第115回(R8) 看護師国家試験 解説【午前51~55】

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51 細菌性の肺炎と診断された慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉患者の酸素療法で正しいのはどれか。

1.酸素中毒を避けるために高流量にする。
2.鼻カニューレでの最大投与量は8L/分である。
3.CO2ナルコーシス予防のために酸素濃度を高くする。
4.経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が投与量の指標となる。

解答

解説

COPDとは?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。

増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2

減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

1.× 酸素中毒を避けるために高流量にする「といったことはしない」。むしろ、高流量にすることで、酸素中毒を起こしやすくなる。
・酸素中毒とは、長時間の高濃度酸素投与により肺障害などを起こす状態である。

2.× 鼻カニューレでの最大投与量は、「8L/分」ではなく6L/分である。なぜなら、通常の鼻カニューレは、低流量酸素投与器具であり、一般的には1〜6L/分程度で使用するため。ちなみに、8L/分以上が必要な場合は、通常の鼻カニューレではなく、酸素マスク、リザーバーマスク、ベンチュリーマスク、高流量鼻カニューレ〈HFNC〉など、別の酸素投与方法を検討する。

3.× CO2ナルコーシス予防のために酸素濃度を「高く」ではなく低くする。なぜなら、COPD患者では、高濃度酸素投与によりCO₂貯留が悪化し、CO₂ナルコーシスを起こす危険があるため。

4.〇 正しい。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が投与量の指標となる。なぜなら、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉を観察することで、低酸素を改善しつつ酸素の過剰投与を避けられるため。
・経皮的動脈血酸素飽和度とは、動脈血のヘモグロビンに何%の酸素が結合しているか判断するための値である。肺炎や呼吸器疾患で低下がみられることが多い。

CO2ナルコーシスとは?

慢性閉塞性肺疾患の患者は、慢性的に血中CO2濃度が上昇しており、体内のCO2濃度を感知する中枢化学受容体での感受性が鈍くなっている。したがって、普段の呼吸運動は低酸素を感知している酸素の受容体(末梢化学受容体)からの刺激によって起こっている。しかし、高濃度の酸素を投与されると酸素の受容体は体内に酸素が十分にあると判断し、呼吸中枢を抑制して呼吸運動が減弱する。その結果、体内に高度のCO2蓄積が起こり、意識障害などの中枢神経症状が起こる。

 

 

 

 

52 患者にペースメーカー植込みの有無を事前に確認すべき検査はどれか。

1.エックス線撮影
2.磁気共鳴画像〈MRI〉
3.超音波検査
4.脳波検査

解答

解説

1.× エックス線撮影は、ペースメーカー植込みの有無を事前に確認する検査とはいえない。なぜなら、エックス線撮影は、X線を用いて体内を画像化する検査であるため。

2.〇 正しい。磁気共鳴画像〈MRI〉は、患者にペースメーカー植込みの有無を事前に確認すべき検査である。なぜなら、磁気共鳴画像〈MRI〉は、強力な磁場と電波を用いる検査であるため。したがって、ペースメーカーの作動異常や発熱などの危険がある。

3.× 超音波検査は、ペースメーカー植込みの有無を事前に確認する検査とはいえない。なぜなら、超音波検査は、音波の反射を利用する検査であるため。
・超音波検査とは、「高い周波数の音」を用いる検査で、肝臓や胆のう、膵臓、腎臓、膀胱、卵巣、子宮、前立腺などの腹部にある臓器や、甲状腺や乳腺などさまざまな臓器にできたがんで検査する。主な禁忌としては、血管の疾患(血栓性静脈炎など)、急性敗血症(感染の拡大や塞栓剥れの為)、放射線療法(少なくとも6ヶ月は禁忌)、腫瘍(成長促しや転移が生じる為)、心疾患(心臓を刺激する為、星状神経節や迷走神経部位は避ける)、妊婦、成長期の子供の骨端線への照射などである。

4.× 脳波検査は、ペースメーカー植込みの有無を事前に確認する検査とはいえない。なぜなら、脳波検査は、頭皮上の電極で脳の電気活動を記録する検査であるため。
・脳波検査とは、頭皮に電極を取り付けて脳の活動状態を調べる検査で、てんかんや脳腫瘍、脳出血などの診断に用いられる。

MRIとは?

核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。

【MRI検査の禁忌】
①体内の電子電機部品(ペースメーカ、移植蝸牛刺激装置(人工内耳)、植込み型除細動器、神経刺激器、植込み型プログラマブル注入ポンプ):MRI対応型もあるためしっかり確認する。
②素材の確認できない脳動脈クリップ:MRI対応型もあるためしっかり確認する。
③目や脳など特定の重要臓器に迷入した鉄片などの強磁性体の破片
④眼部のインプラントや材料で強磁性金属を使用しているもの
⑤磁場によって活性化するもの(磁力で装着する義眼、磁石部分が脱着不能な義歯など)
⑥目のメークアップ用品、カラーコンタクト
⑦入れ墨
⑧補聴器
⑨いくつかの管腔内デバイス
⑩ニトログリセリン真皮浸透絆創膏

 

 

 

 

 

53 電解質異常と症候の組合せで正しいのはどれか。

1.高カリウム血症:心室細動
2.低カリウム血症:QT時間の短縮
3.高ナトリウム血症:水中毒
4.低ナトリウム血症:口渇

解答

解説

1.〇 正しい。高カリウム血症:心室細動
なぜなら、高カリウム血症では、心筋の電気的興奮と伝導が障害され、致死性不整脈(心室細動)を起こすため。
・心室細動とは、脈のかたちが一定ではなく不規則で、心室がけいれんを起こし1分間の脈拍数が300など数えられないくらい速くなった状態である。心室頻拍は血圧が保たれ、すぐには意識を失わないこともあるが、心室細動になると、発症から5~10秒で意識がなくなって失神し、その状態が続くとそのまま亡くなることが多い。心室頻拍の場合も、ほうっておくと心室細動に移行して、意識がなくなって突然死を起こすことがある。除細動の適応である。また、基礎心疾患を伴う場合は、植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
・高カリウム血症とは、血清カリウム濃度が5.5mEq/Lを上回ることである。通常は腎臓からのカリウム排泄の低下またはカリウムの細胞外への異常な移動によって発生する。原因としては、①カリウム摂取の増加、②腎臓からのカリウム排泄を障害する薬剤、③急性腎障害または慢性腎臓病などで起こりえる。症状として、悪心、嘔吐などの胃腸症状、しびれ感、知覚過敏、脱力感などの筋肉・神経症状、不整脈などが現れる。

2.× 低カリウム血症は、QT時間の「短縮」ではなく延長である。なぜなら、低カリウム血症では、心筋の再分極が遅れ、ST低下・T波平低化・U波出現・QT延長様変化を起こすため。
・低カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が3.5mmol/Lを下回っている状態を指し、筋力低下や筋肉のけいれん、麻痺、不整脈などの症状を引き起こすことがある。また、腎臓の機能が低下して尿の排出量が増加する可能性もあり、長期間続くと腎臓に永続的なダメージを与える恐れがある。

3.× 高ナトリウム血症は、「水中毒」ではなく水分の摂取不足である。
・水中毒とは、水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度(塩分の濃度)が低下し、「低ナトリウム血症」という状態に陥ってしまい、場合によっては命の危険にさらされることである。 主な症状としては、めまいや頭痛、多尿・頻尿、下痢などがあげられる。血中のナトリウムの正常値は、136~147mEq/lであるが、125mEq/L以下となれば、低ナトリウム性脳症が生じる。
・高ナトリウム血症とは、水分の摂取不足、下痢、腎機能障害、利尿薬などの脱水が原因で生じる。糸球体濾過率の増加、Na利尿作用をもつプロゲステロンの増加などによって妊婦の血清Na値は妊娠初期に最も低く、重症妊娠悪阻においても高ナトリウム血症にはならない。

4.× 口渇は、「低ナトリウム血症」ではなく高ナトリウム血症である。
・低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が非常に低い状態をいう。原因として、大量の水分摂取、腎不全、心不全、肝硬変、利尿薬の使用などでナトリウム濃度が低下する。血中のナトリウムの正常値は、136~147mEq/lであるが、125mEq/L以下となれば、低ナトリウム性脳症が生じる。血中のナトリウムが120~130mEq/Lで軽度の疲労感がみられ、120mEq/L以下では頭痛や嘔吐、食欲不振、精神症状が加わり、110mEq/Lまで低下すると昏睡や痙攣等が起きる。

 

 

 

 

54 腓骨神経麻痺のアセスメントで観察するのはどれか。

1.膝関節の屈曲
2.足関節の背屈
3.膝窩の知覚鈍麻
4.足底の知覚鈍麻

解答

解説

腓骨神経麻痺とは?

腓骨神経麻痺とは、腓骨頭部(膝外側)の外部からの圧迫などによって、腓骨神経の機能不全をきたしている状態である。腓骨神経は、感覚(下腿外側、足背)や運動(足関節および足趾の背屈)を支配しているため、下腿の外側から足背ならびに足趾背側にかけて感覚が障害され、しびれたり、触った感じが鈍くなる。また、足首と足の指が背屈(上に反る)できなくなり、下垂足となる。

1.× 膝関節の屈曲は、主に坐骨神経(特に脛骨神経系)が関与するハムストリングスの働きである。

2.〇 正しい。足関節の背屈は、腓骨神経麻痺のアセスメントで観察する。
なぜなら、腓骨神経は、足関節背屈筋群(前脛骨筋)を支配するため。

3.× 膝窩の知覚鈍麻は、主に脛骨神経の障害を疑う所見である。脛骨神経は坐骨神経から分かれ、膝窩を通って下腿・足底の感覚や運動に関わる神経である。
ちなみに、腓骨神経麻痺で感覚障害が出やすいのは、下腿外側から足背である。

4.× 足底の知覚鈍麻は、主に脛骨神経の障害を疑う所見である。脛骨神経は足根管を通り、内側足底神経・外側足底神経に分かれて足底の感覚を支配する神経である。

 

 

 

 

 

55 骨折時の直達牽引の説明で正しいのはどれか。

1.開放損傷には適さない。
2.介達牽引に比べ牽引力が弱い。
3.骨に鋼線を刺入して牽引する。
4.弾性包帯を巻き直す必要がある。

解答

解説

MEMO

牽引とは、持続的に引っ張って負荷をかけることで、骨折を整復する治療法である。骨折により転位している骨を持続的に牽引することで、転位を治し整復する。①直達牽引と②介達牽引の2種類がある。

①直達牽引とは、骨に直接牽引力を働かせる方法をという。皮膚トラブルは少ないが、鋼線の刺入部周囲の皮下や骨髄内の感染を合併することがあるため、患部の熱感の確認を行う。

②介達牽引とは、骨に直接牽引力を加えず、皮膚や筋肉を介して骨に力を加える牽引法である。皮膚に絆創膏や包帯を巻いて牽引を行うため、コンパートメント症候群のほか、褥瘡や皮膚損傷など皮膚科分野の合併症に気を付ける必要がある。

1.× 開放損傷「にも適応となる」。なぜなら、直達牽引は、皮膚ではなく骨に直接牽引力をかける方法である。したがって、軟部組織損傷がある場合にも選択される。
・開放損傷とは、骨折部が皮膚の創と交通している状態である。感染リスクが高いため、洗浄、デブリードマン、抗菌薬投与、創部管理が重要になる。

2.× 介達牽引に比べ、牽引力が「強い」。なぜなら、直達牽引は、骨に直接牽引力を伝えるため。

3.〇 正しい。骨に鋼線を刺入して牽引する。なぜなら、直達牽引は、骨そのものに鋼線・ピンを通し、牽引力を骨へ直接加える方法であるため。

4.× 弾性包帯を巻き直す必要があるのは、主に介達牽引の管理である。なぜなら、弾性包帯や絆創膏で皮膚を介して牽引するのは介達牽引であるため。直達牽引は骨に刺入した鋼線やピンで牽引する方法である。

 

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