第109回(R8) 助産師国家試験 解説【午前46~50】

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次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、初産婦)は妊娠40週5日、病院に電話し「破水しました。お腹の張りはありますが、12~15分くらいの間隔で不規則です」と話した。
 30分後に病院に到着し、クスコ式腟鏡で診察し、BTB試験紙は青色を示した。その後、分娩監視装置が装着された。12~15分に1回の子宮収縮があり、胎児心拍数基線150bpm、基線細変動は正常で、軽度の変動一過性徐脈が1回みられた。体温37.2℃、脈拍80/分、内診所見は子宮口2cm開大、展退度30%、Station-2。昨日、妊婦健康診査を受診しており、超音波検査にて推定胎児体重3,900g、羊水ポケットは3cmであった。

46 入院から12時間経過し、Aさんは子宮口9cm開大、Station+2となった。ベッドサイドに座り、表情に疲労感がある。陣痛間欠3分、陣痛発作50秒、胎児心拍数陣痛図はレベル2である。Aさんは「少し眠くなってきました」と話した。
 Aさんへのケアで適切なのはどれか。2つ選べ。

1.シャワー浴を勧める。
2.糖分の入っている飲み物を勧める。
3.膀胱留置カテーテルの準備をする。
4.横になって休んでも良いと説明する。
5.オキシトシン点滴静脈内注射の準備をする。

解答2・4

解説

ポイント

・Aさん(30歳、初産婦、妊娠40週5日、前期破水
・入院から12時間経過:子宮口9cm開大Station+2
・ベッドサイドに座り、表情に疲労感がある。
・陣痛間欠3分、陣痛発作50秒、胎児心拍数陣痛図はレベル2。
・Aさんは「少し眠くなってきました」と話した。
→本症例は、分娩第1期の終わりから第2期に近い状態である。

(※「胎児心拍数モニタリング―胎児心拍数陣痛図の判読と胎児管理の指針」日本産婦人科医会様HPより)

1.× シャワー浴を勧める「必要はない」。なぜなら、子宮口9cm開大、Station+2で分娩が進行しているため。これは分娩第1期の終わりから第2期に近い状態である。したがって、移動やシャワー浴中に急速に分娩が進む可能性がある。

2.〇 正しい。糖分の入っている飲み物を勧める。なぜなら、分娩は長時間の身体的負荷を伴い、疲労時には水分とエネルギー補給が必要であるため。糖分を含む飲み物は、飲み込みやすく、短時間でエネルギー補給ができる。

3.× 膀胱留置カテーテルの準備をする「必要はない」。なぜなら、留置カテーテルが必要となる情報(尿閉や膀胱充満、硬膜外麻酔使用など)が示されていないため。

4.〇 正しい。横になって休んでも良いと説明する。なぜなら、陣痛間欠時に休息をとることで、分娩後半に必要な体力を温存できるため。

5.× オキシトシン点滴静脈内注射の準備をする「必要はない」。なぜなら、Aさんは子宮口9cm、Station+2まで進行しており、陣痛促進が必要な分娩停止や微弱陣痛の所見がないため。
・オキシトシン点滴静脈内注射とは、分娩誘発、微弱陣痛、弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、流産、人工妊娠中絶などが適応として用いられる。

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

 

 

 

 

 

次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、初産婦)は妊娠40週5日、病院に電話し「破水しました。お腹の張りはありますが、12~15分くらいの間隔で不規則です」と話した。
 30分後に病院に到着し、クスコ式腟鏡で診察し、BTB試験紙は青色を示した。その後、分娩監視装置が装着された。12~15分に1回の子宮収縮があり、胎児心拍数基線150bpm、基線細変動は正常で、軽度の変動一過性徐脈が1回みられた。体温37.2℃、脈拍80/分、内診所見は子宮口2cm開大、展退度30%、Station-2。昨日、妊婦健康診査を受診しており、超音波検査にて推定胎児体重3,900g、羊水ポケットは3cmであった。

47 Aさんは3,800gの児を吸引分娩で出産した。会陰縫合時、肛門括約筋までの会陰裂傷が観察された。分娩後1時間が経過し「おしりがズキズキと痛いです。便が出るような気がします」と訴えた。子宮底は臍高。恥骨結合部の溝が触知されない。
 このときに考えられるのはどれか。

1.腟壁血腫
2.子宮内反症
3.会陰裂傷Ⅳ度
4.恥骨結合離開

解答

解説

ポイント

・Aさん(30歳、初産婦、前期破水
・3,800gの児を吸引分娩で出産。
・会陰縫合時:肛門括約筋までの会陰裂傷が観察された。
・分娩後1時間が経過「おしりがズキズキと痛いです。便が出るような気がします」と。
・子宮底は臍高。
・恥骨結合部の溝が触知されない。
→本症例は、分娩後早期に、肛門部痛と便意感という血腫による直腸圧迫症状が出現している

1.〇 正しい。腟壁血腫が、最も考えられる。なぜなら、分娩後早期に、肛門部痛便意感という血腫による直腸圧迫症状が出現しているため。
・腟壁血腫とは、腟壁粘膜下組織の血管が破綻・断裂して血腫ができた状態のことである。急速な分娩進行による腟壁の急激な伸展、過大な頭部や肩甲の通過による腟壁の過度な伸展などが原因である。一般的に、分娩直後に症状が現れる。

2.× 子宮内反症は考えにくい。なぜなら、子宮内反症では、子宮底が触知しにくくなり、強い下腹部痛や大量出血・ショックを伴いやすいため。
・子宮内反とは、子宮が内膜面を外方に反転した状態をいう。子宮が裏返しになり子宮内膜面が腟内または腟外に露出し、胎盤剝離面から出血が続く状態である。病因は①外因性と②内因性、③もしくは複合したものがある。①ほとんどが外因性で、胎盤剝離前の臍帯牽引によることがもっとも多く、他のリスク因子として癒着胎盤や過短臍帯、臍帯巻絡がある。②内因性のものとしては、子宮奇形に伴う子宮筋の弛緩、多胎妊娠、巨大児、羊水過多などの子宮筋が弛緩した状態に起こりやすい。また、外因性と内因性が複合して発症する場合もある。

3.× 会陰裂傷「Ⅳ度」ではなくⅢ度と考えられる。なぜなら、Aさんでは「肛門括約筋までの会陰裂傷」とあるため。
【会陰裂傷の重症度】
第1度:会陰の皮膚、腟壁粘膜のみに限局し、筋層には達しない裂傷。
第2度:会陰筋層まで及ぶが、肛門括約筋には達しない裂傷。
第3度:肛門括約筋や腟直腸中隔に達する裂傷。
第4度:第3度裂傷に加え、肛門粘膜や直腸粘膜の損傷を伴う裂傷。

4.× 恥骨結合離開は考えにくい。なぜなら、恥骨結合離開では、恥骨部痛や歩行困難が中心であるため。
・恥骨結合離開とは、出産時に起こる恥骨結合部が離開し痛みが生じていることである。分娩後に恥骨痛が出現し、歩行時障害が現れたら疑われる。治療として、離開の程度によるが、安静とベルトによる固定が必要になる。重いものを持ち上げたり、長時間の歩行を控えるよう指導するだけでなく、骨盤ベルトを正しく着用することが重要である。

 

 

 

 

 

次の文を読み48~50の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、初産婦)は妊娠22週0日で性器出血を主訴に産婦人科診療所を受診したところ、胎胞が膨隆しており、総合周産期母子医療センターである大学病院に母体搬送された。搬送後、腟内に4cm程度の胎胞が認められ、子宮収縮抑制薬を投与し妊娠継続をはかっていたが、4日後に陣痛発来し、Bちゃん(540g、女児)を経腟分娩で出産した。新生児科医が立ち会いを行い、BちゃんはApgar〈アプガー〉スコア1分後1点、5分後2点。生後7分で気管内挿管を行いNICUに入院となった。

48 Bちゃんの出生後の特徴で正しいのはどれか。

1.不感蒸泄が多い。
2.血圧は変動しない。
3.低カリウム血症を起こしやすい。
4.リンの蓄積量は正期産児と変わらない。

解答

解説

ポイント

・Aさん(35歳、初産婦)
・主訴:妊娠22週0日で性器出血。
・Bちゃん(540g、女児)を経腟分娩で出産。
・新生児科医が立ち会いを行う。
・アプガースコア:1分後1点、5分後2点。
・生後7分で気管内挿管を行いNICUに入院。
→超早産児(在胎28週未満)では、心筋機能、血管収縮反応、自律神経調節、腎機能、副腎機能などが未熟である。そのため、出生直後の呼吸循環適応が不安定になりやすく、低血圧や血圧変動を起こすことがある。

1.〇 正しい。不感蒸泄が多い。なぜなら、超早産児(在胎28週未満)では、皮膚の角質層が未熟で、皮膚から水分が失われやすいため。
・不感蒸泄とは、発汗のように自覚されない水分の蒸散(呼吸など)のことである。

2.× 血圧は変動「しやすい」。なぜなら、超早産児(在胎28週未満)では、循環調節機能が未熟で、血圧や脳血流が不安定になりやすいため。

3.× 「低」ではなく高カリウム血症を起こしやすい。なぜなら、超低出生体重児(1000g未満)では、生後早期に非乏尿性高カリウム血症を起こしやすいため。超早産児・超低出生体重児では、腎機能が未熟でカリウム排泄が不十分になりやすいことに加え、細胞内外のカリウム移動も不安定である。したがって、尿量が保たれていても血清カリウムが上昇する非乏尿性高カリウム血症に注意が必要である。
・非乏尿性高カリウム血症とは、尿量が保たれているにもかかわらず、血液中のカリウム濃度が高くなる状態である。主に早産児や低出生体重児の生後早期にみられ、重症化すると不整脈や心停止を起こす危険がある。

4.× リンの蓄積量は、正期産児と比較すると「低い」。なぜなら、胎児のカルシウム・リンなどのミネラル蓄積は、主に妊娠後期に進むため。したがって、正期産児と比べて骨ミネラルの貯蔵量が少なく、出生後に未熟児骨減少症、つまり早産児代謝性骨疾患を起こしやすくなる。

 

 

 

 

 

次の文を読み48~50の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、初産婦)は妊娠22週0日で性器出血を主訴に産婦人科診療所を受診したところ、胎胞が膨隆しており、総合周産期母子医療センターである大学病院に母体搬送された。搬送後、腟内に4cm程度の胎胞が認められ、子宮収縮抑制薬を投与し妊娠継続をはかっていたが、4日後に陣痛発来し、Bちゃん(540g、女児)を経腟分娩で出産した。新生児科医が立ち会いを行い、BちゃんはApgar〈アプガー〉スコア1分後1点、5分後2点。生後7分で気管内挿管を行いNICUに入院となった。

49 BちゃんはNICU入院後に中心静脈カテーテルを挿入し、アミノ酸を主体とした静脈栄養を開始した。その後、経腸栄養を開始するために栄養カテーテルを挿入した。
 Bちゃんに対する経管栄養法で適切なのはどれか。

1.人工乳から開始する。
2.4Frのカテーテルを使用する。
3.カテーテルは2週に1回交換する。
4.注入量は児の状態を確認しながら1日毎に増量する。

解答

解説

ポイント

・Bちゃん(540g、女児)を経腟分娩で出産。
・アプガースコア:1分後1点、5分後2点。
・生後7分で気管内挿管を行いNICUに入院。
・NICU入院後に中心静脈カテーテルを挿入。
・アミノ酸を主体とした静脈栄養を開始。
・経腸栄養を開始するために栄養カテーテルを挿入。
→早産児・極低出生体重児では、腸管が未熟で、壊死性腸炎を起こしやすい状態である。

1.× 人工乳から開始する「必要はない」。なぜなら、超低出生体重児では、人工乳よりも母乳を優先するため。早産児・極低出生体重児では、腸管が未熟で、壊死性腸炎を起こしやすい状態である。

2.× 4Frのカテーテルを使用する「と一律に断言できない」。なぜなら、栄養カテーテルの太さは、出生体重、鼻腔・口腔の大きさ、呼吸状態、注入方法、施設基準に応じて選択するものであるため。使用するカテーテルは、医師の指示やNICUの基準に従い、挿入後は胃内留置を確認してから注入する。ちなみに、超低出生体重児(出生体重1,000g未満)の栄養カテーテルは、おおむね3~5Frが用いられることが多い。

3.× カテーテルは、「2週」ではなく1週に1回交換する。なぜなら、超低出生体重児の栄養カテーテルは、感染・閉塞・位置異常を防ぐため。閉塞、汚染、抜け、破損などがあれば期間を待たず交換する。

4.〇 正しい。注入量は児の状態を確認しながら1日毎に増量する。なぜなら、超低出生体重児では、消化管機能が未熟であり、少量から開始して栄養不耐や壊死性腸炎に注意しながら段階的に増量する必要があるため。

壊死性腸炎とは?

壊死性腸炎とは、腸への血液の流れの障害に、細菌感染などの因子が加わることにより腸が壊死してしまう病気である。 ほとんどは生まれてから30日未満(特に1週間以内)の赤ちゃんにみられ、時に生後30日目以降にみられることもある。早産児で生まれたか、重篤な病気がある新生児でみられる場合がほとんどである。症状として、腹部が膨れ、便に血液が混じり、新生児は緑色や黄色、さび色をした液体を吐き、非常に具合が悪くなりぐったりする。原因は完全には分かっていないが、血液中の酸素レベルの低下や腸への血流量の低下に伴い、腸が成熟していないことが部分的に関係している。低出生体重児、早産児の場合、経口摂取に必要な機能が成熟しておらず、消化管機能の未熟性があるため起こりやすい。

 

 

 

 

 

次の文を読み48~50の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、初産婦)は妊娠22週0日で性器出血を主訴に産婦人科診療所を受診したところ、胎胞が膨隆しており、総合周産期母子医療センターである大学病院に母体搬送された。搬送後、腟内に4cm程度の胎胞が認められ、子宮収縮抑制薬を投与し妊娠継続をはかっていたが、4日後に陣痛発来し、Bちゃん(540g、女児)を経腟分娩で出産した。新生児科医が立ち会いを行い、BちゃんはApgar〈アプガー〉スコア1分後1点、5分後2点。生後7分で気管内挿管を行いNICUに入院となった。

50 BちゃんはNICU入院後、閉鎖式保育器に収容され、1週が経過した。
 Bちゃんに行うケアで適切なのはどれか。

1.NICUは昼夜同じ明るさとする。
2.ケアは短時間で数回に分けて行う。
3.処置に伴う痛みの軽減には囲い込みを行う。
4.児の安静時にはモニターの心拍同期音が聞こえるように設定する。

解答

解説

新生児の痛みの軽減を目指したケア

CQ7:NICUに入院している新生児にベッドサイド処置を行う場合、どのような非薬理的緩和法を用いると、最も新生児の入院中の痛みが緩和し生活の質が向上するか?

【A7】
①:環境調整を推奨する(1C)。
②:Swaddling(スワドリング,包み込み)や Facilitated Tucking(FT,ファシリテイテイッド・タッキング)を推奨する(1A)。
③:直接母乳授乳や搾母乳の投与を考慮することを提案する。実施に際しては、母親の同意を得る(2B)。
④:Non-nutritive-sucking(NNS,栄養に関係のない吸啜)を提案する。実施に際しては、親の同意を得る(2A)。
⑤:Skin-to-skin contact(SSC,スキン・トウ・スキン・コンタクト)やカンガルーケアを提案する。実施に際しては、親の同意を得る(2A)。

(※参考:「NICU に入院している新生児の 痛みのケアガイドライン」日本周産期・新生児医学会より)

1.× NICUは昼夜同じ明るさとする「必要はない」。なぜなら、超早産児は、外界の刺激に対する調整能力が未熟であるため。強い光が持続すると、睡眠・覚醒リズムや安静を妨げ、ストレス反応につながる。したがって、照明を自然な昼夜に近づける明暗周期のある光環境を実施する。

2.× ケアは短時間で数回に分けて行う「必要はない」。なぜなら、超早産児では、処置や接触の回数が増えるほどストレスや痛み刺激が増えるため。したがって、新生児の痛みのケアでは、痛みを伴う処置の必要性を常に評価し、処置回数をできるだけ減らすことが重要である。

3.〇 正しい。処置に伴う痛みの軽減には囲い込みを行う。なぜなら、囲い込みは、児の身体を胎児姿勢に近づけ、処置による痛みやストレス反応を軽減するためです。
・囲い込みとは、児の頭部や四肢をやさしく支え、屈曲位を保ち、子宮内にいたときのような安定した姿勢に近づけるケアである。

4.× 児の安静時にはモニターの心拍同期音が聞こえるように設定する「必要はない」。なぜなら、超早産児では不要な音刺激を減らし、安静を保つことが重要であるため。したがって、聴覚・視覚などへの不必要な侵害刺激を避け、光や音を調整する。

 

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