第106回(R5)助産師国家試験 解説【午後21~25】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

21 Aさん(28歳)は排卵時期が一定せず不妊治療を受けている。月経開始後16日、産婦人科医院を受診した際に経腟超音波検査で右卵巣に20mmの卵胞が確認された。
 Aさんの排卵を誘導できるホルモンはどれか。

1.プロラクチン
2.プロゲステロン
3.エストラジオール〈E2〉
4.卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
5.ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(28歳)
・排卵時期が一定せず不妊治療を受けている。
・月経開始後16日:右卵巣に20mmの卵胞
→本症例は、不妊治療の排卵誘発法を受けていると考えられる。なぜなら、排卵時期が一定していないため。不妊症の原因を明らかにしたら、それに適した方法で治療が始まる。排卵誘発法の適応として、卵胞発育、排卵に問題(無月経や月経不順、黄体機能不全など)である。その一つに、クロミフェン療法とゴナドトロピン療法がある。クロミフェンは、脳からの黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンの分泌を促進し、卵胞を発育させる薬である。クロミフェン療法で妊娠しない場合、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を注射して排卵を促す。

1.× プロラクチン(催乳ホルモン)は、下垂体前葉から分泌されるホルモンである。プロラクチン放出ホルモンは視床下部から分泌される。乳腺の発育と乳汁の産生に働く。
2.× プロゲステロンとは、黄体ホルモンともいい、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。
3.× エストラジオール〈E2〉とは、エストロゲンの一種で、母体の肝臓と胎盤、胎児の副腎を経て生成されるため、その血中濃度は胎児の生命状態の指標として用いられる。エストロゲンの中で最も強い卵胞ホルモン作用を持つ物質で、女性の二次性徴に働き、卵巣機能調節、卵胞発育、子宮内膜増殖などの作用を示す。
4.× 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉とは、黄体形成ホルモンと同等に下垂体前葉から分泌され、卵胞を成熟させる役割をもつ。
5.〇 正しい。ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉がAさんの排卵を誘導できるホルモンである。本症例は、不妊治療の排卵誘発法を受けていると考えられる。なぜなら、排卵時期が一定していないため。不妊症の原因を明らかにしたら、それに適した方法で治療が始まる。排卵誘発法の適応として、卵胞発育、排卵に問題(無月経や月経不順、黄体機能不全など)である。その一つに、クロミフェン療法とゴナドトロピン療法がある。クロミフェンは、脳からの黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンの分泌を促進し、卵胞を発育させる薬である。クロミフェン療法で妊娠しない場合、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を注射して排卵を促す。ちなみに、hCG<ヒト絨毛性ゴナドトロピン>は、主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしているほか、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用も報告されている。

月経周期

・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。

約1ヵ月に1回卵巣から卵管へ卵子が放出されることを「排卵」という。 月経周期が一般的な28日周期の女性の場合、次の月経開始予定日から約14日前に起こる。 (※月経周期によって異なる。)排卵期は、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が急激に上昇して始まる。黄体形成ホルモンは卵子の放出(排卵)を促すが、排卵は通常、両ホルモンの急激な増加が始まってから16~32時間後に起こる。この時期にはエストロゲンの血中濃度は低下し、プロゲステロンの血中濃度が上昇し始める。したがって、排卵に関係する性腺ホルモン指示系統は、「①視床下部ー②脳下垂体ー③性腺(卵巣)」である。①視床下部:性腺刺激ホルモン放出ホルモン→②脳下垂体:卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン→③性腺(卵巣):エストロゲン、プロゲステロンである。

 

 

 

 

 

22 中胚葉から分化する器官・臓器はどれか。

1.気管上皮
2.肝臓
3.子宮
4.乳腺
5.膀胱

解答

解説

各胚葉に由来する器官

外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

1~2.5.× 気管上皮/肝臓/膀胱は、内胚葉から分化する器官・臓器である。
3.〇 正しい。子宮は、中胚葉から分化する器官・臓器である。
4.× 乳腺は、外胚葉から分化する器官・臓器である。

 

 

 

 

 

23 早期母子接触を中止すべき児の経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉の基準はどれか。

1.88%未満
2.90%未満
3.92%未満
4.94%未満
5.96%未満

解答

解説

早期母子接触とは?

早期母子接触とは、「正期産新生児を対象として出生直後に実施する皮膚接触」のことである。主な利点として、赤ちゃんへの愛情が深まり、母としての実感が持てるようになる。また、赤ちゃんの呼吸が規則的になり穏やかになる。そして、親子の絆が深まり、スムーズな育児のスタートができる。

<中止基準>
①母親の基準:傾眠傾向、医師、助産師が不適切と判断する。
②児の基準:呼吸障害(無呼吸、あえぎ呼吸を含む)がある。SpO2:90%未満となる。ぐったりし活気に乏しい。睡眠状態となる。医師、助産師、看護師が不適切と判断する。(※詳しくは解説下に記載)

1.× 88%未満は、早期母子接触をすでに中止もしくは行えない。
2.〇 正しい。90%未満が、早期母子接触を中止すべき児のSpO2の基準である。
3~5.× 92%未満/94%未満/96%未満は、早期母子接触を実施し続けられる。

早期母子接触の適応基準、中止基準、実施方法

【早期母子接触の適応基準、中止基準、実施方法】
 施設の物理的、人的条件等により、ここに推奨する基本的な実施方法を一部変更せざるを得ない場合がある。そのような場合にも、早期母子接触の効果と安全性について十分に吟味し、母子の最大の利益となるように実施方法を決定する。また、早期母子接触を実施しない選択肢も考慮すべきである。以下に経腟分娩を対象とした各基準を示す。
<適応基準>
①母親の基準
・本人が「早期母子接触」を実施する意思がある
・バイタルサインが安定している
・疲労困憊していない
・医師、助産師が不適切と認めていない
②児の基準
・胎児機能不全がなかった
・新生児仮死がない(1 分・5 分 Apgar スコアが 8 点以上)
・正期産新生児
・低出生体重児でない
・医師、助産師、看護師が不適切と認めていない

<中止基準>
①母親の基準
・傾眠傾向
・医師、助産師が不適切と判断する
②児の基準
・呼吸障害(無呼吸、あえぎ呼吸を含む)がある
SpO2:90%未満となる
・ぐったりし活気に乏しい
・睡眠状態となる
・医師、助産師、看護師が不適切と判断する

<実施方法>
 早期母子接触は母子に対して種々の利点がある。したがって、早期母子接触を実施できない特別な医学的理由が存在しない場合は、周産期医療従事者として、その機会を設けることを考える必要がある。早期母子接触は医療ではなく、ケアであることから、母親とスタッフ間のコミュニケーションがスムーズに行われている必要があり、出産後の母子を孤立させない配慮が大切である。特に、早期母子接触を実施する時は、母親に児のケアを任せてしまうのではなく、スタッフも児の観察を怠らないように注意する必要がある。
・バースプラン作成時に「早期母子接触」についての説明を行う。
・出生後できるだけ早期に開始する。30 分以上、もしくは、児の吸啜まで継続することが望ましい。
・継続時間は上限を 2 時間以内とし、児が睡眠したり、母親が傾眠状態となった時点で終了する。
・分娩施設は早期母子接触を行わなかった場合の母子のデメリットを克服するために、産褥期およびその後の育児に対する何らかのサポートを講じることが求められる。
母親:①「早期母子接触」希望の意思を確認する。②上体挙上する(30 度前後が望ましい)。③胸腹部の汗を拭う。④裸の赤ちゃんを抱っこする。⑤母子の胸と胸を合わせ両手でしっかり児を支える。
児:①ドライアップする。②児の顔を横に向け鼻腔閉塞を起こさず、呼吸が楽にできるようにする。③温めたバスタオルで児を覆う。④パルスオキシメータのプローブを下肢に装着するか、担当者が実施中付き添い、母子だけにはしない。⑤以下の事項を観察、チェックし記録する(呼吸状態:努力呼吸、陥没呼吸、多呼吸、呻吟、無呼吸に注意する。冷感、チアノーゼ、バイタルサイン(心拍数、呼吸数、体温など)、実施中の母子行動)

・終了時にはバイタルサイン、児の状態を記録する。

(※一部引用:「早期母子接触」実施の留意点 日本周産期・新生児医学会HPより)

 

 

 

 

 

24 Aちゃん(生後9か月、男児)は助産所で出生し、これまでに異常を指摘されたことはない。出生体重3,000g。完全母乳栄養で育ち、離乳食は生後6か月から始まり、現在は1日2回食で歯ぐきで潰して食べている。Aちゃんの母親は「上の子の同じ時期に比べて食べる量が少ない。大丈夫でしょうか」と助産所に相談に来た。来所時、身長72.0cm、体重9,000g、母乳の授乳回数は1日5回であった。Aちゃんは子ども用の椅子に座って離乳食を食べている。
 助産師の母親への助言で適切なのはどれか。

1.「授乳回数を減らしましょう」
2.「もう少し柔らかく調理しましょう」
3.「好きな食品を重点的にあげましょう」
4.「時間を決めずに離乳食をあげましょう」
5.「このまま1日3回食へ進めていきましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・Aちゃん(生後9か月、男児)
・これまでに異常を指摘されたことはない。
・出生体重3,000g。完全母乳栄養で育つ。
・生後6か月から:離乳食始まった。
・現在:1日2回食で歯ぐきで潰して食べている。
・母親「上の子の同じ時期に比べて食べる量が少ない。大丈夫でしょうか」と。
・来所時:身長72.0cm、体重9,000g、母乳の授乳回数は1日5回。
・Aちゃん:子ども用の椅子に座って離乳食を食べている。
→本症例は、生後9か月で離乳を支援する時期である。ほかの評価項目から、異常がないか確認しながら適切なアドバイスが必要となる。本症例のカウプ指数は、9000÷5184×10=17.36となる。「15≦標準値<19」で標準値といえる。ちなみに、カウプ指数とは、生後3か月から5歳までの乳幼児に対して、肥満や、やせなど発育の程度を表す指数である。 成人で使用されるBMIと同じ計算法であるが判定基準が異なる。 カウプ指数の正常値はおおよそ15~19とされており、それ以上を肥満、以下をやせと判定する。「体重(g)÷【身長(cm)の二乗】× 10」で求められる。

1.× あえて、授乳回数を減らす必要はない。生後9か月の授乳回数は、平均5~9回である。また、授乳のタイミングは、児が「泣く前(自律授乳)」が基本となる。自律授乳とは、児が欲しがるときに欲しがるだけ飲ませる授乳方法のことである。児に吸われる刺激によって母乳分泌が促されて母乳育児がスムーズになることから、とくに生後1~2か月ぐらいまでの間は自律授乳が推奨されている。
2.× 「もう少し柔らかく調理しましょう」と伝える必要はない。なぜなら、生後9か月の食材の固さは、バナナくらいを目安といわれているため。やわらかすぎても固すぎても丸飲みの原因となる。また、歯ごたえのあるものを噛んで食べる練習が必要となる。
3.× あえて、好きな食品を重点的にあげる必要はない。なぜなら、いろいろな食べものの形や感触を手指で確かめ、覚えていく時期であるため。バランスの良い食習慣を形成していく。
4.× 「時間を決めずに離乳食をあげましょう」と伝える必要はない。なぜなら、1日3回の食事のリズムを大切に、家族で食事を楽しむ時期でもあるため。食事と睡眠のパターンなど、一日のスケジュールを形成していく。
5.〇 正しい。「このまま1日3回食へ進めていきましょう」と伝える。本症例は、生後9か月で離乳を支援する時期である。母親は、食事量を心配しているが、本症例のカウプ指数は、標準値といえる。したがって、母親の不安や思いを傾聴しながら、通常通り進める。

 

 

 

 

 

25 助産業務ガイドライン2019に基づき、正常分娩急変時に経産婦を助産所から搬送すべき状況はどれか。

1.羊水が淡黄色である。
2.母体の体温が37.8℃である。
3.単発の遅発一過性徐脈がある。
4.破水後24時間経過したが陣痛が発来しない。
5.子宮口全開大から1時間経過したが分娩が進行しない。

解答

解説

(※図引用:「Ⅳ.正常分娩急変時のガイドライン」助産業務ガイドラインより)

1.× 羊水が、「淡黄色」ではなく血性の場合である。腟鏡診などを用いて、血性分泌物との鑑別が必要となる。羊水の性状や色調の程度は、胎児の状態を直接反映するものではない。ちなみに、羊水が淡黄色であることは、一般的な羊水の色である。
2.× 母体の体温が「37.8℃」ではなく38.0℃である。なぜなら、新生児の感染症のリスクが高いため。ほかにも、臨床的絨毛膜羊膜炎のリスクが考えられる。
3.× 「単発」ではなく繰り返すの遅発一過性徐脈がある。ほかにも、繰り返す変動一過性徐脈や遷延一過性徐脈などの場合は、助産所から搬送すべき状況といえる。
4.〇 正しい。破水後24時間経過したが陣痛が発来しない。破水後陣痛が発来しても破水から36時間以上経過し、分娩進行が認められない場合は、早めに医師に連絡しておく。これは、感染症や微弱陣痛などが考えられる。
5.× 子宮口全開大から、「1時間」ではなく2時間経過したが分娩が進行しない。分娩が遷延している場合として①規則的な陣痛が開始してから、初産婦では分娩時間が30時間以上、経産婦では15時間以上の経過を要し、今後も有効陣痛が期待できない。②分娩第2期:2時間以上分娩が進行せず、児の娩出が期待できない状態を上げている。

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)