第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午前21~25】

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21 オートクレーブによる滅菌法はどれか。

1.乾熱滅菌
2.プラズマ滅菌
3.高圧蒸気滅菌
4.酸化エチレンガス滅菌

解答3

解説

オートクレーブ滅菌とは?

高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。

1.× 乾熱滅菌とは、滅菌法の中で加熱法に分類される加熱乾燥空気で微生物を殺滅する滅菌法である。ガラス製、磁製、金属製など耐熱性の高い材質のものや鉱油、脂肪油、固形の医薬品など熱に安定なものが適している。オートクレーブと異なり、湿気が使用されない。
2.× プラズマ滅菌とは、過酸化水素とプラズマ発生装置を用いた滅菌方法である。錆びやすい医療機器や耐熱性のない医療機器も滅菌することができる。低温、低湿度、短時間で滅菌が可能で、手術器具などの医用器材を滅菌するのに用いられる。
3.〇 正しい。高圧蒸気滅菌は、オートクレーブによる滅菌法である。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。
4.× 酸化エチレンガス滅菌とは、温度や湿度の繊細な医療器具に適した滅菌方法である。酸化エチレンガスとは、比較的低い温度でも極めて強い殺菌力を発揮し、金属・非金属の区別なく利用できるため理想的な滅菌法として普及している。適用:カテーテル類、プラスチック製品、不織布、ゴム製品など。適用外:液体、ガスが通りにくい形状のもの、直ぐに使用したいもの。欠点として、滅菌処理・エアレーション時間(ガスの残留毒性が強いため、これらを除去する処理)が長いことがあげられる。

 

 

 

 

 

22 点滴静脈内注射中の刺入部位の腫脹を確認したときに、最初に実施するのはどれか。

1.体位を変える。
2.注入を中止する。
3.刺入部位を挙上する。
4.周囲のマッサージを行う。

解答2

解説

持続点滴静脈内注射とは?

持続点滴静脈内注射とは、大量の薬品を持続的に静脈内に注入する方法である。治療においても使用頻度が高く、与薬ミスや感染防止対策なども多い処置である。主に前腕正中皮静脈、橈側皮静脈、 尺側皮静脈が用いられる。表在性の静脈にならどこにでも行うことができ、針の固定が容易で、太く弾力のある血管を選択する。麻痺側、利き手などを避けることが推奨されている。

1.3~4.× 体位を変える/刺入部位を挙上する/周囲のマッサージを行う優先度が低い。なぜなら、本問題は、「点滴静脈内注射中の刺入部位の腫脹」が確認できることから、血管外に漏出が考えられるため。
2.〇 正しい。注入を中止する。なぜなら、点滴静脈内注射中に刺入部位に腫脹(ほかにも、発赤や痛み)を伴う場合、薬剤が血管外に漏れている可能性が高いため。数時間~数日後にはその症状が増悪し、水疱→潰瘍→壊死形成へと移行していき、さらに重症化すると漏出部位に よっては運動制限をきたして外科的処置(手術)が必要になることもある。

 

 

 

 

 

23 成人患者の気管内の一時的吸引における吸引圧で正しいのはどれか。

1.-100〜-150mmHg
2.-200〜-250mmHg
3.-300〜-350mmHg
4.-400〜-450mmHg

解答1

解説

口腔内・鼻腔内吸引の注意事項

「気管吸引とは、人工気道を含む気道からカテーテルを用いて機械的に分泌物を除去するための準備、手技の実施、 実施後の観察、アセスメントと感染管理を含む一連の流れのこと」と定義されている。(※引用:気管吸引ガイドライン2013

【目的】口腔内・鼻腔内吸引は気道内の貯留物や異物を取り除くこと。

①人工呼吸器関連肺炎などの感染リスクを回避する。(ディスポーザブル手袋を着用、管吸引前には口腔及びカフ上部の吸引を行う)
②吸引中は無呼吸となるため必ずモニター等でSpO2の確認しながら、カフ圧は-20kPa(150mmHg)以内に保ち、1回の吸引時間は10秒以内とする。
③カテーテル挿入時は陰圧をかけず、自発呼吸がある場合は、患者さんの吸気に合わせて吸引を行う。
④終了後は気道内の分泌物がきちんと吸引できたか、呼吸音等で確認する。

(※参考:「吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コツ」ナース専科様HPより)

 気管内吸引をする吸引圧は-150mmHg以下に設定する。なぜなら、気道粘膜の損傷や低酸素状態肺胞の虚脱などを防ぐためである。したがって、選択肢1.-100〜-150mmHgが正しい。

 

 

 

 

 

24 包帯法の原則として適切なのはどれか。

1.患部を強く圧迫する。
2.屈伸可能な関節は固定する。
3.中枢から末梢に向けて巻く。
4.使用部位によって包帯を使い分ける。

解答4

解説

包帯法の6つの目的

被覆:皮膚の創傷、病変などを保護する。
支持(保持):局所の安静、保持により痛みや病変の進行を防ぐ。
圧迫:患部への圧迫圧にて止血、浮腫を軽減させる。
固定:局所的に体動を制限し安静とする。
牽引:組織の位置異常があった場合に正常な位置に戻す。
矯正:骨、筋組織の変形を矯正する。

1.× 患部を「強く圧迫する」のではなく、適度な圧迫に留める。なぜなら、強い圧迫は血行が障害されるため。
2.× 屈伸可能な関節は、「固定する」のではなく、関節の動きを妨げないようにして巻く。なぜなら、過剰な関節の固定は、関節拘縮や日常生活動作の制限をきたすため。
3.× 逆である。「中枢から末梢」に向けてではなく、末梢から中枢に向かって巻く。なぜなら、静脈の還流を促すため。
4.〇 正しい。使用部位によって包帯を使い分ける。使用する部位によって、包帯の材質、形状、幅など適切なものを選択する。

 

 

 

 

 

25 経腟分娩の正常な経過で最初に起こるのはどれか。

1.発露
2.排臨
3.胎盤の娩出
4.児頭の娩出
5.子宮口の全開大

解答5

解説

1.× 発露とは、陣痛が増強して胎児がさらに下降して、児頭は陣痛間欠期でも後退しなくなる状態である(※読み:はつろ)。つまり、陣痛発作時・間欠期にかかわらず児頭先進部が陰裂から見えるようになる状態をいう。分娩第2期(娩出期)排臨の後に起こる。
2.× 排臨とは、分娩第2期において陣痛発作時に児頭は大きく下降して見えるようになるが、陣痛間欠期に児頭は腟内に後退して見えなくなることを繰り返す状態である(※読み:はいりん)。
3.× 胎盤の娩出(べんしゅつ)は、分娩第3期(後産期)に起こる。分娩第3期は、胎児娩出から後産期陣痛が起こり、胎盤と卵膜が娩出されるまでをいう。
4.× 児頭の娩出は、分娩第2期(娩出期)に起こる。子宮口全開大から胎児娩出までを分娩第2期(娩出期)という。
5.〇 正しい。子宮口の全開大は、経腟分娩の正常な経過で最初(分娩第1期:分娩開始から子宮口が全開大するまで)に起こる。子宮口全開大とは、子宮頚部が成熟し、頚管が消失して、子宮口が完全に開大した状態をいう。

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

 

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