第109回(R8) 助産師国家試験 解説【午前26~30】

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26 原発性不妊の定義で正しいのはどれか。

1.第2子以降の不妊
2.女性に原因がある不妊
3.原因が特定できない不妊
4.不妊期間が半年以上続く不妊
5.妊娠を一度も経験していない不妊

解答

解説

定義

・不妊症とは、避妊せず性交しても、1年以上妊娠しない状態。
・原発性不妊とは、これまでに一度も妊娠したことがない不妊のこと。
・続発性不妊とは、妊娠経験はあるが、その後妊娠しない不妊のこと。
※出産経験ではなく、流産などを含む「妊娠経験」で判断する。
・男性不妊・女性不妊とは、原因がそれぞれ男性側・女性側にある。
・原因不明不妊(機能性不妊)とは、一般的な検査で原因を特定できない不妊のこと。
・器質性不妊とは、生殖器などに明らかな病気・異常がある不妊のこと。

1.× 第2子以降の不妊は、続発性不妊の定義である。

2.× 女性に原因がある不妊は、女性不妊の定義である。女性側の原因には、排卵障害、卵管閉塞、子宮筋腫、子宮内膜症などがある。

3.× 原因が特定できない不妊は、原因不明不妊(機能性不妊)の定義である。

4.× 不妊期間が半年以上続く不妊は、そもそも不妊の定義に該当しない

5.〇 正しい。妊娠を一度も経験していない不妊は、原発性不妊の定義である。

 

 

 

 

 

27 Aさん(40歳、初妊婦)は妊娠11週0日。染色体異常を心配して夫と共に産婦人科クリニックを受診した。
 夫婦への説明の内容で正しいのはどれか。

1.母親の血液検査で染色体異常の確定診断ができる。
2.先天性疾患の約60%は染色体異常によって起こる。
3.胎児の超音波検査で染色体異常の確定診断ができる。
4.染色体異常の確定をするためには、夫婦の染色体検査が必要である。
5.母体の年齢からのDown〈ダウン〉症候群の発生リスクは約1%である。

解答

解説

染色体異常とは?

染色体異常とは、染色体の数や形の変化で起こる病気のことをいう。遺伝子の文字の変化で起こる病気を遺伝子異常症と呼ぶ。 染色体異常症・遺伝子異常症があると、体や脳の成長や発達が遅れたり、顔つきに特徴が出たり、体のいろいろな組織の形が通常と異なるなど、さまざまな症状が出る。

1.× 母親の血液検査「だけでは」、染色体異常の確定診断「はできない」。なぜなら、母体血液検査は、胎児染色体異常の可能性を評価するスクリーニング検査であるため。したがって、診断を確定する検査とはいえない。確定診断には、主に羊水検査または絨毛検査がある。
・母体血を用いた検査には、母体血清マーカー検査や出生前遺伝学的検査(NIPT)がある。

2.× 先天性疾患の「約60%」ではなく約6%前後は、染色体異常によって起こる。なぜなら、先天性疾患の原因は、染色体異常だけでなく、単一遺伝子疾患、多因子疾患、環境因子、原因不明など多様であるため。たとえば、先天性心疾患、口唇口蓋裂、神経管閉鎖障害などには、遺伝的要因と環境要因が複雑に関与するものがある。

3.× 胎児の超音波検査「では」、染色体異常の確定診断が「できない」。なぜなら、超音波検査は、胎児の形態や発育、染色体異常を疑う所見を評価する検査である。したがって、染色体そのものを観察することはできない。
・覚えるべき要点:超音波検査=形態評価・リスク評価。確定診断は羊水検査・絨毛検査。

4.× 染色体異常の確定をするためには、夫婦の染色体検査「が必要はない」。なぜなら、胎児の染色体異常を確定するには、胎児または胎盤由来の細胞を調べる必要があるため。一方、夫婦の染色体検査は、反復流産、均衡型転座の疑い、過去に転座型染色体異常児を妊娠・出産した場合などに検討される。

5.〇 正しい。母体の年齢からのDown〈ダウン〉症候群の発生リスクは約1%である。なぜなら、Down症候群の発生リスクは母体年齢の上昇とともに高くなり、40歳では約1%とされるため。

 

 

 

 

 

28 免疫学的妊娠反応検査で検出するホルモンはどれか。

1.エストロゲン
2.コルチゾール
3.プロゲステロン
4.hPL〈ヒト胎盤性ラクトゲン〉
5.hCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉

解答

解説

免疫学的妊娠反応検査とは?

免疫学的妊娠反応検査とは、抗原抗体反応を利用して、尿や血液中のhCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉を検出する検査である。hCGは受精卵が子宮内膜に着床した後、主に胎盤になる絨毛から分泌されるため、妊娠の早期判定に用いられる。ただし、検査時期が早すぎると陰性になる場合がある。

1.× エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。

2.× コルチゾールとは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節(昇圧作用)など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

3.× プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。

4.× hPL〈ヒト胎盤性ラクトゲン〉とは、胎盤の合胞体細胞で産生され、母体血中に放出される蛋白性ホルモンである。胎盤の絨毛上皮から産生されるホルモンで、胎児と母体へ栄養を届ける役割を担う(主に妊娠中期以降の胎盤機能や母体代謝に関係する)。つまり、ヒト胎盤性ラクトゲンは、胎盤から分泌されるホルモンで、胎児の発育をサポートする。

5.〇 正しい。hCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉は、免疫学的妊娠反応検査で検出するホルモンである。なぜなら、hCGは着床後に絨毛組織から分泌され、妊娠初期から血中・尿中に検出されるため。
・ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG:human chorionic gonadotropin)とは、妊娠中にのみ測定可能量が著しく産生されるホルモンであり、妊娠の早期発見や自然流産や子宮外妊娠といった妊娠初期によくみられる異常妊娠の診断と管理のために使用される。主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしている。また、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用がある。絨毛性腫瘍の他に、子宮、卵巣、肺、消化管、膀胱の悪性腫瘍においても異所性発現している例もある。

 

 

 

 

 

29 羊水量が少ない場合に形成が阻害される胎児の臓器はどれか。

1.脳
2.食道
3.肺
4.腎臓
5.膀胱

解答

解説

羊水過少とは?

羊水は、胎児を外部の圧力から守るだけでなく、胎児が呼吸様運動を行い、肺を広げて発達させるために重要である。羊水が少ないと子宮内で胸部が圧迫され、肺に羊水が十分に出入りしにくくなる。その結果、肺胞や気道の形成が進まず、肺低形成を起こすことがある。

・羊水過少とは、妊娠週数に比べて羊水の量が異常に少ない状態である(AFI5以下)。主な原因は、破水、胎盤機能の低下、胎児の腎臓・尿路の異常などである。羊水が少ないと胎児や臍帯が圧迫されやすくなり、胎児の発育不良や心拍異常、肺低形成などを起こす可能性がある。超音波検査で羊水量を測定して診断する。

1.× 脳の形成異常は、主に神経管形成や遺伝的・感染性・血流性要因などに影響される。たとえば、無脳症や二分脊椎などは神経管閉鎖障害に関連する。これは葉酸不足などが関与する代表的疾患である。

2.× 食道の形成異常は、むしろ胎児が羊水を飲み込めない疾患では羊水過多になりやすい。胎児は羊水を飲み込み、消化管から吸収する。そのため、食道閉鎖などで胎児が羊水を飲み込めないと、羊水が過剰に貯まり、羊水過多をきたしやすくなる。
・羊水過多とは、羊水量が800 mLを超える場合であり、母体の糖尿病や児が羊水をうまく飲めない消化管閉鎖などが原因となることが多い。診断方法は超音波検査によるamniotic fluid index(AFI)の計測であり、AFIの正常範囲は5~24cmであり、24cm以上は羊水過多を意味する。

3.〇 正しい。は、羊水量が少ない場合に形成が阻害される胎児の臓器である。なぜなら、羊水過少では肺が十分に膨らまず肺低形成を起こすため。
・Potter症候群とは、胎児の両側の腎形成不全のため尿産生がなく、羊水過少となる症候群である。胎児は圧迫され、発育障害、四肢の変形、肺低形成などをおこし、老人のようなpotter顔貌となる。ちなみに、ポッター症候群はいくつかの型に分類され、1型は常染色体劣性多発性嚢胞腎が原因であり、原因遺伝子は6番染色体短腕で、頻度は10000人〜40000人に一人である。

4.× 腎臓の形成異常により、羊水過少の原因になり得る。つまり、羊水過少によって形成が阻害される代表臓器とはいえない。なぜなら、妊娠中期以降の羊水の主成分は胎児尿であり、胎児腎機能や尿路異常があると羊水が少なくなるため。腎臓は、羊水量を維持するうえで重要な臓器である。妊娠中期以降、羊水は主に胎児尿によって作られる。したがって、両側腎無形成、腎形成不全、尿路閉塞などでは胎児尿が少なくなり、羊水過少をきたす。

5.× 膀胱の形成異常により、羊水過少の原因になり得る。つまり、羊水過少によって形成が阻害される代表臓器とはいえない。胎児の膀胱は、胎児尿が一時的に貯留する場所である。下部尿路閉塞などで尿が排出されにくい場合、膀胱拡大、腎盂拡張、羊水過少などがみられることがある。

羊水とは?

羊水とは、羊水腔を満たす液体であり、その99%が母の血液の成分からつくられている。妊娠中期以降は胎児尿が主な生産源である。胎児は16週ころから羊水を嚥下し排尿行動と合わせて羊水量を維持する。嚥下した羊水は、食道・胃・小腸・大腸へと移行し、消化管の成熟を助ける。妊娠20週になると羊水量は350mlになり、赤ちゃんの腎臓が発達して、おしっこが出るようになる。赤ちゃんが羊膜腔内に満たされた羊水を飲み込んでは、おしっこをする「胎児循環」のしくみができあがっていく。羊水量が保たれていることは、羊水中で胸郭運動を行う胎児の肺発育にとってきわめて重要である。羊水は子宮の収縮によって胎児にかかる圧力を均等に分散し、臍帯や胎盤への圧力を軽減させる。 同時に、胎動が直接母体に伝わることを防ぎ、胎動による母体の痛みを緩和する。一方、羊水には外界や母体の温度変化からの緩衝作用があり胎児の体温を一定に保つ働きがある。

【羊水の働き】
①胎児の保護作用(物理的および機械的刺激に対する保護作用、感染防御作用、前期破水および早産の予防)
②胎児発育にかかわる作用
③分娩時の作用
④羊水から得られる臨床情報

 

 

 

 

 

30 子宮口全開大、Station+3の胎児の回旋を腟入口部側から見た図を示す。なお、図の上方を恥骨側、下方を仙骨側とする。
 正常な胎児の回旋を示すのはどれか。

解答

解説

(※図引用:「助産師基礎教育テキスト:第 5 巻:2020 年版訂正ご案内」株式会社日本看護協会出版会様HPより)

ポイント

子宮口全開大・Station+3:正常なら内旋がほぼ完了し、後頭部(小泉門)は恥骨側、矢状縫合は骨盤出口の前後径に一致する。

図の上方が恥骨側:小泉門が上方にあり、矢状縫合が上下方向に走る。
したがって、選択肢「2」が正常な後頭前方位である。

1.× 図1は、正常な回旋を示していない。なぜなら、小泉門が仙骨側寄りの斜位にあり、後頭部が恥骨側へ回旋しきっていないため。

2.〇 図2が正常な胎児の回旋である。なぜなら、小泉門が恥骨側に位置し、矢状縫合が骨盤出口の前後径に一致しているため。

3.× 図3は、正常な回旋を示していない。なぜなら、大泉門が明瞭に先進しているため(胎児頭の屈曲が不十分が考えられる)。

4.× 図4は、正常な回旋を示していない。なぜなら、小泉門が骨盤の側方にあり、矢状縫合が横径方向に残っているため。

5.× 図5は、正常な回旋を示していない。なぜなら、顔面が先進しており、正常な後頭位ではなく顔位であるため。

(※図:「大泉門と小泉門のイラスト(上から)」いらすとやHPより改変)

 

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