第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午前86~90】

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86 心電図検査における肢誘導はどれか。2つ選べ。

1.Ⅰ
2.V1
3.V2
4.V3R
5.aVR

解答1・5

解説

心電図の見方

四肢誘導
第Ⅰ誘導:左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
第Ⅱ誘導:心臓を心尖部から見ている。 つまり、右室と左室前壁側から心臓を見る誘導である。
第Ⅲ誘導:右室側面と左室下壁を見ている。つまり、心室中隔と左室前壁から心臓を見る誘導である。
aVR誘導:右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。
aVL誘導:左肩から心臓を見る誘導である。
aVF誘導:心臓を、ほぼ真下から見ている。

胸部誘導
V1誘導:右室側から見ている。
V2誘導:右室と左室前壁側から見ている。
V3誘導:心室中隔と左室前壁から見ている。
V4誘導:心室中隔と左室前壁方向を見ている。
V5誘導:左室前壁と側壁を見ている。
V6誘導:左室側壁を見ている

第Ⅱ誘導が四肢誘導で、波形が最も明瞭に描かれ、一般的によく見る心電図の波形となる。

1.〇 正しい。第Ⅰ誘導は、双極肢誘導と呼ばれる肢誘導(四肢誘導)の一つである。第Ⅰ誘導は、左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
2.× V1は、胸部誘導の一つで、右室側から見ている。
3.× V2は、胸部誘導の一つで、右室と左室前壁側から見ている。
4.× V3Rは、右側誘導(V3R~V5R)の一つであり、右室心筋梗塞の発見に役立つ。V3と対側の右胸部に装着する。
5.〇 正しい。aVRは、単極肢誘導と呼ばれる肢誘導(四肢誘導)の一つである。aVR誘導は、右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。

 

 

 

 

 

87 日本の公的医療保険制度に含まれるのはどれか。2つ選べ。

1.年金保険
2.雇用保険
3.船員保険
4.組合管掌健康保険
5.労働者災害補償保険

解答3・4

解説

(※図引用:「医療保険」日本医師会様HPより)

公的医療保険制度とは?

公的医療保険制度とは、病気やケガをした時に医療費の一部を公的な機関が負担する制度のことをいう。日本は「国民皆保険制度」を採用しており、日本国民すべてに加入が義務づけられている。①地域保険の国民健康保険、②後期高齢者医療制度、③職域保険の全国健康保険協会・組合保険・共済組合・船員保険などがある。

1.× 年金保険は、国民年金厚生年金保険に分類される。年金保険とは、保険の仕組みを使い、保険料の拠出が前提となっている年金制度である。その運営主体や加入の強制の有無等により公的年金と私的年金に分かれる。
2.× 雇用保険は、労働保険に分類される。雇用保険とは、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度である。保険者は日本政府である。(参考:「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」厚生労働省HPより)
3.〇 正しい。船員保険は、日本の公的医療保険制度に含まれる。船員保険とは、船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者を対象としている。船員保険法等を根拠とする。特徴として、船員保険は健康保険より給付が手厚いことがあげられる。特に通常の健康保険と違うのは、業務上の災害や事故による場合でも、保険給付が行われるという部分である。また、独自の給付に加え、健康保険、年金、さらには雇用保険と労働災害保険の全てを兼ね備えている。
4.〇 正しい。組合管掌健康保険は、日本の公的医療保険制度に含まれる。健康保険や国民健康保険は医療保険である。組合管掌健康保険とは、大企業の被用者等を対象とした健康保険制度のことをいう。常時700人以上の従業員がいるか、又は同じ業種の事業所が集まって、3,000人以上いる場合は、厚生労働大臣の認可を得て健康保険組合を設立し、企業の実態に応じた健康保険事業を運営することができる。
5.× 労働者災害補償保険は、労働保険に分類される。労働者災害補償保険とは、労働者災害補償保険法に基づき、業務災害及び通勤災害に遭った労働者又はその遺族に給付を行う。略称は労災保険と呼ばれる。保険料は全額事業主の負担で、労災保険の対象となる労働者は、使用されて賃金を支給される人すべてをいうため雇用形態には関係ない。

 

 

 

 

88 糖尿病末梢神経障害による感覚障害のある患者へのフットケア指導で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.両足部を観察する。
2.熱めの湯をかけて洗う。
3.靴ずれしない靴を選ぶ。
4.なるべく素足で過ごす。
5.爪は足趾の先端よりも短く切る。

解答1・3

解説

糖尿病神経障害とは?

糖尿病には、主に3大合併症として、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害があげられる。なかでも糖尿病性神経障害とは、糖尿病に合併する末梢神経障害である。症状は、①眼筋・眼瞼挙筋麻痺、③下肢の腱反射低下、④振動覚障害、しびれなどが特徴である。上肢よりも下肢,近位部よりも遠位部が障害されやすい。感覚障害は、手部や足部に左右対称におこることが多い。

1.〇 正しい。両足部を観察する。なぜなら、糖尿病末梢神経障害では足の感覚が鈍麻しており、気づかないうちに糖尿病足病変を起こしている可能性があるため。
2.× 「熱め」ではなく、適温のお湯で洗う。なぜなら、高温のお湯を用いると熱傷のおそれがあるため。そのうえ、糖尿病神経障害により知覚が鈍麻している場合、熱傷に気づかないまま感染などをきたしてしまう可能性もある。また、足部が正常な足浴に関しても、足の皮膚温が全身の中で最も低いことに留意し、37~40℃程度の湯を使うことが多い。
3.〇 正しい。靴ずれしない靴を選ぶ。なぜなら、大きいサイズの靴では、より靴ずれが悪化もしくは新たな靴ずれの発症の可能性があるため。他にも、靴の中に異物がないかの確認の習慣をつけたり、通気性の良い素材の靴下を履くことを心がけることが大切である。
4.× なるべく「素足」ではなく、靴下を履いて過ごす。なぜなら、靴下を履くことで、両足を保護し、外傷予防となるため。
5.× 爪は、足趾の先端「よりも短く」ではなく、足趾の先端と直線にしておく。なぜなら、深爪にするときに誤って皮膚を傷つけてしまう恐れがあるため。あえて深爪にするメリットはない。

 

 

 

 

 

89 出生直後の正常新生児に当てはまる特徴はどれか。2つ選べ。

1.生理的に多血である。
2.腸内細菌叢が定着している。
3.噴門部の括約筋は発達している。
4.Babinski(バビンスキー)反射がみられる。
5.胎盤を通じて母体からIgMが移行している。

解答1・4

解説

新生児とは?

「新生児」とは、生まれた日を0日とカウントして、生後28日未満までの赤ちゃんのことを指す。 また、それ以降は「乳児」と呼ばれ、満1歳からは「幼児」と呼ばれる。

1.〇 正しい。生理的に多血である。なぜなら、お腹の中にいる間は、自分では酸素を取り込めないために外にいるよりも血液の中の酸素が薄く、限られた酸素を効率よく全身に運ぶ必要があるため。つまり、出生直後は子宮内の低酸素環境の影響で、生理的に赤血球が増えている。これを生理的多血といい、赤血球数は徐々に減少していく。ちなみに、多血とは、血液の中の赤血球やヘモグロビンの量が基準値よりも多くなっていることをいう。ヘモグロビンとは、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。
2.× 腸内細菌叢は、定着していない。出生直後の腸内は無菌状態であり、生後2~3日頃から腸内細菌叢が形成される。母乳栄養児ではビフィズス菌が多い。ちなみに、腸内細菌(叢)とは、ヒトや動物の腸の内部に生息している細菌のことである。
3.× 噴門部の括約筋は、発達しておらず未熟である。そのため、吐乳しやすい。授乳後は十分に排気をする。これは、乳児の胃はI字型(縦型で噴門部が未発達)による影響が大きい。
4.〇 正しい。Babinski(バビンスキー)反射がみられる。なぜなら、バビンスキー反射は、原始反射のひとつであり、出生時からみられ1~2歳で消失するため。足底外側を踵からつま先へ向かってこすると母趾が背屈し、他の4本の趾が扇状に外側に開く反射である。ちなみに、原始反射とは、知覚や姿勢に入力された刺激が大脳の指令を受けずに脊髄や脳幹レベルで処理されることで、無意識下で筋肉が動く現象である。随意運動が発達すると徐々に原始反射は消失する。これは、新生児期の反射中枢は脊髄レベルであり、月齢とともに、脳幹部、中脳、大脳皮質と反射中枢は高次に達するため。
5.× 胎盤を通じて母体から、「IgM」ではなく、IgGが移行している。IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgGは、血中で最も多く存在する抗体である。ちなみに、IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。

 

 

 

 

90 身長170cm、体重70kgの成人の体格指数(BMI)を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:①②
選択肢:①1~9、②1~9

解答①2・②4

解説

公式

【BMIの求め方】
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)2 

※日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。

本症例(身長1.7m、体重70kg)の数値を当てはめると、

70(kg)÷ 1.7(m)2

=24.2214・・・

小数第1位で四捨五入すると、BMI24となる。

したがって、解答は、①2、②4である。

 

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