第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午前26~30】

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26 単層円柱上皮はどれか。

1.表皮
2.腹膜
3.膀胱
4.胃

解答4

解説

1.× 表皮は、重層扁平上皮でできている。皮膚は表皮・真皮・皮下組織といった層構造を形成している。重層扁平上皮とは、摩擦など機械的刺激に強い特徴を持ち、皮膚、口腔~食道、肛門、膣などが該当する。
2.× 腹膜は、単層扁平上皮でできている。単層扁平上皮とは、薄いので物質の交換などに向く特徴を持ち、胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞などが該当する。
3.× 膀胱は、移行上皮でできている。移行上皮とは、伸び縮みすることができる特徴を持ち、腎杯腎~尿管~膀胱(尿路)などが該当する。
4.〇 正しい。胃は、単層円柱上皮でできている。単層円柱上皮とは、吸収と分泌を行う場所に向く特徴を持ち、消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮などが該当する。

上皮組織の形態による分類

・単層扁平上皮:薄いので物質の交換などに向く。
(胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など)

・単層立方上皮:甲状腺の濾胞細胞など。
(甲状腺の濾胞上皮、尿細管など)

・単層円柱上皮:吸収と分泌を行う場所に向く。
消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮など

・重層扁平上皮:摩擦など機械的刺激に強い。
皮膚、口腔~食道、肛門、膣など。

・多列線毛上皮:表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。
鼻腔~気管・気管支(気道)

・移行上皮:伸び縮みすることができる。
腎杯腎~尿管~膀胱(尿路)

 

 

 

 

 

27 角加速度を感知するのはどれか。

1.耳管
2.前庭
3.耳小骨
4.半規管

解答4

解説

(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)

1.× 耳管とは、鼓膜の前壁から始まり、中耳と上咽頭を連絡する管である。中耳にあり、①鼓室内の圧調整、②惨出液を咽頭へ流す機能がある。
2.× 前庭とは、内耳の一部で、平衡感覚に関与している。前庭は、垂直方向の加速度や重力による刺激を感知する役割を果たす。
3.× 耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)は、中耳にあり、鼓膜と内耳の間で音の振動を伝達する役割を果たしている。
4.〇 正しい。半規管(三半規管)は、内耳にあり、角加速度(回転)を感知する。三半規管とは、①外側半規管、②前半規管、③後半規管の3つの半規管の総称である。すべての半規管は、頭が回転するときの方向と速さを感知する役割があり、外側半規管は水平回転(左右、 横方向の回転)、前半規管と後半規管は垂直回転 (上下、縦方向の回転)を感じ取る。

(※画像引用:やまだカイロプラクティック院様)

 

 

 

 

 

28 縦隔に含まれるのはどれか。

1.肺
2.胸腺
3.副腎
4.甲状腺

解答2

解説

(※画像引用:中高津クリニック様HP)

縦隔とは?

縦隔とは、両側を肺の間の空間のことで、前が胸骨、後ろが椎体となる。下方は横隔膜でふさがれている。縦隔内にある主な臓器としては①胸腺、②気管、③食道、④心臓、⑤上大静脈、⑥大動脈弓、⑦上行大動脈などがある。

1.× 肺は、縦隔に含まれない。なぜなら、縦隔の左右が肺の間であるため。
2.〇 正しい。胸腺は、縦隔に含まれる。ちなみに、胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。
3.× 副腎は、縦隔に含まれない。なぜなら、副腎は、左右の腎臓の上部に存在するため。ちなみに、副腎とは、腎臓の上に位置する約2~3cmの小さな三角形の臓器で、左右1対ずつある。1つ約4~5g程度の小さな臓器ある。副腎皮質から、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などが分泌される。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
4.× 甲状腺は、縦隔に含まれない。なぜなら、甲状腺は、甲状軟骨のやや下方(頚部前面)に存在するため。ちなみに、甲状腺とは、のどぼとけの下にある蝶ような形をした臓器で、甲状腺ホルモン(T3およびT4)とカルシトニンを分泌している。甲状腺ホルモンは、カラダ全体の新陳代謝を促進する働きがある。カルシトニンは、甲状腺から分泌されるホルモンで、骨吸収を抑制する働きを持つ。

 

 

 

 

 

29 膵液について正しいのはどれか。

1.弱アルカリ性である。
2.糖質分解酵素を含まない。
3.セクレチンによって分泌量が減少する。
4.Langerhans<ランゲルハンス>島のβ細胞から分泌される。

解答1

解説

膵臓とは?

膵臓は、消化酵素を含む体液(膵液)を膵管から十二指腸に出す外分泌と、血糖などをコントロールするホルモンを血中に出す内分泌の両方の働きをもつ。

膵液とは、膵臓から十二指腸に分泌される消化液である。糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素、核酸の分解酵素を含んでいる。

膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。

1.〇 正しい。弱アルカリ性である。なぜなら、強酸性の胃液を中和するため。
2.× 糖質分解酵素は含まれる。膵液とは、膵臓から十二指腸に分泌される消化液である。糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素、核酸の分解酵素を含んでいる。
3.× セクレチンによって分泌量が、「減少」ではなく促進する。セクレチンとは、消化管ホルモンのひとつで、十二指腸のS細胞から分泌され、胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。
4.× Langerhans<ランゲルハンス>島のβ細胞から分泌されるのは、インスリンである。膵液は、腺房細胞で産生され、膵管を通りファーター乳頭から十二指腸へ排出される。
ちなみに、膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。

(図引用:「肝臓周辺臓器 名称」illustAC様HPより)

 

 

 

 

 

30 ホルモンと分泌部位の組合せで正しいのはどれか。

1.サイロキシン:副甲状腺
2.テストステロン:前立腺
3.バソプレシン:副腎皮質
4.プロラクチン:下垂体前葉

解答4

解説

1.× サイロキシンは、「副甲状腺」ではなく甲状腺である。代謝亢進作用がある。甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。ちなみに、副甲状腺からは、パラトルモン(PTH)が分泌される。
2.× テストステロンは、「前立腺」ではなく精巣である。前立腺は、ホルモン分泌を行っていない。ちなみに、アンドロゲン(雄性ホルモン、男性ホルモン)とは、ステロイドの一種で、生体内で働いているステロイドホルモンのひとつである。アンドロゲンにはテストステロンとジヒドロテストステロン (dihydrotestosterone;DHT)があり、精巣の分化、機能、組織形成、さらに内性器・外性器の形成に重要な役割を果たす。
3.× バソプレシンは、「副腎皮質」ではなく下垂体後葉である。水の再吸収を促進する抗利尿作用・血圧上昇が起きる。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。ちなみに、副腎皮質は、コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンである。
4.〇 正しい。プロラクチンは、下垂体前葉である。乳腺刺激ホルモンともいい、作用は、乳腺の発育、乳汁の産生・分泌をもつ。ちなみに、他にも、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、成長ホルモンを分泌する。

 

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