第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午前56~60】

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56 幼児を対象とする定期予防接種はどれか。

1.DTワクチン(二種混合)
2.ロタウイルスワクチン
3.BCGワクチン
4.水痘ワクチン

解答4

解説

(※表引用:「予防接種スケジュール」日本小児学会より)

新生児とは?

「新生児」とは、生まれた日を0日とカウントして、生後28日未満までの赤ちゃんのことを指す。 また、それ以降は「乳児」と呼ばれ、満1歳からは「幼児」と呼ばれる。

1.× DTワクチン(二種混合)とは、ジフテリア(D:diphtheria)と破傷風(T:tetanus)のワクチンである。11歳から13歳未満(標準として11歳)に1回接種する。破傷風とは、破傷風菌により発生し、主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用する。感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれる。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡する。
2.× ロタウイルスワクチンは、生後2か月から接種が可能である。ロタウイルスワクチンは、乳児に多い急性胃腸炎を予防するワクチンである。令和2(2020)年10月1日から定期接種となる。令和2年8月生まれ以降の乳児が対象で、初回接種の標準的な接種期間は、生後2か月から生後15週未満である。
3.× BCGワクチンとは、結核による重い病気を予防する生ワクチンである。ワクチンの液を左腕に1滴たらし、はんこ型の注射を2回押して接種する。生後1歳になる前までに1回接種する。BCG接種は『予防接種法施行令』により生後1歳未満に1回接種を行うことが規定されている。BCG接種後の経過:通常、BCG接種後10日から2週間が経過したのちに発赤が出現し、接種1~2か月後に化膿巣ができ、瘢痕化する。一方で、結核に感染している乳児にBCG接種をした場合、10日以内に針痕部位に、発赤・化膿・腫れなどの反応が現れる。これをコッホ現象という。
4.〇 正しい。水痘ワクチンは、 幼児を対象とする定期予防接種するワクチンである。初回接種は、生後1歳から1歳3か月までで、追加接種は初回接種後3か月以上(標準として半年から1年後まで)である。

 

 

 

 

 

57 大泉門の説明で正しいのはどれか。

1.2歳まで増大する。
2.陥没している場合は髄膜炎を疑う。
3.閉鎖が早すぎる場合は小頭症を疑う。
4.頭頂骨と後頭骨に囲まれた部分である。

解答3

解説

 

(※図:「大泉門と小泉門のイラスト(上から)」いらすとやHPより改変)

大泉門とは?

大泉門とは、頭蓋骨にある冠状縫合、矢状縫合、前頭縫合が十字形に合する所にできる最も大きい泉門のことである。生後2年で閉鎖する。出生前後の児の頭は、成人とは異なり骨化が未完成で、結合部位が膜で覆われている。

1.× 「2歳まで」ではなく「出生後9~10か月まで」増大する。その後、徐々に小さくなり、生後約1年半で閉鎖する。ちなみに、小泉門は、出生後2~3か月までに閉鎖する。
2.× 陥没している場合は、「髄膜炎」ではなく脱水を疑う。性状の場合、大泉門の大きさは1~4cmで、平らである。①大泉門膨隆した場合(脳圧の上昇):頭の中に細菌やウイルスが侵入して髄膜炎、突発性発疹を起こし浮腫や水頭症などが生じている。②大泉門陥凹した場合(脳圧の降下):頻回の嘔吐と下痢で体の水分が失われて脱水を起こしている。
3.〇 正しい。閉鎖が早すぎる場合は小頭症を疑う。他にも、狭頭症を疑う。小頭症とは、先天異常や胎内ウイルス感染などにより脳の大きさが小さいために頭蓋も小さい状態をいう。主な先天異常には、①胎児発育不全、②精神発達遅滞や多動などの中枢神経障害、③特異顔貌や小頭症など、④心奇形や関節拘縮などの構造異常がある。ちなみに、診断基準は、①妊娠中の母親の飲酒、②特徴的な顔貌、③出生時低体重・栄養とは関係ない体重減少、身長と釣り合わない低体重などの栄養障害、④出生時の頭囲が小さい・小脳低形成・難聴・直線歩行困難などの脳の障害などがある。一方、狭頭症とは、頭蓋骨縫合が早期に癒合したり、欠損したりすることで、頭部に異常な変形が起こる状態である。
4.× 頭頂骨と後頭骨に囲まれた部分は、「大泉門」ではなく小泉門である。大泉門は、前頭骨と頭頂骨に囲まれた部分である。

 

 

 

 

58 幼児の心肺蘇生における胸骨圧迫の方法で正しいのはどれか。

1.胸骨中央下部を圧迫する。
2.実施者の示指と中指とで行う。
3.1分間に60回を目安に行う。
4.1回の人工呼吸につき3回行う。

解答1

解説

胸骨圧迫とは?

胸骨圧迫とは、心停止した傷病者の心臓付近を圧迫することにより脳や心臓に血液の循環を促す心肺蘇生を目的とした一次救命処置である。成人と幼児で適する力の入れ具合や胸骨の沈み具合が異なる。成人では胸骨が、5cmほど沈むように胸骨圧迫をする。一方で、幼児では年齢に応じた体格の差があるため、成人のような絶対値を当てはめることができない。そのため、幼児においては個別の体格を判断したうえで、胸の厚さの1/3程度が沈む強さで胸骨圧迫を行うことが推奨されている。年齢にかかわらず100~120回を目安に行う。

1.〇 正しい。胸骨中央下部を圧迫する。左右の乳頭を結んだ線上を目安にすることが多い。
2.× 実施者の「示指と中指(第2~3指)」ではなく、「中指と環指(第3~4指)」とで行う。
3.× 1分間に「60回」ではなく「100~120回」を目安に行う。
4.× 「1回」ではなく2回の人工呼吸につき、胸骨圧迫は「3回」ではなく30回行う。

一次救命処置とは?

 一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するため、特殊な器具や医薬品を用いずに行う救命処置であり、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主な内容とする。

 

 

 

 

 

59 配偶子の形成で正しいのはどれか。

1.卵子の形成では減数分裂が起こる。
2.精子の形成では極体の放出が起こる。
3.成熟卵子はXまたはY染色体をもつ。
4.精子は23本の常染色体と1本の性染色体をもつ。

解答1

解説

配偶子とは?

配偶子とは、受精に参加する生殖細胞のことである。つまり、男性は精子、女性は卵子のことを指す。

1.〇 正しい。卵子の形成では減数分裂が起こる。卵子・精子ともに46本の染色体が23本に、半減する減数分裂が起こる。ちなみに、減数分裂とは、その名が示す通り、細胞あたりの染色体数を半減させる特殊な分裂様式である。
2.× 極体の放出が起こるのは、「精子の形成」ではなく卵子の形成である。2回の減数分裂でいらない遺伝子が半分ずつできるが、卵子はそれを極体として卵子の外に出す。それを第1極体、第2極体という。このシステムは、最終的に1個だけが必要な卵細胞の形成過程で、細胞質の量を減らさないのに役立っていると考えられている。 残された極体はやがて退化・消滅することになる。
3.× 「XまたはY染色体」をもつのは、「成熟卵子」ではなく成熟精子である。成熟卵子は「X染色体のみ」である。
4.× 精子は、「23本の常染色体」ではなく22本の常染色体と1本の性染色体をもつ。性染色体であるXまたはY染色体1本をもつ。

 

 

 

 

60 女子の思春期の特徴で正しいのはどれか。

1.9歳で初経が発来する。
2.月経開始後に身長の発育が加速する。
3.陰毛が発生した後に乳房の発育が始まる。
4.性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)によって月経が開始する。

解答4

解説

第二次性徴とは

二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。

平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。

1.× 初経が発来するのは、「9歳」ではなく10~13歳頃である。10歳未満で初経が起こるものを早発月経という。早発月経とは、早い年齢からエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が亢進するので低身長になりやすい。また、早発月経は早発思春期の診断基準のひとつであることから、頭蓋内腫瘍あるいは中枢神経性障害を発症している可能性も考えられる。
2.× 逆である。「月経開始後に身長の発育が加速する」のではなく、「身長の発育が加速した後に、月経(初経)が開始」する。平均的に身長が147〜148㎝に達すると、初経が起こることも多く、骨年齢が12歳3か月になると初経が始まることが多い。 初経を迎えてから2年くらいの間は、個人差はあり緩やかだが身長は伸びることが多い。
3.× 逆である。「陰毛が発生した後に乳房の発育が始まる」のではなく、「乳房の発育後に、陰毛が発生」する。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。
4.〇 正しい。性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)によって月経が開始する。性腺刺激ホルモン放出ホルモンとは、視床下部から分泌され、下垂体前葉を刺激し、ゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン)を分泌させる。これらによって、エストロゲンとプロゲステロンが分泌され月経が起こる。

下垂体前葉から分泌されるホルモン

①成長ホルモン(欠損すると小人病)
②甲状腺刺激ホルモン
③副腎皮質刺激ホルモン(欠損するとアジソン病)
④性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン)
⑤プロラクチン(催乳ホルモン)

月経周期

・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。

約1ヵ月に1回卵巣から卵管へ卵子が放出されることを「排卵」という。 月経周期が一般的な28日周期の女性の場合、次の月経開始予定日から約14日前に起こる。 (※月経周期によって異なる。)排卵期は、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が急激に上昇して始まる。黄体形成ホルモンは卵子の放出(排卵)を促すが、排卵は通常、両ホルモンの急激な増加が始まってから16~32時間後に起こる。この時期にはエストロゲンの血中濃度は低下し、プロゲステロンの血中濃度が上昇し始める。したがって、排卵に関係する性腺ホルモン指示系統は、「①視床下部ー②脳下垂体ー③性腺(卵巣)」である。①視床下部:性腺刺激ホルモン放出ホルモン→②脳下垂体:卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン→③性腺(卵巣):エストロゲン、プロゲステロンである。

 

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