第115回(R8) 看護師国家試験 解説【午後106~110】

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次の文を読み106~108の問いに答えよ。
 Aちゃん(7歳、女児)は両親と弟(2歳)の4人で暮らしている。下校中に転倒して右手を地面についた。夕食時に母親がAちゃんの異変を感じ、Aちゃんに尋ねたところ「転んで肘が痛い」と話したため救急外来を受診した。その結果、利き腕である右側の上腕骨の骨折が判明したため、入院して直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。

106 術後に注意すべきAちゃんの状態はどれか。

1.ばち指
2.クリックサイン
3.Gowers〈ガワーズ〉徴候
4.Volkmann〈フォルクマン〉拘縮

解答

解説

ポイント

・Aちゃん(7歳、女児)
・4人暮らし:両親と弟(2歳)
・下校中に転倒して右手を地面についた。
・夕食時に母親がAちゃんの異変を感じ、Aちゃんに尋ねたところ「転んで肘が痛い」と話した。
・利き腕である右側の上腕骨の骨折が判明した。
・直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× ばち指は、主に心疾患や肺疾患でみられる。
・太鼓ばち指とは、全ての指先が丸く膨らんで、爪甲が指先を包むように大きくなってくる状態を指す。慢性に経過する心疾患・肺疾患あるいは肝疾患などで見られる。これらの基礎疾患がなくとも先天性に変形していることもある。

2.× クリックサインは、主に発育性股関節形成不全でみられる所見である。
・クリックサインとは、乳児の股関節を動かしたときに「クリック」とした感触がある所見である。発育性股関節形成不全などを疑う際に用いられる。
・発育性股関節形成不全とは、生下時の女児(0~1歳)におこる股関節の脱臼などの状態である。現在では、先天性股関節脱臼のことを発育性股関節形成不全と呼ぶ傾向にある。変形性股関節症の原因となることが多い。片側に発症することが多く、リーメンビューゲル装具(アブミ式吊りバンド)で開排(屈曲・外転)肢位にして治療する。リーメンビューゲル装具で改善しない場合、牽引療法を、さらに治療が困難な場合は、観血的整復術や補正手術を検討する。

3.× Gowers徴候(登攀性起立、Gowers徴候)は、Duchenne型筋ジストロフィーにみられる。立ち上がる際に手を膝でおさえつつ、体を起こしていく方法である。
・筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。筋ジストロフィー症の中でもっとも頻度が高い。3歳頃に歩行や粗大運動の異常で気がつかれることが多い。

4.〇 正しい。Volkmann〈フォルクマン〉拘縮は、術後に注意すべきAちゃんの状態である。なぜなら、上腕骨骨折後やギプス固定後には、前腕の循環障害からVolkmann拘縮を起こす危険があるため。
・Volkmann拘縮(フォルクマン拘縮)は、前腕のコンパートメント症候群(筋区画症候群)となる。つまり前腕の組織全体の圧力が高まり、前腕屈筋群の壊死と正中・尺骨神経麻痺が起こる。

 

Volkmann拘縮とは?

 Volkmann拘縮は、上腕骨顆上骨折などの後に起こる阻血性の拘縮のことである。骨折部の腫脹によって上腕動脈が圧迫され、血行障害が生じ、前腕屈曲群の虚血性壊死と神経圧迫麻痺(正中・尺骨神経麻痺)が起こり、特有の拘縮をきたすことをいう。前腕回内位、手関節屈曲位、母指内転、MP関節伸展、IP関節屈曲位の肢位をとる。Volkmann拘縮の症状として、①疼痛、②脈拍消失、③運動麻痺、④蒼白、⑤知覚麻痺、⑥腫脹などである。骨折による血管損傷が直接原因となる一次性のものと、遠位の組織の腫脹による循環障害が原因の二次性のものとがある。二次性のものには、ギプス固定などもその一因となるため、病院によっては屈曲位ギプスを決して行わず、入院して垂直牽引で保存的に加療するか、内反肘予防も含めて観血的整復固定術で早期に確実に治す方法を選択することも多い。特に、上腕骨顆上骨折は徒手整復が肘屈曲120°くらいで良好となることも多く、この状態でギプスを巻くと主張した肘周囲の血行障害・阻血が起こる可能性が高い。

 

 

 

 

 

次の文を読み106~108の問いに答えよ。
 Aちゃん(7歳、女児)は両親と弟(2歳)の4人で暮らしている。下校中に転倒して右手を地面についた。夕食時に母親がAちゃんの異変を感じ、Aちゃんに尋ねたところ「転んで肘が痛い」と話したため救急外来を受診した。その結果、利き腕である右側の上腕骨の骨折が判明したため、入院して直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。

107 術後1日。Aちゃんは看護師に「昨日の夜は、お母さんに食べさせてもらった。私には弟がいて、お世話が大変なの。私はお母さんに迷惑をかけたくない」と話した。
 Aちゃんへの看護師の声かけで最も適切なのはどれか。

1.「左手で食べる練習をしよう」
2.「お姉ちゃんだから、頑張ろう」
3.「看護師さんが食べさせてあげるね」
4.「お母さんのことは気にしなくていいよ」

解答

解説

ポイント

・Aちゃん(7歳、女児)
・4人暮らし:両親と弟(2歳)
利き腕である右側の上腕骨骨折
・直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。
・術後1日「昨日の夜は、お母さんに食べさせてもらった。私には弟がいて、お世話が大変なの。私はお母さんに迷惑をかけたくない」と。
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.〇 正しい。「左手で食べる練習をしよう」と伝える。なぜなら、利き腕である右側の上腕骨骨折の術後1日「昨日の夜は、お母さんに食べさせてもらった」一方で「お母さんに迷惑をかけたくない」と言っているため。Aちゃんの自立心を支えながら、現在できる方法を身につける援助である。

2.× 「お姉ちゃんだから、頑張ろう」と伝える必要はない。なぜなら、具体的な解決策の提案となっていないため。「お姉ちゃんだから頑張ろう」と声をかけると、Aちゃんの負担感や我慢を強めることにつながりかねない。

3.× 「看護師さんが食べさせてあげるね」と伝える必要はない。なぜなら、Aちゃんの自立する機会を奪う対応になるため。Aちゃんは「母親に迷惑をかけたくない」と話しており、自分でできるようになりたい思いがある。必要な部分だけ介助し、できる部分は本人に任せることが大切である。

4.× 「お母さんのことは気にしなくていいよ」と伝える必要はない。なぜなら、Aちゃんの母親を思う気持ちを軽く扱う声かけであるため。Aちゃんなりの家族への思いやりを傾聴・受容する姿勢が大切である。

 

 

 

 

 

次の文を読み106~108の問いに答えよ。
 Aちゃん(7歳、女児)は両親と弟(2歳)の4人で暮らしている。下校中に転倒して右手を地面についた。夕食時に母親がAちゃんの異変を感じ、Aちゃんに尋ねたところ「転んで肘が痛い」と話したため救急外来を受診した。その結果、利き腕である右側の上腕骨の骨折が判明したため、入院して直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。

108 手術から2か月、Aちゃんは母親と共に抜釘術のため再入院した。母親は「私は、前回の手術は急なことだったのでよく覚えていないです。Aもよく覚えていないみたいで『手術が怖い』と言っています」と話した。
 母親への看護師の返答で最も適切なのはどれか。

1.「Aちゃんは、前回、頑張れたから大丈夫ですよ」
2.「お母さんに手術前のオリエンテーションをしますね」
3.「お母さんから、手術が必要であることを説明してください」
4.「手術に対してポジティブに取り組めるよう、Aちゃんに説明しますね」

解答

解説

ポイント

・Aちゃん(7歳、女児)
右側の上腕骨の骨折、直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。
・手術から2か月:Aちゃんは母親と共に抜釘術のため再入院した。
・母親は「私は、前回の手術は急なことだったのでよく覚えていないです。Aもよく覚えていないみたいで『手術が怖い』と言っています」と話した。
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 「Aちゃんは、前回、頑張れたから大丈夫ですよ」と伝えるより優先されるものが他にある。なぜなら、Aちゃんの「怖い」という不安を十分に受け止めていないため。また、Aちゃんは前回の手術をよく覚えていないようであるため、前回の手術を比較するのは不適切と考える。

2.× 「お母さんに手術前のオリエンテーションをしますね」と伝えるより優先されるものが他にある。なぜなら、説明の対象が母親だけになっているため。Aちゃんは7歳であり、自分の体に起こることをある程度理解できる年齢である。また、本人が「手術が怖い」と言っているため、母親だけでなくAちゃん本人にも年齢に合わせた説明をする必要がある。

3.× 「お母さんから、手術が必要であることを説明してください」と伝えるより優先されるものが他にある。なぜなら、手術に関する説明を母親だけに一方的に任せている印象を抱くため。また、母親は「前回の手術は急なことでよく覚えていない」と話している。この状況で母親に説明役を任せると、説明が不十分になる可能性がある。看護師は、医師の説明内容を補足しながら、Aちゃんと母親の理解を支援する役割がある。

4.〇 正しい。「手術に対してポジティブに取り組めるよう、Aちゃんに説明しますね」と伝える。なぜなら、Aちゃん(7歳)に、理解力に応じた説明を行うことで不安を軽減し、主体的に治療へ参加できるため。

 

 

 

 

次の文を読み109~111の問いに答えよ。
 Aさん(37歳、初産婦)は妊娠40週5日で妊娠経過は順調である。午前6時から15分おきの子宮収縮が始まり、午前9時から5~7分周期の陣痛がある。午前10時に入院し、入院時のバイタルサインは、体温36.9℃、脈拍80/分、血圧134/86mmHg。子宮口3cm開大、未破水であった。

109 Aさんの入院時のアセスメントとして正しいのはどれか。

1.感染徴候がある。
2.前駆陣痛である。
3.分娩第2期である。
4.正期産の時期である。

解答

解説

ポイント

・Aさん(37歳、初産婦)
妊娠40週5日:妊娠経過は順調。
・午前6時から15分おきの子宮収縮が始まり、午前9時から5~7分周期の陣痛がある。
・午前10時に入院、入院時のバイタルサイン:体温36.9℃脈拍80/分、血圧134/86mmHg。
子宮口3cm開大未破水
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 感染徴候「はない」。なぜなら、Aさんには感染を疑う所見(発熱や頻脈など)がないため。ちなみに、感染徴候として、発熱、母体頻脈、悪寒、子宮圧痛、悪臭のある羊水、白血球増加などがみられることがある。

2.× 前駆陣痛「とはいえない」。なぜなら、Aさんには規則的な陣痛子宮口開大がみられるため。
・前駆陣痛とは、臨月におこることが多い、腹痛や腰痛のことで、あたかも陣痛のように痛みを伴う子宮収縮であるが、間隔や持続時間が不規則であるのが特徴である。

3.× 分娩「第2期」ではなく第1期である。なぜなら、分娩第2期は、子宮口全開大から胎児娩出までであるため。Aさんは子宮口3cm開大であり、まだ全開大ではないため、分娩第1期である。

4.〇 正しい。正期産の時期である。なぜなら、Aさんは妊娠40週5日であり、正期産の範囲に含まれるため。
・正期産とは、妊娠37週0日~41週6日までの分娩のことである。

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

 

 

 

 

 

次の文を読み109~111の問いに答えよ。
 Aさん(37歳、初産婦)は妊娠40週5日で妊娠経過は順調である。午前6時から15分おきの子宮収縮が始まり、午前9時から5~7分周期の陣痛がある。午前10時に入院し、入院時のバイタルサインは、体温36.9℃、脈拍80/分、血圧134/86mmHg。子宮口3cm開大、未破水であった。

110 Aさんは同日(妊娠40週5日)、20時30分に女児を正常分娩で出産した。出生時体重は2,850g、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。日齢2の体重は2,680g、体温37.3℃、呼吸数38/分、心拍数138/分。おむつ交換時、外陰部に粘稠性のある血性分泌が認められた。
 児の状態のアセスメントで正しいのはどれか。

1.頻脈である。
2.多呼吸である。
3.新生児月経がある。
4.生理的体重減少を逸脱している。

解答

解説

ポイント

・Aさん(37歳、初産婦)
・妊娠40週5日:妊娠経過は順調。
・同日(妊娠40週5日)、20時30分:女児を正常分娩で出産
出生時体重は2,850g、アプガースコア:1分後8点、5分後9点。
日齢2:体重2,680g、体温37.3℃、呼吸数38/分、心拍数138/分
・おむつ交換時、外陰部に粘稠性のある血性分泌が認められた。
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 頻脈「とはいえない」。なぜなら、日齢2の心拍数138/分は、新生児の正常範囲内であるため。新生児の心拍数は成人より多く、一般に120〜160/分程度が目安であるため。泣いているときやミルクを飲んだ後などは160〜190回/分くらいまで上昇することもある。

2.× 多呼吸「とはいえない」。なぜなら、日齢2の呼吸数38/分は、新生児の正常範囲内であるため。新生児の呼吸数は成人より多く、一般に30〜60/分程度である。多呼吸はおおむね60/分以上を目安としてあげられる。

3.〇 正しい。新生児月経がある。なぜなら、女児新生児では、母体由来エストロゲンの影響が消退することで、外陰部から血性分泌物がみられることがあるため。
・新生児月経とは、出生後まもなく女児の腟から少量の血性分泌物がみられる生理的現象である。胎内で母体ホルモンの影響を受けていた子宮内膜が、出生後にホルモン環境の変化で剥がれることで起こる。通常は少量で自然に消失し、特別な治療は不要である。

4.× 生理的体重減少を逸脱「していない」。なぜなら、出生体重2,850gから日齢2で2,680gへの減少(-170g)で、約6%であるため。
・生理的体重減少とは、生後数日間は、胃の大きさも小さいため、母乳を飲む量も少なく生後2~3日目までは自然と体重が減る現象のことである。出生体重の3~10%の範囲であり、生後3~5日がそのピークである。減少率の求め方は、出生時体重からの減少の割合である。つまり、「(出生時の体重-現在の体重)÷出生時の体重×100」で算出される。本症例の場合は、「(出生体重3,000g-現在の体重2,680g)÷出生体重3,000g×100」で、約10.7%の減少である。

 

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