第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午前41~45】

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41 右中葉領域で粗い断続性副雑音(水泡音)が聴取された場合の体位ドレナージの体位を図に示す。
適切なのはどれか。

解答2

解説

1.× 仰臥位は、背部(上・下葉区:S6、S10)の領域で、粗い断続性副雑音(水泡音)が聴取された場合の体位ドレナージの体位である。
2.〇 正しい。左側臥位は、右中葉領域で粗い断続性副雑音(水泡音)が聴取された場合の体位ドレナージの体位である。なぜなら、左側臥位は、右下肺野(S9)が上となるため重力により排痰を促せるため。
3.× 右側臥位は、左肺(左中葉、舌区:S4,S5)の領域で、粗い断続性副雑音(水泡音)が聴取された場合の体位ドレナージの体位である。
4.× 45°ギャッジアップ座位は、肺尖部(S1)の領域で、粗い断続性副雑音(水泡音)が聴取された場合の体位ドレナージの体位である。

 

 

 

 

 

42 20℃から24℃で保存するのはどれか。

1.全血製剤
2.血漿製剤
3.赤血球液
4.血小板製剤

解答4

解説

1.× 全血製剤は、2~6℃で保存する。全血製剤とは、血液に保存液を加えたもので、大量出血で赤血球と血漿を同時に補う必要がある場合に使用する。慢性貧血、外科手術前・中・ 後の輸血時などに用いられる。有効期間は、採血後21日間である。
2.× 血漿製剤は、-20℃以下で冷凍保存する。血漿製剤とは、血液から出血の防止に必要な各種の凝固因子が含まれる血漿を取り出したもので、主に凝固因子の補充を目的として使用される。したがって、複数の血液凝固因子の欠乏による出血ないし出血傾向のある場合に使用される。血漿製剤は、有効期間が採血後1年間である。
3.× 赤血球液は、2~6℃で保存する。赤血球製剤とは、輸血治療に使用される赤血球の冷凍保存製剤である。血液から血漿、白血球および血小板の大部分を取り除いたもので、出血及び赤血球が不足する状態、またはその機能低下による酸素欠乏のある場合に使用される。赤血球製剤は2~6℃の低温で保存することにより、細菌の増殖を抑制し細胞の生存率や形態を保ち21日の長期保管が可能となる。
4.〇 正しい。血小板製剤は、20~24℃で保存する。有効期間は採血後4日間である。血小板製剤とは、成分採血装置を用いて血液の止血機能を持つ血小板を採取したものである。血小板の減少またはその機能低下による出血ないし出血傾向のある場合に使用される。

 

 

 

 

43 穿刺と穿刺部位の組合せで適切なのはどれか。

1.胸腔穿刺:胸骨体第2肋間
2.腹腔穿刺:剣状突起と臍窩を結ぶ直線の中間点
3.腰椎穿刺:第1・2腰椎間
4.骨髄穿刺:後腸骨稜

解答4

解説

1.× 胸腔穿刺は、「胸骨体第2肋間」ではなく患側の第2肋間鎖骨中線上である。 胸腔穿刺の目的は、悪性腫瘍、肺炎、結核、心不全などさまざまな病態で胸水が貯留し、その原疾患の診断のために胸水を採取するのが目的である。
2.× 腹腔穿刺は、「剣状突起と臍窩を結ぶ直線の中間点」ではなく、「臍と左右上前腸骨棘とを結んだ直線上の外側1/3の部位の側腹部」である。腹腔穿刺とは、腹腔内に針を刺し、腹水を抜くことをいう。目的として、原因が特定できない腹水の診断や抗がん剤などの注入、腹水貯留による苦痛緩和などである。
3.× 腰椎穿刺は、「第1・2腰椎間」ではなく、第3・4腰椎間あるいは第4・5腰椎間である。腰椎穿刺とは、診断・検査のために脳脊髄液を採取するために、脊柱管に針を挿入する医療処置である。腰椎穿刺の主な理由は、脳や脊髄を含む中枢神経系の病気の診断に役立てることである。これらの状態の例には、髄膜炎およびくも膜下出血などがある。
4.〇 正しい。骨髄穿刺は、後腸骨稜である。胸骨を穿刺する場合もある。骨髄穿刺とは、注射器で骨髄液を吸引し、とれた組織を顕微鏡で観察することで、血液を造る機能や血液疾患の原因、腫瘍細胞の有無などを評価する。 血液・リンパのがんの診断や治療法の選択、治療効果の判定に重要な検査である。

 

 

 

 

 

44 作業と健康障害の組合せで正しいのはどれか。

1.VDT作業:栄養機能障害
2.有機溶剤を扱う作業:呼吸機能障害
3.電離放射線を扱う作業:造血機能障害
4.石綿(アスベスト)を扱う作業:排尿機能障害

解答3

解説

1.× VDT(Visual Display Terminals)作業とは、ディスプレイ画面を見続けることによって生じる眼精疲労、視力低下、ドライアイなどの視機能障害や、キーボード操作・座位姿勢を保つことによって生じる頚肩腕症候群などの問題となることである。つまり、主な症状として、①眼の症状、②肩や首、手の症状、③精神的な症状があげられる。
2.× 有機溶剤を扱う作業とは、主にトルエンが有名で、塗料や接着剤の溶剤(有機溶剤)などに広く用いられている。気化したものを吸い込むと中枢神経に強く作用して急激な酩酊状態(酔っ払った状態)となる。不安や緊張感が弱まり、興奮状態の中で、幻覚、知覚異常をおこす。
3.〇 正しい。電離放射線を扱う作業は、造血機能障害が問題となる。電離放射線を扱う職業として、X線装置・加速器・電離放射線発生装置などの使用、放射性物質等の取り扱い、原子炉の運転、核原料物質の採掘などがあげられる。早期障害として赤血球減少(貧血)、白血球減少(免疫機能低下)、血小板減少(出血傾向)がある。晩発障害として白血病の発生がある。
4.× 石綿(アスベスト)を扱う作業は、「排尿機能障害」ではなく呼吸器疾患呼吸機能障害(石綿肺、肺癌、悪性胸膜中皮腫など)が問題となる。ちなみに、アスベスト(石綿)とは、耐火材や断熱材などに利用されてきた天然の繊維状の鉱物で、大量に吸入することでじん肺(石綿肺)や悪性中皮腫を発症させる物質である。

VDT作業とは?

VDT作業とは、ディスプレイを持つ画面表示装置(VDT:Visual Display Terminals) を用いた作業のこと。コンピュータや監視カメラを用いた作業を指す。 VDT作業はVDT症候群のように、心身の負担を感じさせることにつながるため、厚生労働省においても「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」を定めている。

【作業環境管理】
(1)照明及び採光
①室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
②ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
③ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。

(2)一連続作業時間及び作業休止時間
一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること。

(3)その他
換気、温度及び湿度の調整、空気調和、静電気除去、休憩等のための設備等について事務所
衛生基準規則に定める措置等を講じること。

(※一部引用:「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

45 救急外来を受診した成人患者で、治療の緊急度が最も高いのはどれか。

1.2時間ほど前から右上下肢に力が入らず、ろれつが回らない。
2.3日前にペットの葬儀が終わり、食欲がなく、夜眠れない。
3.プールでの日焼けによって背部全体が発赤している。
4.市販の風邪薬を通常の2倍量服用した。

解答1

解説

1.〇 正しい。2時間ほど前から右上下肢に力が入らず、ろれつが回らない場合、治療の緊急度が最も高い。上記症状は、急性発症の右半身の麻痺と構音障害であり、脳梗塞や脳出血を疑う所見である。発症から4~5時間以内の脳梗塞に対しては、血栓溶解療法(t-PA療法)という治療が行われる。初期対応は予後に大きく関わるため迅速に対応する必要がある。
2.× 3日前にペットの葬儀が終わり、食欲がなく、夜眠れない状態より、緊急度は高いものが他にある。なぜなら、生命に関与する関連性が薄いため。ペットロスの心理的な症状として、不安や罪悪感を感じたり、集中力の低下、現実逃避、怒り、抑うつなどが起こる。症状の重さによっては、パニックや幻覚症状が起こる場合もあるため、患者の気持ちを聞いて共感することが大切となる。
3.× プールでの日焼けによって背部全体が発赤している状態より、緊急度は高いものが他にある。なぜなら、生命に関与する関連性が薄いため。ただし、日焼け火傷まで発展した状態だと、熱っぽくヒリヒリと痛み、冷やした後も赤みや痛みが続く。紫外線によるダメージで皮膚のバリア機能が壊れることでおこり、重度の日焼けの場合、水ぶくれ、発熱、倦怠感、頭痛、嘔吐などの症状をともなうこともあるため、皮膚の状態によっては早期対応や入院が必要となることがある。一般的に、陽に当たって数時間後から24時間後までが反応のピークで、3~4日目から色素沈着が出て2週間前後で治る。
4.× 市販の風邪薬を通常の2倍量服用した状態より、緊急度は高いものが他にある。なぜなら、生命に関与する関連性が薄いため。市販の風邪薬の成分量は、それほど多くはないため、基本的に経過観察を促すことが多い。

 

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