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21 第2頭位で、児頭の最大周囲径が骨盤入口部にある図を示す。
前頭頂骨進入はどれか。
ただし、図の上が母体腹側、下が母体背側を示す。円は骨盤入口面、印は大泉門、印は小泉門を表す。
解答1
解説
(※図引用:「(図 D-10-4)-3) 進入異常」日産婦誌60巻 3 号より)
児頭が骨盤内に侵入する場合、矢状縫合は骨盤誘導線に沿って下降するが、それが前後にずれることがある。扁平骨盤があり、CPDのある場合に起こりやすく、次の2種類がある(図 D-10-4)-3)。
1)前頭頂骨進入:矢状縫合が骨盤誘導線より後方(仙骨側)に偏位した場合をいう。
2)後頭頂骨進入:矢状縫合が骨盤誘導線より前方(恥骨側)に偏位した場合をいう。
正確に診断するにはGuthmann撮影が有用である。矢状縫合のある側の頭頂骨、すなわち前頭頂骨進入では後在頭頂骨が後頭頂骨進入では前在頭頂骨が、それぞれ仙骨、恥骨結合に圧迫され対側頭頂骨の下に重積する。CPD時の適応現象のひとつであり、CPDがあまり激しくないと予測される場合は、しばらく経過観察し、CPDが強い場合は帝王切開する。(※図引用:「(図 D-10-4)-3) 進入異常」日産婦誌60巻 3 号より)
1.〇 正しい。前頭頂骨進入である。前頭頂骨進入とは、矢状縫合が骨盤誘導線より後方(仙骨側:母体背側)に偏位した場合をいう。
2.× 後頭頂骨進入である。後頭頂骨進入とは、矢状縫合が骨盤誘導線より前方(恥骨側:母体腹側)に偏位した場合をいう。
3~5.× 矢状面から場合、(図 D-10-4)-3) 進入異常のように見える。
(※図引用:「助産師基礎教育テキスト:第 5 巻:2020 年版訂正ご案内」株式会社日本看護協会出版会様HPより)
22 妊婦の下肢のけいれんについて正しいのはどれか。
1.膝窩筋に起こりやすい。
2.妊娠初期に発症頻度が高い。
3.血中のカルシウムの増加が原因となる。
4.予防としてリン酸の過剰摂取を避ける。
5.予防として就寝時は下肢の底屈位をとる。
解答4
解説
マイナートラブル(minor trouble)とは、小さな問題という意味で、妊娠に伴って生ずる不快症状を指す。妊娠による生理的変化や心理的な要因によって引き起こされる種々の不快症状で、重篤な器質的疾患を伴わないものをいう。不快感の程度は個人差が大きく、妊娠の経過に伴い自然に軽快・回復したり、新たな症状が自覚されたりすることもある。マイナートラブルは、妊娠によって生ずる体の生理的変動が、また精神的変化が不定愁訴の原因となっている場合が多いが、そのほか、妊娠による心理的葛藤や不安などが自律神経症状やその他の精神的および身体的症状を起こしやすくしている。主に、つわり、めまい、立ちくらみ、便秘、腰背痛、下肢のけいれん、静脈瘤、痔、頻尿、浮腫、胸やけ、帯下、瘙痒感などがあげられる。
1.× 「膝窩筋」ではなく腓腹筋(ふくらはぎ)に起こりやすい。なぜなら、妊娠の経過に伴い、重心が前方に移動するため。また、体重が増加し、下肢にかかる負担が大きくなる。腓腹筋は歩行や姿勢維持に重要な役割を果たしているため、特に負担がかかりやすい。
2.× 「初期」ではなく妊娠中期から後期に発症頻度が高い。なぜなら、妊娠が進むにつれ、体重の増加や血流の変化、栄養のバランスが影響して発生しやすくなるため。
3.× 血中のカルシウムの「増加」ではなく低下が原因となる。カルシウムやマグネシウムの不足により、筋肉のけいれんが起こりやすくなる。したがって、カルシウムやマグネシウムの補給が予防に役立つ。
4.〇 正しい。予防としてリン酸の過剰摂取を避ける。なぜなら、リン酸は、カルシウムと密接な関係があるため。体内のリン酸が過剰になると、カルシウムとのバランスが崩れ、カルシウムの吸収が抑制される。カルシウムは筋肉の収縮・弛緩に重要な役割を果たしており、その不足は筋肉のけいれんを引き起こす。
5.× 就寝時の下肢の底屈位は、予防にはならない。足関節底屈位(つま先:下向き)は、腓腹筋を伸ばす(伸張)する力が働く。つまり、これは、けいれん時の対応となる。
心疾患合併の頻度は全分娩の1~3%である。妊娠により母体では様々な生理的変化が出現する。中でも、循環器系変化は顕著である。循環血液量と心拍出量は妊娠の進行と伴に増加し、妊娠28~32週頃にはピークとなり、非妊娠時の約1.5倍の増加を示す。正常妊娠ではこうした増加に対し、末梢血管抵抗が低下し、腎臓や子宮への血流量を増加させている。実際、腎血流量は非妊娠時に比べ30%増加し、子宮血流量は10倍になる。これらの循環変化は母体が順調に胎児を育んで行く上に必須のものであるが、心疾患を合併した妊婦ではしばしば負担となる。また、分娩中は子宮収縮により静脈環流量が増加し、第2期では努責による交感神経興奮により頻脈になり、心拍出量が増加する。したがって、分娩中は心疾患合併妊婦の症状が悪化する危険な時期といえる。分娩後(産褥早期)、子宮は急速に収縮し静脈環流量が増加するが、循環血液量は急には減少しないため、一過性に心負担は増加する。この心拍出量増加は、産後の利尿により循環血液量が減少するまで継続する。産褥期に一過性に浮腫が増悪することがあるが、こうした循環器系変化のためと考えられる。
(※一部引用:「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」(中井章人著,東京医学社)より)
23 鉗子分娩を安全に行うために満たすべき条件はどれか。
1.小泉門が先進している。
2.胎児の状態が良好である。
3.子宮口が全開大している。
4.Stationが±0以下である。
5.矢状縫合が縦になっている。
解答3
解説
急速分娩とは、分娩中に母児に危機的状況が生じた場合に、分娩を早めるために、①帝王切開、②鉗子分娩、③吸引分娩などによって児を娩出することである。鉗子分娩とは、児頭を鉗子で挟み児を娩出させる急速遂娩法である。先進児頭の下降度によって、①低在鉗子(出口鉗子)、②中在鉗子、③高在鉗子に分けられる。①低在鉗子(出口鉗子)の定義は諸説あるが、おおむねStation+2~+3以上である。術前に陰部神経麻酔、硬膜外麻酔を行うことが望ましい。
(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P206」)
1.× 「小泉門」ではなく大泉門が先進している。出口部と低在(低位)、中在(中位)の前方後頭位あるいはそれに近い傾きにおいて用いることを原則としているため(「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P208」)。
2.× 胎児の状態が良好であることは条件には含まれない。 むしろ、胎児機能不全など、胎児の状態が良好でない場合に、迅速な娩出を行うために鉗子分娩が選択されることが多い。ただし、胎児が生存していることがあげあれる。
3.〇 正しい。子宮口が全開大している。子宮口全開大かつ既破水が条件となっている(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P206」)。子宮口が完全に開いていない状態で鉗子分娩を行うと、母体や胎児に損傷を与えるリスクがある。
4.× Stationが「±0以下」ではなく+2以上であることが条件となっている(※下図参照)。児頭が骨盤出口部まで下降していることが条件となっている。Stationが±0以下の場合は、胎児の頭がまだ十分に下降しておらず、鉗子分娩を行うにはリスクが高い。
5.× 必ずしも、矢状縫合が縦になっていなくてもよい。矢状縫合が骨盤縦径に近いことが条件である。母体前後径と児頭矢状径のなす角度が45度未満が上限となっている。
(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P208」)
24 母乳哺育を行っている生後1か月の正期産児において、母乳不足を疑う所見はどれか。
1.平均体重増加量:27g/日
2.哺乳時間:40〜50分/回
3.Kaup〈カウプ〉指数:17
4.哺乳回数:8〜10/日
5.粘液便の排泄
解答2
解説
1.× 平均体重増加量:27g/日は、正常範囲内で母乳不足を疑う所見とはいえない。
【正常乳児の一日体重増加量の目安】
・0~3か月:25~30g
・3~6か月:20~25g
・6~9か月:15~20g
・9~12か月:7~10g
2.〇 正しい。哺乳時間:40〜50分/回は、母乳不足を疑う所見である。分泌状態が不良の場合は、児の哺乳時間が延長することが多い。一般的な哺乳時間は、通常10〜20分程度が一般的である。はじめの10分間で全量の約90%を哺乳する。それ以上長い哺乳時間が続く場合、乳児が満足するまで母乳を十分に得られていない可能性がある。
3.× Kaup〈カウプ〉指数:17は、正常範囲内で母乳不足を疑う所見とはいえない。カウプ指数とは、生後3か月から5歳までの乳幼児に対して、肥満や、やせなど発育の程度を表す指数である。 成人で使用されるBMIと同じ計算法であるが判定基準が異なる。 カウプ指数の正常値はおおよそ15~19とされており、それ以上を肥満、以下をやせと判定する。
体重(g)÷【身長(cm)の二乗】× 10
15≦標準値<19
4.× 哺乳回数:8〜10/日は、正常範囲内で母乳不足を疑う所見とはいえない。一般的な哺乳回数は、1日に8〜12回である。
5.× 粘液便の排泄は、正常範囲内で母乳不足を疑う所見とはいえない。粘液便の排泄は、腸液が原因で、特に問題ない場合が多い。腸液は便をスムーズに運ぶために分泌されるゼリー状の粘液で、腸壁からぬるっとした鼻汁のような形で出る。
(※図引用:「ブリストルスケールによる便の性状分類」排泄ケアナビ様より)
25 助産録の記載事項として保健師助産師看護師法施行規則に規定されていないのはどれか。
1.児の性別
2.分娩の場所
3.妊産婦の住所
4.妊産婦の国籍
5.胎児付属物の所見
解答4
解説
助産録とは、助産師が分娩介助をしたときに、助産に関する事項を速やかに記載しなければいけないものである。助産録の記載内容の12項目が定められている。ちなみに、診療記録(診療録、カルテ)とは、医療に関してその診療経過等を記録したものである。 診療録には手術記録・検査記録・看護記録等を含め診療に関する記録の総称をいう。
①妊産婦の住所、氏名、年齢、職業
②分娩・死産回数、生死産の別
③妊産婦の既往疾患の有無およびその経過
④今回の妊娠経過、所見、保健指導の要項
⑤医師による妊娠中の健康診断受診の有無
⑥分娩場所、年月日時分
⑦分娩経過・処置
⑧分娩異常の有無、経過および処置
⑨児の数、性別、生死別
⑩児および胎児付属物の所見
⑪産褥経過、褥婦および新生児の保健指導の要項
⑫産後の医師による健康診断の有無
1~3/5.〇 児の性別/分娩の場所/妊産婦の住所/胎児付属物の所見は、助産録の記載事項として保健師助産師看護師法施行規則に規定されている。(※上:参照)
4.× 妊産婦の国籍は、助産録の記載事項として保健師助産師看護師法施行規則に規定されていない。