第109回(R8) 助産師国家試験 解説【午前21~25】

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21 助産師外来について適切なのはどれか。

1.助産師と医師の連携・協働が必須である。
2.業務は、医療法で定められている業務範囲内が前提である。
3.保健指導や母乳外来の報告基準は、すべての施設で共通している。
4.医師が妊婦健康診査を行い、助産師が保健指導を担当するものをいう。

解答

解説

協働とは?

協働とは、共通の目的の実現のため、関係者が互いに理解し、それぞれの特性を活かしながら、協力・協調し活動することである。コラボレーション、パートナーシップともいう。

1.〇 正しい。助産師と医師の連携・協働が必須である。なぜなら、妊娠・分娩・産褥は、正常経過であっても急変や異常が起こり得るため。妊婦の経過に異常が疑われる場合、助産師だけで判断・完結するのではなく、医師へ報告・相談し、必要時には医師の診察や医学的管理へつなげる必要がある。

2.× 業務は、「医療法」ではなく保健師助産師看護師法で定められている業務範囲内が前提である。
・医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。
・保健師助産師看護師法とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)

3.× 保健指導や母乳外来の報告基準は、すべての施設で共通している「わけではない」。なぜなら、助産師外来の運営基準、対象者、医師への報告・相談基準は、施設の機能や診療体制に応じて整備されるため。

4.× 必ずしも、医師が妊婦健康診査を行い、助産師が保健指導を担当する「と決まっていない」。なぜなら、妊婦健康診査は医師だけでなく助産師も行えるため。むしろ助産師が主に行う施設が多い。助産師外来では、正常経過の妊婦を中心に、助産師が妊婦の身体的・心理的・社会的状況を継続的に把握し、保健指導、生活支援、出産準備、母乳育児支援、異常の早期発見を行う。必要時には医師と連携する。

妊婦健康診査とは?

妊婦健康診査とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものである。 そして、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談をして、妊娠期間中を安心して過ごしていただくことが大切である。病気の有無を調べることだけが妊婦健診ではない。妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためには、日常生活や環境、栄養など、いろいろなことに気を配る必要がある。より健やかに過ごすために、妊娠検診を活用する必要がある。検診費用には、公費による補助制度がある。日本では、「母子保健法」により、14回程度の健康診査の回数が勧められており、健康診査の間隔や実施する検査内容について、国が基準を示している。

【妊婦健康診査の望ましい基準】
①妊娠23週まで:4週間に1回
②24週~35週:2週間に1回
③36週~出産まで:1週間に1回

 

 

 

 

 

22 自宅分娩を取り扱う場合、妊婦等の異常に対応する医療機関の確保等に関する事項が明記された法律はどれか。

1.刑法
2.医療法
3.地域保健法
4.保健師助産師看護師法

解答

解説

医療法とは?

医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。

1.× 刑法とは、犯罪とそれに対する刑罰の関係を規定する法である。 

2.〇 正しい。医療法は、自宅分娩を取り扱う場合、妊婦等の異常に対応する医療機関の確保等に関する事項が明記された法律といえる。なぜなら、医療法は病院・診療所・助産所などの医療提供施設の開設・管理・安全確保に関する法律であるため。
特に、医療法の第6条の2の2において、「医療提供施設の開設者及び管理者は、医療を受ける者が保健医療サービスの選択を適切に行うことができるように、当該医療提供施設の提供する医療について、正確かつ適切な情報を提供するとともに、患者又はその家族からの相談に適切に応ずるよう努めなければならない。」と記載されている(※引用:「医療法」e-GOV法令検索様HPより)。

3.× 地域保健法とは、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定めることにより、母子保健法その他の地域保健対策に関する法律による対策が地域において総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持及び増進に寄与することを目的として制定された法律である。

4.× 保健師助産師看護師法とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

23 Aさん(21歳、アルバイト)はパートナーと2人暮らし。パートナーの不在時に急な腹痛があり、近くに住む友人を呼んだ。友人が到着した直後に自宅で女児を出産し、そのまま胎盤も娩出された。Aさんはしばらく月経が来ていないことには気が付いていたが、これまでも無月経だった時期があり、自分が妊娠しているとは思っておらず、妊婦健康診査は未受診であった。Aさんと児は救急車で搬送され、救急外来で助産師が新生児と胎盤を受け取り、その後、医師が会陰裂傷部を縫合した。
 出生証明書を作成するのは誰か。

1.Aさん本人
2.病院の医師
3.Aさんの友人
4.病院の助産師

解答

解説

ポイント

・Aさん(21歳、アルバイト)。
・2人暮らし:パートナー
・パートナーの不在時に急な腹痛があり、近くに住む友人を呼んだ。
友人が到着した直後に自宅で女児を出産し、そのまま胎盤も娩出された。
→出生証明書とは、子供が生まれたことを証明する書類である。状況に応じた対応が必要となる。

1~2.4.× Aさん本人/病院の医師/病院の助産師が出生証明書を作成することはできない。なぜなら、出生証明書は、原則として出産に立ち会った医師・助産師・その他の立会者が作成するものであるため。

3.〇 正しい。Aさんの友人が出生証明書を作成する。なぜなら、出産に立ち会った医師または助産師がいないため。つまり、医師や助産師は出生証明書を書くことができない。今回の場合、出産に立ち会った者Aさんの友人)が出生証明書を書くことになる。

 

 

 

 

 

24 産科医療補償制度について正しいのはどれか。

1.早産児は補償対象ではない。
2.分娩に関連した母親の後遺症も補償される。
3.脳性麻痺発症の再発防止への取り組みを行っている。
4.補償金は分娩機関を通して妊産婦(子ども)に支払われる。

解答

解説

産科医療補償制度とは?

産科医療補償制度とは、分娩に関連して発症した脳性麻痺の子と家族の経済的負担を速やかに補償し、原因分析を行い、再発防止のための情報提供などを行う制度である。病院、診療所や助産所といった分娩を取り扱う機関が加入する制度である。原因分析の結果は、保護者と分娩機関にフィードバックされ、事例情報を整理し再発防止策を策定し広く一般に公開、提言される。産科医療補償制度の定める「脳性麻痺」の定義に合致し、以下の3つの基準をすべて満たし、運営組織が「補償対象」として認定した場合に、補償金が支払われる仕組みである。

在胎週数28週以上で出生したこと、②先天性や新生児期の要因によらない脳性まひであること、③身体障害者手帳1・2級相当の脳性まひであることがあげられる。いずれにしても、まずは産科医療補償制度の定める「脳性麻痺」の定義に合致する必要がある【令和4年1月1日以降に生まれた場合】。

1.× 早産児「でも一定の基準を満たせば」補償対象「である」。なぜなら、産科医療補償制度では、在胎週数(在胎週数28週以上)などの補償対象基準を満たした早産児も対象となり得るため。
・早産児とは、在胎22週以降37週未満に出生した児のことである。

2.× 分娩に関連した母親の後遺症「は補償されない」。なぜなら、産科医療補償制度は、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の子どもと家族の経済的負担を補償する制度であるため。

3.〇 正しい。脳性麻痺発症の再発防止への取り組みを行っている。なぜなら、産科医療補償制度は、経済的補償だけでなく、原因分析を行い、同じような事例の再発防止に役立つ情報を提供することを目的としているため。

4.× 補償金は、「分娩機関」ではなく保険会社を通して妊産婦(子ども)に支払われる(※下図参照)。

(※図引用:「産科医療補償制度について」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

25 Aさん(29歳、初産婦)は妊娠38週3日、硬膜外麻酔下で分娩誘発を行っている。硬膜外麻酔開始前のAさんの血圧は120/60mmHgであった。硬膜外麻酔開始1時間後、陣痛周期8分で内診を行ったところ、子宮口3cm開大であった。Aさんから「気分が悪い」と訴えがあり、血圧を確認したところ、72/40mmHgであった。
 医師に優先して伝えるのはどれか。

1.「分娩第1期です」
2.「血圧が低下しています」
3.「家族に連絡しましょうか」
4.「硬膜外麻酔開始から1時間経過しました」

解答

解説

ポイント

・Aさん(29歳、初産婦)
・妊娠38週3日、硬膜外麻酔下で分娩誘発を行っている。
・硬膜外麻酔開始前のAさんの血圧は120/60mmHgであった。
・硬膜外麻酔開始1時間後、陣痛周期8分で内診を行ったところ、子宮口3cm開大であった。
・Aさんから「気分が悪い」と訴えがあり、血圧を確認したところ、72/40mmHgであった。
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.3~4.× 「分娩第1期です」「家族に連絡しましょうか」「硬膜外麻酔開始から1時間経過しました」と医師に伝えるより優先されるものが他にある。なぜなら、現在最も緊急性が高い問題は、Aさんは「気分が悪い」と訴え、著明な血圧低下が観察されるため。これは母体循環が不安定な状態であり、胎児への酸素供給にも影響する可能性がある。

2.〇 正しい。「血圧が低下しています」と医師に伝えることとして最も優先される。なぜなら、硬膜外麻酔後の著明な血圧低下は、母体循環不全と胎盤血流低下を引き起こす危険があるため。対応としては、医師へ速やかに報告し、左側臥位、輸液負荷、昇圧薬投与、酸素投与、胎児心拍モニタリング確認などが検討される。

 

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