第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午後26~30】

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26 耳の感覚器と刺激との組合せで正しいのはどれか。

1.蝸牛管:頭部の回転
2.球形囊:頭部の傾き
3.半規管:鼓膜の振動
4.卵形囊:骨の振動

解答2

解説

(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)

聴覚について

聴覚刺激は、内耳のラセン器で受容され、双極細胞の末梢性突起を経て、中枢性突起に伝えられる。そして蝸牛神経として橋に入り、蝸牛神経核に達し、ニューロンを交代する。蝸牛神経核から起こる繊維が交差し台形体をつくる。その後、外側毛帯となり橋の背側部を上行→中脳下丘→視床後端にある内側膝状体に至る。ここで中継され、内包後脚のレンズ下部を通り、側頭葉の聴覚野(上側頭回の上面)に達する。

1.× 蝸牛管は、「頭部の回転」ではなく、音を感知するコルチ器(聴覚を司る感覚器官)である。コルチ器とは、内耳の蝸牛にあり、聴覚に関与する。コルチ器の有毛細胞は、音の振動に対して有毛細胞が動くことで音を感知する。コルチ器官は、聴覚の受容器細胞である有毛細胞と複数の支持細胞で構成される。ちなみに、蝸牛とは、中耳から伝えられた音波を感じとり、それがどのような音であったかを分析して、聴神経(蝸牛神経)を通して脳へ伝える役割を持つ。
2.〇 正しい。球形囊は、垂直方向の頭部の傾きを感知する器官である。球形嚢は、耳石器の一つで、内壁には平衡覚を受ける平衡斑がある。
3.× 半規管は、「鼓膜の振動」ではなく、平衡感覚(頭部の回転加速度)を受容する。三半規管とは、①外側半規管、②前半規管、③後半規管の3つの半規管の総称である。すべての半規管は、頭が回転するときの方向と速さを感知する役割があり、外側半規管は水平回転(左右、 横方向の回転)、前半規管と後半規管は垂直回転 (上下、縦方向の回転)を感じ取る。
4.× 卵形囊は、「骨の振動」ではなく、水平方向の頭部の傾きを感知する器官である。卵形囊とは、耳石器の一つで、内壁には平衡覚を受ける平衡斑がある。卵形嚢は、球形嚢と連携し、重力(垂直加速度)に反応する。

(※画像引用:やまだカイロプラクティック院様)

 

 

 

 

 

27 血液型で正しいのはどれか。

1.日本人の15%はRh(-)である。
2.A型のヒトの血漿には抗B抗体がある。
3.B型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原がある。
4.Coombs<クームス>試験でABO式の血液型の判定を行う。

解答2

解説

1.× 「日本人」ではなく、白人の15%はRh(-)である。ちなみに、日本人ではRh(-)は0.5%である。ちなみに、Rh(-)とは、輸血などの際に強い影響を与えるD抗原を持たない血液型である。したがって、血液型不適合による反応が起こるのは、母親がRh(-)で授かった子供(胎児)がRh(+)の場合です。
2.〇 正しい。A型のヒトの血漿には抗B抗体がある。A型のヒトの赤血球膜にはA抗原、血漿には抗B抗体がある。また、A型のヒトの血漿には抗B抗体があるが、これは生後3~6ヵ月から産生され始める。一方、B型のヒトの血漿には抗A抗体が、O型のヒトの血漿には両方の抗体がある。AB型のヒトの血漿にはこれらの抗体がない。
3.× B型のヒトの赤血球膜表面には、「A抗原」ではなくB抗原がある。B型のヒトの血漿には抗A抗体がある。ちなみに、A型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原が、AB型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原とB抗原がある。O型のヒトの赤血球はこれらの抗原をもたない。
4.× ABO式の血液型の判定を行うのは、「Coombs<クームス>試験で」ではなくオモテ試験ウラ試験である。ちなみに、Coombs<クームス>試験では、抗免疫グロブリン抗体を用いて赤血球の細胞膜に免疫グロブリンが結合しているかを調べる。つまり、自己免疫性溶血性貧血の検査である。

ABO式血液型におけるオモテ検査とウラ検査

ABO式血液型の検査には、オモテ試験とウラ試験があり、2つの検査を必ず行います。

オモテ試験では、赤血球を使って検査を行います。赤血球に抗A抗体(A型あるいはAB型と反応する、あるいは抗B抗体(B型あるいはAB型と反応する)を加えて、赤血球が凝集(赤血球が塊を作る)するかを肉眼的に判定します。凝集があれば反応陽性と判定します。また、ウラ試験では、血清(血液のうち血液細胞以外の液体部分)を使って検査を行います。血清に標準赤血球(血液型判定用のA型あるいはB型の赤血球)を加えて、赤血球が凝集するかを判定します。A型ではB型赤血球と反応し。B型ではA型赤血球と反応します。O型では両者の赤血球と反応し、AB型ではどちらとも反応しません。

ABO式血液型の決定には、オモテ試験とウラ試験の検査結果が一致することが重要です。結果が一致しない場合にはいろいろな原因が考えられますので、血液型の判定は保留して精査が必要になります。Rh式血液型検査では、オモテ試験と同様に赤血球を使って検査を行います。抗D抗体(D因子と反応する)と反応した場合、Rh陽性と判定します。(※「血液型の検査について」著:日本臨床検査専門医会 窪田 良次)

 

 

 

 

 

28 胃酸の分泌を抑制するのはどれか。

1.アセチルコリン
2.ガストリン
3.セクレチン
4.ヒスタミン

解答3

解説

1.× アセチルコリンは、胃酸の分泌を促進する。アセチルコリンは、副交感神経から分泌され、胃壁細胞のムスカリン受容体に結合して胃酸を分泌させる。ちなみに、アセチルコリンとは、代表的な神経伝達物質であり、①運動神経の神経筋接合部、②交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで放出される。アセチルコリンは、中枢神経で働く場合と末梢神経で働く場合で作用が異なる。①運動神経の神経筋接合部では、筋収縮に作用する。
2.× ガストリンは、胃酸の分泌を促進する。ガストリンとは、胃幽門前庭部と十二指腸上部のG細胞から分泌され、胃酸・ペプシノーゲンの分泌促進や胃運動促進の作用がある。一方、セクレチンは、十二指腸のS細胞から分泌される。胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。
3.〇 正しい。セクレチンは、胃酸の分泌を抑制する。セクレチンとは、消化管ホルモンのひとつで、十二指腸のS細胞から分泌され、胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。
4.× ヒスタミンは、胃酸の分泌を促進する。ヒスタミンとは、アレルギー様症状を呈する化学物質である。組織周辺の肥満細胞や血中の好塩基球がアレルギー反応の際に分泌される。血圧降下血管透過性亢進、血管拡張作用がある。胃壁細胞のヒスタミン受容体に結合して胃酸を分泌させる。

 

 

 

 

 

29 腎臓について正しいのはどれか。

1.腹腔内にある。
2.左右の腎臓は同じ高さにある。
3.腎静脈は下大静脈に合流する。
4.腎動脈は腹腔動脈から分かれる。

解答3

解説

(※図引用:「イラストボックス様」より)

1.× 腹腔内にない。腎臓は、壁側腹膜の後ろにある後腹膜臓器(腹膜後器官)である。ちなみに、腎臓の他に尿管・膀胱などの尿路はすべて後腹膜腔にある。ちなみに、後腹膜臓器とは、後腹壁の壁側腹膜に接する領域に位置する器官のことである。腹膜後器官:①十二指腸、②腎臓、③副腎、④膵臓、⑤尿管、⑥腹大動脈、⑦下大静脈、⑧胸管、⑨乳び槽など
2.× 左右の腎臓は、同じ高さではない。右側の腎臓は、一般的に左側よりもやや低い位置にある。なぜなら、右側の腎臓の頭側に肝臓があるため。
3.〇 正しい。腎静脈(左右ともに)は下大静脈に合流する。ちなみに、左より右のほうが腎静脈は短く、通常1本であるが、個人差があり2~3本の腎静脈を認めることもある。左精巣(卵巣)静脈は、腎静脈を経て流入する。
4.× 腎動脈は、「腹腔動脈」ではなく、腹部大動脈(左右ともに)から分かれる。腎静脈と同様、通常左右1本ずつであるが、個人差があり2~3本を認めることもある。

下大静脈に直接流入するのは主に下半身(横隔膜以下の部)の静脈血

具体的には・・・
①肝静脈
②腎静脈
③右精巣(卵巣)静脈
④腰静脈
⑤総腸骨静脈
※左精巣(卵巣)静脈は、腎静脈を経て流入する。

 

 

 

 

 

30 アポトーシスで正しいのはどれか。

1.群発的に発現する。
2.壊死のことである。
3.炎症反応が関与する。
4.プログラムされた細胞死である。

解答4

解説

細胞死とは?

ネクローシスとは、外部からの高度な傷害により細胞が破壊されて自己融解する病的・受動的な死のことである。壊死ともいい、局所の組織の不可逆的な障害による細胞死をさし、アポトーシスと完全に区別される。

アポトーシスとは、発生段階などで生理的に生じる自発的な死がある。つまり、プログラムされた細胞死である。生体内のマクロファージに食べられる(apoptosis:アポプトーシス)。多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のこと。

1~3.× 群発的に発現する/壊死のことである/炎症反応が関与するのは、ネクローシスである。群発とは、短い期間内に、同時的に発生することである。ネクローシスとは、外部からの高度な傷害により細胞が破壊されて自己融解する病的・受動的な死のことである。壊死ともいい、局所の組織の不可逆的な障害による細胞死をさし、アポトーシスと完全に区別される。
4.〇 正しい。プログラムされた細胞死であるのは、アポトーシスである。アポトーシスとは、発生段階などで生理的に生じる自発的な死がある。つまり、プログラムされた細胞死である。

 

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