第112回(R8)保健師国家試験 解説【午前21~25】

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21 医療安全支援センターについて正しいのはどれか。

1.医療事故調査の支援を行う。
2.都道府県は設置の努力義務がある。
3.地域住民に医療安全に関する研修を行う。
4.地域保健法で業務内容が定められている。

解答

解説

医療安全支援センターとは?

医療安全支援センターとは、医療法第6条の13の規定に基づき、都道府県、保健所を設置する市及び特別区により、日本全国で380箇所以上設置されている医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発などを行う機関である。医療に関する苦情・心配や相談に対応するとともに、医療機関、患者さん・住民に対して、医療安全に関する助言および情報提供等を行っている。

1.× 医療事故調査の支援を行う中心機関は、医療事故調査・支援センターである。
・医療事故調査・支援センターとは、医療法第6条の15第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める団体で医療事故調査を実施する機関である。現在、社会問題となっている医療事故の再発防止を目的として、厚生労働省や日本医師会などを中心として、設置に向けた議論が進行している。

2.〇 正しい。都道府県は、設置の努力義務がある。なぜなら、医療法の第6条の13に基づくため。

3.× 地域住民に医療安全に関する「研修」ではなく情報提供や普及啓発を行う。ちなみに、医療安全支援センターの研修は、主に医療提供施設側(病院・診療所・助産所の管理者や従業者など)に対して行う。

4.× 「地域保健法」ではなく医療法で業務内容が定められている。
・地域保健法とは、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定めることにより、母子保健法その他の地域保健対策に関する法律による対策が地域において総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持及び増進に寄与することを目的として制定された法律である。

 

 

 

 

 

22 都道府県に自殺対策計画の策定を義務付けているのはどれか。

1.自殺対策基本法
2.自殺総合対策大綱
3.自殺対策加速化プラン
4.精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉

解答

解説

1.〇 正しい。自殺対策基本法は、都道府県に自殺対策計画の策定を義務付けている。
・自殺対策基本法は、制度の狭間にある人や、家庭・学校・職場・地域などから孤立している人に対して、生きることへの総合的な支援を推進することで、誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す法律である。年間の日本における自殺者数が3万人を超えていた日本の状況に対処するため制定された法律である。2006年6月21日に公布、同年10月28日に施行された。主として厚生労働省が所管し、同省に特別の機関として設置される自殺総合対策会議が、「自殺対策の大綱」を定める。
【市町村自殺対策計画の法的根拠】自殺対策基本法第13条第2項:市町村は、自殺総合対策大綱及び都道府県自殺対策計画並びに地域の実情を勘案して、当該市町村の区域内における自殺対策についての計画を定めるものとする。

2.× 自殺総合対策大綱とは、自殺対策基本法に基づく政府(厚生労働省)が推進すべき自殺対策の指針である。たとえば、自殺総合対策大綱には、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現、関連施策との連携、地域レベルでの実践的取組などの方向性が示される。

3.× 自殺対策加速化プランとは、自殺対策を推進するための施策である。つまり、法律ではなく、重点的に自殺対策を進めるための政策的な取り組みである。

4.× 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉とは、①精神障害者の医療及び保護を行うこと、②障害者総合支援法とともに、精神障害者の社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行うこと、③精神疾患の発生の予防や、国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とした法律である。(参考:「精神保健福祉法について」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

23 保健師が乳児健康診査の面接で母子健康手帳を確認したところ、予防接種の接種歴がなかった。両親に確認すると、母親は「予防接種を受けさせたくない」と言い、父親は「他の家庭のように接種させたいのに困る」と言う。両親は互いの意見が合わずに悩んでいることがわかった。
 倫理的課題に対する両親の意思決定を支援するために、保健師が最初に行うことはどれか。

1.母親に予防接種のパンフレットを渡す。
2.母親に予防接種を受けさせたくない理由を聞く。
3.父親にどのように困っているかを聞く。
4.夫婦でよく話し合うように勧める。
5.夫婦に予防接種の必要性を伝える。

解答

解説

ポイント

・乳児健康診査:母子健康手帳を確認したところ、予防接種の接種歴なし
・母親は「予防接種を受けさせたくない」と言う。
・父親は「他の家庭のように接種させたいのに困る」と言う。
・両親は互いの意見が合わずに悩んでいる
→ほかの選択肢が消去される理由を挙げられるようにしよう。

1.× 母親に予防接種のパンフレットを渡すより優先されるものがほかにある。なぜなら、母親が予防接種を受けさせたくない理由や不安を把握しないまま情報提供しても、母親の意思決定支援になりにくいため。予防接種への拒否や迷いには、副反応への不安、過去の経験、インターネット情報、家族や友人の影響、医療不信、宗教的・思想的背景など、さまざまな理由がある。

2.〇 正しい。母親に予防接種を受けさせたくない理由を聞く。なぜなら、まず対象者がどのような価値観や不安、情報に基づいて判断しているのかを理解する必要があるため。今回のケースでは、両親の間で意見が対立しているため、必要な情報を得て話し合えるよう支援する。

3.× 父親にどのように困っているかを聞くより優先されるものがほかにある。なぜなら、最初の対応としては母親の接種拒否の理由を確認する方が優先されるため。現在の判断に直接関係しているのは、母親の拒否の理由である。

4.× 夫婦でよく話し合うように勧めるより優先されるものがほかにある。なぜなら、両親はすでに意見が合わずに悩んでいるため。単に話し合うよう勧めるだけでは、意思決定の支援にならない可能性が高い。

5.× 夫婦に予防接種の必要性を伝えるより優先されるものがほかにある。なぜなら、父親は接種希望が聞かれるため。また、母親の不安や拒否の理由を確認しないまま必要性を伝えると、一方的な説得になり、関係性の破綻につながりかねない。倫理的課題に対する支援では、正しい情報を伝えるだけでなく、本人や家族の価値観を尊重しながら支援することが必要である。

 

 

 

 

 

24 Aさん(85歳、女性)は通いの場に継続して参加している。保健師はAさんから「耳の聞こえが悪く、にぎやかな中では聞き返してばかりで皆に迷惑をかけるから、通いの場への参加を辞めることを考えている」と相談を受けた。
 保健師がAさんへ最初に行う声かけで最も適切なのはどれか。

1.「補聴器を購入しましょう」
2.「聞こえづらさに悩まれつらい状況だったのですね」
3.「少人数で開催している別の通いの場を紹介しますね」
4.「80代になれば誰しも耳の聞こえは悪くなりますよね」
5.「通いの場の皆さんに大きな声で話してもらうよう依頼します」

解答

解説

ポイント

・Aさん(85歳、女性):通いの場に継続して参加。
・Aさん「耳の聞こえが悪く、にぎやかな中では聞き返してばかりで皆に迷惑をかけるから、通いの場への参加を辞めることを考えている」と。
→ほかの選択肢が消去される理由を挙げられるようにしよう。

1.× 「補聴器を購入しましょう」と伝えるより優先されるものがほかにある。なぜなら、Aさんの気持ちや困りごとを十分に受け止める前に、具体的な解決策を一方的に提示しているため。Aさんは単に「聞こえにくい」と言っているだけではなく、「皆に迷惑をかけるから参加を辞めたい」と話している。つまり、難聴による不便さだけでなく、周囲への遠慮、孤立感、自信の低下、社会参加の中断リスクがある。また、補聴器の購入には、高額な負担を強いる場合もある。慎重な提案が必要である。

2.〇 正しい。「聞こえづらさに悩まれつらい状況だったのですね」と伝える。なぜなら、共感的に受け止め、安心して話せる関係を作れるため。初回の面接では、最初に本人の訴えを否定せず、感情を受け止めることが基本である。

3.× 「少人数で開催している別の通いの場を紹介しますね」と伝えるより優先されるものがほかにある。なぜなら、少人数であってもにぎやかな活動場面(聞き返してばかりの場面)がないとは断言できないため。まずは、辞めたい気持ちの背景、継続したい希望を確認する必要がある。

4.× 「80代になれば誰しも耳の聞こえは悪くなりますよね」と伝えるより優先されるものがほかにある。なぜなら、「年を取れば仕方ない」という言い方は、Aさんの困りごとを一般化し、相談する意欲を低下させるおそれがあるため。

5.× 「通いの場の皆さんに大きな声で話してもらうよう依頼します」と伝えるより優先されるものがほかにある。なぜなら、Aさんの気持ちや希望を確認しないまま、周囲に働きかけることは、よりAさんに心理的負担を強いる可能性があるため。また、Aさんの許可もなく、周囲に難聴を知られることは、守秘義務にも違反する可能性がある。

 

 

 

 

 

25 インフルエンザに罹患したAさん(8歳、小学2年生)の経過を以下に示す。
 Aさんの出席停止期間が終了し、登校できる日はどれか。

1.1月19日
2.1月20日
3.1月21日
4.1月22日
5.1月23日

解答

解説

(※引用:「学校におけるインフルエンザ出席停止期間」東京都HPより)

1~2.× 1月19~20日は、Aさんの出席停止期間が終了し、登校できる日といえない
・学校保健安全法施行規則(第19条)により、インフルエンザの出席停止期間は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と定められている。

3.〇 正しい。1月21日は、Aさんの出席停止期間が終了し、登校できる。なぜなら、学校保健安全法施行規則(第19条)に該当するため。

4~5.× 1月22~23日は、Aさんの出席停止期間が終了し、すでに登校できる日が過ぎている

 

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