【4問】大動脈解離についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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107回 午前

28 急性大動脈解離について正しいのはどれか。

1.大動脈壁の外膜が解離する。
2.診断には造影剤を用いないCT検査を行う。
3.Stanford(スタンフォード)分類B型では緊急手術を要する。
4.若年者ではMarfan(マルファン)症候群の患者にみられることが多い。

解答4

解説

急性大動脈解離とは?

大動脈解離とは、大動脈内膜に生じた亀裂(エントリー)から血液が流入し、中膜部分が解離した状態である。ほとんどの場合、高血圧症を基礎に持つ患者に突如発生する。

1.× 大動脈壁の「外膜」ではなく内膜が解離する。大動脈壁は、①内膜、②中膜、③外膜からなる。大動脈解離とは、大動脈内膜に生じた亀裂(エントリー)から血液が流入し、中膜部分が解離した状態である。
2.× 診断には、「造影剤を用いないCT検査」ではなく、造影剤を用いたCT検査を行う。なぜなら、造影CTを実施することにより解離の程度や範囲、血流の異常、破裂の部位、縦隔陰影の拡大、大動脈影の拡大などを確認することができるため。また、他にも胸部X線検査、心エコー(超音波)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査などでも確定診断可能である。
3.× 緊急手術を要するのは、Stanford分類「B型」ではなくA型である。なぜなら、上行大動脈に解離が及ぶA型は、大動脈弁閉鎖不全症や心タンポナーデなど重篤な合併症を起こしやすいため。一方、B型はA型と比べて緊急性が低く、原則内科的治療(血圧管理、安静)を行う。
4.〇 正しい。若年者ではMarfan症候群の患者にみられることが多い。Marfan症候群とは、全身の結合組織の働きが体質的に変化しているために、骨格の症状(高身長・細く長い指・背骨が曲がる・胸の変形など)、眼の症状(水晶体(レンズ)がずれる・強い近視など)、心臓血管の症状(動脈がこぶのようにふくらみ、裂けるなど)などを起こす病気である。つまり、全身の結合組織がもろくなるため、大動脈癌大動脈解離を生じやすい。

Stanford分類とは?

大動脈解離は、大動脈が裂ける場所によって2つに分類される。

・スタンフォードA型:上行大動脈から裂けるタイプ
→A型は病気が発症して48時間以内に破裂を起こしやすく、緊急手術が必要。

・スタンフォードB型:上行大動脈は裂けず、背中の大動脈(下行大動脈)から裂けるタイプ
→B型はA型に比し、すぐには破裂しないことが多いため、お薬と絶対安静の治療が中心であるが、このB型も破裂の兆候が認められたり(背中の痛みが持続)、腹部内臓や下半身への血の流れが悪くなる場合は緊急の治療を必要とする。

 

 

 

 

108回 午後

41 Aさん(48歳、男性)は、仕事中に生じた胸部と右肩の違和感を主訴に来院した。バイタルサインは安定しているが、スタンフォード分類B型の急性大動脈解離と診断され、医師から手術を勧められた。
 治療の選択で迷っている様子のAさんへの対応で適切なのはどれか。

1.「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」
2.「手術を受けるか受けないか、すぐに決めたほうがよいです」
3.「医師の判断に任せるのが一番よいと思います」
4.「緊急度が高いので、話はあとにしましょう」

解答1

解説

本症例のポイント

・Aさん(48歳、男性、スタンフォード分類B型の急性大動脈解離
・主訴:仕事中に胸部と右肩の違和感が生じた。
・バイタルサイン:安定している。
医師から手術を勧められた
・Aさんの様子:治療の選択で迷っている。
→大動脈解離とは、大動脈内膜に生じた亀裂から血液が流入し、中膜部分が解離した状態である。また、インフォームドコンセントとは、患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである。

1.〇 正しい。「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」と伝える。スタンフォード分類B型の急性大動脈解離には、薬物療法だけでなく手術療法も検討されることがあり、リスクや合併症も異なる。Aさんは治療の選択で迷っている様子であることから、医師からの説明でわからなかったことがないか聞くことは、インフォームド・コンセントの観点から重要である。
2.× 「手術を受けるか受けないか、すぐに決めたほうがよいです」と決断を促す必要はない。Aさんが納得のいく判断ができるよう援助するのが望ましい。
3.× 「医師の判断に任せるのが一番よいと思います」と、看護師の意見を伝える必要はない。なぜなら、Aさんの意見や気持ちを無視し、看護師の一方的な意見を押し付けるよう感じ取られないため。医師に手術を勧められても、Aさんは治療の選択で迷っている様子があるため。患者自身が治療内容を理解し、患者自身が治療を選択することが重要である。具体的にどう迷っているのか?聞いてみると良い。もし、Aさんから「看護師からの意見」を求めてきたら、あくまでも1意見として伝えることもある。
4.× 「緊急度が高いので、話はあとにしましょう」と伝える優先度は低い。緊急度が高い場合でも、患者が理解しないままの状態で治療の選択をさせてはならない。患者が理解しないまま治療をして、思うような結果が出なかった場合、訴訟や揉め事に発展しかねない。緊急事態で時間的余裕がない場合、説明を省略する可能性もあるが、今回Aさんはコミュニケーションがとれており、バイタルサインも安定しているため、省略する優先度は低い。

スタンフォード分類とは?

スタンフォード分類は、急性大動脈解離において緊急手術を行うかどうかの観点で用いる分類である。上行大動脈に解離が及んでいるA型、解離が及んでいないB型に分類される。上行大動脈に解離があるスタンフォードA型では、命に関わる致命的な合併症を生じやすいため、緊急手術となる。解離を起こしている範囲に応じて、人工血管を用いた置換術を行う。

 

 

 

 

111回 午前

82 急性大動脈解離において緊急手術を行うかどうかの観点で用いる分類はどれか。

1.NYHA分類
2.スタンフォード分類
3.Killip<キリップ>分類
4.DeBakey<ドベーキー>分類
5.Forrester<フォレスター>分類

解答2

解説

NYHA心機能分類

Ⅰ度:心疾患があるが、身体活動には特に制約がなく日常労作により、特に不当な呼吸困難、狭心痛、疲労、動悸などの愁訴が生じないもの。
Ⅱ度:心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの。安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。
Ⅲ度:心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの。安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。
Ⅳ度:心疾患があり、いかなる程度の身体労作の際にも上記愁訴が出現し、また、心不全症状、または、狭心症症候群が安静時においてもみられ、労作によりそれらが増強するもの。

1.× NYHA分類(New York Heart Association)は、心不全の重症度分類である。自覚症状から判断する心不全の重症度分類である。労作時の自覚症状に基づき、Ⅰ度からⅣ度の4段階で判定する。
2.〇 正しい。スタンフォード分類は、急性大動脈解離において緊急手術を行うかどうかの観点で用いる分類である。上行大動脈に解離が及んでいるA型、解離が及んでいないB型に分類される。上行大動脈に解離があるスタンフォードA型では、命に関わる致命的な合併症を生じやすいため、緊急手術となる。解離を起こしている範囲に応じて、人工血管を用いた置換術を行う。
3.× Killip<キリップ>分類は、理学的所見に基づいた急性心筋梗塞の重症度分類である。
4.× DeBakey<ドベーキー>分類とは、大動脈解離の亀裂の位置と解離範囲による病型分類である。①発症時期による分類、②解離範囲による分類、③偽腔血流の状態による分類、などにより分類する。ちなみに、大動脈解離とは、大動脈内膜に生じた亀裂(エントリー)から血液が流入し、中膜部分が解離した状態である。
5.× Forrester<フォレスター>分類は、心係数と肺動脈襖入圧に基づいて心不全の評価を行う分類である。分類はⅠ群~Ⅳ群の4つに分けられる。

Killip分類(キリップ分類)

ClassⅠ:肺野にラ音なく、かつ聴診でⅢ音を聴取しないもの、心不全兆候なし。
ClassⅡ:肺野の50%未満の領域にラ音を聴取するもの、軽音~中等度心不全。
ClassⅢ:肺野の50%以上の領域にラ音を聴取するもの、肺水腫、重症右心不全。
ClassⅣ:心原性ショック、血圧≦90mmHg、尿量減少。

 

 

 

 

113回 午前

79 大動脈解離で真腔と偽腔(解離腔)が形成される。
 偽腔が形成される大動脈壁の部位はどれか。

 1.外膜
 2.外膜と中膜の間
 3.中膜
 4.中膜と内膜の間
 5.内膜

解答

解説

大動脈解離とは?

大動脈解離とは、大動脈内膜に生じた亀裂(エントリー)から血液が流入し、中膜部分が解離した状態である。ほとんどの場合、高血圧症を基礎に持つ患者に突如発生する。

大動脈解離は、大動脈が裂ける場所によって2つに分類される。
・スタンフォードA型:上行大動脈から裂けるタイプ
→A型は病気が発症して48時間以内に破裂を起こしやすく、緊急手術が必要。

・スタンフォードB型:上行大動脈は裂けず、背中の大動脈(下行大動脈)から裂けるタイプ
→B型はA型に比し、すぐには破裂しないことが多いため、お薬と絶対安静の治療が中心であるが、このB型も破裂の兆候が認められたり(背中の痛みが持続)、腹部内臓や下半身への血の流れが悪くなる場合は緊急の治療を必要とする。

 1~2.4~5.× 外膜/外膜と中膜の間/中膜と内膜の間/内膜よりも偽腔が形成される部位として優先度が高いものが他にある。
 3.〇 正しい。中膜は、偽腔が形成される大動脈壁の部位である。もともとの血液の通る場所を真腔といい、血管がさけたことによりできた血液のとおる場所を偽腔という。

(※図引用:「【保存版】大動脈解離まとめ!症状・治療・CT画像所見のポイントは?」画像診断まとめ様HPより)

 

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