第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午前36~40】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

36 指鼻指試験で評価する項目はどれか。

1.小脳機能
2.表在反射
3.深部知覚
4.複合知覚

解答1

解説

指鼻指試験とは?

踵膝試験/指鼻指試験/線引き試験は、小脳失調で陽性になる。測定障害・運動分解を疑う。指鼻指試験の方法として、患者に人差し指を出してもらい、その指で検者の指と患者の鼻を順に触れてもらう。患者の人差し指が指標に向かって真っ直ぐに適切に届けば正常と判断する。

1.〇 正しい。小脳機能(運動失調)を指鼻指試験で評価する。踵膝試験/指鼻指試験/線引き試験は、小脳失調で陽性になる。測定障害・運動分解を疑う。指鼻指試験の方法として、患者に人差し指を出してもらい、その指で検者の指と患者の鼻を順に触れてもらう。患者の人差し指が指標に向かって真っ直ぐに適切に届けば正常と判断する。
2.× 表在反射とは、皮膚や粘膜を刺激することでみられる反射のことである。錐体路の障害で陽性となる。 角膜反射・咽頭反射・腹壁反射・挙睾筋反射・足底反射・肛門反射などがある。
3.× 深部知覚とは、振動覚や関節の位置覚のことである。筋肉関節などの感覚受容器で感知する。
4.× 複合知覚とは、大脳レベルで判断する感覚のことである。二点識別感覚、皮膚書字覚、立体認知、二点同時刺激識別感覚といった知覚を含む高度な感覚である。

 

 

 

 

 

37 静脈血採血時に使用する器具の取り扱いで適切なのはどれか。

1.真空採血管で採血する場合は素手で行う。
2.抜針した採血針はキャップをして破棄する。
3.針専用の廃棄容器は実施者の手の届く範囲に置く。
4.針専用の廃棄容器は廃棄物が投入口まで達したら交換する。

解答3

解説

感染予防策とは?

感染予防策は、院内感染の防止策として推奨されている方法である。感染の有・無にかかわらず患者と医療スタッフすべてに適応される予防対策である。患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚は感染のおそれがあるとみなして対応・行動する方法である。

1.× 真空採血管で採血する場合は、「素手」ではなく非滅菌手袋で行う。なぜなら、実施者の血液汚染を予防するため。
2.× 抜針した採血針は、「キャップをして」ではなくキャップせず破棄する。なぜなら、使用後の注射針は、針刺し事故を防ぐため。そのため、リキャップせずにその場で専用の廃棄容器に捨てる。
3.〇 正しい。針専用の廃棄容器は実施者の手の届く範囲に置く。なぜなら、抜針後は、片手で穿刺部位を止血しながら、もう一方の手で採血セットごと針を廃棄容器に捨てるため。
4.× 針専用の廃棄容器は廃棄物が、「投入口まで」ではなく廃棄容器の投入限度ラインに達したら交換する。なぜなら、廃棄物を投入口まで入れると、廃棄する際に針刺しを起こす危険性があるため。ちなみに、針刺し事故とは、医療従事者が業務中に、患者血液が付着した器具によって被る外傷を代表例として示す言葉である。これら外傷は、日常の診療行為のなかで常に 起こりうる状況にあり、医療従事者それぞれが本人自身および他人のことを考えて注意を払えば、確実に減少させうる種類の事故である。

注射の知識

深さ:表皮→真皮→皮下組織→静脈→筋肉の順に深くなる。
角度:皮内(ほぼ水平)→皮下注射(10~30度)→筋肉内注射(45~90度)である。

注射部位が浅ければ刺入角度を小さくし、注射部位が深ければ刺入角度を大きくする。

注射針の大きさはゲージ(G)で表す。ゲージの数値が小さいほど針は太く、大きいほど針は細い。

①輸血:18~20G
②採血・静脈:21~23G
③筋肉注射:23~25G
④皮下注射:24~27G
⑤皮内注射:26~27G

 

 

 

 

38 便秘を訴えている患者の打診のアセスメント項目で適切なのはどれか。

1.固い腫瘤
2.筋性防御
3.叩打痛
4.鼓腸

解答4

解説

1.× 固い腫瘤は、触診のアセスメント項目で、がんや嚢胞などの存在を示唆する所見である。「硬い」という字が含まれる以上、「触診上」硬く触れる病変と限られてしまうが、腫瘤は触診以外にも、視診、画像診断などでも評価できる。
2.× 筋性防御は、触診のアセスメント項目で、筋膜炎を示唆する所見である。筋性防御とは、腹部を触診した際、腹壁の筋肉が緊張して硬くなる内臓体性反射である。壁側腹膜の炎症を示唆し、腹膜炎や腹腔内出血などで見られる。筋性防御が起こる範囲によって、炎症部位を判断する。
3.× 叩打痛は、打診のアセスメント項目であるが、尿管結石腎盂腎炎脊椎骨折などを示唆する所見である。腰背部の叩打痛が腎盂腎炎と膀胱炎との鑑別で確認する所見である。腎盂腎炎は、尿路感染症の一つで膀胱から尿管、腎臓へと細菌が上行して発症する。膀胱炎では排尿痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、下腹部痛が、腎盂腎炎では発熱、悪寒、側腹部痛が、主たるものである。側腹部痛の有無の確認には、腰背部の叩打することで確認する。
4.〇 正しい。鼓腸は、便秘を訴えている患者の打診のアセスメント項目で適切である。鼓腸とは、便秘により腸内に溜まったガスが、打診により高い鼓のような音を立てるものである。他にも、便秘の所見として、排便が困難、排便回数が少ない、便が硬い、残便感がある状態が多い。

尿路感染症とは?

尿路感染症は、感染診断名としては、①腎盂腎炎と②膀胱炎とに分けられる。一方で、その病態による一般的分類法として尿路基礎疾患のある・なしで、複雑性と単純性とに分ける。頻度として多い女性の急性単純性膀胱炎は外来治療の対象である。急性単純性腎盂腎炎は高熱のある場合、入院が必要なこともある。複雑性尿路感染症は、膀胱炎、腎盂腎炎とも、症状軽微な場合、外来治療が原則であるが、複雑性腎盂腎炎で尿路閉塞機転が強く高熱が認められるものでは、入院の上、腎瘻造設などの外科的ドレナージを要することもある。それら病態を見極めるための検査として、画像診断(超音波断層、静脈性腎盂造影、X線CTなど)が必要となる。感染症としての診断には、適切な採尿法による検尿で膿尿を証明すること、尿培養にて原因菌を同定し薬剤感受性を検査することが基本である。

【疑うべき臨床症状】
尿路感染症の症状は、急性単純性膀胱炎では排尿痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、下腹部痛が、急性単純性腎盂腎炎では発熱、悪寒、側腹部痛が、主たるものである。複雑性尿路感染症では膀胱炎、腎盂腎炎それぞれにおいて、単純性と同様の症状が見られるが、無症状に近いものから、強い症状を呈するものまで幅が広い。上部尿路閉塞に伴う膿腎症では高熱が続くこともある。

(※引用:「尿路感染症」日本臨床検査医学会より)

 

 

 

 

 

39 夜間の睡眠を促す方法で適切なのはどれか。

1.朝、起床後に日光を浴びる。
2.2時間以上昼寝をする。
3.夕食後、カフェインが含まれる飲み物を摂取する。
4.就寝前に過ごす部屋の照明は1,000ルクスとする。

解答1

解説

高齢者の睡眠の特徴

高齢者は、社会的な刺激が少ない状況におかれ、身体的・精神的活動能力が低下しているため、日中の活動量は減り、熟睡が困難になる。また、身体的要因や疾患のために夜間睡眠が妨げられやすくなる。さらに、加齢や脳の器質的障害に伴うサーカディアンリズムの変化が生じる。

1.〇 正しい。朝、起床後に日光を浴びる。なぜなら、光刺激(日光)により、覚醒を促し、睡眠・覚醒リズムの調整をするように働きかけられるため。メラトニンが適切に分泌されて、夜間の良質な睡眠につながる。メラトニンとは、夜間に脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計による夜間の身体の休息を促す働きを持つ。
2.× 昼寝は、「2時間以上」ではなく30分程度とする。なぜなら、長時間の昼寝は夜間の睡眠を阻害するため。夜間の睡眠周期は約90分であるため、30分程度の昼寝は、深いノンレム睡眠に至らないので夜の睡眠に影響はない。むしろ一般的な高齢者は夜間の睡眠効率が低下するため、短時間の昼寝で夜間の睡眠不足を補う必要がある。
3.× 夕食後、カフェインが含まれる飲み物を摂取すると、睡眠の阻害となる。なぜなら、カフェインは、覚醒を促す物質であるため。他にも、たばこ(ニコチン)や過度な飲酒(アルコール)は控えるよう指導する。
4.× 就寝前に過ごす部屋の照明は、「1,000ルクス」ではなく50ルクス以下とする。一般的な病室の最適な明るさが、100~200ルクスである。メラトニンは暗い環境で多く分泌される。

(※図引用:「照度基準」日本工業標準調査会様より)

 

 

 

 

40 歯ブラシを用いたブラッシングで歯周ポケットの清掃に適しているのはどれか。

1.バス法
2.スクラブ法
3.ローリング法
4.フォーンズ法

解答1

解説

ブラッシング方法

①スクラッピング法:毛先を直角(90°)に当て、1・2本10回を目安にして磨く。 
②ローリング法:毛先を歯の根元に垂直に当て、歯の先端に向けて回転させる。
③フォーンズ法:毛先を直角(90°)に当て、くるくると回転させながら磨く。
④バス法:毛先を45°に歯茎にあて小刻みに動かしながら、一本ずつ横に移動させて磨く。

1.〇 正しい。バス法は、毛先が歯周ポケット内に向くため、歯周ポケットの清掃に適している。バス法とは、毛先を45°に歯茎にあて小刻みに動かしながら、一本ずつ横に移動させて磨く方法のことをいう。歯肉溝に軽く挿入し、側方に振動させて清掃する。
2.× スクラブ法(スクラッピング法)とは、毛先を直角(90°)に当て、1・2本10回を目安にして磨く方法である。目的は、歯面そのものを清掃する
3.× ローリング法とは、毛先を歯の根元に垂直に当て、歯の先端に向けて回転させる方法である。歯肉のマッサージを目的としている。
4.× フォーンズ法とは、毛先を直角(90°)に当て、くるくると回転させながら磨く方法である。マッサージの効果清掃能力の両方を目的としている。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)