第114回(R7) 看護師国家試験 解説【午後21~25】

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21 入院中の転倒・転落の内的要因はどれか。

1.履物の種類
2.服用中の薬剤
3.ベッド柵の位置
4.トイレまでの距離

解答

解説

高齢者の転倒の原因

内的要因:加齢変化、疾患・障害、使用中の薬物など。
②外的要因:屋内外の生活環境、履き物、衣服など。

【高齢者の転倒による骨折】

①大腿骨近位部骨折
②脊椎圧迫骨折
③上腕骨近位部骨折
④橈骨遠位端骨折

1.3~4.× 履物の種類/ベッド柵の位置/トイレまでの距離は、外的要因である。
患者の身体の外側に存在するものである。

2.〇 正しい。服用中の薬剤は、入院中の転倒・転落の内的要因である。なぜなら、患者の身体内部で起こる変化であるため。

 

 

 

 

 

22 経鼻経管栄養法で胃液が吸引できることを確認するタイミングはどれか。

1.覚醒時
2.入眠前
3.経管栄養剤の投与直前
4.経管栄養剤の投与終了時

解答

解説

経鼻経管栄養法とは?

経鼻経管栄養は、鼻の穴からチューブを挿入して胃や腸まで通し、栄養剤を注入する方法である。特別な手術が不要で、必要な栄養素を比較的容易に摂取することが可能である。胃食道逆流や誤嚥性肺炎などの合併症を引き起こすリスクがあるため、短期間で口から栄養を摂れるまで回復すると見込まれる場合など、一時的な処置として行われる。

1.× 覚醒時は、胃液を吸引し確認するタイミングとはいえない。なぜなら、覚醒時は、患者の体動や体位の変化など、胃管の位置に一時的な変動がみられるため。

2.4.× 入眠前/経管栄養剤の投与終了時は、胃液を吸引し確認するタイミングとはいえない。なぜなら、胃液の吸引は、栄養剤の誤嚥を防ぐため行うため。

3.〇 正しい。経管栄養剤の投与直前は、経鼻経管栄養法で胃液が吸引できることを確認するタイミングである。なぜなら、胃液の吸引は、経鼻経管栄養剤を安全に投与するための確認作業であるため。胃液が吸引できるということは、胃管の先端が胃の中に正しく留まっていることを示唆する。投与直前に確認することで、誤って胃管が肺や食道に入り込んでいることによる誤嚥のリスクを最小限に抑えることができる。もし、胃液が吸引できない場合は、胃管の位置ずれが疑われ、再確認や挿入し直しが必要となる。

 

 

 

 

 

23 輸血用血液製剤に分類されるのはどれか。

1.免疫グロブリン製剤
2.血液凝固因子製剤
3.アルブミン製剤
4.赤血球製剤

解答

解説

輸血用血液製剤とは?

輸血用血液製剤とは、けがや手術、病気などで血液が不足した人に補うために使われる製品である。献血で集めた血液を成分ごとに分け、赤血球、血小板、血漿など必要な部分だけを患者に投与する。

したがって、輸血用血液製剤は、主に赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤、全血製剤の4種類に分けられる。

1.× 免疫グロブリン製剤は、「血漿分画製剤」に分類される。
・免疫グロブリン製剤とは、献血された血液の血漿から、特定の成分(免疫グロブリンというタンパク質)を抽出・精製して作られる薬剤である。主に、感染症の予防や治療、自己免疫疾患の治療などに使われる。

2.× 血液凝固因子製剤は、「血漿分画製剤」に分類される。
・血液凝固因子製剤とは、献血された血液の血漿から、出血を止めるために必要な特定の凝固因子(例:第VIII因子、第IX因子など)を抽出・精製して作られる薬剤である。血友病などの凝固因子欠乏症の治療に用いられる。

3.× アルブミン製剤は、「血漿分画製剤」に分類される。
・アルブミン製剤とは、献血された血液の血漿から、血漿タンパク質の主成分であるアルブミンを抽出・精製して作られる。体内の水分バランスの維持や、薬物運搬などの機能を持つアルブミンが不足している状態(低アルブミン血症など)の改善に用いられる。

4.〇 正しい。赤血球製剤は、輸血用血液製剤に分類される。
・赤血球製剤とは、血液から血漿、白血球および血小板の大部分を取り除いたものである。出血及び赤血球が不足する状態、またはその機能低下による酸素欠乏のある場合に使用される。2~6度で輸血直前まで保存する。

 

 

 

 

 

24 1回の鼻腔内吸引で陰圧をかける時間の目安として適切なのはどれか。

1.10秒以内
2.20〜25秒
3.30〜35秒
4.40〜45秒

解答

解説

口腔内・鼻腔内吸引の注意事項

「気管吸引とは、人工気道を含む気道からカテーテルを用いて機械的に分泌物を除去するための準備、手技の実施、 実施後の観察、アセスメントと感染管理を含む一連の流れのこと」と定義されている。(※引用:気管吸引ガイドライン2013)

【目的】口腔内・鼻腔内吸引は気道内の貯留物や異物を取り除くこと。
①人工呼吸器関連肺炎などの感染リスクを回避する。(ディスポーザブル手袋を着用、管吸引前には口腔及びカフ上部の吸引を行う)
②吸引中は無呼吸となるため必ずモニター等でSpO2の確認しながら、カフ圧は2~2.9kPaに保ち1回の吸引時間は10秒以内とする。
③カテーテル挿入時は陰圧をかけず、自発呼吸がある場合は、患者さんの吸気に合わせて吸引を行う。
④終了後は気道内の分泌物がきちんと吸引できたか、呼吸音等で確認する。

(※参考:「吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コツ」ナース専科様HPより)

1.〇 正しい。10秒以内が1回の鼻腔内吸引で陰圧をかける時間の目安である。なぜなら、長時間陰圧をかけ続けると、気道内の酸素が吸引されてしまい、低酸素血症を招く可能性があるため。したがって、吸引中は無呼吸となるため必ずモニター等でSpO2の確認しながら、カフ圧は2~2.9kPaに保ち1回の吸引時間は10秒以内とする。

2~4.× 20〜25秒/30〜35秒/40〜45秒は長すぎる。なぜなら、吸引を続けると、低酸素を招くため。

 

 

 

 

 

25 創傷の治癒過程でマクロファージによる貪食が行われるのはどれか。

1.出血・凝固期
2.炎症期
3.増殖期
4.成熟期

解答

解説

創傷の治癒過程とは?

①血液凝固期(術後~数時間後):出血による凝固塊が欠損をふさいで止血する時期である。
②炎症期(術直後~3日目ころ):炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。
③増殖期(3日目~2週間後):線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。
④成熟期(2週間~数か月後)(再構築期:リモデリング期):線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化する時期である。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。

1.× 出血・凝固期は、出血による凝固塊が欠損をふさいで止血する時期である。血液凝固因子が活性化され、フィブリンを形成して出血を止める。

2.〇 正しい。炎症期は、創傷の治癒過程でマクロファージによる貪食が行われる。炎症期(術直後~3日目ころ)は、炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。

3.× 増殖期は、線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。

4.× 成熟期は、線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化する時期である。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。

(※図引用:「これからの正しい創傷治療―湿潤療法の取り組み―」安藤 善郎)

MEMO

近年、創傷治療は「創面を消毒し、ガーゼをあてて乾燥させる」従来の方法から、「創面を消毒しない,乾燥させない」方法へと大きく変化している。

 

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