第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午前76~80】

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76 人獣共通感染症で蚊が媒介するのはどれか。

1.Q熱
2.黄熱
3.狂犬病
4.オウム病
5.重症熱性血小板減少症候群<SFTS>

解答2

解説

人獣共通感染症とは?

人獣共通感染症とは、人と動物に共通する感染症で、世界保健機構(WHO)では「脊椎動物と人の間で自然に移行するすべての病気または感染」と定義されている。つまり、同一の病原体により、ヒトとヒト以外の脊椎動物の双方が罹患する感染症である。

1.× Q熱とは、コクシエラ菌による感染症である。感染動物(犬や猫、家畜)の尿、糞、乳汁などに排菌され、この菌に汚染された空気中の粉塵などを吸うことで感染する。症状として、インフルエンザ様で突然の高熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、眼球後部痛の症状で始まる。 自然治癒傾向が強く、多くは14日以内に解熱する。
2.〇 正しい。黄熱は、人獣共通感染症で蚊が媒介する。黄熱とは、黄熱ウイルスをが媒介する感染症である。黄熱の古典的3徴候は、 黄疸、出血(鼻出血、歯肉出血、下血、子宮出血)、蛋白尿(高度の蛋白尿であっても浮腫・腹水 をきたすことは稀)である。 その他の症状として、嘔吐、結膜充血、顔面紅潮、せん妄などがある。
3.× 狂犬病とは、狂犬病ウイルスによる感染症である。イヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりして感染する。症状として、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、疲労感といった風邪のような症状ではじまり、咬まれた部位の痛みや知覚異常を伴う。興奮や不安状態、錯乱・幻覚、攻撃的状態、水を怖がるなどの脳炎症状を呈し、最終的には昏睡から呼吸停止で死亡する。発症するとほぼ100%死亡する危険な病気である。
4.× オウム病とは、オウム病クラミジアによる感染症である。主に鳥類の排泄物を吸入することで感染する。初期症状として悪寒を伴う高熱、頭痛、全身倦怠感、食欲不振、筋肉痛、関節痛などがみられる。呼吸器症状として咳、粘液性痰などがみられる。軽い場合は風邪程度の症状であるが、高齢者などでは重症になりやすい。
5.× 重症熱性血小板減少症候群とは、SFTSウイルスをマダニが媒介する感染症である。ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される。症状として、発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)を主張とし、ときに、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴う。

 

 

 

 

 

77 医療職や介護職の業務で法律に規定されているのはどれか。

1.介護福祉士は訪問看護ができる。
2.薬剤師は薬を処方することができる。
3.臨床検査技師は肘静脈から採血ができる。
4.看護師は病院の管理者となることができる。
5.診療放射線技師はエックス線写真に基づく診断ができる。

解答3

解説

1.× 介護福祉士は、訪問看護ができない。介護福祉士とは、社会福祉士及び介護福祉士法を根拠とする国家資格である。身体が不自由な高齢者、身体もしくは精神に障害がある方に対し、食事や入浴、排泄の介助など日常生活を営むためのサポートをおこなう。訪問看護は、看護師の他に、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などで行える。
2.× 薬剤師は、薬を処方することができない。薬剤師とは、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格で、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどる職種である。薬の処方は医師、歯科医師、獣医師である。
3.〇 正しい。臨床検査技師は、肘静脈から採血ができる。臨床検査技師とは、病院などの医療機関において種々の臨床検査を行う技術者で、患者の血液や尿などの検体や脳をはじめとした患者の身体の検査を行う職業である。検体検査、生理学的検査、および採血などの検体採取が業務である。
4.× 看護師は、病院の管理者となることができない。病院の管理者は、臨床研修等修了医師(歯科の場合は臨床研修等修了歯科医)でなければならない。
5.× 診療放射線技師は、エックス線写真に基づく診断はできない。診療放射線技師とは、放射線技術の専門知識を生かして、放射線や検査の説明、目的に応じた撮影、三次元画像などの作成や読影の補助、診療上の説明を受ける方へ判りやすい画像提供など、手術サポートおよび放射線治療などを行う専門職である。医師・歯科医師の指示のもとにエックス線写真を撮影するが、診断は医師が行う。

 

 

 

 

 

78 思春期に、親や家族との関係が依存的な関係から対等な関係に変化し、精神的に自立することを示すのはどれか。

1.自我同一性の獲得
2.心理的離乳
3.愛着形成
4.探索行動
5.母子分離

解答2

解説

アタッチメントとは?

愛着(アタッチメント)とは、主に乳幼児期の子どもと母親をはじめとする養育者との間で築かれる、心理的な結びつきのことである。ネグレクトによって反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)が起こる。反応性愛着障害とは、5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、その異常は、情動障害を伴い、周囲の変化に反応したものである(例:恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性、みじめさ、ある例では成長不全)。こどもの対人関係の障害である。

1.× 自我同一性の獲得は、青年期における発達課題である。ちなみに、自己同一性とは、心理学や社会学において、「自分は何者なのか」という概念をさす。
2.〇 正しい。心理的離乳は、思春期に、親や家族との関係が依存的な関係から対等な関係に変化し、精神的に自立することを示す。心理的離乳とは、思春期に親や家族に反発する第二次反抗期がみられることである。 親などから精神的に自立し、友人関係が重要となる。学童期までの親に依存する状態から脱却して、親から心理的に自立するようになる第二次反抗期と呼ばれる。それよりも、同性同年輩の友人との関係が親密となり、そのなかで自己像を見つめなおし、アイデンティティを確立させていく。
3.× 愛着形成は、幼児期前期にみられる。愛着形成とは、精神科医のジョン・ボルビィが1969年に著書「愛着行動」の中で書かれた考え方である。 「子どもが不安な時に親や身近にいる信頼できる人にくっつき安心しようとする行動」のことである。
4.× 探索行動は、乳幼児期にみられる。探索行動とは、知らない物事に興味を示し、それがどんなものなのかを確かめ知ろうとする動きである。探索行動の促進は問題解決にあたり、物ごとに対する極端な見方を改善することができる。療養者(安全既知)が近くに存在する場合、自由な探索行動が可能となるため、探索行動を促進できる。
5.× 母子分離は、主に幼児期にみられる。母子分離とは、乳幼児期の子どもが親などから引き離された場合に愛着をもっている人から離れることに不安を感じることを意味する。母子分離不安ともいい、どの子どもにも見られる現象である。母子、生後8ヶ月頃から始まり、10ヶ月から1歳半くらいが強く、2歳になるころには減っていくと言われる。

エリクソン発達理論

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

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【4問】愛着(アタッチメント)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

79 排泄が自立していない男児の一般尿を採尿バッグを用いて採取する方法で正しいのはどれか。

1.採尿バッグに空気が入らないようにする。
2.採尿口の下縁を陰茎の根元の位置に貼付する。
3.採尿バッグを貼付している間は座位とする。
4.採取できるまで1時間ごとに貼り替える。
5.採取後は貼付部位をアルコール綿で清拭する。

解答2

解説

1.× 採尿バッグに空気が、「入らないよう」ではなく適度に入れて使用する。なぜなら、バッグ内に空気を入れると、バッグ内に尿をためやすいため。
2.〇 正しい。採尿口の下縁を陰茎の根元の位置に貼付する(男児の場合)。女児では会陰部に採尿口の下縁を合わせて貼付する。なぜなら、尿が漏れないようにする必要があるため。睾丸も袋の中に入れる。
3.× 採尿バッグを貼付している間は、「座位」ではなく寝ているとき(就寝時)とする。なぜなら、採尿バッグ貼付中は坐位や歩行などの動きでバッグが剥がれやすく尿が漏れやすくなるため。
4.× 採取できるまで1時間ごとに貼り替える必要はない。なぜなら、1時間ごとの貼り替えは採尿バッグの粘着剤による皮膚トラブルを招きやすいため。
5.× 採取後は、貼付部位を「アルコール綿」ではなく、おしり拭きなどアルコールが含まれていないもので清拭する。なぜなら、陰部などの粘膜部分をアルコールで消毒することは刺激が強く皮膚トラブルを招くため。

 

 

 

 

 

80 Aちゃん(6歳、女児)は、左上腕骨顆上骨折と診断され、牽引治療のために入院した。医師からAちゃんと家族に対し、牽引と安静臥床の必要性を説明した後、弾性包帯を用いて左上肢の介達牽引を開始した。
 Aちゃんに対する看護で適切なのはどれか。

1.食事を全介助する。
2.左手指の熱感を観察する。
3.抑制ジャケットを装着する。
4.1日1回は弾性包帯を巻き直す。
5.痛みに応じて牽引の重錘の重さを変更する。

解答4

解説

本症例のポイント

・Aちゃん(6歳、女児、左上腕骨顆上骨折
・牽引治療のために入院した。
・弾性包帯を用いて左上肢の介達牽引を開始。
→牽引とは、持続的に引っ張って負荷をかけることで、骨折を整復する治療法である。骨折により転位している骨を持続的に牽引することで、転位を治し整復する。①直達牽引と②介達牽引の2種類がある。①直達牽引とは、骨に直接牽引力を働かせる方法をという。皮膚トラブルは少ないが、鋼線の刺入部周囲の皮下や骨髄内の感染を合併することがあるため、患部の熱感の確認を行う。②介達牽引とは、骨に直接牽引力を加えず、皮膚や筋肉を介して骨に力を加える牽引法である。皮膚に絆創膏や包帯を巻いて牽引を行うため、コンパートメント症候群のほか、褥瘡や皮膚損傷など皮膚科分野の合併症に気を付ける必要がある。ちなみに、介達牽引中の合併症として、①腓骨神経麻痺、②安静による認知能力の低下、③褥瘡、皮膚の傷などの皮膚科分野のトラブル、④関節の拘縮と筋力の低下、⑤循環障害などが挙げられる。

1.× 食事を全介助する必要はない。なぜなら、右手は使える状態であるため。自助具を使用し自立もしくは最低限の部分介助を目指す。
2.× 左手指の熱感を観察する必要はない。なぜなら、炎症症状である熱感は骨折部で生じるため。炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。介達牽引には、合併症のひとつであるコンパートメント症候群の有無をチェックする。コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。したがって、手指の感覚や血流障害がないかをこまめに評価する必要がある。
3.× 抑制ジャケットを装着する必要はない。なぜなら、牽引と安静臥床の説明を6歳は理解できると考えられるため。抑制ジャケットとは、文字通り抑制させるためのジャケットのことで、安静を保てないような患者に対して、最終手段として使用する場合がある。
4.〇 正しい。1日1回は、弾性包帯を巻き直す。なぜなら、介達牽引の合併症である褥瘡や皮膚損傷などの状態を確認できるため。牽引により弾性包帯がずれやすく、皮膚トラブルになりやすい。
5.× 痛みに応じて牽引の重錘の重さを変更する必要はない。なぜなら、牽引の重錘の重さは、主治医の指示で、対象者骨折部位・牽引方法などによって決まるため。変更には、看護師の独断では行えず、主治医の指示が必要となる。

コンパートメント症候群とは?

コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。症状として6P【①pain(痛み)、②pallor(蒼白)、③paresthesia(知覚障害)、④paralysis(運動麻痺)、⑤pulselessiiess(末梢動脈の拍動の消失)、⑥puffiniss(腫脹)】があげられ、それらを評価する。

 

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