第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後51~55】

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51 Aさん(73歳、女性)は、既往歴はなく自立した生活を送っていた。最近、尿意を我慢できず尿失禁することがあり、夜間の排尿回数も増えたため、病院を受診した。その結果、過活動膀胱と診断された。
 Aさんへの看護師の指導内容で適切なのはどれか。

1.腹筋を鍛える。
2.膀胱訓練を行う。
3.水分摂取を控える。
4.尿意を感じたらすぐトイレに行く。

解答2

解説

本症例のポイント

・Aさん(73歳、女性、過活動膀胱
・既往歴:なし、生活:自立
・尿意を我慢できず尿失禁することがあり。
・夜間の排尿回数も増えた。
→過活動膀胱とは、膀胱の蓄尿期において尿意切迫感があり、頻尿や尿失禁をきたす疾患である(切迫性尿失禁)。明らかな神経学的異常に起因する神経因性過活動膀胱と、原因を特定できない非神経因性過活動膀胱に分けられる。原因として、①加齢、②骨盤底筋の低下、③生活習慣病、④肥満などと関連するといわれている。有病率は高齢になるほど高くなる。過活動膀胱では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練など機能訓練を行い、薬物療法で治療を行う。

骨盤底筋は子宮、膀胱、直腸を含む骨盤臓器を支える筋肉で、骨盤底筋を強化することで尿漏れ対策となる。仰臥位が基本的な姿勢であるが、伏臥位や座位など日常生活の中でどんな姿勢で行ってもよい。座位や膝立て背臥位などで、上体の力を抜いてお尻の穴を引き上げて「きゅっ」とすぼめ、5秒キープする動作を10~20回ほど繰り返す方法と、すぼめたりを繰り返す方法の2種類ある。

膀胱訓練とは、排尿の間隔を徐々に延長し、膀胱にためることができる尿量を徐々に増やしていくものである。最初は30秒程度からスタートし、徐々に我慢する時間を延ばしていく。

1.× 腹筋ではなく「骨盤底筋」を鍛える。過活動膀胱では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練など機能訓練を行い、薬物療法で治療を行う。骨盤底筋は子宮、膀胱、直腸を含む骨盤臓器を支える筋肉で、骨盤底筋を強化することで尿漏れ対策となる。仰臥位が基本的な姿勢であるが、伏臥位や座位など日常生活の中でどんな姿勢で行ってもよい。座位や膝立て背臥位などで、上体の力を抜いてお尻の穴を引き上げて「きゅっ」とすぼめ、5秒キープする動作を10~20回ほど繰り返す方法と、すぼめたりを繰り返す方法の2種類ある。
2.〇 正しい。膀胱訓練を行う。過活動膀胱では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練など機能訓練を行い、薬物療法で治療を行う。膀胱訓練とは、排尿の間隔を徐々に延長し、膀胱にためることができる尿量を徐々に増やしていくものである。最初は30秒程度からスタートし、徐々に我慢する時間を延ばしていく。尿意を感じてもすぐにはトイレに行かず我慢する行動訓練である。
3.× 水分摂取を控えるべきではない。なぜなら、脱水症状が出現することもあるため。
4.× 「尿意を感じたら」すぐトイレに行くのではなく、尿意を感じてもすぐにトイレに行かないように指導する。なぜなら、これが膀胱訓練となるため。膀胱訓練とは、排尿の間隔を徐々に延長し、膀胱にためることができる尿量を徐々に増やしていくものである。最初は30秒程度からスタートし、徐々に我慢する時間を延ばしていく。

 

 

 

 

 

 

52 高齢者のうつ病の症状はどれか。

1.意識障害
2.知能低下
3.歩行障害
4.強い不安感

解答4

解説

老人性うつ病とは?

仮性認知症とは、制止の強い高齢者のうつ病患者が、質問に答えるのに時間がかかり、あたかも認知症のようにみえる状態をいう。仮性認知症(老人性うつ病)は、高齢者のうつ病で反応が鈍いなどの症状により、認知症と間違えられるような状態をいうことが多い。うつ病に付随する身体症状(睡眠障害、倦怠感、食欲不振など)の訴えが多く、背景にある抑うつ気分などの精神症状が表面に現れないものをいう。多くの場合その主症状が、生きがいや興味の消失、漠然とした不安感などである。

1.× 意識障害は伴わない。高齢者の意識障害は、急性疾患(脳血管障害や薬物、全身疾患など)に伴うことが多い。
2.× 知能低下は伴わない。極端な流動性知能の低下がみられる場合は認知症を疑う。ちなみに、知能は、①流動性知能と②結晶性知能がある。①流動性知能は、60歳以降急激に低下する。②結晶性知能の低下は、緩やかである。
3.× 歩行障害は伴わない。高齢者の歩行障害は、足腰の痛みや脳血管障害、小脳変性、パーキンソン病などの脳神経系の疾患に伴うことが多い。
4.〇 正しい。強い不安感は、高齢者のうつ病の症状である。多くの場合その主症状が、生きがいや興味の消失、漠然とした不安感などである。

うつ病の症状について

感情面:抑うつ、不安、焦燥。
意欲面:意欲低下(日内変動があり特に朝が悪い)、自殺念慮。
思考面:微小妄想(罪業、貧困、心気)、思考抑止、離人。
身体面:不眠(早期覚醒が多い)、頭重感、めまい、倦怠感。

 

 

 

 

 

 

53 平成29年度(2017年度)の人口動態統計における、小児の年齢階級別死因のうち第1位が悪性新生物〈腫瘍〉である年齢階級はどれか。

1.0歳
2.1~4歳
3.5~9歳
4.10~14歳

解答3

解説

(※図引用:「第7表 死因順位 (1~5位)別死亡数・死亡率(人口10万対)」厚生労働省HPより)

1.× 0歳の死因の第1位は、「先天奇形・変形及び染色体異常」である。
2.× 1~4歳の死因の第1位は、「先天奇形・変形及び染色体異常」である。
3.〇 正しい。5~9歳の死因の第1位は、悪性新生物<腫瘍>である。
4.× 10~14歳の年齢階級の死因の第1位は、自殺である。(※データ引用:厚生労働省HPより「平成29年度(2017年度)の人口動態統計」)

 

 

 

 

 

 

54 健康な小児の成長・発達で正しいのはどれか。

1.情緒は快から不快が分化する。
2.発達とともにレム睡眠の割合は増える。
3.体重は出生後1年で出生時の約4倍になる。
4.身長は出生後1年で出生時の約1.5倍になる。

解答4

解説
1.× 情緒は、「快」ではなく、「興奮」から不快が分化する。情緒とは、感情のことである。情緒の発達では、新生児の頃は興奮のみだが、その後、「不快」・「快」に分化し、「不快」から「怒り→嫌悪」に、「快」から「得意→愛情」へと更なる分化を遂げる。3か月頃に3つ(興奮・不快・快)に分化するが、「不快」な情緒の方が、「快」の情緒よりも早く発達する。1932年にブリッジェス(Bridges)が提唱した情緒の分化樹系図
2.× 発達とともにレム睡眠の割合は、「増える」のではなく減る。月齢が進むと、昼夜のリズムができていき、全睡眠におけるレム睡眠の割合は徐々に減少する。睡眠には、①レム睡眠(脳が活発に動いている)と、②ノンレム睡眠(大脳が休息している)がある。新生児の睡眠は、昼夜の区別がなく、睡眠と覚醒を短い期間で繰り返す(多相性睡眠)。
3.× 体重は出生後1年で、出生時の「約4倍」ではなく3倍になる。体重は、出生時の2倍(出生後3か月)、出生時の3倍(出生後1年)、4倍(2歳6か月頃)である。
4.〇 正しい。身長は出生後1年で出生時の約1.5倍になる。ちなみに、4歳頃には出生時の約2倍になる。

(※図引用:「子供の成長・発達」成長科学協会HPより)

 

 

 

 

 

 

55 生後10か月の健康な乳児にみられる神経反射はどれか。

1.吸啜反射
2.Moro〈モロー〉反射
3.Landau〈ランドー〉反射
4.探索〈ルーテイング〉反射

解答3

解説
1.× 吸啜反射とは、原始反射のひとつであり、口腔内に指を入れると、舌を動かして吸啜する(吸う)反射のことである。出生時からみられ、生後4~6か月頃には消失する。
2.× Moro〈モロー〉反射とは、原始反射のひとつであり、仰臥位で頭部を持ち上げてから急に支えを外すと、両上肢を伸展・外転し、抱きつくような動きをする反射のことである。出生時からみられ、生後3~4か月頃には消失する。
3.〇 正しい。Landau〈ランドー〉反射は、生後10か月の健康な乳児にみられる神経反射である。Landau〈ランドー〉反射とは、【刺激と反応】乳児の腹部を検者の手掌で支えて水平にすると、頭を上げ体幹をまっすぐにし,さらに下肢を伸展する。3つの頭部の立ち直り反応すべての効果が合わさった反応である。第1相:頸部、体幹軽度屈曲、四肢軽度屈曲。第2相:頸部水平、体幹軽度屈曲、四肢軽度屈曲。第3相:頸部伸展挙上、体幹伸展、四肢伸展傾向。【出現と消失時期】第1相:0~6週、第2相:7週~3、4 ヵ月、第3相:6 ヵ月から1~2歳で統合される。
4.× 探索〈ルーテイング〉反射とは、原始反射のひとつであり、口唇周辺を刺激すると、刺激方向に顔を向けて探索する反射のことである。出生時からみられ、生後4~7か月頃に消失する、

 

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