第114回(R7) 看護師国家試験 解説【午後6~10】

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6 疾病や障害に対する二次予防の具体的な取り組みはどれか。

1.がん検診
2.予防接種
3.リハビリテーション
4.健康づくりのための運動

解答

解説

疾病予防の概念

疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。

一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」

1.〇 正しい。がん検診は、疾病や障害に対する二次予防の具体的な取り組みである。
・がん検診とは、がんの症状がない人々において、存在が知られていないがんを見つけようとする医学的検査である。がん検診は健康な人々に対して行うものである。

2.× 予防接種は、一次予防である。

3.× リハビリテーションは、三次予防である。

4.× 健康づくりのための運動は、一次予防である。

予防接種法とは?

予防接種法とは、公衆衛生の観点から伝染のおそれがある疾病の発生・まん延を予防するためにワクチンの予防接種を行うとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として制定された日本の法律である。予防接種法に基づく予防接種には、①定期予防接種と②臨時予防接種があり、定期予防接種の対象疾患には、①A類疾病と②B類疾病がある。さらに同法に基づかない任意接種もある。

A類疾病:主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務がある。
疾患:結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎

B類疾病:主に個人予防に重点を置き、国の積極的な勧奨なく、本人(保護者)に努力義務はない。
疾患:季節性インフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症

(参考:「予防接種とは?」東京都医師会HPより)

 

 

 

 

 

7 妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いのはどれか。

1.水痘
2.風疹
3.麻疹
4.流行性耳下腺炎

解答

解説
1.× 水痘とは、いわゆる「みずぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気である。子供の頃にかかった水痘ウイルスが数十年の潜伏期間を経て、免疫力が低下した時などに再活性化(回帰感染)して起こる。

2.〇 正しい。風疹は、妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高い。
・風疹とは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症である。難聴・白内障・心奇形である。妊婦が妊娠初期に風疹に感染すると、不顕性であっても経胎盤的に胎児に影響を与え、先天性風疹症候群と呼ばれる先天異常を引き起こすことがある。
・先天性風疹症候群とは、風しんウイルスの胎内感染(垂直感染)によって先天異常を起こす感染症である。3徴は、白内障、先天性心疾患、難聴である。その他先天性緑内障、色素性網膜症、紫斑、脾腫、小頭症、精神発達遅滞、髄膜脳炎、骨のX線透過性所見、生後24時間以内に出現する黄疸などを来しうる。臨床的特徴として、先天異常の発生は妊娠週齢と明らかに相関し、妊娠12週までの妊娠初期の初感染に最も多くみられ、20週を過ぎるとほとんどなくなる。

3.× 麻疹とは、麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。

4.× 流行性耳下腺炎とは、2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症である。通常1~2 週間で軽快する。最も多い合併症は髄膜炎であり、その他髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合がある。流産の危険性が高くなる可能性があるが明確ではない。

 

 

 

 

 

8 老年期の身体機能の変化で正しいのはどれか。

1.耐糖能は向上する。
2.尿濃縮力は向上する。
3.薬物代謝は遅延する。
4.肺の残気量は減少する。

解答

解説
1.× 耐糖能は、「向上」ではなく低下する。なぜなら、加齢に伴い、インスリンの分泌量が減少したり、インスリンに対する細胞の感受性(インスリン抵抗性)が低下したりするため。したがって、血糖値を正常に保つ能力が低下し、食後に血糖値が上がりやすくなることにつながる。
・耐糖能とは、上昇した血糖値を正常に戻す、あるいは血糖値を正常に保つ能力である。血糖値の恒常性維持には、膵臓から分泌されるインスリンが重要な働きをし、このインスリンの分泌量や反応、作用に問題が生じた病態が糖尿病であり、耐糖能異常と呼ばれる。

2.× 尿濃縮力は、「向上」ではなく低下する。なぜなら、加齢により腎臓の機能が低下し、特に尿を濃縮する能力が衰えるため。これは、腎臓の糸球体の数が減少したり、尿細管の機能が低下したりすることなどが原因である。結果として、夜間頻尿や脱水のリスクが高まる。
・尿濃縮力とは、腎臓が尿を濃縮する能力のことである。

3.〇 正しい。薬物代謝は遅延する。なぜなら、加齢に伴い、肝臓や腎臓の機能が低下するため。したがって、体内で薬物が分解・排泄される速度が遅くなる。
・薬物代謝とは、体内に取り込まれた薬が酵素によって分解・変化し、排泄しやすい形に変わる過程である。主に肝臓で行われ、薬の効果を弱めたり、毒性をなくす役割がある。代謝された薬は尿や胆汁として体外に排出される。

4.× 肺の残気量は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、加齢に伴い、肺や胸郭の弾力性が低下し、気管支が狭くなる傾向があるため。したがって、肺の中に古い空気が残りやすくなり、新しい空気とのガス交換効率が低下することにつながる。
・残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

 

 

 

 

 

9 地域包括支援センターの主な業務に含まれるのはどれか。

1.特定健康診査・特定保健指導
2.予防接種法に基づく予防接種
3.介護予防ケアマネジメント
4.要介護認定調査

解答

解説

地域包括支援センターとは?

地域包括支援センターとは、介護保険法に基づき各市町村によって設置されており、地域の高齢者の医療・福祉・介護・虐待など様々な事柄に関する相談窓口となっている。地域包括支援センターの人員基準は、「第1号被保険者(65歳以上の高齢者)3000人~6000人ごとに、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員(準ずる者を含む)を最低限それぞれ各1人」である。

地域包括支援センターの業務内容には、①総合相談支援、②権利擁護、③包括的・継続的マネジメント支援、④介護予防ケアマネジメント、⑤地域ケア会議の充実が挙げられる。

1.× 特定健康診査・特定保健指導は、医療保険者が実施する(健康増進法)。
・健康増進法は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本の法律である。都道府県と市町村は、地域の実情に応じた健康づくりの促進のため、都道府県健康増進計画(義務)および市町村健康増進計画(努力義務)を策定する。平成14(2002)年に制定された。
・特定保健指導とは、予備群や軽症でまだお薬を必要としない人に対してもしっかり働きかけ、生活習慣病にならないようなしくみである。個人の生活習慣病予防への評価項目は、効率的・効果的な事業が行われていたか判断できるものを選択する。

2.× 予防接種法に基づく予防接種は、医療機関が実施する。
・定期予防接種とは、「予防接種法」に規定されたワクチン接種のことである。現在、定期接種のワクチンとして10種類が認められている。

3.〇 正しい。介護予防ケアマネジメントは、地域包括支援センターの主な業務に含まれる。
・介護予防ケアマネジメントとは、包括的支援事業のひとつで、支援者や基本チェックリストで事業対象の基準に該当した者に対して介護予防・日常生活支援を目的として、訪問型サービス、通所型サービス、その他の生活支援サービスなどが包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業のことである。つまり、要支援者が訪問型・通所型サービスなどを利用するときに作成する。

4.× 要介護認定調査は、市町村に設置される介護認定審査会で判定する。市町村は介護認定審査会で要介護認定を行う。ちなみに、市区町村の窓口に申請する(※詳しくは下参照)。

(※画像引用:「要介護認定の仕組みと手順」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

10 医療法に基づき高度医療の提供とそれに関する研修を実施する医療施設はどれか。

1.地域医療支援病院
2.臨床研究中核病院
3.特定機能病院
4.診療所

解答

解説

医療法とは?

医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。

1.× 地域医療支援病院とは、地域の病院・診療所の医師から、より詳しい検査や、専門的な医療が必要と紹介された患者さんに対して、適切な医療を提供することを目的に県知事の承認を受けた病院のことである。24時間体制による救急医療の提供、地域の医療機関と連携をとり、病院の施設・設備を共同で利用できる体制、地域の医療従事者の質向上を図るための研修を行うなど、地域医療の中核を担う役割がある。

2.× 臨床研究中核病院とは、日本発の革新的な医薬品や医療機器の開発に必要となる質の高い臨床研究や治験を推進するための中心的役割を担う病院として医療法上に位置づけられたものである。厳しい要件を満たした医療機関のみが厚生労働大臣の認可を受けて指定される。

3.〇 正しい。特定機能病院は、医療法に基づき高度医療の提供とそれに関する研修を実施する医療施設である。
・特定機能病院とは、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院である。1992年6月改正、1993年4月施行の医療法の第2次改正によって制度化された日本の医療機関の機能別区分のうちのひとつで、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が承認する必要がある。

4.× 診療所とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所である。患者を入院させるための施設を有しないもの又は、19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。ちなみに、20以上の病床がある医療機関を「病院」と定義されている。

 

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