第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午前106~110】

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次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
 Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず搔痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症<STD>を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、脈拍62/分であった。

106 Aさんの状態に最もあてはまる性感染症<STD>はどれか。

1.性器ヘルペス
2.尖圭コンジローマ
3.腟トリコモナス症
4.性器クラミジア感染症

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん(20歳、女性、大学生)、パートナー(21歳、男性)
・最近:性交後に白色帯下が増えた。
・外陰部に腫瘤はみられず、搔痒感や痛みはない
・時々:下腹部に痛み
・Aさん:性感染症<STD>を疑い受診した。
・診察時:体温36.8℃、脈拍62/分であった。
→本症例は、性器クラミジア感染症が疑われる。性器クラミジア感染症とは、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって性器やその周辺に水疱や潰瘍等の病変が形成される疾患である。感染症法下では4類感染症定点把握疾患に分類されている。感染機会があってから2〜21 日後に外陰部の不快感、掻痒感等の前駆症状ののち、発熱、全身倦怠感、所属リンパ節の腫脹、強い疼痛等を伴って、多発性の浅い潰瘍や小水疱が急激に出現する。

1.× 性器ヘルペスは考えにくい。性器ヘルペスとは、ヘルペスウィルスの感染により性器に水泡(水ぶくれ)、腫れ、痛みかゆみなどの症状が起こる。初めての感染のときに症状が強く出て、全身倦怠感やリンパ節の腫れを起こす。発病後たいてい1~2週間で症状は治まる。性器ヘルペスウイルス感染症は、5類感染症の定点把握対象疾患である。
2.× 尖圭コンジローマは考えにくい。尖圭コンジローマとは、性病の一種で、性器にイボのようなぶつぶつができる病気で、主に性行為や性行為に似た行為によって感染する。粘膜が接触することで、傷口などからヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入する。粘膜だけではなく皮膚に傷があれば、そこから感染することもある。
3.× 腟トリコモナス症は考えにくい。腟トリコモナス症とは、トリコモナスという原虫が病原体となって発症する性感染症である。トリコモナスが腟や膀胱などの粘膜にすみついて炎症を起こす。主な症状として、①黄色で泡立ったようなおりもの、②おりものに悪臭、③性器にかゆみや痛み、④排尿や性行為のとき、不快感や痛みなどである。
4.〇 正しい。性器クラミジア感染症は最もあてはまる性感染症<STD>である。性器クラミジア感染症とは、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって性器やその周辺に水疱や潰瘍等の病変が形成される疾患である。感染症法下では4類感染症定点把握疾患に分類されている。感染機会があってから2〜21 日後に外陰部の不快感、掻痒感等の前駆症状ののち、発熱、全身倦怠感、所属リンパ節の腫脹、強い疼痛等を伴って、多発性の浅い潰瘍や小水疱が急激に出現する。

 

 

 

 

 

次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
 Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず搔痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症<STD>を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、脈拍62/分であった。

107 Aさんは「彼とは交際を続けたいので、性感染症<STD>のことは黙っていてもよいですか。今日、相談に来たことも彼には話していません」と看護師に話した。
 Aさんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。

1.パートナーには話さなくてもよいと伝える。
2.パートナーに来院を促す電話をすると伝える。
3.Aさんが通う大学の保健センターの看護師に相談するよう勧める。
4.性感染症<STD>に罹患したことをAさんからパートナーに伝えるよう勧める。

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん(20歳、女性、大学生)、パートナー(21歳、男性)
・Aさん:性器クラミジア感染症が疑われる。
・診察時:体温36.8℃、脈拍62/分であった。
・Aさん「彼とは交際を続けたいので、性感染症<STD>のことは黙っていてもよいですか。今日、相談に来たことも彼には話していません」と。
→本症例は、性器クラミジア感染症が疑われる。性器クラミジア感染症は、クラミジアに感染したら自然に治ることはなく、自覚症状がない場合もしっかり治療を受けることが大切である。両者が治療しないと、いわゆるビンポン感染(パートナー間で感染し合うこと)が生じ、卵管妊娠や不妊症の原因となる。

1.× 「パートナーには話さなくてもよい」と伝える必要はない。むしろ、パートナーに伝えたほうが、治療がスムーズに進む可能性が高い。なぜなら、ピンポン感染(パートナー間で感染し合うこと)が生じにくくなるため。
2.× 「パートナーに来院を促す電話をする」と伝える優先度は低い。なぜなら、本症例の意見の尊重も加味しなければならないため。本症例は、「彼とは交際を続けたいので、性感染症<STD>のことは黙っていてもよいですか。今日、相談に来たことも彼には話していません」と、言っていることから、一本の電話で二人の関係性を壊してしまう恐れもあるため慎重に行動する必要がある。
3.× Aさんが通う大学の保健センターの看護師に相談するよう勧める優先度は低い。なぜなら、本症例は性感染症<STD>に関しての不安や悩みがいるわけではないため。ちなみに、市町村保健センターとは、健康相談、保健指導、健康診査など、地域保健に関する事業を地域住民に行うための施設である。地域保健法に基づいて多くの市町村に設置されている。産前・産後の事業も行われている。
4.〇 正しい。性感染症<STD>に罹患したことをAさんからパートナーに伝えるよう勧める。性器クラミジア感染症は、クラミジアに感染したら自然に治ることはなく、自覚症状がない場合もしっかり治療を受けることが大切である。両者が治療しないと、いわゆるビンポン感染(パートナー間で感染し合うこと)が生じ、卵管妊娠や不妊症の原因となる。

ピンポン感染とは?

ピンポン感染とは、お互いに移し、移されを繰り返すことをいう。特定のパートナーの場合、片方だけが治療をしても意味がなく、また、大切な事は完治するまでセックスは禁止しなければならない。

 

 

 

 

 

次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
 Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず搔痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症<STD>を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、脈拍62/分であった。

108 Aさんは医師から「パートナーにも感染の可能性があるので性交渉をしないように」と説明を受けた。Aさんは看護師に「パートナーとはいつから性交渉をしてもよいですか」と相談した。
 性交渉を再開する時期の説明で正しいのはどれか。

1.処方された内服薬をAさんが飲み終えた後
2.Aさんの性感染症<STD>の症状がなくなった後
3.パートナーが性感染症<STD>の検査を受けた後
4.Aさんとパートナーの性感染症<STD>の治癒が確認された後

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん(20歳、女性、大学生)、パートナー(21歳、男性)
・Aさん:性器クラミジア感染症
・医師から「パートナーにも感染の可能性があるので性交渉をしないように」と。
・Aさんは看護師に「パートナーとはいつから性交渉をしてもよいですか」と相談した。
→性交渉は本人とパートナーの治療・治癒が確認された後に行う。治療が完了していなければ、再感染のリスクを伴う。

1.× 処方された内服薬をAさんが飲み終えた後でも、性交渉できない。なぜなら、内服後に検査を行わないと、治癒できているかわからないため。
2~3.× Aさんの性感染症<STD>の症状がなくなった後/パートナーが性感染症<STD>の検査を受けた後でも、性交渉できない。なぜなら、完全に治癒したと判断できないため。治癒が確認されてから再開する。
4.〇 正しい。Aさんとパートナーの性感染症<STD>の治癒が確認された後は、性交渉を再開する時期の説明である。なぜなら、ピンポン感染があげられるため。ピンポン感染とは、お互いに移し、移されを繰り返すことをいう。特定のパートナーの場合、片方だけが治療をしても意味がなく、また、大切な事は完治するまでセックスは禁止しなければならない。

 

 

 

 

 

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8℃、脈拍64/分、血圧126/70mmHgであった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。

109 この時点でのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。

1.胎児頻脈
2.前期破水
3.分娩第1期
4.妊娠高血圧症候群

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(36歳、経産婦)
・3人暮らし:夫と長男(3歳)
・妊娠40週0日午前9時:陣痛開始のため入院(未破水)
・午後1時:体温36.8℃、脈拍64/分、血圧126/70mmHg
・分娩監視装置を装着:陣痛間欠4分、胎児心拍数基線140bpm、一過性徐脈はみられなかった。
・午後2時:破水感、子宮口7cm開大、羊水の流出がみられた。
→本症例の評価結果から、異常な所見が分かるようにしておこう。逆に、病名の定義も覚えておくと問題を解くカギとなる。

1.× 胎児頻脈は考えにくい。なぜなら、Aさんの胎児心拍数基線は140bpmであるため。胎児の正常心拍数は110~160bpmで、頻脈は160bpm以上をいう。
2.× 「前期破水」ではなく早期破水である。なぜなら、Aさんは午前9時に陣痛が開始しており、分娩は開始しているが子宮口全開大前の破水であるため。ちなみに、破水とは、卵膜が破れて羊水が子宮外に流出することである。破水は、臍帯脱出や上行感染、胎児機能不全などの原因となり得る。【破水の種類】①前期破水とは、分娩が始まる前の破水のこと、②早期破水とは、分娩開始以降で子宮口全開大前の破水のこと、③適時破水:子宮口全開大に達する頃の破水のことをいう。
3.〇 正しい。分娩第1期である。なぜなら、Aさんは午前9時に陣痛が開始しているが、この時点では子宮口7cm開大であるため。ちなみに、分娩第1期とは、分娩開始(陣痛発来)から子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。
4.× 妊娠高血圧症候群は考えにくい。なぜなら、Aさんの血圧は126/70mmHgであるため。妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

 

 

 

 

 

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8℃、脈拍64/分、血圧126/70mmHgであった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。

110 午後2時30分、Aさんは3,300gの女児を正常分娩した。分娩時の出血量は200mLであった。産褥3日、体温37.0℃、脈拍76/分、血圧118/60mmHgであった。血液データは、Hb11g/dL、Ht35%であった。子宮底の位置は臍下2横指で硬く、赤色の悪露がみられた。乳房は左右とも張り、乳管の開口数は3本ずつで黄色の乳汁が分泌している。乳頭の伸びは少なく児が吸啜するまでに時間がかかっている。
 看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

1.鉄分の多い食事を勧める。
2.子宮底に冷罨法を行う。
3.乳頭のケアを行う。
4.授乳を中止する。

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(36歳、経産婦)
・午後2時30分:3,300gの女児を正常分娩。
・分娩時の出血量:200mL。
・産褥3日:体温37.0℃、脈拍76/分、血圧118/60mmHg。
・血液データ:Hb11g/dLHt35%
・子宮底の位置:臍下2横指で硬く赤色の悪露がみられた
乳房:左右とも張り、乳管の開口数:3本ずつで黄色の乳汁が分泌。
乳頭の伸びは少なく児が吸啜するまでに時間がかかっている
→本症例の評価結果から、異常な所見が分かるようにしておこう。逆に、病名の定義も覚えておくと問題を解くカギとなる。

1.× 鉄分の多い食事を勧めることは最も適切な対応にはあたらない。なぜなら、本症例のHb11g/dL、Ht35%で貧血状態とは言いにくいため。ちなみに、Hbの基準値は、男性は1デシリットルのなかに13.5~18g、女性は11.5~16g程度である。Htの基準値は、男性は40~50%、女性は34~45%が基準値である。
2.× 子宮底に冷罨法を行う優先度は低い。なぜなら、本症例の子宮復古不全を疑う所見はないため。冷罨法は、子宮収縮を促す効果が期待できる。本症例の子宮底の位置は、臍下2横指で硬く、赤色の悪露がみられている状態は正常といえる。ちなみに、子宮復古不全とは、妊娠によって大きくなった子宮が出産を終えて元に戻る過程である子宮復古に異常が起き、通常の子宮収縮が認められない病態である。 原因は、①子宮内に胎盤の一部が残っている場合(子宮内残留)や、②母体疲労によるもの、③胎盤や卵膜の子宮内感染など原因は多岐に渡る。
3.〇 正しい。乳頭のケアを行う。なぜなら、本症例の乳頭の伸びは少なく児が吸啜するまでに時間がかかっているため。授乳に適した乳頭としては、適度に突出して、つきたての餅のように柔らかく、弾力がある状態が望ましい。したがって、乳首が乾燥しているときは保湿して傷がつくのを防ぐことが望ましい。
4.× 授乳を中止する必要はない。なぜなら、本症例の子宮復古も問題なく、乳汁分泌や児の状態も問題ないため。授乳を中止する必要があるときは、感染症の疑いや主治医に止められた場合行う。むしろ、初乳は成乳より蛋白質やミネラル、免疫グロブリンを多く含み、新生児の栄養や免疫の補助に重要な役割を果たす。

子宮復古の状態

・分娩直後:①子宮底長(11~12cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・分娩後12時間:①子宮底長(15cm)、②子宮底の高さ(臍高~臍上1~2横指少し右方に傾く)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・1~2日:①子宮底長(11~17cm)、②子宮底の高さ(臍下1~2横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・3日:①子宮底長(9~13cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・4日:①子宮底長(9~10cm)、②子宮底の高さ(臍と恥骨結合の中央:臍恥中央)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・5日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・6日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・7~9日:②子宮底の高さ(恥骨結合上わずかに触れる)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・10日以降~3週間:②子宮底の高さ(腹壁上より触知不能)、③悪露の色調・におい(黄色・無臭)
・4~6週間:③悪露の色調・におい(白色・無臭)

 

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