第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午後11~15】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

11 運動性言語中枢はどれか。

1.中心後回
2.大脳基底核
3.Broca(ブローカ)野
4.Wernicke(ウェルニッケ)野

解答3

解説

1.× 中心後回は、一次体性感覚野である。一次運動野は、随意運動のプログラミングに関わる大脳皮質の高次運動野や頭頂連合野からの入力を統合して最終的な運動指令を形成し、これを下位中枢(脳幹や脊髄)へ出力する。
2.× 大脳基底核は、大脳半球の内部にある。大脳基底核は、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核で構成されている。
3.〇 正しい。Broca(ブローカ)野は、運動性言語中枢である。大脳皮質にある言語活動をつかさどる中枢で、運動性言語中枢の役割は、主に言葉を話したり書いたりする。
4.× Wernicke(ウェルニッケ)野は、感覚性言語中枢である。大脳皮質にある言語活動をつかさどる中枢で、感覚性言語中枢の役割は、言葉を聞き取って理解したり字を読んだりする。

 

 

 

 

 

12 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)のⅢ(3桁)で表現される意識レベルはどれか。

1.意識清明の状態
2.刺激すると覚醒する状態
3.刺激しても覚醒しない状態
4.刺激しなくても覚醒している状態

解答3

解説

1.× 意識清明の状態は、「0」である。
2.× 刺激すると覚醒する状態は、「Ⅱ(2桁)」である。
3.〇 正しい。刺激しても覚醒しない状態刺激しても覚醒しない状態は、「Ⅲ(3桁)」である。
4.× 刺激しなくても覚醒している状態は、「Ⅰ(1桁)」である。

(※図引用:「意識レベル(JCS:Japan Coma Scale)」堺市HPより)

 

 

 

 

 

13 最も緊急性の高い不整脈はどれか。

1.心房細動
2.心室細動
3.心房性期外収縮
4.Ⅰ度房室ブロック

解答2

解説

1.× 心房細動より、緊急性の高い不整脈が選択肢の中にある。心房細動とは、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。心房細動を洞調律に戻す非薬物療法には、カテーテルアブレーションのほかに電気的除細動という方法もある。電気的除細動を行うのは、心房細動が起こると①血圧が急に下がって強い症状のために動けなってしまうような場合、②抗不整脈薬が有効でない場合、③肥大型心筋症・心アミロイドーシスや心不全などがあるため抗不整脈薬を使うよりも電気的除細動の方が安全と判断される場合などである。
2.〇 正しい。心室細動は、緊急性の高い不整脈である。心室細動とは、脈のかたちが一定ではなく不規則で、心室がけいれんを起こし1分間の脈拍数が300など数えられないくらい速くなった状態である。心室頻拍は血圧が保たれ、すぐには意識を失わないこともあるが、心室細動になると、発症から5~10秒で意識がなくなって失神し、その状態が続くとそのまま亡くなることが多い。心室頻拍の場合も、ほうっておくと心室細動に移行して、意識がなくなって突然死を起こすことがある。除細動の適応である。また、基礎心疾患を伴う場合は、植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
3.× 心房性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心房内で興奮が開始し、本来より早く形の整ったQRS波が出るのが特徴である。頻発する場合は将来的に心房細動に移行する可能性が高くなる。心房性期外収縮のみで血栓はできない。
4.× Ⅰ度房室ブロックとは、PQ間隔が0.2秒以上に延長している場合をいい、一般的に良性所見であるものを指す。健常者にもみられることが多く、通常、治療は不要である。

房室ブロックとは?

房室ブロックは、心房から心室への伝導障害をいう。第1度〜第3度に分類される。
・1度房室ブロック:心房から心室への伝導時間が延長するが、P波とQRS波の数や形は変わらない。
・2度房室ブロック
①ウェンケンバッハ型(モビッツⅠ型):PR間隔が徐々に延長してQRSが脱落する。
②モビッツⅡ型:心房から心室への伝導が突然途絶える。P波の後のQRSが突然脱落する。

・3度房室ブロック:心房からの刺激が途絶え、P波とQRSが無関係に生じるようになる。

 

 

 

 

 

 

14 浮腫の原因となるのはどれか。

1.膠質浸透圧の上昇
2.リンパ還流の不全
3.毛細血管内圧の低下
4.毛細血管透過性の低下

解答2

解説

浮腫とは?

浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。

1.× 膠質浸透圧の「上昇」ではなく低下で起こる。膠質浸透圧とは、血漿中のタンパク質によって生じる浸透圧のことである。タンパク質には水をひきつける力があり、毛細血管のような半透膜を隔てて濃い液と薄い液があると、水は濃い液のほうにひき寄せられ、同じ濃度になるように働く。したがって、膠質浸透圧が低下(血漿アルブミンの減少など)すると、血管内に水分を引き留めておく作用が低下し、組織液が増加して浮腫となる。
2.〇 正しい。リンパ還流の不全は、浮腫の原因となる。リンパ浮腫とは、がんの治療部位に近い腕や脚などの皮膚の下に、リンパ管内に回収されなかった、リンパ液がたまってむくんだ状態のことをいう。がんのリンパ節転移やリンパ管内進展、手術などにより、リンパの流れが妨害されることで起こる。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
3.× 毛細血管内圧の「低下」ではなく上昇で起こる。毛細血管内圧が上昇(心不全など)すると、血漿の間質への流出が増加するため浮腫となる。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
4.× 毛細血管透過性の「低下」ではなく亢進で起こる。毛細血管透過性が亢進(炎症など)すると、血漿の間質への流出が増加するため浮腫となる。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。

 

 

 

 

15 狭心症発作時に舌下投与するのはどれか。

1.ヘパリン
2.ジゴキシン
3.アドレナリン
4.ニトログリセリン

解答4

解説

狭心症とは?

 狭心症は心臓への酸素供給量が減少することで、一時的な胸痛や圧迫されたような不快感を感じる疾患である。狭心症は酸素需要量が増大する運動時に発症しやすく、安静にすると回復する傾向がある。診断には血液検査や画像所見、自覚症状に基づいて下される。

1.× ヘパリンは、抗凝固薬である。血栓塞栓症や播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療に用いられる。また、緊急心臓カテーテル検査時に経静脈的に投与されるものである。
2.× ジゴキシンは、強心薬である。うっ血性心不全の治療に用いられる。心筋の酸素需要を増やすため心筋虚血を増悪させる。
3.× アドレナリンは、交感神経作動薬である。強心や血圧上昇作用、気管支拡張作用があり、気管支喘息やショックの際の治療に用いる。
4.〇 正しい。ニトログリセリンは、狭心症発作時に舌下投与する。ニトログリセリンは血管平滑筋を弛緩させ、血管を拡張させる作用があり、狭心症発作時に用いられる。

播種性血管内凝固症候群とは?

播種性血管内凝固症候群〈DIC〉とは、小さな血栓が全身の血管のあちこちにできて、細い血管を詰まらせる病気である。血液凝固が増加することで出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度の出血を引き起こす。感染、手術、出産時の合併症など、考えられる原因はいくつかある。妊娠高血圧症候群性の常位胎盤早期剥離では播種性血管内凝固症候群〈DIC〉を発生することが多い。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)