第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後11~15】

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11 健常な成人で心臓壁が最も厚いのはどれか。

1.右心室
2.右心房
3.左心室
4.左心房

解答3

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.× 右心室の働きは、右心房から受け取った静脈血を肺動脈に送り出すために収縮する。
2.× 右心房の働きは、大静脈から入ってくる静脈血を受け入れ、右心室へ送る。左心房と同様、薄く、弾力性に富んでいる。
3.〇 正しい。左心室は、健常な成人で心臓壁が最も厚い。なぜなら、左心室は左心房から受け取った動脈血を大動脈から全身に送り出すために収縮するため。つまり、全身に血液を送る高い駆出力を生み出すため、最も厚くなっている。
4.× 左心房の働きは、肺静脈から戻ってくる動脈血を受け入れ、左心室へ送る。右心房と同様、薄く、弾力性に富んでいる。

 

 

 

 

 

 

12 後腹膜器官はどれか。

1.胃
2.肝臓
3.空腸
4.腎臓

解答4

解説

後腹膜器官とは?

後腹膜器官とは、後腹壁の壁側腹膜より後方に位置する臓器である。
後腹膜器官は、十二指腸、腎臓、副腎、尿管、腹部大動脈、下大静脈、交感神経幹である。

1~3.× 胃/肝臓/空腸/は、腹腔内臓器である。腹腔内臓器とは、腹腔内に収納されている臓器のことをいう。他にも、胆嚢、脾臓、回腸、虫垂、横行結腸、S状結腸などがあげられる。
4.〇 正しい。腎臓は、後腹膜器官である。後腹膜器官は、十二指腸、陣臓、腎臓、副腎、尿管、腹部大動脈、下大静脈、交感神経幹である

 

 

 

 

13 体温低下を引き起こすのはどれか。

1.カテコラミンの分泌亢進
2.甲状腺ホルモンの分泌低下
3.副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌低下
4.副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分泌亢進

解答2

解説
1.× カテコラミンの分泌亢進は、体温の「低下」ではなく上昇を引き起こす。カテコラミンとは、①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドパミンの総称であり、 副腎髄質ホルモンまたは神経伝達物質としての働きを持つ。血圧上昇気管支拡張、血糖値上昇の作用がある、末梢血管が収縮し、体熱の放散を防ぎ、体温が上がる
2.〇 正しい。甲状腺ホルモンの分泌低下は、体温の低下を引き起こす。なぜなら、甲状腺ホルモンは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節しているため。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。
3.× 副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌低下は、体温の変化に寄与しない。副甲状腺ホルモンは、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。
4.× 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分泌亢進は、体温の変化に寄与しない。副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分必が亢進すると、副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲン)の分泌が増えクッシング症候群を呈する。副腎皮質ホルモンは血糖値を上昇させる作用があるため、高血糖、高血圧などが生じる。

補足事項

副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。
コルチゾール:血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

 

 

 

 

 

 

14 四肢のうち麻痺している部位を斜線で図に示す。
 片麻痺はどれか。

解答3

解説


1.× 両側上肢麻痺(対麻痺)である。両側の上肢が麻痺している状態である。多発神経炎、運動ニューロン病、橋中心髄鞘崩壊など起こるがとても珍しい。
2.× 両下肢麻痺(対麻痺)である。両側の下肢が麻痺している状態である。脊髄の胸髄レベル以下の損傷で起こりやすい。
3.〇 正しい。右片麻痺である。一般的には、その対側にあたる左側の脳血管障害で生じることが多い。錐体路【大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄(交差)―錐体交叉―脊髄前角細胞】に障害が起こっていると推測できる。
4.× 四肢麻痺である。両上・下肢が麻痺している状態である。脊髄の頚髄レベルの損傷により起こりやすい。

 

 

 

 

15 痛風の患者の血液検査データで高値を示すのはどれか。

1.尿酸
2.尿素窒素
3.アルブミン
4.トリグリセリド

解答1

解説

痛風とは?

 痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。

1.〇 正しい。尿酸は、痛風の患者の血液検査データで高値を示す。痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。尿酸は難溶性の物質で、血清尿酸値7mg/dlを超えると析出しやすくなり急性関節炎の原因になる。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生される。プリン体が多く含む食材として、豚や牛のレバー、アジやさんまの干物などがあげられる。
2.× 尿素窒素は、腎機能の状態を表す指標である。高値で腎機能の低下が示唆される。尿素窒素とは、血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のことで、蛋白質が利用された後にできる残りかすといえる。通常は腎臓でろ過されて尿中へ排出されるが、腎臓の働きが低下すると、ろ過しきれない分が血液のなかに残る。つまり、尿素窒素の数値が高くなるほど、腎臓の機能が低下していることを表している。
3.× アルブミンは、肝臓で作られるたんぱく質で肝臓栄養状態の指標となる。血清総蛋白の60%程度を占め肝臓で生成される。アルブミンが低値の場合は、低栄養状態、がん、 肝硬変など、一方で高値の場合は、脱水により血管内の水分が減少し、濃縮効果によることが考えられる。
4.× トリグリセリドは、中性脂肪を指す。この値が高いと血中に中性脂肪が多い状態である。中性脂肪は、脂質異常症(高脂血症)の診断の1つで、一般的な基準値は、血中30mg/dL~149mg/dLである。

 

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