【5問】モルヒネについての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

・まとめてもらいたい問題や希望、漏れがあったらコメントください。

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107回 午後

20 モルヒネの副作用(有害事象)はどれか。

1.出血
2.便秘
3.高血圧
4.粘膜障害

解答2

解説

モルヒネとは?

モルヒネとは、オピオイド鎮痛薬として、おもに鎮痛目的で用いられる。医療用麻薬でもあり、その鎮痛作用は強力である。とくに持続する鈍痛に効果が高く、一般的な鎮痛薬が効きにくい内臓痛をはじめ、各種がん痛や手術後にも適応となる。オピオイド(麻薬性鎮痛薬)とは、主に脳や脊髄などの中枢神経にあるオピオイド受容体と結合することで鎮痛効果を示す化合物である。代表的なオピオイドとして、モルヒネオキシコドンフェンタニルが挙げられ、主にがん疼痛の緩和ケアなどに使用される。モルヒネの副作用には、便秘、嘔気・嘔吐、眠気、呼吸抑制などがある。

 

1.× 出血が問題になるものとして、ワルファリンがあげられる。ワルファリンは抗凝固薬の一つで、血栓症や塞栓症の治療や予防に用いられる。また、がんの痛みに対して最初に使用する非オピオイド鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用で血小板機能が低下し出血傾向になることがある。
2.〇 正しい。便秘がモルヒネの副作用(有害事象)である。なぜなら、腸蠕動運動の低下、腸管分泌抑制などの作用により、食物が消化管を通過する時間が延長するため。
3.× 高血圧が問題になるものとして、パーキンソン病薬抗コリン薬があげられる。抗コリン薬は、アセチルコリンの働きを抑えて副交感神経を抑制し、交感神経を優位にする働きを持つ。なぜなら、ムスカリン受容体を遮断するため。ちなみに、前立腺肥大症に、抗コリン薬を使用は禁忌である。なぜなら、交感神経系が緊張状態となり、尿閉を悪化させるため。適応疾患として、過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍、気管支喘息、肺気腫パーキンソン病などに用いられる。
4.× 粘膜障害が問題になるものとして、非オピオイド鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)があげられる。非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。

ステロイドの副作用

【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。

【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)

ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。

(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)

 

 

 

 

107回 午後

40 麻薬の取り扱いで正しいのはどれか。

1.看護師は麻薬施用者免許を取得できる。
2.麻薬を廃棄したときは市町村長に届け出る。
3.アンプルの麻薬注射液は複数の患者に分割して用いる。
4.麻薬及び向精神薬取締法に管理について規定されている。

解答4

解説

1.× 看護師は麻薬施用者免許を取得できない。これは、麻薬及び向精神薬取締法第3条2項7に「麻薬施用者の免許については、医師歯科医師又は獣医師」と記載されている(※参考:e-GOV法令検索様HPより)。ちなみに、麻薬施用者とは、病気治療の目的で業務上麻薬を施用又は交付したり、麻薬を記載した処方箋(麻薬処方箋)を交付することができるもののことをいう。 
2.× 麻薬を廃棄したときは、「市町村長」ではなく、都道府県知事に届け出る。これは、麻薬及び向精神薬取締法第29条に「(廃棄)麻薬を廃棄しようとする者は、麻薬の品名及び数量並びに廃棄の方法について都道府県知事に届け出て、当該職員の立会いの下に行わなければならない。ただし、麻薬小売業者又は麻薬診療施設の開設者が、厚生労働省令で定めるところにより、麻薬処方せんにより調剤された麻薬を廃棄する場合は、この限りでない」と記載されている(※参考:e-GOV法令検索様HPより)。
3.× あえて、アンプルの麻薬注射液は複数の患者に分割して用いる必要はない。なぜなら、「病院・診療所における麻薬管理マニュアル」では、麻薬注射剤を分割して2人以上の患者に施用することは、管理面、衛生面に問題がある場合は避けることとしている。また、同一患者に麻薬注射剤を施用する際、手術等で数回に分け連続して施用する場合であっても管理面、衛生面に問題がある場合は避ける。なお、施用残液のあるアンプル及び空アンプルは麻薬管理者に返納する。
4.〇 正しい。麻薬及び向精神薬取締法に管理について規定されている。ちなみに、麻薬及び向精神薬取締法とは、麻薬と向精神薬の乱用を防止し、中毒者に必要な医療を行うなどの措置を講じ、生産や流通について必要な規制を執り行うことによって、公共の福祉の増進を図ることを目的としている日本の法律である。医療用麻薬であるモルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、コデインおよびケタミンなどが、麻薬として規制されている。

 

 

 

 

108回 午前

16 骨髄抑制が出現するのはどれか。

1.麻薬
2.利尿薬
3.抗癌薬
4.強心薬

解答3

解説

骨髄抑制とは?

骨髄抑制とは、抗がん剤放射線治療に伴う副作用のひとつである。骨髄機能の抑制により、末梢血中の白血球・赤血球・血小板の数が減少することで生じる。初期症状として、発熱、寒気、喉の痛み、鼻血、歯ぐきの出血、息切れ、あおあざができる、出血が止まりにくい、頭が重い、動悸などである。

1.× 麻薬とは、一般的にモルヒネやヘロインのようなケシから生成される麻薬性鎮痛薬のオピエートやオピオイドを指す。副作用は、呼吸抑制・便秘・悪心・嘔吐・眠気などである。
2.× 利尿薬とは、一般的にループ利尿薬が最も強く、次いでサイアザイド系利尿薬、 アルドステロン受容体拮抗薬があげられる。体内の過剰な水分を尿として排泄させる薬剤であるため、副作用は、電解質異常・脱力感・吐き気・下痢・頭痛などである。
3.〇 正しい。抗癌薬は、骨髄抑制が出現する。なぜなら、抗癌薬は、癌細胞だけでなく、細胞分裂が活発な正常細胞にも作用するため。骨髄中の造血細胞は、血球やリンパ球へ分化する過程で盛んに細胞分裂しているが、抗癌薬により造血細胞にも作用してしまう。血液細胞のうち、白血球が減少すると感染症、赤血球が減少すると貧血、血小板が減少すると出血などが起こりやすくなってしまう。
4.× 強心薬とは、一般的にピモベンダン、デノパミン、ドカルパミン、ベスナリノンなどがあげられる。心筋収縮力を増強する作用(強心作用)により、心臓の機能不全を回復させる薬剤であるため、副作用は、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、めまい、頭痛などがみられることもある。

 

 

 

110回 午前

40 Aさん(63歳、男性)は、右肺癌で化学療法を受けていたが、右腕を動かしたときに上腕から肩にかけて痛みが生じるようになった。検査を行ったところ骨転移が認められ、疼痛の原因と判断された。WHO 3段階除痛ラダーに基づいてがん疼痛のコントロールを開始することになった。
 この時点でAさんに使用する鎮痛薬で適切なのはどれか。

1.非オピオイド鎮痛薬
2.弱オピオイド鎮痛薬
3.強オピオイド鎮痛薬
4.鎮痛補助薬

解答1

解説

(※図引用:「WHO方式がん疼痛治療とは」塩野義製薬様HPより)

3段階除痛ラダーとは?

 3段階除痛ラダーとは、がん性疼痛に対する薬物療法の基本的な考え方である。これは基礎および臨床研究に基づいて考案された治療法で、非オピオイド鎮痛薬とオピオイド鎮痛薬を、痛みの強さによって段階的に進めていく方法である。世界保健機関(WHO)は、がん疼痛治療法における鎮痛薬の使用法について、痛みの強さによる段階的な鎮痛薬の選択法を示した「3段階除痛ラダー」と治療に際し守るべき「鎮痛薬使用の5原則」で提唱している。

【鎮痛薬使用の5原則】①経口的に、②時刻を決めて規則正しく、③除痛ラダーにそって効力の順に、④患者ごとの個別的な量で、⑤その上で細かい配慮を

本症例のポイント

・Aさん(63歳、男性、右肺癌で化学療法)
・右腕を動かしたときに上腕から肩にかけて痛みが生じるようになった。
・骨転移が認められ、疼痛の原因と判断された。
→本症例は、骨転移と診断される以前に鎮痛薬を使用していないことから、まずは3段階除痛ラダーの第1段階である非オピオイド鎮痛薬が選択される。非オピオイド鎮痛薬には、アスピリンに代表される①非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や②アセトアミノフェンなどが含まれる。

1.〇 正しい。非オピオイド鎮痛薬は優先度が最も高い。本症例は、骨転移と診断される以前に鎮痛薬を使用していないことから、まずは3段階除痛ラダーの第1段階である非オピオイド鎮痛薬が選択される。非オピオイド鎮痛薬には、アスピリンに代表される①非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や②アセトアミノフェンなどが含まれる。
2.× 弱オピオイド鎮痛薬は優先度が低い。なぜなら、第1段階で痛みの残存・増強を認める場合に、第2段階である弱オピオイド鎮痛薬(コデインリン酸塩水和物やトラマドール塩酸塩)が非オピオイド鎮痛薬に「追加して」用いられるため。
3.× 強オピオイド鎮痛薬は優先度が低い。なぜなら、第2段階においても痛みの残存・増強を認める場合には、第3段階である強オピオイド鎮痛薬が弱オピオイド鎮痛薬と「変更し」、かつ非オピオイド鎮痛薬に「追加して」用いられるため。モルヒネやフェルタニルが強オピオイド鎮痛薬の代表薬である。
4.× 鎮痛補助薬は優先度が低い。なぜなら、各段階において非オピオイド鎮痛薬やオピオイドだけでは痛みを軽減できない場合に、鎮痛補助薬の併用が検討されるものであるため。鎮痛補助薬には抗うつ薬、抗けいれん薬、NMDA受容体措抗薬などが存在する。

 

 

 

 

112回 午後

問題16 モルヒネの副作用(有害事象)はどれか。

1.出血
2.難聴
3.便秘
4.骨髄抑制

解答

解説

モルヒネとは?

モルヒネとは、オピオイド鎮痛薬として、おもに鎮痛目的で用いられる。医療用麻薬でもあり、その鎮痛作用は強力である。とくに持続する鈍痛に効果が高く、一般的な鎮痛薬が効きにくい内臓痛をはじめ、各種がん痛や手術後にも適応となる。オピオイド(麻薬性鎮痛薬)とは、主に脳や脊髄などの中枢神経にあるオピオイド受容体と結合することで鎮痛効果を示す化合物である。代表的なオピオイドとして、モルヒネやオキシコドン、フェンタニルが挙げられ、主にがん疼痛の緩和ケアなどに使用される。モルヒネの副作用には、便秘、嘔気・嘔吐、眠気、呼吸抑制などがある。

 

1.× 出血が問題になるものとして、ワルファリンがあげられる。ワルファリンは抗凝固薬の一つで、血栓症や塞栓症の治療や予防に用いられる。また、がんの痛みに対して最初に使用する非オピオイド鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用で血小板機能が低下し出血傾向になることがある。
2.× 難聴が問題になるものとして、アミノグリコシド系抗菌薬や抗がん薬のシスプラチンなどである。内耳が損傷を受けることがある。
3.〇 正しい。便秘は、モルヒネの副作用 (有害事象)である。なぜなら、腸蠕動運動の低下、腸管分泌抑制などの作用により、食物が消化管を通過する時間が延長するため。
4.× 骨髄抑制とは、抗がん剤や放射線治療に伴う副作用のひとつである。骨髄機能の抑制により、末梢血中の白血球・赤血球・血小板の数が減少することで生じる。初期症状として、発熱、寒気、喉の痛み、鼻血、歯ぐきの出血、息切れ、あおあざができる、出血が止まりにくい、頭が重い、動悸などである。

ステロイドの副作用

【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。

【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)

ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。

(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)

 

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