第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午後41~45】

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41 病棟での医薬品の管理で正しいのはどれか。(※解答なし)

1.生ワクチンは常温で保存する。
2.溶解した薬剤は冷凍保存する。
3.劇薬は施錠できる場所に保管する。
4.アンプルに残った麻薬注射液は廃棄する。

解答(※解答なし:採点対象から除外)
理由:選択肢に正解がないため。

解説

麻薬及び向精神薬取締法とは?

麻薬及び向精神薬取締法とは、麻薬と向精神薬の乱用を防止し、中毒者に必要な医療を行うなどの措置を講じ、生産や流通について必要な規制を執り行うことによって、公共の福祉の増進を図ることを目的としている日本の法律である。

・麻薬:他の薬と分けて固定した金庫に鍵が必要。
・毒薬:他の薬と分けて鍵が必要。
・劇薬:他の薬と分ける必要があるが、鍵は不要。
・抗精神病薬:盗まれないように。できない場合は鍵が必要。

1.× 生ワクチンは「常温」ではなく、種類に応じて冷蔵または冷凍で保存する。
2.× 溶解した薬剤は、「冷凍保存」ではなく、それぞれ適切な保管方法があり、必ずしも冷凍保存するといえない。
3.× 施錠できる場所に保管するのは、「劇薬」ではなく、毒薬である。『医薬品医療機器等法第48条(※参考:e-GOV法令検索様HPより)』において、「劇薬や毒薬は他の物と区別して、貯蔵・陳列しなければならない」とされている。施錠管理が義務とされているのは、毒薬のみである。
4.× アンプルに残った麻薬注射液は、廃棄してはならない。なぜなら、『麻薬及び向精神薬取締法(※参考:e-GOV法令検索様HPより)』により、「アンプルはすべて麻薬管理者に返却しなければならず、勝手に廃棄してはならない」と規定されているため。ちなみに、麻薬管理者とは、都道府県知事の免許を受けて、麻薬診療施設で施用され、又は施用のため交付される麻薬を業務上管理する者をいう。

医薬品医療機器等法とは?

医薬品医療機器等法とは、日本における医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品に関する運用などを定めた法律である。品質、有効性、安全性を確保することなどにより、保健衛生の向上を図ることを目的としている。

 

 

 

 

 

42 不安の強い入院患者に対し問題中心の対処を促す方法で適切なのはどれか。

1.読書をして気分転換を促す。
2.原因に気付くように支援する。
3.平常な気持ちを保つように助言する。
4.家族に不満を聞いてもらうことを勧める。

解答2

解説

問題中心の対処とは?

問題志向のコーピング(問題焦点型コーピング)は、ラザルス,S.R,が提唱した心理的ストレスへの対処方法のひとつである。問題中心の対処とは、問題を明確化して、問題そのものを解決しようとすることを指し、「問題焦点型コーピング」と呼ばれる。一方、気晴らしなどで情動を軽減することは、「情動焦点型コーピング」と呼ばれる。

1.3~4.× 読書をして気分転換を促す/平常な気持ちを保つように助言する/家族に不満を聞いてもらうことを勧めるのは、「情動焦点型コーピング」である。気晴らしなどで情動(気分転換、気持ち、不満)を軽減することは、「情動焦点型コーピング」と呼ばれる。
2.〇 正しい。原因に気付くように支援することは、不安の強い入院患者に対し問題中心の対処を促す方法といえる。問題中心の対処とは、問題を明確化して、問題そのもの(原因)を解決しようとすることを指し、「問題焦点型コーピング」と呼ばれる。

 

 

 

 

 

43 セルフケア行動を継続するための支援で適切なのはどれか。

1.看護師が患者の目標を設定する。
2.目標は達成が容易でない水準にする。
3.行動の習慣化が重要であることを伝える。
4.これまでの経験は忘れて新たな方法で取り組むよう促す。

解答3

解説

セルフケアとは?

セルフケアは、オレムが提唱した。オレムは「セルフケアとは、個人が生命、健康、安寧を維持するために自分自身で開始し、遂行する諸活動の実践である」と定義している。オレムは、とくに疾病にかかった患者のみでなく、人々が生きるために日々みずからおこなう実践活動すべてをセルフケアとしている。

自己効力感とは?

自己効力感(セルフエフィカシー)とは、自分が行動しようと思っていること、変えようと思っている生活習慣などに対し、うまく達成できるという自信や確信のこと、自己効力感の理論はライフスタイル改善のプログラムに活用される。自己効力感を高める要因として、①成功体験、②代理的体験、③言語的説得、④生理的・情緒的状態(情緒的高揚)が挙げられる。

成功体験:例えば禁煙できた日をカレンダーに一日ずつ×を書いていき、「1週間禁煙できた」と自信をつけること。
②代理的体験:同じような状況にある他者が目標を達成している様子から「自分にもできそうだ」と思うこと。
③言語的説得:自分自身や周囲の人からの言語的な賞賛や励ましのこと。
④生理的・情緒的状態(情緒的高揚):行動の変化を促すような情報に触れ気づきを得ることで行動変容への関心をもつこと。例えば、タバコを吸わなくなってから「イライラしにくくなったきがするな」と気づきをえることで、行動がさらに変わっていくことである。

1.× 「看護師」ではなく、患者自身が患者の目標を設定する。オレムは「セルフケアとは、個人が生命、健康、安寧を維持するために自分自身で開始し、遂行する諸活動の実践である」と定義している。
2.× 目標は達成が「容易でない水準」ではなく、実践しやすく達成しやすい水準にする。なぜなら、達成が容易でない水準の場合、挫折する可能性が高いため。実践しやすく達成しやすい水準で、自己効力感を高めることが重要である。
3.〇 正しい。行動の習慣化が重要であることを伝える。なぜなら、変化ステージ理論において、人が行動(生活習慣)を変える場合は、維持期:6か月以上行動を継続している時期であるため。
4.× 「これまでの経験は忘れて新たな方法」で取り組むよう促す必要はない。なぜなら、セルフケアとは、自分自身で行う健康維持や病気予防のための心身のケアであるため。したがって、セルフケアはこれまでの経験を資源としていくことが望ましい。

変化ステージ理論とは?

変化ステージ理論(行動変容ステージモデル)とは、人の健康行動の変容や維持について示された理論である。1980年代前半に禁煙の研究から導かれたモデルであり、いろいろな健康(食事や運動、筋炎)に関する行動について幅広く研究と実践が進められた。行動変容ステージモデルでは、人が行動(生活習慣)を変える場合は、「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えられている。

無関心期:行動変容を考えていない時期であるため支援策として、知識・情報の提供、問題点の指摘があげられる。
関心期:行動変容を考えているが実行していない時期であるため、動機づけが大切である。
準備期:すぐ始める意思がある時期もしくは独自の方法でも何かしら行っている時期であるため行動案の提示・目標設定などの計画支援を行う。
実行期:望ましい行動を起こした時期であるため、行動実践の意欲強化と報酬づけ環境調整していく。
維持期:6か月以上行動を継続している時期であるため、維持のためのサポートを継続する。

(参考:「行動変容ステージモデル」厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトより)

 

 

 

 

 

44 Aさん(43歳、男性)は、胆道狭窄のため内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>検査を受けた。検査後に心窩部痛が出現したため、禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬による治療が行われている。
 翌日実施した血液検査の項目でAさんに生じている合併症を判断できるのはどれか。

1.アミラーゼ
2.アルブミン
3.クレアチニン
4.クレアチンキナーゼ

解答1

解説

本症例のポイント

・Aさん(43歳、男性、胆道狭窄
・内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>検査を受けた。
・検査後:心窩部痛が出現。
・治療:禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬。
→本症例は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>検査後、心窩部痛が出現がみられたことから、急性膵炎が生じていることが考えられる。

内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、内視鏡を口から入れて食道・胃を通り、十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接細いカテーテル(チューブ)を挿入し造影剤を注入してレントゲン写真を撮影することで、胆道及び膵管の異常(胆管癌の診断や閉塞性黄疸の治療、早期膵癌の診断など)を詳しく調べる検査である。合併症としては急性膵炎、胆管炎、穿孔、出血などがある。急性膵炎が最も高頻度にみられるが、全体として見ても合併症の発生頻度は0.4~1.5%とされている。

1.〇 正しい。アミラーゼは、翌日実施した血液検査の項目でAさんに生じている合併症を判断できる。なぜなら、本症例は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>検査後、心窩部痛が出現がみられたことから、急性膵炎が生じていることが考えられるため。急性膵炎は、臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼリパーゼの血中濃度)が上昇する。ちなみに、アミラーゼとは、でんぷんを分解して糖にする酵素である。体内では主に、膵臓、耳下腺(唾液腺)から分泌される。
2.× アルブミンとは、肝臓で作られるたんぱく質で、肝臓や栄養状態の指標となる。血清総蛋白の60%程度を占め肝臓で生成される。アルブミンが低値の場合は、低栄養状態、がん、 肝硬変など、一方で高値の場合は、脱水により血管内の水分が減少し、濃縮効果によることが考えられる。
3.× クレアチニンとは、筋肉を動かすためのエネルギーを使った後に出てくる老廃物の一つで、体にとって不要なもので、尿として体の外に出す必要がある。本来は、尿素窒素と同様に腎臓の糸球体で濾過され尿中に排泄されるが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減少し、血液中にクレアチニンが溜まる。
4.× クレアチンキナーゼとは、骨格筋・心筋・脳などの損傷の程度を推測する指標である。筋肉細胞に含まれており、筋肉細胞の障害により高クレアチンキナーゼ血症となる。発症時の自覚症状としては、筋痛・しびれ・腫脹が生じ、筋壊死の結果として脱力・赤褐色尿(ミオグロビン尿)が生じ、腎不全症状が加わると無尿・乏尿・浮腫が生じる。

急性膵炎とは?

急性膵炎とは、膵臓の突然の炎症で、軽度のものから生命を脅かすものまであるが、通常は治まる。主な原因は、胆石とアルコール乱用である。男性では50歳代に多く、女性では70歳代に多い。症状として、飲酒・過食後に左上腹部痛・心窩部痛が発症する。悪心・嘔吐、悪寒、発熱、背部への放散痛もみられ、腹痛はアルコールや脂質の摂取で増悪する。
検査:膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼリパーゼの血中濃度)が上昇する。
【治療】
軽症例:保存療法(禁食、呼吸・循環管理、除痛 等)
重症例:集中治療[臓器不全対策、輸液管理、栄養管理(早期経腸栄養)、感染予防、腹部コンパートメント症候群対策]

(※参考:「急性膵炎」MSDマニュアル家庭版より)

 

 

 

 

 

45 維持血液透析中の看護で適切なのはどれか。

1.シャント肢を抑制する。
2.室温を18℃に設定する。
3.筋肉のけいれんの出現に注意する。
4.患者が吐き気を感じたら座位にする。

解答3

解説

血液透析とは?

血液透析とは、1週間に2~3回の通院をして、3~4時間の治療を受ける必要がある。血液透析は、シャント肢から十分な血流を保ちながら体外循環を行い、体液量や電解質濃度を是正するとともに尿毒素などの血液浄化を行う治療である。治療中、除水量が多いと循環動態に影響を及ぼしたり、血液中の電解質に急激な変化が生じたりすることがある。【透析治療の合併症】①不均衡症候群、②高血圧(透析開始時)、③低血圧、④貧血、⑤感染症、⑥二次性副甲状腺機能障害、⑦アミロイド骨関節症、⑧高カリウム血症など。

血液透析が必要となる最も多い理由は、腎臓が血液から老廃物を十分にろ過できなくなること(腎不全:糖尿病性腎症)である。ちなみに、慢性腎不全とは、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要である。
①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなど。
②食事療法:十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リンの制限。

1.× シャント肢を抑制する必要はない。なぜなら、シャント肢を抑制すると、圧迫され血流が滞るため。
2.× 室温は、「18℃」ではなく適温(26℃前後)に設定する。なぜなら、透析患者は、自律神経機能の低下を伴っていることも多く、体温調節機能が低下しやすく、夏は暑く、冬は寒さを感じやすいため。ちなみに、湿度50%以上が望ましい。
3.〇 正しい。筋肉のけいれんの出現に注意する。なぜなら、透析治療の合併症に注意する必要があるため。特に、血液透析中は、不均衡症候群に注意する必要がある。不均衡症候群とは、透析導入期にみられやすい合併症で、症状は透析中から透析終了後12時間以内に起こる頭痛、吐気・嘔吐、筋肉のけいれん、全身の脱力感、意識障害などが起こる。透析により血液中の尿毒素は取り除かれるが、尿毒素が除かれにくい脳との間に濃度差が生じるために起こると考えられている。
4.× 患者が吐き気を感じたら、「座位」ではなく背臥位(下肢挙上)にする。なぜなら、頭部への血液循環を維持するため。血液透析中は、不均衡症候群に注意する必要がある。これは、尿毒素が除かれにくい脳との間に濃度差が生じるために起こると考えられている。

 

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