第114回(R7) 看護師国家試験 解説【午前11~15】

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11 眼球運動を行う神経はどれか。

1.視神経
2.外転神経
3.顔面神経
4.三叉神経

解答

解説
1.× 視神経とは、視覚を司る感覚神経である。ちなみに、視覚伝導路は、「視神経―視交叉―視索―外側膝状体―視放線―視覚野」である。

2.〇 正しい。外転神経は、眼球運動を行う神経である。
・外転神経とは、眼球運動に関わる脳神経である。外側直筋を支配し、外側への眼球運動を行う。

3.× 顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。

4.× 三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

 

 

 

 

 

12 成人の食道の構造で正しいのはどれか。

1.胃の幽門につながる。
2.上1/3が平滑筋である。
3.生理的狭窄部位がある。
4.長さは約45cmである。

解答

解説

(※図引用:「イラスト素材:胃」illustAC様より)

1.× 胃の「幽門」ではなく噴門につながる。ちなみに、幽門は、胃の出口にあり、十二指腸につながる部分である。
・食道とは、咽頭(輪状軟骨下縁)と胃の間をつなぐ管状の臓器である。

2.× 上1/3が「平滑筋」ではなく横紋筋である。なぜなら、平滑筋は自律神経による持続的かつ調整された収縮が可能となり、食物を効率的に胃へ運ぶ蠕動運動を実現できるため。
【1.食道の構造(※引用:「食道の解剖」著:井上 鐡三より)】
食道壁の厚さは4.0~5.0mmで、内面は重層扁平上皮からなる粘膜で被われ、外方に向かって粘膜下組織、内側輪状筋層(内輪筋)、外側縦走筋層(外縦筋)、外膜で構成されている。漿膜はなく、周囲器官とは結合組織で疎に結合している。食道上部1/3は横紋筋よりなり、次第に平滑筋が多くなって、下部1/3は平滑筋よりなる。

3.〇 正しい。生理的狭窄部位がある。生理的狭窄部は、3か所であり、①咽頭との接合部、②気管支の後ろを通る部位、③横隔膜を抜ける部位である。また、噴門付近(胃との接続部分)と共に、この3箇所の狭窄部は、食道ガンの好発部位である(※下図参照)。

4.× 長さは、「約45cm」ではなく約25cmである。

(※図引用:「食道の解剖」著:井上 鐡三より)

 

 

 

 

 

13 心電図波形を下に示す。
 心室頻拍はどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④

解答

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.× ①は、心房細動である。心房細動とは、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。

2.× ②は、心室性期外収縮である。心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。

3.× ③は、正常洞調律である。洞調律とは、一般的には特に心臓に異常がない場合のことを指す。洞調律は心房と心室が正常に連動して規則正しいリズムで心臓が動いていることを示す結果である。 

4.〇 正しい。は、心室頻拍である。心室頻拍とは、何かしらの原因により心室が通常よりも早いペースで規則的な興奮をする不整脈で、心房からの規則正しい電気活動とは無関係に起こる。心室頻拍が 30 秒以上持続するものを持続性心室頻拍、それより短時間で自然停止するものを非持続性心室頻拍と心拍数や持続時間などに応じて症状や危険性が異なる。基準値として、心拍数120回/分以上(正常範囲:60~100回/分)をさす。

 

 

 

 

 

14 閉塞性黄疸の患者にみられる便の色はどれか。

1.赤
2.黄
3.黒
4.灰白

解答

解説

閉塞性黄疸とは?

黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの(溶血性貧血)、②肝細胞の障害によるもの(肝実質性黄疸)、③胆汁の流れの障害によるもの(閉塞性黄疸)、④体質によるもの(体質性黄疸)、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。

1.× 赤(鮮血便)の場合、肛門に近い部分(痔、大腸憩室出血、大腸炎、大腸がんなど)からの出血が示唆される。

2.× 黄の場合、通常は正常な便の色か、消化不良や乳児の便に見られます。

3.× 黒の場合、上部消化管(胃や十二指腸など)からの出血が示唆される。血液が胃酸と反応し、黒くタール状になった便(タール便、メレナ)として排出される。

4.〇 正しい。灰白は、閉塞性黄疸の患者にみられる便の色である。なぜなら、閉塞性黄疸では、胆汁が胆道を通って腸管に分泌されなくなるため。便に色素が届かず、結果として便が白っぽく、粘土のような色になる。

(※図引用:「ブリストルスケールによる便の性状分類」排泄ケアナビ様より)

 

 

 

 

 

15 下垂手の原因はどれか。

1.尺骨神経麻痺
2.正中神経麻痺
3.橈骨神経麻痺
4.腓骨神経麻痺

解答

解説
1.× 尺骨神経麻痺とは、尺骨神経損傷により手掌・背の尺側に感覚障害やFroment徴候陽性、鷲手がみられる麻痺である。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。

2.× 正中神経麻痺とは、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性、猿手となる麻痺である。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。
・猿手とは、母指球が萎縮し、母指が内転位となり、母指とその他の手指との対立運動が不能となる状態である。

3.〇 正しい。橈骨神経麻痺は、下垂手の原因である。橈骨神経麻痺とは、母指背側の感覚障害と上腕三頭筋・腕橈骨筋・長、短橈側手根伸筋、総指伸筋などの伸筋群の麻痺(下垂手)を認める。

4.× 腓骨神経麻痺とは、腓骨頭部(膝外側)の外部からの圧迫などによって、腓骨神経の機能不全をきたしている状態である。腓骨神経は、感覚(下腿外側、足背)や運動(足関節および足趾の背屈)を支配しているため、下腿の外側から足背ならびに足趾背側にかけて感覚が障害され、しびれたり、触った感じが鈍くなる。また、足首と足の指が背屈(上に反る)できなくなり、下垂足となる。

 

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