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次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。
91 このとき、訪問看護師が転倒予防のために収集する情報として最も適切なのはどれか。
1.服薬の状況
2.食事の摂取量
3.右上下肢の筋力
4.他者との交流の頻度
解答3
解説
・Aさん(73歳、女性、1人暮らし、脳梗塞)
・左半身麻痺、認知機能障害はない。
・4点杖を使用して歩行可(住宅改修し自宅退院)。
・退院後:降圧薬と抗血栓薬が処方。
・訪問看護を週1回(目的:服薬管理と健康管理)
・訪問介護を週1回(目的:調理と買い物代行)。
・Aさん「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。
1.× 服薬の状況より優先されるものが他にある。なぜなら、服薬が転倒の要因となっている場合、自宅での生活でも転びそうになるため。
2.× 食事の摂取量より優先されるものが他にある。なぜなら、訪問介護で調理と買い物代行が利用されているため。ある程度の食事は確保されていると考えられる。
3.〇 正しい。右上下肢の筋力は、訪問看護師が転倒予防のために収集する情報である。なぜなら、本症例は、脳梗塞により左半身麻痺があるため。「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」という状況は、外出に耐えうる体力や、麻痺のない側の筋力低下や、バランス能力の不足を示唆している可能性がある。
4.× 他者との交流の頻度より優先されるものが他にある。なぜなら、他者との交流の頻度と、今回の「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになった」こととの関連性は低いため。
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。
92 退院から2か月後、Aさんは杖歩行が安定し、時間をかけて調理や買い物を自分で行うようになった。看護師が訪問したとき、Aさんから「最近トイレに間に合わずに尿が漏れてしまうことがあるんです。恥ずかしいので排泄だけは人の世話になりたくないんです。良い方法があれば教えてください」と相談された。
このときの訪問看護師のAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
1.「パンツ型オムツを使ってみましょう」
2.「ポータブルトイレを使ってみましょう」
3.「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」
4.「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」
解答4
解説
・Aさん(73歳、女性、1人暮らし、脳梗塞)
・左半身麻痺、認知機能障害はない。
・4点杖を使用して歩行可(住宅改修し自宅退院)。
・退院から2か月:杖歩行が安定、時間をかけて調理や買い物を自分で行える。
・Aさんから「最近トイレに間に合わずに尿が漏れてしまうことがあるんです。恥ずかしいので排泄だけは人の世話になりたくないんです。良い方法があれば教えてください」と。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。
1.× 「パンツ型オムツを使ってみましょう」と伝える必要はない。なぜなら、おむつの使用は、おむつに頼ることで尿意の低下を促し、さらなる排尿の自立度の低下になりかねないため。また、Aさんは「排泄だけは人の世話になりたくない」と希望しており、排泄の自立を重視している。
2.× 「ポータブルトイレを使ってみましょう」と伝えるより優先されるものが他にある。。なぜなら、Aさんは杖歩行が安定しており、時間をかければ調理や買い物も自分で行えるようになっているため。ポータブルトイレの使用により、さらなる自信の低下になりかねない。
3.× 「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」と伝える必要はない。なぜなら、脱水のリスクも考慮する必要があるため。特に、本症例は、脳梗塞の既往がある。再発防止のためにも、水分制限は望ましくない。
4.〇 正しい。「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」と助言する。なぜなら、自身の排尿間隔を把握し、計画的にトイレに行くことで、尿意切迫感が強まる前に排泄を済ませることが可能となり、尿漏れを予防できる可能性があるため。これは、排泄の自立を希望するAさんの意向にも沿った、自己管理を促す方法である。
・機能性尿失禁(尿の膀胱内保持可能で正常な排尿も可能であるが、傷病者や高齢者など体動が不自由な人が尿意を感じてからトイレにたどり着くのが間に合わずに失禁してしまう状態)は、ポータブルトイレの設置などの環境調整、衣類の変更などで対応することが多い。
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。
93 退院から3か月後、Aさんはテレビを見て過ごす時間が多くなった。「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」と言い「退院したころは毎日排便があったのに、最近便秘気味ですっきりしないんです」と訴えた。
訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.食事内容を見直す。
2.腹部の温罨法を勧める。
3.市販の浣腸液の使用を勧める。
4.主治医に緩下薬の処方を相談する。
解答1
解説
・Aさん(73歳、女性、1人暮らし、脳梗塞)
・左半身麻痺、認知機能障害はない。
・3か月後:テレビを見て過ごす時間が多くなった。
・「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」。
・「退院したころは毎日排便があったのに、最近便秘気味ですっきりしないんです」。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。
1.〇 正しい。食事内容を見直す。なぜなら、本症例は便秘の訴えがあり、「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」という発言から、食事内容が偏っている可能性が示唆されるため。したがって、便通を促すため、食物繊維や水分を促す必要がある。
2.× 腹部の温罨法を勧めるより優先されるものが他にある。なぜなら、本症例の便秘の原因が食事内容の偏りや活動量の低下にある場合、温罨法だけでは根本的な解決にはなりにくいため。
3.× 市販の浣腸液の使用を勧めるより優先されるものが他にある。なぜなら、本症例の「便秘気味」という訴えだけで、すぐに浣腸を勧めるのは時期尚早であるため。浣腸は、依存性や身体への負担がかかる。
4.× 主治医に緩下薬の処方を相談するより優先されるものが他にある。なぜなら、現時点では、本症例の便秘の原因が特定されていないため。本症例の発言からも、日常生活指導で解決できる可能性が高い。
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、主婦)は、食後に冷汗を伴う腹痛があり外来を受診した。腹部超音波検査の結果、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆囊摘出術の目的で入院した。
看護師は手術オリエンテーションで、術後の入院期間は2日と説明した。Aさんは、同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかったので、自分も同じ合併症を発症するかもしれないと心配そうに話した。
94 Aさんの妹が発症した合併症はどれか。
1.肺炎
2.胆汁瘻
3.皮下気腫
4.深部静脈血栓症
解答2
解説
・Aさん(56歳、女性、主婦、胆石症)
・食後:冷汗を伴う腹痛があり。
・腹腔鏡下胆囊摘出術の目的で入院。
・術後の入院期間は2日と説明した。
・「同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかった」
・「自分も同じ合併症を発症するかもしれない」と心配そう。
→腹腔鏡下胆囊摘出術の合併症が分からなくても、本症例からの発言や選択肢の特徴から、消去法で搾れるようにしよう。
1.× 肺炎より優先されるものが他にある。なぜなら、肺炎は呼吸器系の合併症であり、食事の摂取を直接的に妨げる主な原因とはならないため。
・肺炎とは、肺の炎症によって肺胞に滲出物(炎症によって血管から漏れ出た液体や細胞成分)が溜まっている状態である。
2.〇 正しい。胆汁瘻は、Aさんの妹が発症した合併症である。
・胆汁瘻とは、肝臓で作られる消化液である胆汁が、本来流れる胆管の経路から外れて、お腹の中などに漏れ出す状態を指す。主な原因は、胆嚢摘出術などの手術後に、胆管の縫合部や結紮部から胆汁が漏れることである。少量なら自然に治ることもあるが、量が多いと腹痛や発熱、腹膜炎などを引き起こすことがある。治療としては、ドレーン(管)を挿入して漏れた胆汁を体の外へ排出したり、内視鏡で胆管にチューブを留置して胆汁の流れを改善したりする方法がある。
3.× 皮下気腫より優先されるものが他にある。なぜなら、皮下気腫によって、全身状態に大きな影響を与えることは少ないため。
・皮下気腫とは、皮下組織内に空気がたまった状態をいう。空気が侵入する経路としては、皮膚の損傷による外部からの侵入、損傷された壁側胸膜を通しての胸腔内空気(気胸)の侵入、気管・気管支損傷や食道損傷などに伴う縦隔からがある。原因として、交通事故の原因となる外傷(特に胸部の打撲)、高所からの転落、挟まれたことによる挟圧外傷などである。症状として、胸や頚部に空気がたまり、その部位が膨らみ、強い痛みが出る。握雪感や捻髪音も感知でき、胸痛や呼吸困難を訴える場合もある。
4.× 深部静脈血栓症より優先されるものが他にある。なぜなら、胆石症と深部静脈血栓症との関連性は低いため。
・静脈血栓塞栓症とは、手足の静脈に血栓ができて血管が詰まる深部静脈血栓症(DVT)と、その血栓が血流に乗って運ばれ肺の動脈に詰まる肺血栓塞栓症を合わせた総称である。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。ほかのリスク因子として、脱水や肥満、化学療法などがあげられる。
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、主婦)は、食後に冷汗を伴う腹痛があり外来を受診した。腹部超音波検査の結果、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆囊摘出術の目的で入院した。
看護師は手術オリエンテーションで、術後の入院期間は2日と説明した。Aさんは、同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかったので、自分も同じ合併症を発症するかもしれないと心配そうに話した。
95 Aさんは、全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆囊摘出術を受けている。
手術中のAさんに最も生じやすいのはどれか。
1.体温の上昇
2.心拍出量の上昇
3.腹腔内圧の低下
4.動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉の上昇
解答4
解説
・Aさん(56歳、女性、主婦、胆石症)
・食後:冷汗を伴う腹痛があり。
・腹腔鏡下胆囊摘出術の目的で入院。
・腹腔鏡下胆囊摘出術(全身麻酔下で気腹法)。
→腹腔鏡下胆嚢摘出術は、全身麻酔下でお腹に炭酸ガスを入れて膨らませ(気腹法)、数か所の小さな穴からカメラと器具を挿入し、テレビモニターを見ながら胆嚢を摘出する手術である。開腹手術に比べ傷が小さく、回復が早いのが特徴である。
1.× 体温は、「上昇」ではなく下降しやすい。なぜなら、全身麻酔中は、体温調節機能が抑制されるため。したがって、低体温になりやすい傾向で、手術室の室温管理や加温マットなどにより、積極的に体温低下を予防・管理するのが一般的である。
2.× 心拍出量は、「上昇」ではなく下降しやすい。なぜなら、全身麻酔薬には、血管拡張作用があり、循環血液量が相対的に減少するため。また、気腹による腹腔内圧の上昇は、下大静脈を圧迫し、心臓への静脈還流を減少させる。
3.× 腹腔内圧は、「低下」ではなく上昇しやすい。なぜなら、気腹法は、腹腔内に二酸化炭素ガスを送り込むことで腹腔を膨らませ、手術操作のためのスペースを確保する手技であるため。
4.〇 正しい。動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉の上昇が、手術中のAさんに最も生じやすい。なぜなら、気腹法による腹腔鏡手術では、腹腔内に注入された二酸化炭素ガスが腹膜から吸収され、血中に移行するため。したがって、、血液中の二酸化炭素濃度が上昇し、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇しやすくなる。