第109回(R8) 助産師国家試験 解説【午前6~10】

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6 乳幼児の定期予防接種について適切なのはどれか。

1.BCGワクチンは1歳までに接種する。
2.ロタウイルスワクチンの初回接種は生後36週までに行う。
3.不活化インフルエンザワクチンは定期予防接種に含まれる。
4.麻しん風しん混合〈MR〉ワクチンの接種回数は3回である。

解答

解説

(※表引用:「予防接種スケジュール」日本小児学会より)

1.〇 正しい。BCGワクチンは1歳までに接種する。なぜなら、BCGによって、乳幼児の重症結核を予防するため。
・BCGワクチン(BCG接種)とは、ウシ型結核菌の実験室培養を繰り返して作製された細菌、および、それを利用した結核に対する生ワクチンである。1歳まで(標準として生後5か月から8か月まで)に1回接種する。主に小児の結核の発症・重症化予防に効果があるとされている。

2.× ロタウイルスワクチンの初回接種は、「生後36週」ではなく生後14週6日までに行う。
・ロタウイルスワクチンは、乳児に多い急性胃腸炎を予防するワクチンである。令和2(2020)年10月1日から定期接種となる。令和2年8月生まれ以降の乳児が対象で、初回接種の標準的な接種期間は、生後2か月から生後15週未満である。

3.× 不活化インフルエンザワクチンは、定期予防接種に「含まれない」。なぜなら、インフルエンザワクチンの定期接種対象は、主に高齢者であるため。健康な乳幼児への接種は、定期接種ではなく任意接種である。

4.× 麻しん風しん混合〈MR〉ワクチンの接種回数は、「3回」ではなく2回である。1歳〜満2歳未満のうちに1回、6歳になる年度(4/1〜翌年3/31)に1回打つ必要がある。

(※図引用:「生ワクチンと不活化ワクチン」田辺三菱製薬様HPより)

予防接種法とは?

予防接種法とは、公衆衛生の観点から伝染のおそれがある疾病の発生・まん延を予防するためにワクチンの予防接種を行うとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として制定された日本の法律である。予防接種法に基づく予防接種には、①定期予防接種と②臨時予防接種があり、定期予防接種の対象疾患には、①A類疾病と②B類疾病がある。さらに同法に基づかない任意接種もある。

A類疾病:主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務がある。
疾患:結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎

B類疾病:主に個人予防に重点を置き、国の積極的な勧奨なく、本人(保護者)に努力義務はない。
疾患:季節性インフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症

(参考:「予防接種とは?」東京都医師会HPより)

 

 

 

7 ジノプロストン腟内留置用製剤について正しいのはどれか。

1.子宮頸管の熟化作用がある。
2.産婦人科外来での使用が推奨される。
3.子宮収縮薬の点滴静脈内注射と同時に使用する。
4.使用中は超音波ドプラ法で間欠的に胎児心音を聴取する。

解答

解説

ジノプロストン腟内留置用製剤とは?

ジノプロストン腟内留置用製剤とは、妊娠37週以降で子宮頸管の熟化が不十分な妊婦に用いる、プロスタグランジンE₂製剤である。後腟円蓋に挿入し、薬剤を徐々に放出させることで、硬い子宮頸管を軟らかくし、開きやすい状態に整える。最長12時間留置するが、過強陣痛、破水、胎児機能不全などがみられた場合は速やかに除去する。子宮収縮作用もあるため、分娩監視装置を用いて子宮収縮と胎児心拍を連続的に観察する必要がある。子宮収縮薬との同時使用は過強陣痛の危険があるため禁忌である。

1.〇 正しい。子宮頸管の熟化作用がある。なぜなら、ジノプロストンは、プロスタグランジンE₂製剤であり、子宮頸管を軟化・開大しやすい状態にするため。
・子宮頸管熟化とは、分娩に向けて子宮頸管が柔らかくなる、短くなる、開きやすくなる変化をいう。

2.× 産婦人科「外来」ではなく入院管理下での使用が推奨される。なぜなら、ジノプロストン腟内留置用製剤は、過強陣痛や胎児機能不全を起こす可能性があり、母体・胎児を連続監視できる体制で使用する必要があるため。

3.× 子宮収縮薬の点滴静脈内注射と「同時には使用しない(抜去後も1時間以上あける。)」。なぜなら、ジノプロストン腟内留置用製剤自体にも子宮収縮を起こす作用があり、子宮収縮薬と同時使用すると過強陣痛を起こしやすくなるため。
・過強陣痛とは、子宮口が十分に開いていないのに分娩直前の陣痛が過剰に強く起きる事をさす。子宮の収縮が非常に強く長く続くのが特徴で、定義として、子宮口7cmの過強陣痛(外側法)は、2分以上の陣痛持続時間の場合をいう。

4.× 使用中は、「超音波ドプラ法で間欠的」ではなく分娩監視装置による連続モニタリングにて胎児心音を聴取する。
なぜなら、過強陣痛や胎児機能不全を早期に発見するため。したがって、胎児心拍と子宮収縮を連続的に監視する必要がある。
・間欠的胎児心音聴取の超音波ドプラ法とは、妊婦の腹部に小型の機器を当て、超音波の反射を利用して胎児の心拍音と心拍数を一定の間隔で確認する方法である。連続して監視する分娩監視装置とは異なり、決められた時間ごとに聴取する。妊婦が動きやすい利点があるが、聴取していない間の胎児心拍の変化は把握できないため、母児の状態に応じて連続監視へ切り替える必要がある。

 

 

 

 

 

8 緊急避妊を目的としたレボノルゲストレルの内服に関する指導内容として適切なのはどれか。

1.服用回数は1回である。
2.妊娠阻止率は99%である。
3.内服後7日間は他の避妊手段は必要ない。
4.性交後72時間以内であればいつ内服しても効果は変わらない。

解答

解説

レボノルゲストレルとは?

レボノルゲストレルとは、黄体ホルモンに似た作用をもつ合成ホルモンであり、緊急避妊薬の有効成分である。主に排卵を抑制・遅延させ、避妊に失敗した性交後の妊娠成立を防ぐ。性交後72時間以内に1.5mgを1回、できるだけ早く服用する。完全に妊娠を防ぐ薬ではなく、服用後の性交には別の避妊が必要である。また、成立した妊娠を中断する中絶薬ではない。

1.〇 正しい。服用回数は1回である。なぜなら、レボノルゲストレルは、性交後72時間以内に1.5mgを1回経口投与する薬剤であるため(※参考「医療用医薬品 : レボノルゲストレル」)。

2.× 妊娠阻止率は、「99%」ではなく81.0%である(※参考「医療用医薬品 : レボノルゲストレル」)。

3.× 内服後7日間「に限らず」他の避妊手段は「必要である」。なぜなら、レボノルゲストレルは、あくまで「性交後の緊急避妊」であるため。通常の経口避妊薬のように、周期全体を通して計画的に妊娠を防ぐ薬ではない。

4.× 性交後72時間以内であっても、できる限り早く内服する必要がある。なぜなら、性交から服用までの時間が短いほど妊娠回避効果が期待できるため。排卵が近い場合、時間が経つほど薬の効果が間に合わない可能性がある。

 

 

 

 

 

9 更年期女性のメタボリックシンドロームの説明で正しいのはどれか。

1.メタボリックシンドロームの診断はBMIで行う。
2.閉経後は内臓脂肪より皮下脂肪が増加する。
3.HDLコレステロールが上昇する。
4.診断基準に血糖値が含まれる。

解答

解説

メタボリックシンドロームとは?

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積を基盤とし、動脈硬化の危険因子を複数合併した状態のことである。

①腹部肥満(ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上) 
②中性脂肪値(HDLコレステロール値 中性脂肪値 150mg/dl以上、HDLコレステロール値 40mg/dl未満のいずれか、または両方)
③血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれか、または両方)
④血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)

1.× メタボリックシンドロームの診断は、BMI「だけではない」。メタボリックシンドロームの診断項目は、①腹部肥満、②中性脂肪値、③血圧、④血糖値である。

2.× 逆である。閉経後は、「皮下脂肪」より「内臓脂肪」が増加する。なぜなら、閉経後は、エストロゲンが低下し、脂質代謝や脂肪分布が変化して、内臓脂肪が蓄積しやすくなるため。

3.× HDLコレステロール(善玉コレステロール)が「上昇」ではなく低下する。なぜなら、エストロゲン低下により脂質代謝が変化し、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は増加やHDLコレステロール(善玉コレステロール)は低下が起こりやすくなるため。

4.〇 正しい。診断基準に血糖値が含まれる。具体的には、血糖値:空腹時血糖値110mg/dl以上であった場合である。

エストロゲンとは?

エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。

 

 

 

 

 

10 Aさん(30歳、初産婦)は妊娠40週3日に、帝王切開で体重2,520gの女児を出産した。児は口唇口蓋裂があり、新生児科医がAさん夫婦に病状の説明を行った。Aさんは「私が妊娠に気付かず飲酒したことが原因でしょうか。子どもの顔を見るのがつらい」と流涙し、授乳や児の面会に行くことを拒否している。夫は毎日仕事帰りに母児の面会に来ているが、疲労している様子である。
 Aさん夫婦への助産師の対応として適切なのはどれか。

1.Aさんの自責の念を受け止める。
2.Aさんのもとに児を連れて行く。
3.夫にもっとAさんの支えになってほしいと伝える。
4.Aさんの妊娠期の生活について細かく情報収集する。

解答

解説

ポイント

・Aさん(30歳、初産婦)
・妊娠40週3日:帝王切開で体重2,520gの女児を出産。
・児は口唇口蓋裂があり、新生児科医がAさん夫婦に病状の説明を行った。
・Aさんは「私が妊娠に気付かず飲酒したことが原因でしょうか。子どもの顔を見るのがつらい」と流涙し、授乳や児の面会に行くことを拒否している。
・夫は毎日仕事帰りに母児の面会に来ているが、疲労している様子である。
→口唇口蓋裂とは、胎児期に顔が形成される過程で、上唇や上あご、口蓋が十分に癒合せず、裂け目が残る先天性疾患である。哺乳、発音、歯並び、聴力などに影響することがあるが、手術や言語訓練などの継続的な治療によって改善が期待できる。原因は遺伝的・環境的要因が関係する多因子性である。

1.〇 正しい。Aさんの自責の念を受け止める。なぜなら、Aさんは、児の疾患を知った直後で、強い悲嘆と自責感の中にあり、まず心理的安全を確保する関わりが必要であるため。悲嘆、自責、混乱を受け止め、Aさんのペースで児と関われるように支援する。

2.× Aさんのもとに児を連れて行く「必要はない」。なぜなら、Aさんは現在、児の面会や授乳を拒否しているため。無理に対面させると心理的負担を強める可能性がある。

3.× 夫にもっとAさんの支えになってほしいと伝える「必要はない」。なぜなら、夫も児の疾患を受け止める過程にあり、毎日面会に来て疲労しているため。夫は毎日仕事帰りに母児の面会に来ており、すでに努力・疲労している。この状況で「もっとAさんを支えてください」と伝えると、夫にさらなる負担感や罪悪感を与える可能性がある。

4.× Aさんの妊娠期の生活について細かく情報収集する「必要はない」。なぜならAさんは「飲酒が原因だったのではないか」と自責しており、詳細な生活歴聴取は責められている感覚を強める可能性があるため。口唇口蓋裂は、遺伝的要因や環境要因などが関与する多因子性の疾患とされており、母親の一つの行動だけで原因を単純に断定することはできない。

 

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