第111回(R4) 看護師国家試験 解説【午後36~40】

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36 看護過程において評価する項目はどれか。

1.看護技術の習得度
2.看護教育の活用度
3.看護記録の完成度
4.看護目標の達成度

解答4

解説

看護過程とは?

看護における問題解決過程とは、看護過程の流れ(①対象の全体像の把握(アセスメント)→②看護診断→③目標設定→④計画→⑤実施→⑥評価)を指す。看護過程は、根拠を持った看護を実践するための思考過程である。根拠を持つためには、科学的根拠に基づいて情報の分析を行う必要がある。

1~3.× 看護技術の習得度/看護教育の活用度/看護記録の完成度は、評価項目に含まれない。なぜなら、看護過程は、根拠を持った看護を実践するための思考過程であるため。根拠を持つためには、科学的根拠に基づいて情報の分析を行う必要がある。目標・成果をなぜ達成できたか?、またはなぜ達成できなかったかを考え、達成度に影響を与えた要因を考える必要がある。
4.〇 正しい。看護目標の達成度は、看護過程において評価する。評価に関して、①目標・成果の達成度判定、②達成度を与えた要因の特定、③看護計画の終了・継続・修正の3つの側面から行う必要がある。

 

 

 

 

 

37 医療器材と消毒・滅菌の組合せで正しいのはどれか。

1.手術用持針器:第4級アンモニウム塩
2.ステンレス製便器:熱水消毒
3.軟性内視鏡:高圧蒸気滅菌
4.ベッド柵:グルタラール

解答2

解説
1.× 手術用持針器は、「第4級アンモニウム塩(低水準消毒薬)」ではなく高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)で行う。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。
2.〇 正しい。ステンレス製便器は、熱水消毒で行う。熱湯消毒とは、一般的に80度以上のお湯を10秒以上かける方法のことをいう。ちなみに、80度以上のお湯で10分以上煮沸することを煮沸消毒という。
3.× 軟性内視鏡は、「高圧蒸気滅菌」ではなく第4級アンモニウム塩(低水準消毒薬)で行う。第4級アンモニウム塩とは、陽イオン性界面活性剤や消毒剤の有効成分として用いられる。第4級アンモニウム塩(低水準消毒薬)は、結核菌や細菌芽胞など抵抗性のある微生物の殺滅はできないものの、ほとんどの細菌、数種のウイルス、数種の真菌を死滅させることができる。ちなみに、軟性内視鏡とは、曲げられる特性を持った消化管に挿入可能な内視鏡のことである。
4.× ベッド柵は、「グルタラール」ではなく環境クロスで行う。環境クロスとは、主に環境表面の清拭を行う際に、洗浄成分や除菌成分を含浸させたクロスである。 「環境清拭シート」「除菌クロス」「除菌洗浄ペーパー」などと呼ばれる。

 

 

 

 

38 点眼薬の投与について正しいのはどれか。

1.点眼時は上眼瞼を上げる。
2.点眼容器の先端は眼瞼結膜に当てる。
3.点眼後は眼球を圧迫する。
4.眼から溢れた薬液は拭き取る。

解答4

解説
1.× 点眼時は、「上眼瞼(上まぶた)を上げる」のではなく「下眼瞼(下まぶた)を下げる」。点眼する時には、患者に頚部を後屈させた姿勢を取ってもらい、やや上を見てもらう。看護師が患者の下眼瞼を下に軽く引きながら、下眼瞼結膜に点眼する。
2.× 点眼容器の先端は、「眼瞼結膜(白目のところ)」に当てないようにする。なぜなら、容器先端を身体部位に当ててしまうと、痛みや、感染の危険性を伴うため。
3.× 点眼後は、「眼球」ではなく涙嚢部(内眼角)を圧迫する。なぜなら、涙嚢部(内眼角)を圧迫することで、薬液を鼻涙管へ流れるのを防ぐことができるため。ただし、点眼後は静かにまぶたを閉じて、まばたきをしないで約1分間目をつぶっていることも推奨されている。これは、鼻涙管を介して全身へ行き、副作用の原因となるためである。
4.〇 正しい。眼から溢れた薬液は拭き取る。なぜなら、ふき取ることで皮膚トラブル(特に、接触皮膚炎:かぶれなど)を防ぐことができるため。ちなみに、接触皮膚炎とは、何らかの物質が皮膚に接触し、それが刺激やアレルギー反応となってかゆみを伴う湿疹が出ている状態のことである。接触した部分の皮膚に紅斑が現れ、ひどいときには、腫れ上がったり、小水疱が出現する。身のまわりにあるほとんどの物質が原因となりえる。

 

 

 

 

 

39 52歳の女性が上腹部痛と吐血を主訴に受診し輸血を行うこととなった。
 輸血時の対応で正しいのはどれか。

1.赤血球製剤を30〜37℃で融解する。
2.血液型検査とクロスマッチ検査用の採血を同時に行う。
3.クロスマッチ検査の結果を医師と看護師で確認する。
4.輸血開始から15分後にアレルギー反応の初回観察を行う。

解答3

解説
1.× 30〜37℃で融解するのは、「赤血球製剤」ではなく血漿製剤である。赤血球製剤とは、血液から血漿、白血球および血小板の大部分を取り除いたものである。出血及び赤血球が不足する状態、またはその機能低下による酸素欠乏のある場合に使用される。2~6度で輸血直前まで保存する。一方、血漿製剤とは、血液から出血の防止に必要な各種の凝固因子が含まれる血漿を取り出したもので、採取後-20℃以下で凍結される。複数の血液凝固因子の欠乏による出血ないし出血傾向のある場合に使用される。
2.× あえて、血液型検査とクロスマッチ検査用の採血を「同時に行う」必要はない。むしろ、取り間違えなどのアクシデントが起こる恐れがあるため別日に設定することが多い。厚生労働省が提示している「輸血療法実施に関する指針」にも記載されている。ちなみに、血液型検査とは、赤血球を用いて抗原を調べるオモテ検査と患者さんの血清を用いて抗体を調べるウラ検査のことを指すことが多い。また、クロスマッチ検査(交差適合試験)とは、輸血に伴う副作用を防止するために行われる検査である。受血者の血液と供血者の血液を混合して反応の有無をみるもので、ABO式血液型の不適合や、その他の血液型に対する免疫抗体 を検出できる方法を用いる必要がある。
3.〇 正しい。クロスマッチ検査の結果を医師と看護師で確認する。複数の医療従事者が確認するタイミングとして、①血漿製剤の受け渡し時、②輸血準備時、③輸血開始前である。氏名や血液型、製造番号だけでなく、クロスマッチ検査の結果や放射線照射の有無など確認する。
4.× アレルギー反応の初回観察を行うのは、「輸血開始から15分後」ではなく輸血直後から適宜観察する。ちなみに輸血後短時間で現れる副作用は、不適合輸血による血管内の溶血反応として血管に沿った熱感や顔面の紅潮、腰背部痛、腹痛、頚静脈の怒張、頻脈、胸部の絞扼感、呼吸促拍などがみられる。したがって、開始直後から5分間は、バイタルサインの変化や副作用の出現、刺入部位、滴下状況などを観察する必要がある。

 

 

 

 

40 四肢の動脈性外出血に対する止血法で適切なのはどれか。

1.出血部位を心臓より高く保つ。
2.止血帯は幅1cm未満を用いる。
3.止血帯は連続して4時間使用する。
4.出血部位を動脈圧より低い圧で圧迫する。

解答1

解説

動脈性外出血とは?

動脈性外出血とは、動脈からの出血である。色は鮮紅色、脈を打つように「ピュッ、ピュッ」と血が噴き出す。短時間に多量の血液を失うので速やかな止血処置が必要である。応急処置としては、①直接圧迫止血法もしくは②間接圧迫止血法である。最終手段として出血部位より心臓側の動脈を縛る③止血帯法である。

1.〇 正しい。出血部位を心臓より高く保つ。そうすることで出血部位の血流量・血圧を減少させ止血を図ることができる。
2.× 止血帯は、「幅1cm未満」ではなく「なるべく幅の広い(3cm以上)」を用いる。なぜなら、幅1cm未満で行うと、圧迫部位に強い圧がかかりすぎて壊死など2次トラブルに発展しかねないため。
3.× 止血帯は、「連続して4時間」ではなく「30分~45分に一度」圧迫を解除する。なぜなら、うっ血や神経麻痺などを防ぐため。
4.× 出血部位を動脈圧より、「低い圧」ではなく高い圧で圧迫する。なぜなら、動脈圧より低いと止血が不十分であるため。

 

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