第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午前71~75】

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71 ある組織では、リーダーの支援の下でグループ討議を経て方針を決定している。
 このリーダーシップスタイルはどれか。

1.委任的リーダーシップ
2.参加的リーダーシップ
3.教示的リーダーシップ
4.カリスマ的リーダーシップ

解答2

解説

1.× 委任的リーダーシップとは、組織の構成員に権限を与えて方針決定を任せること。
2.〇 正しい。参加的リーダーシップは、組織の構成員をグループ討議に参加させて、リーダーの支援のもと意思決定すること。したがって、設問である「ある組織では、リーダーの支援の下でグループ討議を経て方針を決定している」のは、参加的リーダーシップである。
3.× 教示的リーダーシップは、組織の構成員に具体的に指示を出していくこと。
4.× カリスマ的リーダーシップは、組織の構成員から大きな信頼を得て物事を進めていくこと。

 

 

 

 

 

72 Aさん(32歳、女性)は小児専門の病院に勤務していたが、国際保健医療協力プログラムで中央アフリカ地域の州事務所に母子保健担当の看護師として派遣された。この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良と聞いた。
 Aさんが現地で最初に行う業務はどれか。

1.経口補水液の配布
2.乳幼児の栄養状態の把握
3.女性の識字率向上の支援
4.病院における母子看護業務の把握

解答2

解説

ポイント

・Aさん(32歳、女性、小児専門の病院に勤務)
・国際保健医療協力プログラムで中央アフリカ地域の州事務所に母子保健担当の看護師として派遣された。
・この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良と聞いた。

1.× 経口補水液の配布は、最初に行う業務として優先度は低い。なぜなら、結果的には必要な対策のひとつとなるかもしれないが、脱水や水不足などの情報はないため。経口補水液とは、点滴の器具や設備がない場所でも素早く不足した水分や電解質を補給でき、下痢や嘔吐、熱中症時の軽度から中等度の脱水状態の改善に役立てられる。
2.〇 正しい。乳幼児の栄養状態の把握することが最も優先される。なぜなら、設問文に「この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良」と聞いているため。長い紛争の影響を最も被るのは乳幼児で、重症度や緊急性など、乳幼児の栄養状態を把握することが大切である。
3.× 女性の識字率向上の支援は、最初に行う業務として優先度は低い。なぜなら、「健康状態」と「識字率」の関連性は低いため。識字率は、将来のための開発援助である
4.× 病院における母子看護業務の把握は、最初に行う業務として優先度は低い。なぜなら、病院へ来られない母子も考えられるため。設問文には、「州事務所の母子保健担当」として派遣されたため、地域の母子保健の仕事が中心となる可能性が高い。したがって、まずは乳幼児死亡の直接的な原因となる栄養状態の把握が優先される。

 

 

 

 

 

73 最も順応しにくいのはどれか。

1.視覚
2.嗅覚
3.味覚
4.触覚
5.痛覚

解答5

解説

感覚器における順応とは?

順応とは、ある刺激に慣れることで、順応速度が速いということはその刺激にすぐ慣れて感じにくくなること、順応速度が遅いということはその刺激になかなか慣れずに敏感な状態が続くということである。生体にとって危険な刺激に対する感覚ほど順応は遅い(敏感な状態が続く)と考えてよい。

1.× 視覚より順応しにくい感覚が他にある。視覚は、明るさに慣れていく明順応と、暗さに慣れていく暗順応がある。これを明暗順応という。明所から暗所に移動した際、暗順応により完全に見えるようになるのには、30分ほどかかる。逆に、暗所から明所に移動した際、まぶしさに慣れる明順応は数分で完了する。
2~3.× 嗅覚/味覚より順応しにくい感覚が他にある生体にとって危険な刺激に対する感覚ほど順応は遅い(敏感な状態が続く)と考えてよい。
4.× 触覚より順応しにくい感覚が他にある。たとえば、服を着ていても意識しないのは、触覚順応のためである。
5.〇 正しい。痛覚は、順応しにくい感覚器官である。順応とは、ある刺激に慣れることで、順応速度が速いということはその刺激にすぐ慣れて感じにくくなること、順応速度が遅いということはその刺激になかなか慣れずに敏感な状態が続くということである。

 

 

 

 

 

74 起立性低血圧について正しいのはどれか。

1.脱水との関連はない。
2.高齢者には起こりにくい。
3.塩分の過剰摂取によって起こる。
4.脳血流の一時的な増加によって生じる。
5.自律神経障害を起こす疾患で生じやすい。

解答5

解説

起立性低血圧とは?

起立性低血圧とは、急に立ち上がったり、起き上がった時に血圧が低下し、軽い意識障害、いわゆる立ちくらみをおこすことである。機序として、血圧調節機能がうまく働かず血圧が低下し、脳血流が減少して、めまいや立ちくらみなどを起こす。仰臥位・坐位から立位への体位変換後3分以内に、以下のいずれかが認められるとき、起立性低血圧と診断する。①収縮期血圧が20mmHg以上低下、②収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下、③拡張期血圧が10mmHg以上低下。

1.× 脱水との関連がある。なぜなら、脱水になると血液の量も少なくなり、立ち上がった際に脳へ向かう血流が低下しやすくなるため。
2.× 高齢者に起こりやすい。なぜなら、高齢者は、自律神経機能が低下するため。また、動脈硬化により血圧調節機構が低下するのも一つの要因である。
3.× 塩分の「過剰摂取」ではなく摂取不足によって起こる。なぜなら、塩分は、体の水分を維持しようと働き、血圧低下を防ぐことができるため。したがって、塩分の過剰摂取によって、高血圧を生じ起立性低血圧を予防できる。
4.× 脳血流の一時的な「増加」ではなく低下によって生じる。なぜなら、起立性低血圧は、臥位や坐位から起立した際に、血圧調節機能がうまく働かず血圧が低下し、脳血流が減少して、めまいや立ちくらみなどを起こすものであるため。
5.〇 正しい。自律神経障害を起こす疾患で生じやすい。例えば、パーキンソン病が該当する。パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。仮面様顔貌とは、表情が乏しく、仮面をつけているような顔のこと。

 

 

 

 

 

75 平成26年(2014年)の人口動態統計における妻の平均初婚年齢はどれか。

1.23.4歳
2.25.4歳
3.27.4歳
4.29.4歳
5.31.4歳

解答4

解説

結果の概要

【婚姻件数は減少】
婚姻件数は64万3740組で、前年の66万613組より1万6873組減少し、婚姻率(人口千対)は5.1で前年の5.3を下回った。平均初婚年齢は夫31.1歳、妻29.4歳で、夫は前年より0.2歳、妻は前年より0.1歳上昇した(※引用:「平成26年人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省HPより)。

(※図引用:「平成26年人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省HPより)。

1.× 23.4歳は、昭和25年(1950年)である。
2.× 25.4歳は、昭和55年(1980年)である。
3.× 27.4歳は、平成12年(2000年)である。
5.× 31.4歳には現在至っていない。ちなみに、令和3年の平均初婚年齢は、夫31.0歳、妻29.5歳で、妻は前年より上昇している。

 

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