第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午前111~115】

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次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8℃、脈拍64/分、血圧126/70mmHgであった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。

111 産褥4日、Aさんの体調は回復し、退院が決定した。夫に連れられて来た長男が赤ちゃんを珍しそうに見ている。Aさんは退院後に長男の退行現象が現れることを心配している。
 Aさんへの説明で適切でないのはどれか。

1.「長男と2人きりになる時間をつくるようにしましょう」
2.「長男と一緒に赤ちゃんのおむつを交換しましょう」
3.「長男にしっかりするように話しましょう」
4.「長男をほめて安心させましょう」

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(36歳、経産婦)
・3,300gの女児を正常分娩。
・産褥4日:Aさんの体調は回復、退院が決定。
・夫に連れられて来た長男が赤ちゃんを珍しそうに見ている。
・Aさんは退院後に長男の退行現象が現れることを心配している。
→退行現象とは、ある程度の発達を遂げた者が、より低い発達段階に「子供がえり」して、未熟な行動をすることをいう。対応として、基本的には、子ども達のこのような問題を、やさしく、しっかりと、受け止める必要がある。

1.〇 正しい。「長男と2人きりになる時間をつくるようにしましょう」と伝える。なぜなら、長男だけと過ごす時間をつくることで、長男に孤独感を抱かせないようできるため。
2.〇 正しい。「長男と一緒に赤ちゃんのおむつを交換しましょう」と伝える。なぜなら、赤ちゃんの世話を手伝ってもらうことで、長男に自然な形で兄の自覚を促せることができるため。
3.× 不適切である。「長男にしっかりするように話しましょう」と伝える必要はない。なぜなら、長男の気持ちを察するのは、親の役割であるため。むしろ、長男の甘えたい気持ちを我慢させることで、長男のストレスが大きくなり、より長男の退行現象が現れる恐れがある。基本的には、子ども達のこのような問題を、やさしく、しっかりと、受け止める必要がある。
4.〇 正しい。「長男をほめて安心させましょう」と伝える。なぜなら、長男をほめることで、長男をしっかり観察・見ていることをアピールできるため。ほめることは長男の存在を認めることにもつながり、長男の情緒的な安定に寄与すると考えられる。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。

112 Aさんに認められるのはどれか。

1.病的酩酊
2.妻との共依存
3.コルサコフ症候群
4.アルコールに対する耐性

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん(42歳、男性)
・内科入院:全身倦怠感、肝機能障害。
・大量飲酒を長期間続け、アルコール依存症が疑われた。
・精神科医が診察:意識清明で見当識障害はなかった
・妻とは不仲。
・半年前:仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた
→アルコール依存症とは、少量の飲酒でも、自分の意志では止めることができず、連続飲酒状態のことである。常にアルコールに酔った状態でないとすまなくなり、飲み始めると自分の意志で止めることができない状態である。最終飲酒後72時間頃までに症状が最も激しくなるのは、アルコール離脱症状である。

【合併しやすい病状】
①離脱症状
②アルコール幻覚症
③アルコール性妄想障害(アルコール性嫉妬妄想)
④健忘症候群(Korsakoff症候群)
⑤児遺性・遅発性精神病性障害 など

1.× 病的酩酊は考えにくい。なぜなら、本症例は、意識清明で見当識障害もないため。病的酩酊とは、アルコール摂取によって興奮や意識障害が起こる異常な酔い方のことである。飲酒中に突然、周囲からは理解不可能な激しい興奮や粗暴な行動を起こし、本人は翌日にそのことを覚えていない(健忘状態)のが特徴である。周囲から見ると理解不可能な言動を繰り返し、幻覚・妄想や状況の根本的な誤認から重大な犯罪に及ぶこともある。
2.× 妻との共依存は考えにくい。なぜなら、本症例と妻は不仲であるため。共依存とは、自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている関係への嗜癖状態を指す。依存症・アディクション(嗜癖:しへき)は、「身体的・精神的・社会的に、自分の不利益や不都合となっているにもかかわらず、それをやめられずに反復し続けている状態」である。
3.× コルサコフ症候群は考えにくい。なぜなら、本症例にコルサコフ症候群(記銘力障害・見当識障害・作話など)の症状がみられないため。ちなみに、コルサコフ症候群とは、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話が特徴的な症状である。ビタミンB1の欠乏による脳障害が原因であり、治療はビタミンB1の投与である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。
4.〇 正しい。アルコールに対する耐性がAさんに認められる。なぜなら、設問文に「朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた」と記述があるため。耐性とは、同様の効果が現れるまでに必要とする量が、初期よりも増えることである。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。

113 入院後2日、夜間にAさんは「壁や布団に虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠らなかった。
 考えられるのはどれか。

1.振戦せん妄
2.アルコール幻覚症
3.レム睡眠行動障害
4.急性アルコール中毒

解答1

解説

本症例のポイント

・Aさん(42歳、男性)
・内科入院:全身倦怠感、肝機能障害。
・大量飲酒を長期間続け、アルコール依存症が疑われた。
入院後2日:夜間に「壁や布団に虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠らなかった。
→本症例は、アルコール依存症の症状である振戦せん妄が疑われる。振戦せん妄とは、アルコール断酒後に起こる離脱症状の一つである。断酒2~3日後には、振戦せん妄が生じる。離脱症状とは、飲酒中止後に生じ、精神的、肉体的な症状を呈する。最終飲酒から数時間後から出現し、20時間後にピークを迎える早期離脱症候群(振戦、自律神経症状、発汗、悪心・嘔吐、けいれん、一過性の幻覚)と最終飲酒後72時間頃から生じ数日間持続する後期離脱症候群(早期離脱症状に加え意識変容を呈したもの、振戦せん妄といわれる。小動物幻視や日頃やり慣れた動作、例えば運転動作を繰り返す、夜間に目立つ)に分けられる。

1.〇 正しい。振戦せん妄と考えられる。なぜなら、Aさんは、精神科医の診察時は意識清明で見当識障害はなかったが、入院して断酒したことによって振戦せん妄が起きたと考えられるため。振戦せん妄とは、アルコール断酒後に起こる離脱症状の一つである。断酒2~3日後には、振戦せん妄が生じる。離脱症状とは、飲酒中止後に生じ、精神的、肉体的な症状を呈する。最終飲酒から数時間後から出現し、20時間後にピークを迎える早期離脱症候群(振戦、自律神経症状、発汗、悪心・嘔吐、けいれん、一過性の幻覚)と最終飲酒後72時間頃から生じ数日間持続する後期離脱症候群(早期離脱症状に加え意識変容を呈したもの、振戦せん妄といわれる。小動物幻視や日頃やり慣れた動作、例えば運転動作を繰り返す、夜間に目立つ)に分けられる。
2.× アルコール幻覚症は考えにくい。なぜなら、アルコール幻覚症は、断酒後12時間から24時間後に現れるため。ちなみに、アルコール幻覚症とは、長期間かつ大量のアルコール摂取により、幻聴被害妄想などを生じる精神障害である。したがって、抗精神病薬(統合失調症治療薬)の投与することが多い。
3.× レム睡眠行動障害は考えにくい。なぜなら、①パーキンソン病にみられやすい症状であることと、症状の不一致があげられるため。ちなみに、レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
4.× 急性アルコール中毒は考えにくい。なぜなら、急性アルコール中毒は、アルコールの摂取中に起こるものであるため。急性アルコール中毒とは、アルコール摂取により一過性に意識障害を生じるものである。他の症状として、顔や全身の紅潮、発汗、動悸、呼吸苦、胸痛、頭痛、めまい、目のかすみ、嘔吐、口渇、脱力感などの中毒症状を起こす。正常な酩酊を単純酩酊(ふつうの酔っ払い)、興奮や幻覚妄想を伴う酩酊を異常酩酊(暴れる酔っ払い)という。

アルコール依存症とは?

アルコール依存症とは、少量の飲酒でも、自分の意志では止めることができず、連続飲酒状態のことである。常にアルコールに酔った状態でないとすまなくなり、飲み始めると自分の意志で止めることができない状態である。最終飲酒後72時間頃までに症状が最も激しくなるのは、アルコール離脱症状である。

【合併しやすい病状】
①離脱症状
②アルコール幻覚症
③アルコール性妄想障害(アルコール性嫉妬妄想)
④健忘症候群(Korsakoff症候群)
⑤児遺性・遅発性精神病性障害 など

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。

114 その後、薬物治療によって興奮は改善した。肝機能も改善し、夜間もよく眠れるようになったため、退院が決定した。
 Aさんに対する退院時の説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.「仕事は辞めましょう」
2.「断酒会に参加しましょう」
3.「集団精神療法を受けましょう」
4.「飲酒しない日を週1日設けましょう」
5.「生活行動を家族に記録してもらいましょう」

解答2/3

解説

本症例のポイント

・Aさん(42歳、男性)
・内科入院:全身倦怠感、肝機能障害。
・大量飲酒を長期間続け、アルコール依存症が疑われた。
入院後2日:夜間に「壁や布団に虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠らなかった。
・その後:薬物治療によって興奮は改善した。
・肝機能も改善、夜間もよく眠れるようになった。
・退院が決定した。
→本症例は、アルコール依存症の退院指導が必要となる。アルコール依存症の集団精神療法では、自己の飲酒問題を認め、断酒の継続を行うことが治療上極めて有効である。自助グループ(セルフヘルプグループ、当事者グループ)に、同じ問題や悩みを抱える者同士が集まり、自分の苦しみを訴えたり、仲間の体験談を聞いたりすることで問題を乗り越える力を養っていく。断酒継続のための自助グループ(当事者グループ)としてよく知られているものに、断酒会とAA(Alcoholics Anonymous:アルコール依存症者匿名の会)がある。断酒会は日本独自のもので、参加者は実名を名乗り、家族の参加も可能である。AAはアメリカで始まり、世界各地にある。匿名で参加し、家族は原則として同席しない。

1.× 「仕事は辞めましょう」と伝える必要はない。なぜなら、本症例がどのような仕事をしているか?どんな能力が必要か?など評価できていないため。むしろ、断酒が継続できれば仕事を続けることは可能である。患者の人生にかかわる大きな決断を看護師の判断で決めるべきではない。
2.〇 正しい。「断酒会に参加しましょう」と退院時の説明する。なぜなら、断酒会に参加することで、同じ体験や気持ちを話し聞き、共感できる仲間づくりができ、お互いが支え合い断酒の継続につながるため。断酒会とは、アルコール依存症者が集まり、体験の共有や苦しみを分かち合うなどとして依存症を克服することを目的とした取り組みである。
3.〇 正しい。「集団精神療法を受けましょう」と退院時の説明する。なぜなら、集団精神療法に参加することで、同じ体験や気持ちを話し聞き、共感できる仲間づくりができ、でお互いが支え合い断酒の継続につながるため。集団精神療法とは、「言葉によるやりとりや自己表現の手法等により、集団内の対人関係の相互作用を用いて、対人場面での不安や葛藤の除去、患者自身の精神症状や問題行動に関する自己洞察の深化、対人関係の習得等をもたらすことにより、病状の改善を図る治療法」である。
4.× 「飲酒しない日を週1日設けましょう」と伝える必要はない。なぜなら、ルコール依存症の治療は断酒であるため。再発防止のため、週に1回の断酒日ではなく、完全に断酒しなければならない。
5.× 「生活行動を家族に記録してもらいましょう」と伝える必要はない。なぜなら、本人の自立心をそぐ結果につながりかねないため。また、家族への負担が増すことと、家族から管理されているとの不満が家族と患者の関係の悪化を招く要因ともなる。したがって、生活行動を記録するのは、「家族」ではなく本人である。

 

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症<ALS>の確定診断を受けた。夫(50歳)と長女(16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。

115 夫に対する訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。

1.「食事の介助に時間をかけましょう」
2.「胃瘻からの栄養量を増やしましょう」
3.「介助方法に問題があるかもしれません」
4.「嚥下食の宅配サービスを頼んでみましょう」
5.「飲み込みの状態に応じた食事を一緒に考えましょう」

解答5

解説

本症例のポイント

・Aさん(42歳、女性、2年前に筋萎縮性側索硬化症<ALS>)
・自宅:夫(50歳)と長女(16歳)と過ごす。
・Aさん「なるべく口から食べるようにしたい」と。
・食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。
・要介護2:訪問看護および訪問介護を利用。
食事の介助を行う夫から訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と。
→本症例は、筋萎縮性側索硬化症である。嚥下がうまくできない原因は、さまざまな要因が考えられる。例えば、介助方法だけでなく、食事の形態や病気の進行具合なども考えられる。筋萎縮性側索硬化症は進行性の病気であるため、そのときの身体能力や状態に応じて、介助が必要になる。

【嚥下の過程】
①先行期・・・飲食物の形や量、質などを認識する。
②準備期・・・口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
③口腔期・・・飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
④咽頭期・・・飲食物を咽頭から食道に送り込む。
⑤食道期・・・飲食物を食道から胃に送り込む。

1.× 「食事の介助に時間をかけましょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、夫から「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と言っていることから、さまざまな要因が考えられるため。もし、夫の言うように介助方法が良くない場合でも、飲み込みは嚥下の過程の「口腔期」に該当するため、夫やAさんの体力や介助負担が増えるだけと考えられる。
2.× 「胃瘻からの栄養量を増やしましょう」と伝える必要はない。なぜなら、胃瘻からの栄養量を増やす指示は、看護師ではなく医師の判断で行うため。
3.× 「介助方法に問題があるかもしれません」と伝える必要はない。なぜなら、本症例の嚥下がうまくできない原因は、実際に、夫の介助方法を確認していないため。夫の言うように介助方法が良くない場合でも、飲み込みは嚥下の過程の「口腔期」に該当するため、飲み込み(嚥下)と介助にはあまり関連性は低い。ちなみに、嚥下とは、口から胃まで食物などを運ぶことを飲み込みといい、口腔期から食道期までの動作を指すことが多い。
4.× 「嚥下食の宅配サービスを頼んでみましょう」と伝える必要はない。なぜなら、嚥下食の宅配サービスを希望しているような発言はないため。まずは、夫が「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と言っていることから、実際の夫の介助方法とAさんの嚥下の様子を観察して、アドバイスなり実際の行動に移した方が良い。
5.〇 正しい。「飲み込みの状態に応じた食事を一緒に考えましょう」と伝える。なぜなら、実際の夫の介助方法とAさんの嚥下の様子を観察することができるため。筋萎縮性側索硬化症は進行性の病気であるため、そのときの身体能力や状態に応じて、介助が必要になる。

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

 

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