第109回(R8) 助産師国家試験 解説【午前51~55】

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次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、初産婦)は高校在学中に妊娠し、卒業後、妊娠38週で近くのクリニックで出産し、母子ともに経過良好である。Aさんは現在、実母と同居している。パートナー(18歳、アルバイト)は近隣に住み、入籍はしたが同居の予定はない。
 退院2週後、市の助産師がAさん宅への新生児訪問を実施した。Aさんは「母やパートナーは仕事で忙しく、話をする時間がなくて寂しい。入院時に育児のことを教えてもらったけど、どうしていいか分からなくなることがある。赤ちゃんはよく泣きます。母乳をあげた後、不安なのでミルクを追加しています」と話した。児の前額には脂漏性湿疹がみられた。児の衣服は整っている。母乳分泌は良好で、児の体重増加は60g/日である。助産師は、児の洗顔と体温調節の方法を指導し、母乳だけで様子を見るように伝えた。

51 この後の助産師のAさんへの対応で適切なのはどれか。

1.児の乳児院への入所を勧める。
2.新生児訪問の2回目を計画する。
3.実母に育児の相談をするように促す。
4.パートナーと早く同居するよう助言する。

解答

解説

ポイント

・Aさん(19歳、初産婦、実母と同居)
・高校在学中に妊娠し、卒業後、妊娠38週で出産。
母子ともに経過良好
・パートナー(18歳、アルバイト)は近隣に住み、入籍はしたが同居の予定はない
・退院2週後、市の助産師がAさん宅への新生児訪問を実施した。
・Aさんは「母やパートナーは仕事で忙しく、話をする時間がなくて寂しい。入院時に育児のことを教えてもらったけど、どうしていいか分からなくなることがある。赤ちゃんはよく泣きます。母乳をあげた後、不安なのでミルクを追加しています」と話した。
・児の前額には脂漏性湿疹がみられた。
児の衣服は整っている
・母乳分泌は良好で、児の体重増加は60g/日である。
・助産師は、児の洗顔と体温調節の方法を指導し、母乳だけで様子を見るように伝えた。
→本児は、養育に対し不安は見られるものの経過良好である。ちなみに、脂漏性湿疹とは、生後2~4週間頃に皮脂分泌の活発な部位に出現する湿疹性病変である。新生児期は皮脂分泌が最も盛んな時期であることから、顔面や頭部に脂漏性湿疹を引き起こすことがある。そのため、ガーゼやタオルでこすると児の皮膚に小さな傷をつけるので、指の腹に石けんをつけて洗うと良い。

1.× 児の乳児院への入所を勧める「必要はない」。なぜなら、現時点で児の安全が著しく脅かされている所見や養育困難を示す情報がないため。
・乳児院とは、保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する児童福祉施設であり、児童養護施設が原則として1歳以上の児童を養育するのに対し、1歳未満の乳児を主に養育する。

2.〇 正しい。新生児訪問の2回目を計画する。なぜなら、Aさんには育児不安と孤立感があり、継続的な支援によって不安の軽減と養育状況の確認が必要であるため。
・新生児訪問とは、新生児訪問指導事業のことであり、保健師、助産師、看護師が家庭を訪問してくれる制度で生後28日以内の児がいる家庭を対象に行われ、母子が健康であるかどうかを確認し、必要なケアや支援を行うことを第一の目的としている。

3.× 実母に育児の相談をするように促すより優先されるものがほかにある。なぜなら、Aさんはすでに実母が仕事で忙しく話す時間がないと訴えているため。したがって、助産師は、Aさん本人の話を受け止めたうえで、実母以外の支援資源も含めて支援体制を整える必要がある。

4.× パートナーと早く同居するよう助言するより優先されるものがほかにある。なぜなら、同居するかどうかは家族の生活状況や意思に関わることであり、助産師が一方的に決める内容ではないため。また、同居すれば必ず支援が増えるとは限らない。むしろ、Aさんへの負担や葛藤を増やす可能性もあり得る。

 

 

 

 

 

次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、初産婦)は高校在学中に妊娠し、卒業後、妊娠38週で近くのクリニックで出産し、母子ともに経過良好である。Aさんは現在、実母と同居している。パートナー(18歳、アルバイト)は近隣に住み、入籍はしたが同居の予定はない。
 退院2週後、市の助産師がAさん宅への新生児訪問を実施した。Aさんは「母やパートナーは仕事で忙しく、話をする時間がなくて寂しい。入院時に育児のことを教えてもらったけど、どうしていいか分からなくなることがある。赤ちゃんはよく泣きます。母乳をあげた後、不安なのでミルクを追加しています」と話した。児の前額には脂漏性湿疹がみられた。児の衣服は整っている。母乳分泌は良好で、児の体重増加は60g/日である。助産師は、児の洗顔と体温調節の方法を指導し、母乳だけで様子を見るように伝えた。

52 Aさんは児の4か月児健康診査のため、保健センターを訪れた。Aさんは助産師に、子育てについて話をする友人がほしいが、同じような状況の人と出会うのが難しいこと、ソーシャルネットワーキングサービス〈SNS〉を見て落ち込んでしまうことを話した。助産師は市の保健師と相談し、今後のAさんの支援のために多職種で会議を持つこととなった。
 助産師と保健師の他に、会議に参加する職種はどれか。

1.市の精神保健福祉士
2.児のかかりつけの小児科医
3.地域子育て支援拠点事業所の専任職員
4.Aさんが出産したクリニックの産婦人科医

解答

解説

ポイント

・Aさん(19歳、初産婦、実母と同居)
・児の4か月児健康診査のため、保健センターを訪れた。
子育てについて話をする友人がほしいが、同じような状況の人と出会うのが難しいこと。
・SNSを見て落ち込んでしまうこと。
・助産師は市の保健師と相談し、今後のAさんの支援のために多職種で会議を持つこととなった。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。

1.× 市の精神保健福祉士より優先されるものがほかにある。なぜなら、Aさんには精神疾患(自傷他害リスク、強い抑うつ症状など)を示す情報が示されていないため。
・精神保健福祉士とは、『精神保健福祉士法』に基づき、精神障害者に対する相談援助などの社会福祉業務に携わる専門職である。また、その家族に対しても相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な援助を行う。

2.× 児のかかりつけの小児科医より優先されるものがほかにある。なぜなら、本児に疾患や発育発達異常を示す情報が示されていないため。例えば、児に体重増加不良、発達の遅れ、けいれん、哺乳不良、慢性疾患などがあれば、小児科医との連携が重要である。
・小児科医とは、主に15歳未満の子どもを対象に、総合的に診療や治療を行う医師である。子どもの病気やけが、乳幼児健診、ワクチンの接種、予防接種の提案、栄養に関するアドバイスなど、幅広い業務を扱う。

3.〇 正しい。地域子育て支援拠点事業所の専任職員が会議に参加する職種として、最も優先される。なぜなら、Aさんの主な課題は、育児仲間との交流不足と社会的孤立感であるため。
・地域子育て支援センターとは、地域において子育て親子の交流を促進する子育て支援拠点の設置を推進することにより、地域の子育て支援機能の充実を図り、子育ての不安を緩和し、子どもの健やかな育ちを支援することを目的としている。

4.× Aさんが出産したクリニックの産婦人科医より優先されるものがほかにある。なぜなら、本児に産科的な異常や産後の医学的合併症を示す情報が示されていないため。
・産婦人科医とは、産婦人科医は、医師の中でも、「妊娠・出産」、「婦人科疾患(子宮筋腫や卵巣癌など)」「内視鏡手術」、「不妊治療」、「女性のヘルスケア(更年期障害など)」などを扱う専門家である。

 

 

 

 

 

次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、初産婦)は高校在学中に妊娠し、卒業後、妊娠38週で近くのクリニックで出産し、母子ともに経過良好である。Aさんは現在、実母と同居している。パートナー(18歳、アルバイト)は近隣に住み、入籍はしたが同居の予定はない。
 退院2週後、市の助産師がAさん宅への新生児訪問を実施した。Aさんは「母やパートナーは仕事で忙しく、話をする時間がなくて寂しい。入院時に育児のことを教えてもらったけど、どうしていいか分からなくなることがある。赤ちゃんはよく泣きます。母乳をあげた後、不安なのでミルクを追加しています」と話した。児の前額には脂漏性湿疹がみられた。児の衣服は整っている。母乳分泌は良好で、児の体重増加は60g/日である。助産師は、児の洗顔と体温調節の方法を指導し、母乳だけで様子を見るように伝えた。

53 Aさんの妊娠をきっかけに、高校では性教育の必要性を実感し、市の助産師に性教育を依頼した。依頼を受けた助産師は、包括的セクシュアリティ教育を取り入れた性教育を行うことにした。
 教育内容に取り入れるのはどれか。2つ選べ。

1.対人関係スキル
2.性感染症を予防する具体的な方法
3.避妊具を携帯するのは恥ずかしいこと
4.人工妊娠中絶は倫理的に問題であること
5.性に対する社会共通の価値観を守ること

解答1・2

解説

ポイント

・Aさん(19歳、初産婦、実母と同居)
・Aさんの妊娠をきっかけに、高校では性教育の必要性を実感し、市の助産師に性教育を依頼した。
・依頼を受けた助産師は、包括的セクシュアリティ教育を取り入れた性教育を行う。
→包括的セクシュアリティ教育とは、性行為や妊娠・避妊だけでなく、身体の発達、人間関係、ジェンダー、多様な性のあり方、人権、同意、性暴力の予防、インターネット上の性情報などを、年齢や発達段階に応じて学ぶ教育である。自分と他者の身体や意思を尊重し、正しい知識に基づいて、安全で責任ある行動を選択できる力を育てることを目的とする。

1.〇 正しい。対人関係スキルは、包括的セクシュアリティ教育の教育内容に取り入れる。なぜなら、包括的セクシュアリティ教育は、性行動の知識だけでなく、相手を尊重した関係づくりや意思決定を学ぶ教育であるため。

2.〇 正しい。性感染症を予防する具体的な方法は、包括的セクシュアリティ教育の教育内容に取り入れる。なぜなら、性感染症予防は、若者が自分の健康を守るために必要な実践的知識であるため。

3.× 避妊具を携帯するのは恥ずかしいことと伝えるのは、包括的セクシュアリティ教育といえない。なぜなら、避妊具を持つことを「恥ずかしい」と教えると、必要なときに避妊や性感染症予防ができなくなる可能性があるため。

4.× 人工妊娠中絶は倫理的に問題であることは、包括的セクシュアリティ教育といえない。なぜなら、包括的セクシュアリティ教育は、特定の価値判断を押しつけるのではなく、正確な情報と自己決定を支える教育であるため。

5.× 性に対する社会共通の価値観を守ることは、包括的セクシュアリティ教育といえない。なぜなら、包括的セクシュアリティ教育は、多様性と人権を尊重し、特定の価値観を一律に押しつけない教育であるため。性に関する価値観は、文化、家庭、宗教、個人の経験、性自認、性的指向、ライフプランによって異なる。そのため、「社会共通の価値観」を守ることを一方的に強調すると、多様な生徒を排除したり、相談しにくくしたりする可能性がある。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(71歳、女性)は現在夫と2人暮らしで、2人の子どもは独立している。朝のウォーキングを日課にしている。閉経して20年が経過した。子宮がん検診で来院した際に「少し恥ずかしい話なのですが、最近、腟の中が痒くて熱い感じがします。それに、たまに夫に性交を求められても、痛くて困っています」と静かに話し「我慢すれば症状が治まると思う」と言う。外陰部に発赤や潰瘍はみられず、性器出血はない。

54 Aさんの症状から考えられるのはどれか。

1.子宮腫瘍
2.卵巣腫瘍
3.萎縮性腟炎
4.性器ヘルペス

解答

解説

ポイント

・Aさん(71歳、女性)
・現在:夫と2人暮らし:2人の子どもは独立。
・朝のウォーキングを日課にしている。
・閉経して20年が経過した。
・子宮がん検診で来院した際に「少し恥ずかしい話なのですが、最近、腟の中が痒くて熱い感じがします。それに、たまに夫に性交を求められても、痛くて困っています」と静かに話し「我慢すれば症状が治まると思う」と言う。
・外陰部に発赤や潰瘍はみられず、性器出血はない。
→本症例は、萎縮性腟炎が疑われる。ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。

1.× 子宮腫瘍より優先されるものがほかにある。なぜなら、子宮腫瘍(特に閉経後に問題となる子宮体がん)では、不正性器出血が重要な症状であるため。
・子宮腫瘍とは、子宮の筋肉や粘膜などの細胞が異常に増殖してできる病変の総称である。良性腫瘍には子宮筋腫、悪性腫瘍には子宮頸がん、子宮体がん、子宮肉腫などがある。不正出血、月経量の増加、下腹部痛などがみられるが、症状がない場合もある。超音波検査や細胞診、組織検査などで診断する。

2.× 卵巣腫瘍より優先されるものがほかにある。なぜなら、卵巣腫瘍では、腹部膨満感や下腹部腫瘤感、食欲低下などが重要な症状であるため。
・卵巣腫瘍とは、卵巣の細胞が異常に増殖して、しこりや袋状の病変をつくる病気の総称である。良性、境界悪性、悪性に分けられ、卵巣がんも含まれる。初期には症状がないことが多いが、大きくなると下腹部の張りや痛み、腹囲の増加などがみられる。

3.〇 正しい。萎縮性腟炎が最も優先される。なぜなら、閉経後のエストロゲン低下により腟粘膜が薄く乾燥し、かゆみ・灼熱感・性交痛を起こしやすいため。
・老人性腟炎とは、萎縮性腟炎ともいい、主に閉経後の女性ホルモン(エストロゲン・卵胞ホルモン)の分泌低下により、腟の潤いがなくなり、外陰部や腟が乾燥・萎縮して、雑菌が繁殖するために起こる炎症である。治療は、エストロゲンの補充が第1選択になる。膣の中に入れるエストロゲンの錠剤や飲み薬を使い、性交痛に対しては潤滑ゼリーの併用も効果的である。 また、細菌感染を合併している場合は抗生剤を併用する。

4.× 性器ヘルペスより優先されるものがほかにある。なぜなら、性器ヘルペスでは、痛みを伴う水疱やびらん、潰瘍などが重要な症状であるため。
・性器ヘルペスとは、ヘルペスウィルスの感染により性器に水泡(水ぶくれ)、腫れ、痛み、かゆみなどの症状が起こる。初めての感染のときに症状が強く出て、全身倦怠感やリンパ節の腫れを起こす。発病後たいてい1~2週間で症状は治まる。性器ヘルペスウイルス感染症は、5類感染症の定点把握対象疾患である。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(71歳、女性)は現在夫と2人暮らしで、2人の子どもは独立している。朝のウォーキングを日課にしている。閉経して20年が経過した。子宮がん検診で来院した際に「少し恥ずかしい話なのですが、最近、腟の中が痒くて熱い感じがします。それに、たまに夫に性交を求められても、痛くて困っています」と静かに話し「我慢すれば症状が治まると思う」と言う。外陰部に発赤や潰瘍はみられず、性器出血はない。

55 Aさんへの指導で適切なのはどれか。

1.「ウォーキングはやめて家の中で過ごしましょう」
2.「性交時は局所の潤滑ゼリーを使用してみましょう」
3.「腟内は強い酸性のため細菌は侵入しませんので安心してください」
4.「ストレスからくる症状のためストレスを溜めないように過ごしましょう」

解答

解説

ポイント

・Aさん(71歳、女性)
・現在:夫と2人暮らし:2人の子どもは独立。
・朝のウォーキングを日課にしている。
・閉経して20年が経過した。
・子宮がん検診で来院した際に「少し恥ずかしい話なのですが、最近、腟の中が痒くて熱い感じがします。それに、たまに夫に性交を求められても、痛くて困っています」と静かに話し「我慢すれば症状が治まると思う」と言う。
・外陰部に発赤や潰瘍はみられず、性器出血はない。
→本症例は、萎縮性腟炎が疑われる。萎縮性腟炎(老人性腟炎)とは、主に閉経後の女性ホルモン(エストロゲン・卵胞ホルモン)の分泌低下により、腟の潤いがなくなり、外陰部や腟が乾燥・萎縮して、雑菌が繁殖するために起こる炎症である。治療は、エストロゲンの補充が第1選択になる。膣の中に入れるエストロゲンの錠剤や飲み薬を使い、性交痛に対しては潤滑ゼリーの併用も効果的である。 また、細菌感染を合併している場合は抗生剤を併用する。

1.× 「ウォーキングはやめて家の中で過ごしましょう」と伝える必要はない。なぜなら、萎縮性腟炎は、「ウォーキング」ではなくエストロゲンの低下が原因で起こる疾患であるため。むしろ、Aさんは朝のウォーキングを日課にしており、活動性が保たれている。高齢女性にとって適度な運動は、筋力維持、骨粗鬆症予防、気分転換、生活習慣病予防の面でも有益である。

2.〇 正しい。「性交時は局所の潤滑ゼリーを使用してみましょう」と伝える。なぜなら、閉経後は腟粘膜が乾燥しやすく、性交時の摩擦が痛みを強めるため。潤滑ゼリーにより、性交時の摩擦を減らし、疼痛を軽減が期待できる。

3.× 「腟内は強い酸性のため細菌は侵入しませんので安心してください」と伝える必要はない。なぜなら、閉経後はエストロゲン低下により腟内環境が変化するため。むしろ、腟粘膜の防御機能が低下しやすい。したがって、「細菌は侵入しない」との説明は否定される。

4.× 「ストレスからくる症状のためストレスを溜めないように過ごしましょう」と伝える必要はない。なぜなら、Aさんの症状は、閉経後のエストロゲン低下による萎縮性腟炎で説明できるため。Aさんの症状の主因を「ストレス」と説明してしまうと、閉経後の腟粘膜萎縮という身体的要因を見逃すことになりうかねない。

 

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