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31 フィンク,S.L.が提唱した危機モデルの最終段階はどれか。
1.受容
2.適応
3.問題解決
4.ラポール
解答2
解説
フィンクの危機モデルは、外傷性脊髄損傷患者の臨床研究と障害や喪失に関する文献をもとに、突然の予期せぬ出来事との遭遇から障害受容にいたるプロセスをモデル化したものである。
①衝撃:脅威にさらされ心理的衝撃を受けること(例:何を言っているんだ?)
②防衛的退行:危機に抵抗し自分を守ること(例:信じられない!)
③承認:逃げられないと悟り、現実を吟味し始めること(例:こうするしかないのか・・・)
④適応:建設的な方法で、積極的に現実に対処すること(例:対策して前を向こう!)
1.× 受容は、障害受容の過程のひとつである。障害受容の過程は、「ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期(再起)→受容期」の順に現れる。5段階のプロセスは順序通りに進むわけはなく、また障害受容に至らない障害者も存在する。
2.〇 正しい。適応は、フィンク,S.L.が提唱した危機モデルの最終段階(第4段階)である。
・④適応:建設的な方法で、積極的に現実に対処すること(例:対策して前を向こう!)
3.× 問題解決は、段階そのものではない。フィンクの危機モデルとは、問題解決のための障害受容にいたるプロセスである。
4.× ラポールは、関連性が低い。
・ラポールとは、疎通性のよい対人関係を指し、医療スタッフと患者・家族などとの間に高い信頼関係があることをいう。ラポールには3原則とされる要素があり、①相手を肯定・尊重すること、②類似性・行動の同調、③ペーシングとリーディングである。ペーシングとは、話し方や呼吸のペース、視線、精神状態などを相手に合わせることである。ペーシングにより距離を縮めたあとは、質問や提案を会話に含めて会話をリードするリーディングが有効となる。
障害受容の過程は、「ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期(再起)→受容期」の順に現れる。5段階のプロセスは順序通りに進むわけはなく、また障害受容に至らない障害者も存在する。
①ショック期:感情が鈍磨した状態
②否認期:現実に起こった障害を否認する
③混乱期:攻撃的あるいは自責的な時期
④解決への努力期(再起):自己の努力を始める時期
⑤受容期:新しい価値観や生きがいを感じる時期
32 入院して間もない片麻痺がある患者から「着替えがうまくできない。ひとりでできるようになりたい」と訴えがあった。
最初に行う看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.「繰り返し練習しましょう」
2.「できないところは手伝います」
3.「着替えるところを見せてください」
4.「着替えのパンフレットを参考にしましょう」
解答3
解説
1.× 「繰り返し練習しましょう」と最初に伝える優先度は低い。なぜなら、繰り返し練習することが、必ずしも成功することに直結しないため。何ができて何ができないのか、どこで困っているのかをまずは評価する必要がある。
2.× 「できないところは手伝います」と最初に伝える優先度は低い。なぜなら、患者が「ひとりでできるようになりたい」とのことであるため。自立への意欲を損ねる可能性がある。
3.〇 正しい。「着替えるところを見せてください」と最初に伝える。なぜなら、実際に観察することで、具体的な課題が見えるため。例えば、片麻痺のある患者さんの場合、麻痺の程度、着ている衣服の種類、着替えを行う場所や方法を検討する必要がある。
4.× 「着替えのパンフレットを参考にしましょう」と最初に伝える優先度は低い。なぜなら、パンフレットは一般的な情報を提供するものであり、個々の患者さんの具体的な状況や麻痺の程度、生活環境に合わせたものとはいえないため。
33 うっ血乳頭が出現するのはどれか。
1.舌癌
2.貧血
3.門脈圧亢進
4.頭蓋内圧亢進
解答4
解説
うっ血乳頭とは、視神経乳頭が頭蓋内圧の亢進によって浮腫(むくみ)、充血した状態である。視神経乳頭が腫脹して、盲点が拡大するため視力障害を来す場合もある。
1.× 舌癌とは、舌がんは舌にできるがんである。原因不明であるが、危険因子として喫煙や飲酒による化学的な慢性刺激に加えて、虫歯や合わない詰め物、極端に傾いた歯などによる機械的な慢性刺激、さらには口の中の不衛生な状態などが挙げられる。 男女比は約2:1である。好発年齢は50歳代後半であるが、50歳未満が約1/4を占め、20~30歳代の若年者にも時々みられる。癌全体に対する発症頻度は、約1~2%(※口腔がん含め)である。
2.× 貧血とは、「単位容積の血液中に含まれているヘモグロビン(Hb)量が基準値より減少した状態」と定義している。基準値を、小児および妊婦では血液100mLあたり11g未満、思春期および成人女性では12g未満、成人男性では13g未満と定めている。
3.× 門脈圧亢進とは、門脈内の圧力が上昇した状態である。原因として最も頻度が高いものは、肝硬変、住血吸虫症、および肝血管異常である。続発症として、食道静脈瘤や門脈大循環性脳症などが生じる。診断は臨床基準に基づいて行い、しばしば画像検査や内視鏡検査を併用する。
4.〇 正しい。頭蓋内圧亢進は、うっ血乳頭が出現する。
・頭蓋内圧亢進により、①頭痛、②嘔気・嘔吐、③うっ血乳頭、④複視(外転神経麻痺)などを生じる。Cushing現象(脳ヘルニアの直前状態)で、①血圧上昇、②徐脈、③緩徐深呼吸などの症状が出現する。これらは、脳幹下部の脳圧亢進による乏血状態に対する生体の代償作用である。
34 シリンジポンプを使用する際に生じるサイフォニング現象の原因はどれか。
1.内蔵バッテリーの残量が少ない。
2.輸液ラインに血液の逆流がある。
3.輸液ラインに大量の空気がある。
4.刺入部とシリンジに高低差がある。
解答4
解説
1.× 内蔵バッテリーの残量が少ない。
2.× 輸液ラインに血液の逆流がある。
3.× 輸液ラインに大量の空気がある。
これらは、サイフォニング現象とは無関係である。
4.〇 正しい。刺入部とシリンジに高低差がある。
サイフォニング現象とは、水や液体が高い場所から低い場所へ自然に流れ出す現象のことである。細い管(サイフォン)を使って、一度液体を高い位置まで持ち上げた後、その管の出口が液面より低い位置にあると、重力と大気圧の作用で液体が連続して流れ続ける。
35 嚥下障害を評価する改訂水飲みテストで正しいのはどれか。
1.嚥下後10秒間で評価する。
2.嚥下後の呼吸状態を評価する。
3.嚥下動作の準備期を評価する。
4.80mLの水で嚥下状態を評価する。
解答2
解説
・反復唾液嚥下テストとは、30秒間の空嚥下を実施してもらい、嚥下反射の随意的な能力を評価する。3回/30秒以上から嚥下の反復ができれば正常である。
・改訂水飲みテストとは、3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下を行わせ、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。嚥下あり、呼吸良好、むせない状態で、追加嚥下運動(空嚥下)が2回/30秒可能であれば、最高点数の5点である。
1.× 「嚥下後10秒間」ではなく一連の嚥下活動で評価する。
2.〇 正しい。嚥下後の呼吸状態を評価する。評価項目には、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。
3.× 嚥下動作の「準備期」ではなく口腔期以降(特に咽頭期)を評価する。
【嚥下の過程】
①先行期・・・飲食物の形や量、質などを認識する。
②準備期・・・口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
③口腔期・・・飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
④咽頭期・・・飲食物を咽頭から食道に送り込む。
⑤食道期・・・飲食物を食道から胃に送り込む。
4.× 「80mL」ではなく3mlの水で嚥下状態を評価する。