【12問】血液についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

・まとめてもらいたい問題や希望、漏れがあったらコメントください。

・当HPに「キーワード検索」の機能がありますので、そちらも積極的にお使いください。

105回 午前

72 Aさん(60歳、男性)は、胃癌の手術目的で入院した。大動脈弁置換術を受けた既往があり、内服していたワルファリンをヘパリンに変更することになった。
 確認すべきAさんの検査データはどれか。

1.PT-INR
2.赤血球数
3.白血球数
4.出血時間
5.ヘモグロビン値

解答1

解説

本症例のポイント

・Aさん(60歳、男性、胃癌)
・入院:胃癌の手術目的
・既往:大動脈弁置換術
・ワルファリンをヘパリンに変更。
→ヘパリンとは、血液凝固阻止剤で、抗凝固といって、血液を固まりにくくする作用がある。ヘパリン製剤はそのほかの抗血栓薬と比較すると作用半減期が3〜6時間ととても短く、また拮抗薬もあるので、術直前まで投与が可能という理由からヘパリンが選択されている。したがって、医療現場では、血栓塞栓症の防止や治療、カテーテル挿入時の血液凝固防止などにも用いられる。

1.〇 正しい。PT-INRを確認すべきである。なぜなら、PT-INRとは、PT(プロトロンビン時間)の成績表記のひとつで、血液凝固系の検査で、出血傾向のスクリーニング検査、血液凝固障害の検査、の指標として使われるため。被験者から採取した血液が凝固するまでにどれほどの時間がかかったのかを測定する。正常値は 0.85~1.15(約1)で、血液凝固阻止剤を飲むと上昇し、内服をやめると下がる。
2.× 赤血球数は、確認すべき検査データとはいえない。赤血球とは、その内部にヘモグロビンを有しており、全身の組織へ酸素を運搬する機能を持つ。へモグロビン(Hb)の基準値として、男性14~18g/dL、女性12~16g/dLである。減少すると「貧血」を起こす。
3.× 白血球数は、確認すべき検査データとはいえない。白血球とは、血液中の細胞で、身体への異物の侵入から身体を守る働きがあり、病原菌や異物を取り込んで消化する免疫細胞である。好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球がある。
4.× 出血時間は、確認すべき検査データとはいえない。出血時間は、血小板数や血小板機能を反映している。ちなみに、人間が微細な怪我によって出血した場合に、その出血が自然に止まるまでの標準的な時間(出血時間)は『3分以内』とされている。
5.× ヘモグロビン値は、確認すべき検査データとはいえない。血中ヘモグロビンとは、血液中に含まれるヘモグロビンの量のことで、血色素量とも呼ばれる。貧血の指標として用いられる。

 

 

 

105回 午後

15 貧血の診断に用いられるのはどれか。

1.血糖値
2.尿酸値
3.C反応性蛋白値
4.ヘモグロビン濃度

解答4

解説

1.× 血糖値は、主に糖尿病の診断に用いられる。血糖値とは、血液内のグルコースの濃度である。健常なヒトの場合、空腹時血糖値はおおよそ80~100mg/dL程度であり、食後は若干高い値を示す。
2.× 尿酸値は、主に高尿酸血症(痛風)の診断に用いられる。ちなみに、痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
3.× C反応性蛋白値(CRP)は、主に炎症反応の指標として用いられる。C反応性蛋白値(CRP)とは、体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、血液中に蛋白質の一種であるC-リアクディブ・プロテイン(CRP)をさす。 正常な血液のなかにはごく微量にしか見られないため、炎症の有無を診断するのにこの検査が行われる。
4.〇 正しい。ヘモグロビン濃度は、貧血の診断に用いられる。ヘモグロビン(Hb)とは、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。ヘモグロビンの値が、男性は13g/dl以下、女性は11g/dl以下になると、「貧血」と診断される。

 

 

 

105回 午後

44 Aさん(43歳、男性)は、胆道狭窄のため内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>検査を受けた。検査後に心窩部痛が出現したため、禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬による治療が行われている。
 翌日実施した血液検査の項目でAさんに生じている合併症を判断できるのはどれか。

1.アミラーゼ
2.アルブミン
3.クレアチニン
4.クレアチンキナーゼ

解答1

解説

本症例のポイント

・Aさん(43歳、男性、胆道狭窄
・内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>検査を受けた。
・検査後:心窩部痛が出現。
・治療:禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬。
→本症例は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>検査後、心窩部痛が出現がみられたことから、急性膵炎が生じていることが考えられる。

内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、内視鏡を口から入れて食道・胃を通り、十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接細いカテーテル(チューブ)を挿入し造影剤を注入してレントゲン写真を撮影することで、胆道及び膵管の異常(胆管癌の診断や閉塞性黄疸の治療、早期膵癌の診断など)を詳しく調べる検査である。合併症としては急性膵炎、胆管炎、穿孔、出血などがある。急性膵炎が最も高頻度にみられるが、全体として見ても合併症の発生頻度は0.4~1.5%とされている。

1.〇 正しい。アミラーゼは、翌日実施した血液検査の項目でAさんに生じている合併症を判断できる。なぜなら、本症例は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>検査後、心窩部痛が出現がみられたことから、急性膵炎が生じていることが考えられるため。急性膵炎は、臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼリパーゼの血中濃度)が上昇する。ちなみに、アミラーゼとは、でんぷんを分解して糖にする酵素である。体内では主に、膵臓、耳下腺(唾液腺)から分泌される。
2.× アルブミンとは、肝臓で作られるたんぱく質で、肝臓や栄養状態の指標となる。血清総蛋白の60%程度を占め肝臓で生成される。アルブミンが低値の場合は、低栄養状態、がん、 肝硬変など、一方で高値の場合は、脱水により血管内の水分が減少し、濃縮効果によることが考えられる。
3.× クレアチニンとは、筋肉を動かすためのエネルギーを使った後に出てくる老廃物の一つで、体にとって不要なもので、尿として体の外に出す必要がある。本来は、尿素窒素と同様に腎臓の糸球体で濾過され尿中に排泄されるが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減少し、血液中にクレアチニンが溜まる。
4.× クレアチンキナーゼとは、骨格筋・心筋・脳などの損傷の程度を推測する指標である。筋肉細胞に含まれており、筋肉細胞の障害により高クレアチンキナーゼ血症となる。発症時の自覚症状としては、筋痛・しびれ・腫脹が生じ、筋壊死の結果として脱力・赤褐色尿(ミオグロビン尿)が生じ、腎不全症状が加わると無尿・乏尿・浮腫が生じる。

急性膵炎とは?

急性膵炎とは、膵臓の突然の炎症で、軽度のものから生命を脅かすものまであるが、通常は治まる。主な原因は、胆石とアルコール乱用である。男性では50歳代に多く、女性では70歳代に多い。症状として、飲酒・過食後に左上腹部痛・心窩部痛が発症する。悪心・嘔吐、悪寒、発熱、背部への放散痛もみられ、腹痛はアルコールや脂質の摂取で増悪する。
検査:膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼリパーゼの血中濃度)が上昇する。
【治療】
軽症例:保存療法(禁食、呼吸・循環管理、除痛 等)
重症例:集中治療[臓器不全対策、輸液管理、栄養管理(早期経腸栄養)、感染予防、腹部コンパートメント症候群対策]

(※参考:「急性膵炎」MSDマニュアル家庭版より)

 

 

 

109回 午前

13 貧血を診断する際の指標となる血液検査項目はどれか。

1.アルブミン (Alb)
2.ヘモグロビン (Hb)
3.フィブリノゲン
4.プロトロンビン時間 (PT)

解答2

解説

貧血の定義

貧血とは、「単位容積の血液中に含まれているヘモグロビン(Hb)量が基準値より減少した状態」と定義している。基準値を、小児および妊婦では血液100mLあたり11g未満、思春期および成人女性では12g未満、成人男性では13g未満と定めている。

1.× アルブミンとは、肝臓で作られるたんぱく質で、肝臓栄養状態の指標となる。血清総蛋白の60%程度を占め肝臓で生成される。アルブミンが低値の場合は、低栄養状態、がん、 肝硬変など、一方で高値の場合は、脱水により血管内の水分が減少し、濃縮効果によることが考えられる。
2.〇 正しい。ヘモグロビンは、貧血を診断する際の指標となる。ヘモグロビンとは、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。ヘモグロビンの値が、男性は13g/dl以下、女性は11g/dl以下になると、「貧血」と診断される。
3.× フィブリノゲンとは、血漿タンパクの一つであり、凝固因子の活性化によってフィブリンとなり、血液を凝固させる働きを持つ。増加した場合、血漿の粘稠度が上昇し血栓形成傾向を示す。 一方、低値の場合、播種性血管内凝固症候群(DIC)と肝機能障害が疑われる。
4.× プロトロンビン時間とは、血液の凝固因子に関する指標の一つ。外因系及び共通系の凝固異常を判定する検査指標として用いられる。基準値は9.5〜12.0秒とされており、これを大きく超える場合には凝固因子の先天的な欠乏症や異常症、ビタミンKの不足や吸収障害、肝硬変をはじめとする肝障害などが疑われる。

播種性血管内凝固症候群とは?

播種性血管内凝固症候群〈DIC〉とは、小さな血栓が全身の血管のあちこちにできて、細い血管を詰まらせる病気である。血液凝固が増加することで出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度の出血を引き起こす。感染、手術、出産時の合併症など、考えられる原因はいくつかある。妊娠高血圧症候群性の常位胎盤早期剥離では播種性血管内凝固症候群〈DIC〉を発生することが多い。

 

 

 

109回 午後

81 健常な成人において、血液中のグルコース濃度が低下した時に、グルカゴンの働きでグリコゲンを分解してグルコースを生成し、血液中に放出するのはどれか。

1.肝臓
2.骨格筋
3.脂肪組織
4.心臓
5.膵臓

解答1

解説

グルカゴンとは?

膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。

②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。

③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。

1.〇 正しい。肝臓が、グルコースを生成し血液中に放出する。肝臓の主な働きとして、①胆汁の生成とビリルビンの代謝、②血漿蛋白質と尿素の合成、③脂質代謝、④糖の貯蔵と放出、⑤ビタミンDの代謝、⑥ホルモンの代謝、⑦解毒・薬物の代謝である。ちなみに、グルコースとは、果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類である。
2.× 骨格筋の主な働きは、①動作(関節を動かす)、②支持(骨を支える)、③代謝(エネルギーを消費する)、④筋力、⑤(内臓器官の機能を支える)などである。
3.× 脂肪組織の主な働きは、①エネルギー貯蔵、②温度調節(体温を保つ)、③保護(脳や心臓などの重要な器官を保護)などである。
4.× 心臓の主な働きは、身体全体に必要な酸素や栄養を運ぶ役割を担う。
5.× 膵臓の主な働きは、消化器官の一部で、糖質や脂質などの栄養素を分解し、身体に必要なエネルギーを供給する役割を担う。膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。

 

 

 

 

110回 午前

74 血液中のビリルビンの由来はどれか。

1.核酸
2.メラニン
3.アルブミン
4.グリコゲン
5.ヘモグロビン

解答5

解説

直接ビリルビン

正常人の血中ビリルビンの大部分は、網内系で老化赤血球の破壊によって遊離するヘモグロビンに由来する。ただし、10~20%はヘモグロビン以外のヘム蛋白、遊離ヘムから肝などで生成する分画と骨髄の無効造血などに由来する分画がある。これらのヘモグロビン由来以外のものをシャントビリルビンという。(※参考:「直接ビリルビン」岡山大学様HPより)

1.× 核酸とは、RNA(リボ核酸)とDNA(デオキシリボ核酸)の総称で、ヌクレオチド(塩基+糖+リン酸)により構成されている。ヌクレオチドがもつ塩基のうち、アデニンとグアニンはプリン塩基である。したがって、それらを含むヌクレオチドや核酸は、プリン体のひとつであり、プリン体は分解されると尿酸となる。
2.× メラニンは、肌や毛髪・瞳の色を構成する黒色の色素のことで紫外線から皮膚の細胞を守る働きがある。皮膚の基底層や毛髪の毛母細胞にあるメラノサイトで生成される。
3.× アルブミンは、肝臓で作られるたんぱく質で肝臓や栄養状態の指標となる。血清総蛋白の60%程度を占め肝臓で生成される。
4.× グリコゲンは、多糖類の一種で、エネルギーを貯蔵し人間の活動に欠かせないものである。普段は、肝臓や骨格筋等に蓄えられており、急激な運動を行う際のエネルギー源として、あるいは空腹時の血糖維持に利用される。
5.〇 正しい。ヘモグロビンは、血液中のビリルビンの由来である。つまり、ビリルビンはヘモグロビンの分解物である。血液中の成分の赤血球は古くなると分解され、このとき、赤血球の中にあるヘモグロビンも分解される。ビリルビンは、ヘモグロビンの構成物質であるヘムが代謝されて生じる。ちなみに、ヘモグロビンとは酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。

 

 

 

110回 午前

85 血液のpH調節に関わっているのはどれか。2つ選べ。

1.胃
2.肺
3.心臓
4.腎臓
5.膵臓

解答2・4

解説

1.× 胃は、血液のpH調節には関わっていない。胃は、食道と腸をつないでいる袋状の臓器で、主な働きとしては、①食べたものをためておく、②食べたものを消化する、③消化された食べものを少しずつ腸に送り出す、④ビタミンB12の吸収に必要な糖タンパク質を分泌するなどである。
2.〇 正しい。は、血液のpH調節に関わっている。なぜなら、肺は呼気へCO2を排出する臓器であるため。CO2排出が亢進するとpHは上昇して呼吸性アルカローシス、逆にCO2が蓄積するとpHは低下して呼吸性アシドーシスとなる。
3.× 心臓は、血液のpH調節には関わっていない。なぜなら、心臓は血液を体内に循環させるポンプの役割を果たしているため。
4.〇 正しい。腎臓は、血液のpH調節に関わっている。なぜなら、腎臓は尿中へHCO3-を排泄する臓器であるため。腎臓の機能が低下すると代謝性アシドーシスとなる。過剰な酸や塩基を排出することで、血液のpHを変化させる。
5.× 膵臓は、血液のpH調節には関わっていない。膵臓の働きは、①食べ物を消化する膵液を作り、十二指腸に送り出す、②血液中の糖分の量を調節するホルモンを作り、血液の中に送り出すなどである。膵臓から分泌される消化液にはさまざまな消化酵素とともに胃酸を中和するアルカリ性の重炭酸塩が含まれている。膵臓の膵液はpH7.5 〜8.8のアルカリ性で、十二指腸に送られ胃液で酸性になった食材を中和する働きをする。

腎機能低下によって起きる病態

腎機能低下によって起きる病態として、

①老廃物(クレアチニン・アンモニアなど)の濾過能低下。
②体液の貯留(浮腫)
③ナトリウム・カリウム・カルシウム・リンなどの電解質バランスの調節障害。
④尿中への酸排泄能低下や尿毒症物質の蓄積に伴う酸塩基平衡の異常。
⑤ビタミンD3活性化の低下
⑥エリスロポエチン産生能の低下

などが挙げられる。

 

 

 

 

111回 午後

16 貧血の定義で正しいのはどれか。

1.血圧が低下すること
2.脈拍が速くなること
3.立ち上がると失神を起こすこと
4.ヘモグロビン濃度が減少していること

解答4

解説

貧血の定義

貧血とは、「単位容積の血液中に含まれているヘモグロビン(Hb)量が基準値より減少した状態」と定義している。基準値を、小児および妊婦では血液100mLあたり11g未満、思春期および成人女性では12g未満、成人男性では13g未満と定めている。

1.× 血圧が低下すること(100mmhg以下)は、低血圧である。
2.× 脈拍が速くなること(100回/分以上)は、頻脈である。
3.× 立ち上がると失神を起こすことは、起立性低血圧の症状の1つである。起立性低血圧とは、寝た姿勢や座った姿勢から急に起き上がったり、立ち上がった際に血圧が低下し、めまいが起こる症状である。症例は運動時に症状が生じている。起立性低血圧は、原因として①自律神経障害、②薬剤性、③加齢、④飲酒、⑤出血や脱水などの循環血漿量の低下が挙げられる。
4.〇 正しい。ヘモグロビン濃度が減少していることは、貧血の定義である。

 

 

 

112回 午前

問題50 重度の肝硬変で基準値よりも低い値を示す血液検査項目はどれか。

1.血清アルブミン〈Alb〉
2.血清ビリルビン〈Bil〉
3.血中アンモニア〈NH3〉
4.プロトロンビン時間〈PT〉

解答

解説
1.〇 正しい。血清アルブミンは、重度の肝硬変で基準値よりも低い値を示す血液検査項目である。なぜなら、肝硬変が進行すると、肝臓の合成機能が低下するため。ちなみに、血清アルブミン値は、正常:4.0g/dL以上、低栄養予備軍:3.5〜3.9g/dL、低栄養:3.5g/dL未満である。栄養状態を検査できる項目として、血清総たんぱく(TP)、アルブミン(Alb)、 コリンエステラーゼ(ChE)、ヘモグロビン(Hb)、総リンパ球数(TLC)である。血清アルブミンの血中半減期は、約15~21日であり、2~3週間前の静的栄養状態を示す。
2.× 血清ビリルビンは、肝硬変により上昇する。なぜなら、肝硬変では、肝臓の解毒機能が低下するため。(総)ビリルビンとは、赤血球が壊れたときにできる黄色い色素のことである。総ビリルビンは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。肝細胞の障害により、直接ビリルビンが上昇する。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、自己免疫性肝炎などがあげられる。腎臓からも排泄され、主に肝臓で代謝されるため、肝臓や胆嚢の状態を知るための重要な指標となる。
3.× 血中アンモニアは、肝硬変により上昇する。なぜなら、肝硬変では、肝臓の解毒機能が低下するため。体内のアンモニアは、たんぱく質の代謝の過程で作られ、肝臓で尿素に合成され排泄される。したがって、肝障害があると、血液中にアンモニアがたまり、高アンモニア血症となる。
4.× プロトロンビン時間は、肝硬変により上昇する。プロトロンビン時間とは、血液の凝固因子に関する指標の一つ。外因系及び共通系の凝固異常を判定する検査指標として用いられる。基準値は9.5〜12.0秒とされており、これを大きく超える場合には凝固因子の先天的な欠乏症や異常症、ビタミンKの不足や吸収障害、肝硬変をはじめとする肝障害などが疑われる。

 

 

 

112回 午後

問題13 成人の正常な赤血球の説明で正しいのはどれか。

1.球状の細胞である。
2.腎臓で破壊される。
3.寿命は約60日である。
4.酸素の輸送を担っている。

解答

解説

赤血球とは?

赤血球とは、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ちなみに、ヘモグロビンのヘム鉄が、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。

1.× 「球状」ではなく円盤状の細胞である。なぜなら、骨髄で成熟し、核が失われるため。また、円盤状であるため、酸素と二酸化炭素の輸送効率を向上する。
2.× 「腎臓」ではなく脾臓で破壊される。脾臓とは、①古くなった血球(白血球、赤血球、血小板)の処理や、②感染に対する防御など免疫に関係する働きを担う。
3.× 寿命は、「約60日」ではなく約120日である。
4.〇 正しい。酸素の輸送を担っている。赤血球とは、血液中の血液細胞の一種であり、主な役割は、酸素を全身に運ぶことである。赤血球中にはヘモグロビン(血色素)と呼ばれる蛋白質があり、ここに酸素を結合させて運んでいる。赤血球は骨髄で作られる際に、骨髄中で成熟し、脱核して末梢血中に出る。血管のなかで約120日間働いた後、肝臓や脾臓で壊される。

 

 

 

112回 午後

問題87 高齢者の血液検査の結果で成人の基準値と比較して値が高くなるのはどれか。2つ選べ。

1.血小板数
2.尿素窒素
3.白血球数
4.食後血糖値
5.AST〈GOT〉

解答2・4

解説
1.× 血小板数は、加齢に伴う変化は見られにくい。血小板とは、出血の際の一次止血や血液凝固機能に関与する。血液中の細胞成分である。
2.〇 正しい。尿素窒素は、高齢者の血液検査の結果で成人の基準値と比較して値が高くなる。なぜなら、加齢により腎機能が低下するため。尿中への尿素窒素排泄が減少する。ちなみに、尿素窒素とは、血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のことで、蛋白質が利用された後にできる残りかすといえる。通常は腎臓でろ過されて尿中へ排出されるが、腎臓の働きが低下すると、ろ過しきれない分が血液のなかに残る。つまり、尿素窒素の数値が高くなるほど、腎臓の機能が低下していることを表している。一般的には、透析治療によって尿酸が除去されるため、透析患者の血中尿素窒素(BUN)は透析前よりも透析後に低下することが期待される。しかし、この低下の程度は患者や透析条件によって異なり、必ずしも正常値より大きく低下するとは限らない。
3.× 白血球数は、加齢に伴う変化は見られにくい。白血球数とは、5種類の白血球の総数である。高齢者は、感染症や炎症に対する免疫応答が低下するため、病気の発症時に白血球数が上昇しにくいことはある。
4.〇 正しい。食後血糖値は、高齢者の血液検査の結果で成人の基準値と比較して値が高くなる。なぜなら、加齢により、インスリン抵抗性の増加や、インスリン分泌能力の低下が起こるため。ちなみに、食後血糖値とは、食後2時間後の状態で測定した血糖の値である。食事をしたり、糖分を負荷して、しっかりインスリンが働いているかを評価する。食前血糖値が良好でも、食後血糖値の状態が悪い場合は注意が必要である。
5.× AST〈GOT〉は、加齢に伴う変化は見られにくい。ASTとは、肝細胞でつくられる酵素である。GOTやALT、γ-GTPをトランスアミナーゼと呼ぶ。肝臓でアミノ酸の代謝にかかわる働きをしている。肝細胞が破壊されると血液中に放出されるため、その量によって肝機能を調べることができる。

急性心筋梗塞後に上昇する血液検査所見

【血液検査】
・WBC:2~3時間上昇(7日に正常化)
・CK:2~4時間上昇(3~7日に正常化)
・トロポニンT:3~4時間上昇(14~21日に正常化)
・AST:6~12時間上昇(3~7日に正常化)
・LD(LDH):12~24時間上昇(8~14日に正常化)
・CRP:1~3日上昇(21日に正常化)
・ESR:2~3日上昇(5~6週)

 ※急性心筋梗塞を来した場合、血液検査にて心筋壊死所見を示すデータがみられるのは、通常、発症2時間以降である。WBC、CKの異常が最も早く出現する。

 

 

 

113回 午前

13 免疫機能に関与する細胞はどれか。

 1.血小板
 2.白血球
 3.網赤血球
 4.成熟赤血球

解答

解説
 1.× 血小板とは、出血の際の一次止血血液凝固機能に関与する。血液中の細胞成分である。したがって、血小板の数が少なすぎたり、機能に異常があると出血傾向となる。
 2.〇 正しい。白血球は、免疫機能に関与する細胞である。白血球とは、血液中の細胞で、身体への異物の侵入から身体を守る働きがあり、病原菌や異物を取り込んで消化する免疫細胞である。好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球がある。
 3.× 網赤血球とは、成熟した赤血球のひとつ前の段階の未熟な赤血球のことである。貧血のタイプにより高値・低値を示す。溶血性貧血では、骨髄での赤血球造血が亢進し網赤血球は増加する。
 4.× 成熟赤血球とは、一般的な赤血球のことで、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ヘモグロビンとは、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。ヘモグロビンの値が、男性は13g/dl以下、女性は11g/dl以下になると、「貧血」と診断される。

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