【10問】心臓の解剖と生理についての問題「まとめ・解説」

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

・まとめてもらいたい問題や希望、漏れがあったらコメントください。

・当HPに「キーワード検索」の機能がありますので、そちらも積極的にお使いください。

106回 午前

11 大動脈に血液を送り出す部位はどれか。

1.左心室
2.右心室
3.左心房
4.右心房

解答1

解説

(※図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.〇 正しい。左心室は、大動脈へ血液(全身に送る)を送り出す。
2.× 右心室は、肺動脈へ血液(全身から還流した静脈血を肺に送る)を送り出す。
3.× 左心房は、左心室へ血液を送り出す。
4.× 右心房は、右心室へ血液を送り出す。

 

 

 

106回 午後

26 刺激伝導系でないのはどれか。

1.腱索
2.洞房結節
3.房室結節
4.Purkinje<プルキンエ>線維

解答1

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

心臓の刺激伝導系

心臓の刺激伝導系は、「洞結節→右房→左房→房室結節→His束(房室束)→左脚・右脚→プルキンエ線維(Purkinje線維)→心室」となる。刺激伝導系を構成する細胞は特殊心筋と呼ばれ、心房・心室の壁を構成する一般の心筋細胞である固有心筋とは区別する。

1.× 腱索は、刺激伝導系でない。腱索とは、左心室側から弁尖に伸びたひも状のもので、左心室壁から伸びている。乳頭筋に付着しており、乳頭筋は、心房内に反転しないように支える役割を果たす。
2.〇 正しい。洞房結節とは、心臓の刺激伝導系で最初の興奮部位である。洞房結節とは、心臓の興奮のペースメーカーの働きをする部位である。洞房結節は、右心房の上部に位置する。
3.〇 正しい。房室結節とは、心臓の刺激伝導系で洞房結節からのシグナルを受け取る。右心房と右心室の境界に位置する。
4.〇 正しい。Purkinje<プルキンエ>線維とは、刺激伝導系の左右脚の末梢が心室壁内面で細かく分岐して心筋に移行し、その直前で特殊心筋のネットワークが形成される部位である。His束からのシグナルを受け取り、心室の収縮を誘発する。

(※図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

 

 

 

107回 午後

83 健常な成人の心臓について、右心室と左心室で等しいのはどれか。2つ選べ。

1.単位時間当たりの収縮の回数
2.拡張時の内圧
3.収縮時の内圧
4.心室壁の厚さ
5.1回拍出量

解答1・5

解説

(※図引用:「Medical Note 様HPより」)

1.〇 正しい。単位時間当たりの収縮の回数は、右心室と左心室で等しい。なぜなら、右心室も左心室もほぼ同時に収縮するため。ちなみに、右心室は肺循環を、左心室は体循環を形成する。全身に血液を循環させるため、左心室のポンプ作用は右心室と比べ強力である。
2~3.× 拡張時の内圧/収縮時の内圧は、左心室の方が右心室より圧力が高い。なぜなら、左心室は肺以外の体全体に血液を送り出す体循環を担い、より大きな圧力を必要とするためである。
4.× 心室壁の厚さは、左心室の方が右心室より厚い。なぜなら、左心室は肺以外の体全体に血液を送り出す体循環を担い、より大きな圧力を必要とするためである。つまり、左心室壁は、強力なポンプ作用(心筋力)を生み出す必要があるため。
5.〇 正しい。1回拍出量は、右心室と左心室で等しい。なぜなら、右心室と左心室はそれぞれ肺動脈と大動脈に血液を送り出すが、その量が同じでないと、どこかの部位に貯留することになるため。

 

 

 

 

 

109回 午前

26 固有心筋の特徴はどれか。

1.平滑筋である。
2.骨格筋よりも不応期が短い。
3.活動電位にプラトー相がみられる。
4.筋層は右心室の方が左心室より厚い。

解答3

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

固有心筋とは?

固有心筋とは、ポンプとして働く心筋のことをさす。

1.× 固有心筋は、「平滑筋」ではなく横紋筋からなる不随意筋である。筋肉には、①横紋筋(骨格筋、心筋)と②平滑筋に分けられる。横紋筋で随意筋は「骨格筋」、横紋筋で不随意筋は「心筋」である。一方、平滑筋は、内臓や血管・皮膚(立毛筋)などに分布している。
2.× 固有心筋は骨格筋よりも不応期が、「短い」のではなく長い。なぜなら、不応期が長いことで、洞結節による正規の刺激以外からの興奮を受け付けないようにし、心筋の異常興奮を防いでいるため。心筋には、脱分極を生じている間は、そこに新たな刺激を加えても反応を示さない特性がある。この期間を不応期という。不応期には、①絶対的不応期と②相対的不応期がある。R-Tの頂点を絶対不応期といい、絶対不応期は、いかなる強い刺激を与えても反応しない時期である。T波の頂点からT波の終わりまでを相対不応期といい、相対不応期は、比較的強い刺激である場合には反応する。
3.〇 正しい。固有心筋は、活動電位にプラトー相がみられる。プラトー相とは、0電位付近での持続的な脱分極状態のことをいう。心筋細胞の活動電位は、神経の活動電位と原則的には同一であるが、0電位付近での再分極の速度が極端に遅い特徴を持つため、正電位も負電位も生じておらず、これにより長い不応期をもつことができる。これは、心電図上ではST間にあたる。
4.× 固有心筋の筋層は右心室の方が左心室より、「厚い」のはなく薄い。なぜなら、左心室は全身へ血液を送り出すポンプとして機能するため。

 

 

 

110回 午前

76 後天性の大動脈弁狭窄症について正しいのはどれか。

1.二尖弁が多い。
2.弁尖の石灰化による。
3.左室壁は徐々に薄くなる。
4.拡張期に心雑音を聴取する。
5.心筋の酸素需要は減少する。

解答2

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

大動脈弁狭窄とは?

大動脈弁狭窄とは、全身に血液を送り出す左心室の出口が狭い状態をいう。①先天性と②後天性に分けられる。①先天性:生まれたときからずっと狭い場合である。②後天性:もともとは狭くなかった弁が年齢とともに動脈硬化が進んで、弁のひらひらが堅くなったりして狭くなった場合である。大動脈弁狭窄症の原因は①加齢性、②リウマチ性、③先天性二尖弁(正常に比べ比較的若年で石灰化が起こりやすい)などがあり、これらのなかで頻度は加齢性が最も高い。

1.× 大動脈弁は、正常では「二尖」ではなく三尖が多い。後天性とは、もともとは狭くなかった弁が年齢とともに動脈硬化が進んで、弁のひらひらが堅くなったりして狭くなった場合である。正常では、右房室弁や大動脈弁、肺動脈弁が三尖弁であり、唯一の二尖弁が僧帽弁である。大動脈弁がもとから「二尖」であれば先天性大動脈弁狭窄といえる。
2.〇 正しい。後天性の大動脈弁狭窄症は弁尖の石灰化による。後天性の大動脈弁狭窄症は高齢者に多く、長年動き続けて物理的ストレスにさらされた大動脈弁に炎症や脂肪の沈着が起こり石灰化することにより起こる。後天性の大動脈弁狭窄症の多くは大動脈弁尖の動脈硬化性変性(加齢性変性)であり石灰化を伴う。
3.× 左室壁は、徐々に「薄くなる」のではなく厚くなる。なぜなら、左室から大動脈に駆出する際に狭窄があるため。つまり、左室に圧負荷がかかるため、徐々に左室壁は肥大する。ちなみに、心臓の筋肉が薄くなり、拡張して収縮力が低下する病気は拡張型心筋症である。
4.× 心雑音を聴取できるのは、「拡張期」ではなく、収縮期(駆出性)である。なぜなら、血液が大動脈に送り出される(駆出される)収縮期に、通過障害により血流のジェット(乱流)が生じるため。これを収縮期駆出雑音という。音は、だんだん大きくなったあと次第に小さくなり、狭窄が進めば進むほど音が大きくなる。
5.× 心筋の酸素需要は、「減少する」のではなく増加する。なぜなら、左室が駆出する際に圧負荷がかかり、多くのエネルギー(酸素)を要するため。ちなみに、心筋の酸素需要は心筋梗塞など冠動脈に病変が存在し冠血流量が十分に増加しないときに減少する。

 

 

110回 午後

11 健常な成人で心臓壁が最も厚いのはどれか。

1.右心室
2.右心房
3.左心室
4.左心房

解答3

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.× 右心室の働きは、右心房から受け取った静脈血を肺動脈に送り出すために収縮する。
2.× 右心房の働きは、大静脈から入ってくる静脈血を受け入れ、右心室へ送る。左心房と同様、薄く、弾力性に富んでいる。
3.〇 正しい。左心室は、健常な成人で心臓壁が最も厚い。なぜなら、左心室は左心房から受け取った動脈血を大動脈から全身に送り出すために収縮するため。つまり、全身に血液を送る高い駆出力を生み出すため、最も厚くなっている。
4.× 左心房の働きは、肺静脈から戻ってくる動脈血を受け入れ、左心室へ送る。右心房と同様、薄く、弾力性に富んでいる。

 

 

 

 

111回 午後

11 左心室から全身に血液を送り出す血管はどれか。

1.大静脈
2.大動脈
3.肺静脈
4.肺動脈

解答2

解説

(※図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.× 大静脈とは、全身から心臓(右心房)に血液を送り出す血管である。
2.〇 正しい。大動脈とは、左心室から全身に血液を送り出す血管である。
3.× 肺静脈とは、肺から心臓(左心房)に血液を送り出す血管である。
4.× 肺動脈とは、心臓(右心房)から肺に血液を送り出す血管である。

 

 

 

112回 午後

問題12 心臓の刺激伝導系で最初の興奮部位はどれか。

1.洞房結節
2.房室結節
3.His〈ヒス〉束
4.Purkinje〈プルキンエ〉線維

解答

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

心臓の刺激伝導系とは?

心臓の刺激伝導系は、「洞結節(洞房結節)→右房→左房→房室結節→His束(房室束)→左脚・右脚→プルキンエ線維(Purkinje線維)→心室」となる。刺激伝導系を構成する細胞は特殊心筋と呼ばれ、心房・心室の壁を構成する一般の心筋細胞である固有心筋とは区別する。

1.〇 正しい。洞房結節は、心臓の刺激伝導系で最初の興奮部位である。洞房結節とは、心臓の興奮のペースメーカーの働きをする部位である。洞房結節は、右心房の上部に位置する。
2.× 房室結節とは、心臓の刺激伝導系で洞房結節からのシグナルを受け取る。右心房と右心室の境界に位置する。
3.× His束とは、心臓の刺激伝導系で房室結節からのシグナルを受け取る。心室中隔の上部に位置する。
4.× Purkinje線維とは、刺激伝導系の左右脚の末梢が心室壁内面で細かく分岐して心筋に移行し、その直前で特殊心筋のネットワークが形成される部位である。His束からのシグナルを受け取り、心室の収縮を誘発する。

 

 

 

 

112回 午後

問題26 心周期に伴う心臓の変化で、収縮期の初期には心室の容積は変わらずに内圧が上昇していく。
 このときの心臓で正しいのはどれか。

1.僧房弁は開いている。
2.大動脈弁は開いている。
3.左心室の容積は最小である。
4.左心室の内圧は大動脈圧よりも低い。

解答

解説

心周期とは?

心周期とは、心臓の収縮と弛緩からなる、心臓ポンプの1回の心拍動のことである。心周期は5つに分けられる。

①心房収縮期(心房が収縮し、左右の房室弁が開くことで、心房内の血液が心室に送られる)
②等容性収縮期(心室の収縮が始まる段階。心室内圧は上昇し、すべての弁は閉じる。血液に動きはない。)
③駆出期(さらに心室が収縮し、心室内圧が動脈内圧を上まわる。動脈弁が開き、心室内の血液は動脈へと流れる。)
④等容性拡張期(心室筋が弛緩して拡張が始まる段階。血液が動脈へと流れ出た後、心室圧は低下する。心室圧が動脈圧を下回ると、すべての弁が閉じる。心房には血液が流れ込み始める。)
⑤充満期(心房と心室がさらに拡張し、心室内圧が低下して房室弁が開き、心房の血液が心室に流れ込む。)

 

 

 

113回 午後

11 上行大動脈から分枝するのはどれか。(※不適切問題:採点対象外)

 1.冠状動脈
 2.腕頭動脈
 3.左総頸動脈
 4.左鎖骨下動脈

解答(採点対象外)
理由:問題としては適切であるが、必須問題として妥当ではないため。

解説

(※図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

心臓からの動脈の解剖

左心室→上行大動脈→大動脈弓(弓部大動脈)→下行大動脈→腹部大動脈

 1.〇 正しい。冠状動脈は、上行大動脈(起始部)から分枝する。冠状動脈とは、冠動脈ともいい、心臓を栄養する終動脈(細動脈で吻合をもたない血管)である。心臓自身を栄養するために、心拍出量の約1/20(250mL/分)の血液が冠動脈へ流れている。右冠状動脈(後下行枝)は、洞房結節、房室結節、右心室、心臓の後壁および下壁に、左冠状動脈(左前下行枝・左回旋枝)は、左心房・右心室の前壁・左心室の前壁と後壁・心室中隔の大部分に流入する。
 2~4.× 腕頭動脈/左総頸動脈/左鎖骨下動脈は、大動脈弓から分岐する。

(※画像引用:岡山第一病院様より)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)