消化酵素は存在しない。しかし、胆汁中に含まれる胆汁酸は乳化作用とミセル形成作用を有するため、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たす。胆汁はビリルビン、胆汁酸、コレステロール、リン脂質からなり、消化酵素は含まれない。胆汁は消化酵素の働きを助ける作用がある。胆汁酸の働きは、脂肪を乳化し、消化・吸収させやすい形に変化させ、脂肪を分解吸収しやすくする。 さらに水に溶けない脂溶性ビタミンの吸収を助ける。排出された胆汁の大部分は小腸から吸収されて、他の吸収された栄養分と一緒に血管を通って肝臓に戻り、再利用される。 これを腸肝循環という。

1.〇 正しい。脂肪の乳化は、胆汁の作用である。胆汁中の胆汁酸は、胆汁酸の働きは、脂肪を乳化し、消化・吸収させやすい形に変化させ、脂肪を分解吸収しやすくする。 さらに水に溶けない脂溶性ビタミンの吸収を助ける。排出された胆汁の大部分は小腸から吸収されて、他の吸収された栄養分と一緒に血管を通って肝臓に戻り、再利用される。 これを腸肝循環という。

2.× 蛋白質の分解は、①胃液(ペプシン)、②膵液(トリプシンやエラスターゼ)、③腸液(アミノペプチターゼN)などが有する。

3.× 胃酸分泌の促進は、主に胃粘膜から分泌されるガストリンヒスタミンなどが有する。

4.× 炭水化物の分解は、①唾液膵液(アミラーゼ)、②腸液(サッカラーゼ、スクラーゼ、マルターゼ、ラクターゼなど)などが有する。

 

 

 

 

 

13 臓器の移植に関する法律において脳死の判定基準となっている検査はどれか。

1.脳波検査
2.筋電図検査
3.神経伝導検査
4.脳脊髄液検査

解答

解説

死の判定基準とは?

死の三徴候とは、①自発呼吸の停止、②心臓の停止、③瞳孔散大(対光反射の消失)である。

脳死の判定基準

脳死とは、脳幹を含む全脳の機能が停止した状態である。

①深い昏睡にあること
②瞳孔が固定し一定以上開いていること(4mm以上)
③刺激に対する脳幹の反射がないこと
脳波が平坦であること
⑤自分の力で呼吸ができないこと

の5項目を行い、6時間以上経過した後に同じ一連の検査(2回目)をすることで、状態が変化せず、不可逆的であることの確認できた場合。

1.〇 正しい。脳波検査は、臓器の移植に関する法律において脳死の判定基準となっている検査である。「脳波が平坦であること」が判定基準である。

2.× 筋電図検査とは、筋肉や神経に異常がないかについて、筋肉が収縮する時や神経を電気で刺激するなどの筋肉や神経の信号の伝わり方を記録する検査である。①神経伝導速度検査、②針筋電図検査、③表面筋電図検査があげられる。この記録を評価することにより、神経や筋肉に疾患があるかを調べることができる(参考:「筋電図検査とは」りんくう総合医療センター様HPより)。
・神経原性変化があると高振幅、長持続、多相性の波形に。
・筋原性変化があると低振幅、短持続、多相性の波形に。

3.× 神経伝導検査とは、末梢神経を電気刺激した際に、神経やその支配筋から発生する活動電位を記録したものである。主として末梢神経の機能評価に用いられる。要するに、神経の伝達速度が遅くなっているか調べるものとなっている。【結果の解釈】脱髄:伝導速度低下、持続時間延長、振幅低下、軸索変性:持続時間短縮、振幅低下。

4.× 脳脊髄液検査とは、細胞数増加や蛋白増加、糖の低下で原因を推定し、培養や遺伝子増幅検査(PCR)で確定診断を行う。

 

 

 

 

 

14 慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の危険因子はどれか。

1.花粉
2.薬物
3.たばこ煙
4.アルコール

解答

解説

慢性閉塞性肺疾患とは?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。

増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2

減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

1.× 花粉は、アレルギー性鼻炎気管支喘息の主要な原因である。
・アレルギー性鼻炎とは、アレルゲンが鼻粘膜から侵入し免疫反応が起こることによって、鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状が引き起こされる病気である。通年性アレルギー性鼻炎(一年を通して症状が出るタイプ)と、季節性アレルギー性鼻炎(特定の季節に症状が出るタイプ、いわゆる花粉症)とがあり、両者を合併しているタイプもみられる。

2.× 薬物は、慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の危険因子とはいえない。むしろ、呼吸器疾患に対し、適切に薬物を処方することによって、症状の緩和を図る。

3.〇 正しい。たばこ煙は、慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の危険因子である。なぜなら、たばこ煙に含まれる有害物質が、肺の気道や肺胞に慢性的な炎症を引き起こし、組織を破壊することで、空気の通り道が狭くなり、肺の弾力性が失われるため。したがって、慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の患者の約90%は喫煙者である。

4.× アルコールの過剰摂取は、肝臓病や膵炎、消化器系のがんなど、様々な健康問題を引き起こす。

 

 

 

 

 

15 喀血を症状とする疾患はどれか。

1.結核
2.胃潰瘍
3.大腸癌
4.敗血症

解答

解説

喀血とは?

喀血とは、気道(気管・肺)から出血した時に見られる出血である。気道の出血が少量であれば痰に血が混じっている状態、血痰という。喀血は血液そのものを咳とともに吐く状態である。一方、吐血との区別は口から血が出たときに伴う症状で区別する。①喀血:下気道(気管支肺)からの出血、②吐血:上部消化管からの出血がある。したがって、喀血は吐血と比べると赤みが強く、泡が混じることが多く、固まりにくいという特徴がある。

1.〇 正しい。結核は、喀血を症状とする疾患である。なぜなら、結核菌が肺に感染し、肺組織が破壊され、血管が損傷されるため。
・肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。

2.× 胃潰瘍は、吐血や下血みられる。
・胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。

3.× 大腸癌は、下血みられる。
・大腸癌とは、大腸(結腸・直腸・肛門)に発生するがんである。この20年で大腸がんによる死亡数は1.5倍に拡大していてがんによる死亡数でも胃がんを抜いて第2位になっている。生活習慣に関わる大腸がんのリスク要因として、運動不足、野菜や果物の摂取不足、肥満、飲酒などが挙げられる。生活習慣の欧米化(高脂肪・低繊維食)が関与していると考えられている。

4.× 敗血症は、吐血はみられにくい。出血傾向がある場合でも、鼻出血や歯肉出血、皮膚の点状出血などが一般的である。
・敗血症とは、感染症への反応が制御不能に陥ることで生命を脅かす臓器機能障害が生じる臨床症候群である。主な症状は、高熱、悪寒、頻脈、血圧低下、意識障害などの全身症状が主に見られる。

 

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