第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午前81~85】

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81 新人看護師のAさんは、夜勤の看護師からの引き継ぎが終了した後、日勤で行う業務を書き出した。
 Aさんが書き出した以下の業務のうち最も優先して行うのはどれか。

1.頭部の搔痒感を訴える患者の洗髪
2.夜間せん妄のあった患者との散歩
3.午後に入院する患者の診療録の準備
4.翌日に検査を受ける予定の患者への説明
5.人工呼吸器を装着中の患者の状態の確認

解答5

解説

1~4.× 頭部の搔痒感を訴える患者の洗髪/夜間せん妄のあった患者との散歩/午後に入院する患者の診療録の準備/翌日に検査を受ける予定の患者への説明より優先度が高いものが他にある。なぜなら、生命と直接関与しないため。業務の優先順位として、生命に直接関与する要素である「重症度」と「緊急度」を考える。
5.〇 正しい。人工呼吸器を装着中の患者の状態の確認は、Aさんが書き出した以下の業務のうち最も優先して行う。なぜなら、人工呼吸器に何か不備があれば、生命と直接関与するため。ちなみに、人工呼吸器が装着される条件として、3つが重なっている。①十分な酸素療法下でPaO2が60Torr未満、②換気量の低下(急性呼吸性アシドーシス)、③意識レベルの低下、奇異呼吸、呼吸困難である。

せん妄とは?

せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。

【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。

【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。

 

 

 

 

 

82 車軸関節はどれか。2つ選べ。

1.正中環軸関節
2.腕尺関節
3.上橈尺関節
4.指節間関節
5.顎関節

解答1・3

解説

車軸関節

①上橈尺関節(=近位橈尺関節)
②環軸関節

1.〇 正しい。正中環軸関節/上橈尺関節は、車軸関節である。
2.× 腕尺関節は、らせん関節である。ちなみに、らせん関節は、他にも距腿関節、膝関節があげられる。
4.× 指節間関節(PIP・DIP関節)は、蝶番関節である。
5.× 顎関節は、楕円関節(顆状関節)である。他にも、橈骨手根関節、手根中央(尺側)関節、中手指節関節があげられる。

 

 

 

 

83 嚥下運動に伴って起こるのはどれか。2つ選べ。(※不適切問題:採点対象から除外)

1.声門の開放
2.舌根の沈下
3.甲状腺の挙上
4.後鼻孔の閉鎖
5.耳管咽頭口の開口

解答(解答なし:採点除外)
理由:問題として適切であるが、受験者レベルでは難しすぎるため。

解説

嚥下の過程

①先行期・・・飲食物の形や量、質などを認識する。
②準備期・・・口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
③口腔期・・・飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
④咽頭期・・・飲食物を咽頭から食道に送り込む。
⑤食道期・・・飲食物を食道から胃に送り込む。

(※図引用:「illustAC様」)

1.× 声門は「開放」ではなく閉鎖する。なぜなら、誤嚥を防止するため。声門とは、声帯のすき間をいい、普通に呼吸をしているときは筋肉が弛緩状態で、声門は開放している。発声時は、筋肉が縮んで声門が閉じ、そこへ肺からの空気が無理に押しだそうとするため、声帯が振動して声門の開閉状態を繰り返す。その結果、声の音源となる空気の断続的な流れが発生する。
2.× 舌根の沈下は起こらない。舌根の沈下とは、舌の基部が後下方に落ちることで、気道閉塞症状である低酸素発作、哺乳障害、吸気性喘鳴 などの症状を認める病態である。嚥下とは無関係である。
3.〇 正しい。甲状腺の挙上が起こる。なぜなら、甲状腺は、輪状軟骨に付着しているため。嚥下運動時に喉頭・輪状軟骨が挙上する。甲状軟骨の下に輪状軟骨があり、その直下に甲状腺の峡部がある。
4.〇 正しい。後鼻孔の閉鎖が起こる。鼻腔は、①前鼻孔と②後鼻孔がある。①前鼻孔は、顔の表面にみえる鼻の穴のことであり、②後鼻孔は、そこから10cm位後ろにある、鼻の後ろの穴のことを指す。咽頭期(飲食物を咽頭から食道に送り込む)において、咽頭に入った食塊が鼻腔や喉頭へ侵入しないよう、咽頭腔と鼻腔、咽頭腔と喉頭腔の間がそれぞれ反射的(軟口蓋の挙上・喉頭蓋の下方回転)に塞がる。
5.〇 正しい。耳管咽頭口の開口が起こる。耳管は普段は閉口しているが、嚥下(つばや食事を飲み込むこと)により開口し、①外耳道と鼓室の圧を等しく調整する、②分泌物の排泄機能がある。咽頭への送り込み時に口蓋帆張筋が緊張することにより、軟口蓋が挙上し、咽頭後壁に接し鼻咽頭への逆流を防止する。また耳管咽頭口も開く。

 

 

 

 

 

84 パルスオキシメータを下図に示す。
 表示されている数値が示すのはどれか。2つ選べ。

1.脈拍数
2.酸素分圧
3.酸素飽和度
4.重炭酸濃度
5.二酸化炭素濃度

解答1・3

解説

パルスオキシメーターとは?

パルスオキシメーターとは、皮膚を通して動脈血酸素飽和度脈拍数を測定するための装置である。赤い光の出る装置で指をはさむことで測定する。検知器を指先に装着し、非侵襲的な方法で、脈拍数と経皮的動脈血の酸素飽和度 をリアルタイムでモニターするための医療機器である。

1.〇 正しい。脈拍数が表示されている。頻脈とは100回/分以上、徐脈とは50回/分以下を定義される。
2.× 酸素分圧とは、気体中に含まれる酸素の量を表わす指標である。 動脈血酸素分圧(PaO2)とは、動脈血中の酸素分圧のことで、動脈血ガス分析で測定する。基準値は80~100Torr(mmHg)。 60Torr(mmHg)以下になると呼吸不全の状態である。
3.〇 正しい。酸素飽和度が表示されている。正常値は95%以上とされている。90%以下の場合は十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態(呼吸不全)になっている可能性がある。
4.× 重炭酸濃度とは、1㎥に含まれる重炭酸の割合を示したものである。
5.× 二酸化炭素濃度とは、1㎥に含まれる二酸化炭素の割合を示したものである。

パルスオキシメーターの注意点

①運動直後の数値は体動の影響がある。
②装着直後ではなく、動脈拍動を検出してから20〜30秒後の安定した値を読み取る。
③安静時の状態を測定する時は、呼吸や心拍が安静時に戻っていることを確認し測定する。
④測定部位は動かさず静止の状態で測定する。
⑤爪のマニキュアや白癬症が光の透過を妨げない。
⑥測定機器をしっかり当てる。
⑦屋外など強い光の下で測定しない。
⑧手足が血管収縮させた状態(冷たい)で測定しない。
⑨指のむくみがない状態で測定する。

(※参考:「よくわかるパルスオキシメーター」日本呼吸器学会HPより)

 

 

 

 

85 網膜剝離について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.確定診断のために眼底検査を行う。
2.前駆症状として光視症がみられる。
3.初期症状として夜盲がみられる。
4.失明には至らない。
5.若年者に好発する。

解答1・2

解説

(図引用:「~看護師イラスト集~」看護roo!様HPより)

網膜剥離とは?

網膜剥離とは、眼球の内側にある網膜という膜が剥がれて、視力が低下する病気である。網膜は眼球内の光を感知する部分であり、網膜が物理的に剥がれることで起こる。ちなみに、裂孔原性網膜剝離とは、様々な原因で生じた網膜の裂孔や円孔から液化した硝子体が網膜下へ流入することで、感覚網膜層と網膜色素上皮層との間が剥離した状態をいう。つまり、網膜の一部に裂孔と呼ばれる裂け目ができて、そこから網膜の裏側に水分が流れ込んで剥がれてしまった状態をいう。裂孔原性網膜剥離の手術には、強膜内陥術と硝子体手術がある。

1.〇 正しい。確定診断のために眼底検査を行う。眼底検査とは、瞳孔を特殊な目薬(散瞳薬)で開くことにより構造を詳しく観察することができる基本的な眼科検査のひとつである。眼底出血、網膜剥離、視神経炎、黄斑変性などの病気を見つけ治療につなげていく。
2.〇 正しい。前駆症状として光視症がみられる。前駆症状としては光視症飛蚊症を認めることがある。光視症とは、光が当たっていないのに、視野の中心や端に光が飛んで見えたり、チカチカ・キラキラ光を感じる、硝子体の収縮により網膜が刺激を受けて起こる症状のことである。網膜の剥がれは痛みを伴わないため気付きにくいが、網膜裂孔を生じる際の網膜組織切片が原因で、前兆として飛蚊症があらわれることがある。
3.× 初期症状で夜盲はみられない。網膜剥離と夜盲は関連しない。なぜなら、夜盲とは、網膜色素変性ビタミンA欠乏症が原因疾患であるため。夜盲症とは、暗いところではたらく網膜の細胞(杆体細胞)に異常により、暗順応が障害され、暗いところや夜に見えにくくなる病気のことである。
4.× 失明には「至らない」と一概にいいきれない。なぜなら、黄斑部を含んだ網膜剥離の場合は、失明することもあるため。網膜剥離は、50歳を過ぎてから、眼内の加齢変化によって突然、生じることが多い。 失明につながる重篤な病気であるため、早期発見・治療が大切になる。
5.△ ※分かる方いらしたら、コメントにて教えてください。若年者に好発する。網膜剥離は近視の人に多く、好発年齢は若年者(10~20才台)と中高年(50~60才台)での発症が多い。若年者とは15歳から34歳までをいう。

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