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71 知的障害〈精神遅滞〉について正しいのはどれか。
1.成人期に発症する。
2.退行現象の1つである。
3.統合失調症が原因となる。
4.知的機能と適応機能が障害される。
解答4
解説
知的障害とは、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの」と定義されている。状況の判断能力が低く、他者の発言を被害的に受け取る傾向が強い。注意されたことを叱責と捉えるなど自信がなく、自分の気持ちを表現することが苦手である。知的障害では、抽象的概念の形成が困難で、言語概念の形成も遅れることが多く、学習障害を呈する。また、左右の協調的運動や微細運動が不得意であり、更衣動作などの身辺作業面に遅れを伴う。原因として、①出生前要因(染色体異常、奇形症候群、先天代謝異常、神経変性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、子宮内感染など)、②周産期要因(胎内環境異常、新生児疾患など)、③出生後要因(外傷、事故、養育環境など)が挙げられる。
1.× 「成人期」ではなく発達期(おおむね18歳まで)に発症する。成人期に発症する認知機能の低下は、認知症などの別の疾患に分類される。
2.× 退行現象の1つ「ではない」。なぜなら、知的障害は、発達の過程で知的機能の獲得が困難である状態であるため。したがって、既に獲得した能力が失われる退行現象とは異なる。
・退行現象とは、ある程度の発達を遂げた者が、より低い発達段階に「子供がえり」して、未熟な行動をすることをいう(防衛機制のひとつ)。
3.× 統合失調症が原因「とはならない」。なぜなら、知的障害は、発達期の脳機能の障害によって生じるため。
4.〇 正しい。知的機能と適応機能が障害される。これにより、コミュニケーション、自己管理、社会参加など、複数の領域での困難として現れる。
・知的機能の障害:理由付け、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学習(学業的学習と経験からの学習)など、知的な能力が全般的に平均よりも有意に低いこと。
・適応機能の障害:日常生活において、年齢や文化集団に応じた社会的な要求を満たすことができないこと。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
72 社会生活技能訓練〈SST〉について正しいのはどれか。
1.認知行動療法の1つである。
2.生活リズムの改善が目的である。
3.レクリエーション活動を中心に行う。
4.アウトリーチによる支援が原則である。
解答1
解説
社会生活技能訓練(SST:Social Skills Training)は、社会生活を送るうえでの技能を身につけ、ストレス状況に対処できるようにする集団療法の一つ(認知行動療法の一つ)である。精神科における強力な心理社会的介入方法である。患者が習得すべき行動パターンを治療者(リーダー)が手本として示し、患者がそれを模倣して適応的な行動パターンを学ぶという学習理論に基づいたモデリング(模倣する)という技法が用いられる。
1.〇 正しい。認知行動療法の1つである。認知行動療法とは、ベックによって精神科臨床に適応された治療法である。例えば、うつ病患者の否定的思考を認知の歪みと考え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図る。認知行動療法の中に、系統的脱感作法がある。系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。
2.× 「生活リズム」ではなく社会生活スキルの改善(対人・問題解決・ストレス対処)が目的である。
3.× 「レクリエーション」ではなくロールプレイング(模擬:モデリング)を中心に行う。
・レクリエーションとは、自発的・創造的な余暇活動のことで参加者の交流を深めたり、気分転換を図ったりする目的で行われる。
4.× 「アウトリーチ」ではなくインリーチによる支援が原則である。なぜなら、社会生活技能訓練は、安定した環境で集中してスキルを習得することを重視するため。訓練室に集まった参加者が、指導者のもとでロールプレイングを行う形式が典型的である。
アウトリーチとは、「困難を抱えながらも支援の必要性を自覚していない、あるいは支援を求められない人々に、こちらから手を差し伸べて支援を届けること」である。例えば、治療を中断している精神障害者への家庭訪問や4か月児健康診査未受診者の家庭訪問が保健師の行うアウトリーチに該当する。保健師には、自ら担当する地域に出向き、潜在化しているニーズを積極的に発見して必要な支援につなげる役割がある。
73 精神科病院での行動制限で正しいのはどれか。
1.家族の同意により身体的拘束を決定する。
2.行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。
3.12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。
4.暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。
解答3
解説
身体抑制とは、道具や薬剤を用いて、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制することを言い、内容としては身体拘束とほぼ同義である。身体拘束が認められるためには、①切迫性(緊急性)、②非代替性(他の方法が利用できない場合)、③一時性(限られた期間のみ使用)の3つの要件がすべて満たされていなければならない。また、身体拘束の使用は最小限に抑えられるべきであり、その目的、適切な方法、持続期間などについて慎重に評価される必要がある。
1.× 「家族の同意」ではなく、医師の判断により身体的拘束を決定する。ただし、身体拘束が認められるためには、①切迫性(緊急性)、②非代替性(他の方法が利用できない場合)、③一時性(限られた期間のみ使用)の3つの要件がすべて満たされていなければならない。
2.× 患者の隔離の具体的な内容を決定するのは、「行動制限最小化委員会」ではなく医師である。
・行動制限最小化委員会とは、隔離および身体拘束の必要性と妥当性について検討を行う病院内審査機関である。
3.〇 正しい。12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。
・精神保健指定医とは、「精神保健福祉法」に基づいて、精神障害者の措置入院・医療保護入院・行動制限の要否判断などの職務を行う精神科医のことである。原則として、精神科病院では,常勤の指定医を置かなければならない。臨床経験・研修などの要件を満たす医師の申請に基づいて厚生労働大臣が指定する。
4.× 必ずしも、暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする必要はない。なぜなら、身体的拘束は必要最小限の期間に限定され、その必要性がなくなったと判断された場合には、速やかに解除されなければならないため。例えば、暴力行為が収まり、患者さんが落ち着いて周囲に危険を及ぼす可能性がなくなったと判断されれば、段階的に身体的拘束を解除し、他の介入(薬物調整、環境調整、声かけなど)に切り替えることを検討する。
第三 患者の隔離について
一 基本的な考え方
①患者の隔離(以下「隔離」という)は、患者の症状からみて、本人又は周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く、隔離以外の方法ではその危険を回避することが著しく困難であると判断される場合に、その危険を最小限に減らし、患者本人の医療又は保護を図ることを目的として行われるものとする。
②隔離は、当該患者の症状からみて、その医療又は保護を図る上でやむを得ずなされるものであつて、制裁や懲罰あるいは見せしめのために行われるようなことは厳にあつてはならないものとする。
③十二時間を超えない隔離については精神保健指定医の判断を要するものではないが、この場合にあつてもその要否の判断は医師によつて行われなければならないものとする。
④なお、本人の意思により閉鎖的環境の部屋に入室させることもあり得るが、この場合には隔離には当たらないものとする。この場合においては、本人の意思による入室である旨の書面を得なければならないものとする。
(※参考:「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」厚生労働省HPより)。
74 看護師の特定行為で正しいのはどれか。
1.都道府県が指定する研修機関で研修を行う。
2.手順書は看護師が作成する。
3.医師法に基づいている。
4.診療の補助である。
解答4
解説
特定行為とは、高度な技能と知識を必要とされる診療の補助行為のことを指す。診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる行為のことである。
【保健師助産師看護師法】※e-GOV法令検索様より引用
第三十七条 保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣かん腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。
第三十七条の二 特定行為を手順書により行う看護師は、指定研修機関において、当該特定行為の特定行為区分に係る特定行為研修を受けなければならない。
2 この条、次条及び第四十二条の四において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定行為 診療の補助であつて、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。
二 手順書 医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として厚生労働省令で定めるところにより作成する文書又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)であつて、看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲及び診療の補助の内容その他の厚生労働省令で定める事項が定められているものをいう。
三 特定行為区分 特定行為の区分であつて、厚生労働省令で定めるものをいう。
四 特定行為研修 看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修であつて、特定行為区分ごとに厚生労働省令で定める基準に適合するものをいう。
五 指定研修機関 一又は二以上の特定行為区分に係る特定行為研修を行う学校、病院その他の者であつて、厚生労働大臣が指定するものをいう。
3 厚生労働大臣は、前項第一号及び第四号の厚生労働省令を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
1.× 「都道府県」ではなく厚生労働大臣が指定する研修機関で研修を行う。
2.× 手順書は、「看護師」ではなく医師または歯科医師が作成する。これは、保健師助産師看護師法第3条(手順書)「手順書は、医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として作成するものとする」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)
3.× 「医師法」ではなく保健師助産師看護師法に基づいている。
・医師法とは、医師全般の職務・資格などを規定する日本の法律である。つまり、一般人には禁止されている医療行為を、医師という有資格者に限って許可する法律である。
・保健師助産師看護師法とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)
4.〇 正しい。診療の補助である。特定行為とは、高度な技能と知識を必要とされる診療の補助行為のことを指す。診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる行為のことである。
一 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
二 侵襲的陽圧換気の設定の変更
三 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
四 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
五 人工呼吸器からの離脱
六 気管カニューレの交換
七 一時的ペースメーカの操作及び管理
八 一時的ペースメーカリードの抜去
九 経皮的心肺補助装置の操作及び管理
十 大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整
十一 心嚢ドレーンの抜去
十二 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更
十三 胸腔ドレーンの抜去
十四 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む。)
十五 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
十六 膀胱ろうカテーテルの交換
十七 中心静脈カテーテルの抜去
十八 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
十九 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
二十 創傷に対する陰圧閉鎖療法
二十一 創部ドレーンの抜去
二十二 直接動脈穿刺法による採血
二十三 橈骨動脈ラインの確保
二十四 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理
二十五 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
二十六 脱水症状に対する輸液による補正
二十七 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
二十八 インスリンの投与量の調整
二十九 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
三十 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
三十一 持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
三十二 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
三十三 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
三十四 持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
三十五 抗けいれん剤の臨時の投与
三十六 抗精神病薬の臨時の投与
三十七 抗不安薬の臨時の投与
三十八 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整
(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)
75 診療に関する諸記録に看護記録が含まれることを規定しているのはどれか。
1.医師法
2.医療法施行規則
3.個人情報の保護に関する法律
4.保健師助産師看護師法施行規則
解答2
解説
1.× 医師法とは、医師全般の職務・資格などを規定する日本の法律である。つまり、一般人には禁止されている医療行為を、医師という有資格者に限って許可する法律である。
2.〇 正しい。医療法施行規則は、診療に関する諸記録に看護記録が含まれることを規定している(20条)。
・医療法施行規則とは、医療法に基づき、病院、診療所及び助産所の開設、病院、診療所及び助産所の管理、病院、診療所及び助産所の構造設備、診療用放射線の防護、医療計画、医療法人、雑則等について定めた規則である。また、地方公務員である保健師の記録は、その地方公共団体の管理施策に定められていることが多い。
3.× 個人情報の保護に関する法律とは、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。
4.× 保健師助産師看護師法(施行規則)とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。