第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後26~30】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

26 刺激伝導系でないのはどれか。

1.腱索
2.洞房結節
3.房室結節
4.Purkinje<プルキンエ>線維

解答1

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

心臓の刺激伝導系

心臓の刺激伝導系は、「洞結節→右房→左房→房室結節→His束(房室束)→左脚・右脚→プルキンエ線維(Purkinje線維)→心室」となる。刺激伝導系を構成する細胞は特殊心筋と呼ばれ、心房・心室の壁を構成する一般の心筋細胞である固有心筋とは区別する。

1.× 腱索は、刺激伝導系でない。腱索とは、左心室側から弁尖に伸びたひも状のもので、左心室壁から伸びている。乳頭筋に付着しており、乳頭筋は、心房内に反転しないように支える役割を果たす。
2.〇 正しい。洞房結節とは、心臓の刺激伝導系で最初の興奮部位である。洞房結節とは、心臓の興奮のペースメーカーの働きをする部位である。洞房結節は、右心房の上部に位置する。
3.〇 正しい。房室結節とは、心臓の刺激伝導系で洞房結節からのシグナルを受け取る。右心房と右心室の境界に位置する。
4.〇 正しい。Purkinje<プルキンエ>線維とは、刺激伝導系の左右脚の末梢が心室壁内面で細かく分岐して心筋に移行し、その直前で特殊心筋のネットワークが形成される部位である。His束からのシグナルを受け取り、心室の収縮を誘発する。

(※図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

類似問題です↓

【10問】心臓の解剖と生理についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

27 アルドステロンで正しいのはどれか。

1.近位尿細管に作用する。
2.副腎髄質から分泌される。
3.ナトリウムの再吸収を促進する。
4.アンジオテンシンⅠによって分泌が促進される。

解答3

解説

アルドステロンとは?

アルドステロンとは、副腎皮質から分泌されるホルモンである。腎臓(遠位尿細管~集合管)に作用してナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量増加を促し血圧を上昇させる。アルドステロンが過剰に分泌されると、高血圧や低カリウム血症、筋力低下などがみられる。副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称で、①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲンがある。炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。

1.× 「近位尿細管」ではなく、遠位尿細管~集合管に作用する。近位尿細管に作用するのは、アンジオテンシンⅡである。
2.× 「副腎髄質」ではなく、副腎皮質から分泌される。副腎皮質から、①コルチゾール、②アルドステロン、③性ホルモンを分泌する。ちなみに、副腎髄質から、①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドーパミンがあり、これらを総称してカテコールアミンという。
3.〇 正しい。ナトリウムの再吸収を促進する。アルドステロンとは、副腎皮質から分泌されるホルモンである。腎臓(遠位尿細管~集合管)に作用してナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量増加を促し血圧を上昇させる。
4.× 「アンジオテンシンⅠ」ではなく、アンジオテンシンⅡによって分泌が促進される。腎臓の輸入細動脈の壁にある傍糸球体細胞からレニンが分泌され、血液中のアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンⅠという物質をつくる。アンジオテンシンⅠとは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によりアンジオテンシンⅡに変換される。アンジオテンシンⅡとは、全身の動脈を収縮させるとともに、副腎皮質からアルドステロンを分泌させる。アルドステロンは、Naを体内に溜める働きがあり、これにより循環血液量が増加して心拍出量と末梢血管抵抗が増加する。これをレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(Renin-Angiotensin-Aldosterone System:RAAS)といい、血圧上昇後にはレニンの分泌は抑制され、この系の働きが低下する。

 

 

 

 

 

28 慢性閉塞性肺疾患について正しいのはどれか。

1.残気量は減少する。
2.%肺活量の低下が著明である。
3.肺コンプライアンスは上昇する。
4.可逆性の気流閉塞が特徴である。

解答3

解説

(※図引用:yakugaku lab様HP)

慢性閉塞性肺疾患とは?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。

増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2

減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

1.× 残気量は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患は、気道病変や肺胞の弾性収縮力低下し気流閉塞が起こり(スムーズな呼気を吐き出しづらくなり)、肺の過膨張するため。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
2.× 「%肺活量」ではなく1秒率の低下が著明である。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患は閉塞性換気障害(1秒率<70%)を引き起こす疾患(肺・胸郭が広がりづらく、吸気しづらくなる)であるため。ちなみに、%肺活量とは、年齢や性別から算出された予測肺活量(基準値)に対しての、実測肺活量の比率である。1秒率とは、息を努力して吐き出したときに呼出される空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量の割合である。
3.〇 正しい。肺コンプライアンスは上昇する。肺コンプライアンスとは、肺の膨らみやすさの指標である。肺、胸郭にはたえず縮まろうとする性質(弾性)があり、コンプライアンスは弾性の逆数で表される。肺が線維化して固くなる疾患では肺コンプライアンスは低下し、逆に肺の過膨張をきたす肺気腫等の疾患では上昇する。つまり、この値が低下するとふくらみにくい肺、上昇するとふくらみすぎの肺といえる。COPDでは、肺弾性収縮力の低下により、過膨張となり、肺コンプライアンスが上昇する。
4.× 「可逆性」ではなく、非可逆性の気流閉塞が特徴である。気流閉塞は、末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に作用することにより起こり、通常は進行性である。非可逆性とは、病状の完治が難しく、原則としてもとの状態に戻らないことをいう。 例えば、痴呆は神経細胞の再生が行われないため、完全には回復しないと考えられている。

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

 

 

 

 

 

29 腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか。

1.高齢の女性に多発する。
2.診断にはMRIが有用である。
3.好発部位は第1・2腰椎間である。
4.急性期では手術による治療を行う。

解答2

解説

腰椎椎間板ヘルニアとは?

椎間板は、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、中心部に含まれる軟らかい髄核という構造物から成り立っているが、外縁部分の椎間板の線維輪が弱くなって膨隆したり、線維輪が断裂して中心部の髄核が脱出したりすると、近傍にある神経を圧迫している状態のことを腰椎椎間板ヘルニアという。L4/5とL5/S1が好発部位である。

L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。

1.× 「高齢の女性」ではなく、20~40歳の男性(男女比2~3:1)に多発する。なぜなら、男性のほうが腰に負担のかかる仕事や運動を行う機会が多いため。
2.〇 正しい。診断にはMRIが有用である。なぜなら、椎間板は軟部組織であるため。核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。
3.× 好発部位は、「第1・2腰椎間」ではなく第4・5腰椎間である。なぜなら、上位腰椎と比較して、下位腰椎のほうが運動時の可動域が広いため負荷がかかりやすいため。
4.× 急性期では、「手術」ではなく保存治療を行う。なぜなら、急性期では激しい痛みを伴うため。慢性期には手術療法も検討される。保存療法とは、人体を傷付けず、つまり出血させずに治療する方法の総称である。例えば、安静・薬物・理学療法・コルセット・運動療法などである。ただし、膀胱直腸障害や運動麻痺を伴う重症例では、手術療法も考慮する。

 

 

 

 

 

30 配偶者暴力相談支援センターの機能はどれか。

1.一時保護
2.就労の仲介
3.外傷の治療
4.生活資金の給付

解答1

解説

配偶者暴力相談支援センターとは?

配偶者暴力相談支援センターとは、配偶者からの暴力に関する相談業務を行い、関係機関・団体の紹介や保護命令制度、シェルター等に関する情報提供、利用の援助を行う。なかでも、都道府県が設置する婦人相談所がその機能を果たすことが多い。配偶者暴力相談支援センターの設置の根拠法は『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)』である。

1.〇 正しい。一時保護は、配偶者暴力相談支援センターの機能である。配偶者暴力相談支援センターでは、緊急時の安全の確保と一時保護にも対応する。
2.× 就労の仲介は、ハローワーク等が行う。ハローワークとは、公共職業安定所ともいい、就職困難者の支援など地域の総合的雇用サービス機関であり主な業務として、①職業相談、②職業紹介、③求人確保、④事業主に対する助言・窓口業務、⑤就職後の障害者に対する助言・指導などがあげられる。
3.× 外傷の治療は、病院・診療所等の医療提供施設が行う。
4.× 生活資金の給付は、福祉事務所などが行う。福祉事務所とは、社会福祉法第14条に規定されている「福祉に関する事務所」をいい、福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法)に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を司る第一線の社会福祉行政機関である。

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)とは?

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)とは、今まで家庭内に潜在してきた女性への暴力について、女性の人権擁護と男女平等の実現を図るため、夫やパートナーからの暴力の防止、及び被害者の保護・支援を目的として作られた法律である。

【主な内容】
①配偶者からの暴力の定義
②国及び地方公共団体の責務
③配偶者暴力相談支援センター
④一時保護
⑤情報提供・通報
⑥警察官による被害の防止・警察本部長等の援助
⑦福祉事務所による自立支援
⑧各関係機関連携
⑨保護命令

(※参考:「DV防止法とは?」千葉県HPより)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)