第95回(H24) 助産師国家試験 解説【午後41~45】

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次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 34歳の初産婦。保険会社の営業担当で外出が多い勤務をしている。妊娠24週0日までの経過に異常を認めなかった。妊娠28週2日の妊婦健康診査で血圧158/96mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、浮腫(-)であった。

41 妊娠30週1日。頭痛は消失した。血圧142/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)、浮腫(-)である。Biophysical profile scoringを行ったところスコアが6点、羊水量は正常と判断された。
 この時点の対応で適切なのはどれか。

1.1週後の再検査
2.3日後の再検査
3.24時間以内の再検査
4.分娩誘発
5.帝王切開

解答

解説

本症例のポイント

・34歳の初産婦。
・妊娠24週0日まで:経過に異常なし。
・妊娠28週2日:血圧158/96mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、浮腫(-)。
・妊娠30週1日:頭痛は消失した。
・血圧142/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)、浮腫(-)。
Biophysical profile scoring:6点羊水量:正常
→妊娠30週1日、BPS6点、羊水量が正常な場合、下記の図をもとに対応を検討しよう。

(※図引用:「(表2) BPSに基づく管理方針」杏林舎様HPより)

1.× 1週後の再検査は、Biophysical Profile Scoring(BPS)が10点の場合である。

2.× 3日後の再検査は、原則規定されていない。

3.〇 正しい。24時間以内の再検査が本症例の時点の対応である。「BPS6点以下の症例の管理を厳重に行うことが重要であり,24時間以内の再検査が不可欠である(Manning ら1993年)」と記載されている(※引用:「(表2) BPSに基づく管理方針」杏林舎様HPより)。

4.× 分娩誘発は、羊水量にも異常を期待している場合である。

5.× 帝王切開の準備をする必要はない。なぜなら、帝王切開は胎児機能不全や常位胎盤早期剥離など異常があり、急を要する場合に行われるため。
【帝王切開術の適応】
①母体適応:児頭骨盤不均衡前置胎盤,子宮破裂,重症妊娠高血圧症候群,常位胎盤早期剝離,分娩停止,分娩遷延など。
②胎児適応:胎児機能不全(胎児ジストレス),臍帯脱出,子宮内胎児発育遅延,切迫早産,前期破水,多胎など。

胎児発育不全とは?

胎児発育不全とは、平均と比べて成⻑が遅くなっていることをいい、胎盤由来の妊娠合併症の代表的なものである。子宮内での胎児の発育が遅延あるいは停止したために在胎週数に相当した胎児の発育が見られない状態で、妊娠週数に対して胎児が明らかに小さい場合をいい、胎児発育曲線において「-1.5SD以下」の場合に診断される。

胎児のwell-beingの評価には、主にバイオフィジカルプロファイルスコアリング(BPS:biophysical profile scoring:生物物理的プロフィール得点)が用いられることが多い。バイオフィジカルプロファイルスコアリング(BPS:biophysical profile scoring:生物物理的プロフィール得点)とは、超音波検査とNST(分娩監視装置による胎児心拍の観察)を用いて胎児のwell-beingを評価する方法である。胎児の各状態をチェックして点数評価し合計点で胎児の状態を診断する。

①胎児の呼吸運動:【正常な状態(2点)30分間に30秒以上続く運動が1回以上】【異常な状態(0点)無いとき】

②胎動:【正常な状態(2点)30分間に身体の大きな動きが3回以上】【異常な状態(0点)2回以下】

③筋緊張:【正常な状態(2点)30分間に手足の動きが1回以上】【異常な状態(0点)認めない】

④羊水量:【正常な状態(2点)直径2cm以上の羊水ポケットが1ヶ所以上】【異常な状態(0点)2cm以下】

⑤non-stress test:【正常な状態(2点)20~40分間中に15bpm以上の一過性品脈が2回以上】【異常な状態(0点)2回未満】

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 30歳の初産婦。妊娠40週0日。午前1時から陣痛が発来し、午前8時に入院した。妊娠経過に異常を認めなかった。2日前の妊婦健康診査で身長160cm、体重70kg(非妊時58kg)。血圧110/82mmHg。推定児体重3000g。尿蛋白(-)、尿糖(-)であった。

42 入院時の内診で子宮口2cm開大、展退度60%、Station-2、未破水であった。胎児心拍モニタリングを40分間行った。基線は140bpm、基線細変動は10〜15bpm。基線から15bpm以上増加し15秒以上持続する波形を7回、子宮収縮に伴い15秒で110bpmまで低下後直ちに回復した波形を1回認める。
 対応で適切なのはどれか。

1.散歩を促す。
2.引き続きモニタリングを行う。
3.酸素吸入を行う。
4.絶飲食にする。

解答

解説

本症例のポイント

・30歳の初産婦(妊娠40週0日)。
・入院時:子宮口2cm開大、展退度60%、Station-2、未破水
・胎児心拍モニタリング(40分間):基線140bpm、基線細変動10〜15bpm。
・基線から15bpm以上増加し15秒以上持続する波形を7回
・子宮収縮に伴い15秒で110bpmまで低下後直ちに回復した波形を1回認める。

→本症例は、変動一過性徐脈が疑われる。変動一過性徐脈とは、15bpm以上の心拍減少が急速に起こり、減少開始から最下点まで30秒未満で急速し、回復までに15秒以上2分未満かかる徐脈である。高度の判断は、①最下点が70 bpm未満で持続時間が30秒以上、②最下点が70 bpm以上80 bpm未満で持続時間が60秒以上で評価する。子宮収縮に伴って発生する場合は、一定の形を取らず、下降度、持続時間は子宮収縮ごとに変動することが多い。

1.× あえて、散歩を促す優先度は低い。なぜなら、散歩と変動一過性徐脈との関連性は低いため。散歩の促進は、つわりの改善が主である。ちなみに、つわりとは、妊娠によるホルモンバランスの変化によって生じる、悪心(吐き気)、嘔吐、食べ物の好みの変化などの総称である。妊娠12週~14週ころに軽減するが、個人差が大きいため、一概にこの時期とはいいきれない。つわりは妊娠8週目~10週目ごろに症状のピークを迎える場合が多いとされている。

2.〇 正しい。引き続きモニタリングを行う。なぜなら、「分娩監視装置を一定時間(20 分以上)装着してモニタリングを記録し、評価する」ことに該当するため。1)破水時、2)羊水混濁あるいは血性羊水を認めたとき、3)間欠的児心拍数聴取で(一過性)徐脈、頻脈を認めたとき、4)分娩が急速に進行したり、排尿・排便後など、胎児の位置の変化が予想される場合(間欠的児心拍聴取でもよい)(※引用「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P223」)。

3.× 酸素吸入を行う必要はない。なぜなら、本症例に深刻な状態がみられないため。一般的に、酸素投与は、分娩後に実施し、「新生児の蘇生(NCPR)」によると「自発呼吸があり、かつ心拍数が100/分以上の場合は、努力呼吸と中心性チアノーゼの有無を評価する。どちらか一方でも認める場合は、パルスオキシメーターを装着したうえで、フリーブローの酸素投与か持続的気道陽圧<CPAP>を開始する。

4.× 絶飲食にする必要はない。なぜなら、絶飲食は手術や緊急帝王切開を視野に入れた対応であるため。ちなみに、緊急帝王切開の主な適応としては、胎児機能不全、臍帯下垂・脱出、前置血管破綻、37週未満の前期破水などがあり、脳性麻痺のリスク要因である。

連続モニタリングの適応

「経過観察」を満たしても、以下の場合は連続モニタリングを行う(ただし、トイレへの歩行や病室の移動等で胎児心拍数が評価できない期間を除く)
1)分娩第2期のすべての産婦
2)分娩時期を問わず、以下のような場合(①子宮収縮薬使用中、②用量41mL以上のメトロイリンテル挿入中、③用量41mL未満のメトロイリンテル挿入中であっても陣痛が発来した場合、④無痛分娩中、⑤38℃以上の母体発熱中、⑥上記以外に産婦が突然強い子宮収縮や腹痛を訴えた場合)
3)分娩時期を問わず、以下のようなハイリスク妊娠の場合(①母体側要因:糖尿病合併、“妊娠中の明らかな糖尿病”、コントロール不良な妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、妊娠・分娩中の低酸素状態が原因と考えられる脳性麻痺児、子宮内胎児死亡児出産既往(概ね30週以上)、子癇既往、子宮体部への手術歴、②胎児側要因:胎位異常、推定体重<2,000g、胎児発育不全、多胎妊娠、サイトメガロウイルス感染胎児、③胎盤、羊水、臍帯の異常:低置胎盤、羊水過多、羊水過少、臍帯卵膜付着が診断されている場合)
4)その他、ハイリスク妊娠と考えられる産婦(コントロール不良の母体合併症等)
7.以下の場合は分娩監視装置を一定時間(20 分以上)装着してモニタリングを記録し、評価する。1)破水時、2)羊水混濁あるいは血性羊水を認めたとき、3)間欠的児心拍数聴取で(一過性)徐脈、頻脈を認めたとき、4)分娩が急速に進行したり、排尿・排便後など、胎児の位置の変化が予想される場合(間欠的児心拍聴取でもよい)

(※引用「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P223」)

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 30歳の初産婦。妊娠40週0日。午前1時から陣痛が発来し、午前8時に入院した。妊娠経過に異常を認めなかった。2日前の妊婦健康診査で身長160cm、体重70kg(非妊時58kg)。血圧110/82mmHg。推定児体重3000g。尿蛋白(-)、尿糖(-)であった。

43 午前10時、産婦は「お尻の方が少し押されてくる感じです」と言う。内診で子宮口6cm開大、展退度80%、Station±0、小泉門を5時に触れ、卵膜を触知した。
 経過の判断で正しいのはどれか。

1.正常経過
2.軟産道強靱
3.CPD
4.早期破水
5.回旋異常

解答

解説

本症例のポイント

・30歳の初産婦(妊娠40週0日)。
・午前1時:陣痛発来、午前8時入院。
・午前10時「お尻の方が少し押されてくる感じです」と言う。
・内診:子宮口6cm開大展退度80%Station±0小泉門を5時に触れ卵膜を触知した。
→上記評価から、正常な範囲を読み取れるようにしよう。

1.× 正常経過は考えにくい。なぜなら、Station±0小泉門を5時に触れていることから、異常所見といえるため。

2.× 軟産道強靱は考えにくい。なぜなら、子宮口6cm開大、展退度80%となっているため。ちなみに、軟産道強靭とは、妊娠や分娩の進行に伴う軟産道の熟化が不十分で、軟産道の伸展性が不良な状態を指す。

3.× CPDは考えにくい。なぜなら、Station±0となっているため。ちなみに、児頭骨盤不均衡とは、胎児の頭が母体の骨盤に比べて大きかったり、母体の骨盤の形に問題があったりして、胎児がスムーズに骨盤を通過できず分娩の進行が停止する場合を指す。全分娩の約4~6%にみられる。
【児頭骨盤不均衡の機能的診断法(※参考:「骨盤形態からみた難産予測 著:又吉國雄 様」)】
①レオポルド触診法:第3、第4手法で、妊娠38週以降の初産婦に「floating head」が確認できる。
②Seitz法:児頭が骨盤腔内に嵌入しているか否かを腹壁上からの触診でみる方法である。恥骨結合より児頭前面が低ければ Seitz(-)、同じ高さなら(±)、児頭前面の方が隆起していれば(+)と判定し、児頭骨盤不均衡を疑える。
内診により、児頭の先進部がstation±0に達していれば、入口部における児頭骨盤不均衡はないと考えられる
さらに、分娩の進行状況で、すでに子宮口が全開大し破水を認めているにもかかわらず、分娩が遷延している(2時間以上)状態であれば、児頭骨盤不均衡は極めて疑わしいと考えられるが、上記の所見により児頭骨盤不均衡が疑われる場合は、X線骨盤撮影による十分な骨盤形態の検討が要求される。

4.× 早期破水は考えにくい。なぜなら、卵膜を触知しているため。ちなみに、破水とは、卵膜が破れて羊水が子宮外に流出することである。破水は、臍帯脱出や上行感染、胎児機能不全などの原因となり得る。【破水の種類】①前期破水とは、分娩が始まる前の破水のこと、②早期破水とは、分娩開始以降で子宮口全開大前の破水のこと、③適時破水:子宮口全開大に達する頃の破水のことをいう。

5.〇 正しい。回旋異常がもっとも考えられる。なぜなら、Station±0小泉門を5時に触れているため。回旋異常とは、お産の際に赤ちゃんが何らかの原因でうまく回ることができていない状態のことをいう。

(※図引用:「助産師基礎教育テキスト:第 5 巻:2020 年版訂正ご案内」株式会社日本看護協会出版会様HPより)

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 30歳の初産婦。妊娠40週0日。午前1時から陣痛が発来し、午前8時に入院した。妊娠経過に異常を認めなかった。2日前の妊婦健康診査で身長160cm、体重70kg(非妊時58kg)。血圧110/82mmHg。推定児体重3000g。尿蛋白(-)、尿糖(-)であった。

44 午後8時、3100gの児を経腟分娩した。胎盤娩出後に凝血塊を含む暗赤色の出血を大量に認めた。その直後から、産婦は「気分が悪い」と訴えた。顔面は蒼白である。血圧128/68mmHg、脈拍72/分。呼吸困難を認めない。
 この時点で最も考えられるのはどれか。

1.肺塞栓
2.腟血腫
3.頸管裂傷
4.弛緩出血

解答

解説

本症例のポイント

・30歳の初産婦(妊娠40週0日)。
・午前1時:陣痛発来、午前8時入院。
・午後8時:3100gの児を経腟分娩。
胎盤娩出後大量な凝血塊を含む暗赤色の出血
・直後:産婦「気分が悪い」と訴えた。顔面は蒼白。
・血圧128/68mmHg、脈拍72/分。呼吸困難を認めない。
→ほかの選択肢の消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 肺塞栓は考えにくい。なぜなら、呼吸困難は認められていないため。ちなみに、肺塞栓とは、肺動脈に血栓が詰まる病気のことで、突然の呼吸困難、胸痛、頻脈などが主な症状である。この血栓が9割以上は脚の静脈内にできる。この血栓を「深部静脈血栓症」といい、それが血液の流れに乗って右心房、右心室を経由して肺動脈まで運ばれてきて、肺塞栓症の原因となる。肺塞栓症と深部静脈血栓症は、極めて関係が深い病気で、二つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼ばれる。深部静脈血栓症患者の約50%は潜在性の肺塞栓症を有し、肺塞栓症患者の30%以上は証明可能な深部静脈血栓症患者を有すると報告されている。

2.× 腟血腫は考えにくい。なぜなら、胎盤娩出後に大量な凝血塊を含む暗赤色の出血が認められるため。ちなみに、腟血腫とは、分娩時に下部腟壁の粘膜下組織の血管が破綻・断裂して骨盤下部に血液が浸潤することで形成される血腫である。外陰部や会陰部の腫脹、激しい疼痛が特徴である。

3.× 頸管裂傷は考えにくい。なぜなら、胎盤娩出後に大量な凝血塊を含む暗赤色の出血が認められるため。ちなみに、頸管裂傷とは、子宮頸管に裂けてできた傷が起こることであり、急速に分娩が進行することや吸引分娩などの処置、巨大児などが原因となる。頸管裂傷になると持続的な出血(鮮紅色の出血)が起こる。主に分娩の際に生じる可能性があり、大量出血など生命の危険にまでつながるリスクがある。

4.〇 正しい。弛緩出血がもっとも考えられる。弛緩出血とは、児と胎盤の娩出後、本来なら子宮が収縮することで止まるはずの出血が続く状態である。原因は、多胎妊娠や巨大児による子宮の過伸展、子宮収縮剤の長時間投与、長引く分娩による母胎の疲労、子宮奇形などの体質によるもの、子宮内の凝血塊の遺残、全身麻酔などが挙げられる。弛緩出血が起きたときには、子宮収縮を促すためオキシトシンなどの子宮収縮剤の投与や、子宮マッサージが行われる。子宮底部の輪状マッサージとは、子宮筋を刺激して、子宮収縮を促進させるマッサージである。 排尿・排便を定期的に促し、膀胱・直腸充満からの圧迫による子宮収縮不全を防止する。早期離床を促し、悪露の貯留による子宮収縮不全を防止する。

 

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 40歳の初産婦。妊娠経過に異常を認めなかった。妊娠41週2日、陣痛発来し未破水で入院した。GBS(-)。胎児機能不全のため、吸引分娩で4100gの児を娩出した。分娩所要時間は12時間30分であった。

45 出生直後、児の啼泣が弱かったため、助産師は体表の水分を拭き取った上で、児の背部を軽く刺激した。出生後1分、啼泣は弱く、心拍数は80/分であった。
 児への対応として適切なのはどれか。

1.気管挿管
2.アドレナリン投与
3.殿部への強い刺激
4.バッグ・マスク換気
5.フリーフローによる酸素投与

解答

解説

本症例のポイント

・40歳の初産婦(妊娠経過に異常なし)。
・妊娠41週2日:陣痛発来し未破水で入院、GBS(-)。
胎児機能不全のため、吸引分娩(4100g児娩出)。
・出生直後:児の啼泣が弱かった。
・体表の水分を拭き取った上で、児の背部を軽く刺激
・出生後1分:啼泣は弱く心拍数は80/分
→NCPRアルゴリズムにのっとって正確に判断しよう。

JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版‐第4章 新生児の蘇生(NCPR)

(※図引用:「JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版‐第4章 新生児の蘇生(NCPR)」一般社団法人 日本蘇生協議会より)

1.× 気管挿管は現時点では適応外である。なぜなら、まずは、人工呼吸やSPO2のモニタを装着し、「換気が適切か必ず確認する」工程を挟むため。

2.× アドレナリン投与は現時点では適応外である。なぜなら、アドレナリン投与は、人工呼吸と胸骨圧迫を行っても心拍数が60/分未満の場合に適応となるため。

3.× 殿部への強い刺激は、新生児に対して行わない。適切な刺激部位は、背部や足底を優しく擦る程度(適切な強さの刺激)である。

4.〇 正しい。バッグ・マスク換気を実施する。なぜなら、「あえぎ呼吸:弱い呼吸(無呼吸:自発呼吸なし)あるいは、心拍数:100回/分未満」の場合、①人工呼吸、②SpO2モニタの装着、③ECGモニタ装着を検討するため。バッグバルブマスク換気とは、呼吸停止または重度の換気不全の場合に人工換気を迅速に行う手段で、人工呼吸に最も近いアプローチが行える。

5.× フリーフローによる酸素投与は現時点では適応外である。なぜなら、NCPRのアルゴリズムにおいて、フリーフロー酸素投与は、出生直後のチェックポイントに該当し、自発呼吸があり心拍数が100/分以上の場合に適応されるため。ちなみに、フリーフローによる酸素投与とは、CPAP管理ができない場合に従来通り行われる酸素投与である。酸素の過剰投与には十分注意する必要がある。

 

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