第112回(R8)保健師国家試験 解説【午前36~40】

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36 学校における保健教育で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.小学校の保健の授業は1年生から行う。
2.教育基本法で学習内容が規定されている。
3.個別の指導は養護教諭が中心となって行う。
4.生涯を通じて健康に生きるための資質・能力の育成を目標にする。
5.養護教諭は1年以上勤務する場合に勤務校の保健の授業を担当できる。

解答3・4

解説

(※図引用:「小学校保健教育参考資料」文部科学省様HPより)。

1.× 小学校の保健の授業は、「1年生」ではなく3年生から行う(※参考:「小学校保健教育参考資料」文部科学省様HPより)。

2.× 「教育基本法」ではなく学習指導要領で学習内容が規定されている。なぜなら、教育基本法は教育の目的や理念を定める基本法であり、各教科の具体的な学習内容を細かく定めるものは学習指導要領であるため。
・学習指導要領とは、全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めているものをさす。学習指導要領では、小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めている。
・教育基本法とは、教育についての原則を定めた日本の法律である。①日本の教育の目的及び理念、②義務教育や学校教育といった教育の実施に関する基本、③教育行政について定められている。

3.〇 正しい。個別の指導は、養護教諭が中心となって行う。なぜなら、養護教諭は児童生徒の心身の健康状態を把握し、個別の健康課題に対する健康相談や保健指導を担う専門職であるため。例えば、健診で肥満傾向を指摘された児童に対して、養護教諭が生活リズム、朝食、運動習慣、間食、睡眠などを確認し、本人の気持ちを尊重しながら個別に保健指導を行う。
・養護教諭とは、主に、小・中・高校に配属されている「保健室の先生」のことである。 学校でケガをしたり体調を崩したりしたとき、保健室に行くと対応してくれるのが養護教諭である。養護教諭がいることで、生徒たちが安心して学校に通える環境が整えられている。

4.〇 正しい。生涯を通じて健康に生きるための資質・能力の育成を目標にする(※上図参考)。なぜなら、学校の保健教育は、児童生徒が心身の健康の保持増進を図る力を身に付け、生涯にわたり健康で活力ある生活を送る基礎を培うことをねらいとしているため。

5.× 養護教諭は、「1年以上」ではなく3年以上勤務する場合に勤務校の保健の授業を担当できる。文部科学省の教員免許制度資料では、「養護教諭の勤務経験が3年以上ある養護教諭は、勤務する学校で、保健、小学校では体育の教科領域に係る事項を担任できる」と示されている。

 

 

 

 

37 粉じんによる健康障害を防止するための対策として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.防じんマスクの使用
2.発生源の密閉化、湿式化
3.6か月以内ごとの配置転換
4.屋内の作業場所の週1回の清掃
5.じん肺健康診断の5年間の記録保存

解答1・2

解説

MEMO

粉じん対策では、作業環境管理として密閉化・湿式化・局所排気装置、作業管理として作業方法の改善や保護具の使用、健康管理としてじん肺健康診断を行う。

1.〇 正しい。防じんマスクの使用は、粉じんによる健康障害を防止するための対策である。なぜなら、防じんマスクは、作業者が粉じんを吸入する量を減らす呼吸用保護具であるため。作業者の体内に入る粉じん量を減らすことができる。

2.〇 正しい。発生源の密閉化、湿式化は、粉じんによる健康障害を防止するための対策である。なぜなら、粉じんを作業環境中に発散させない発生源対策となるため。例えば、岩石の切断作業で水をかけながら切断する、粉体を扱う設備を密閉する、粉じんが出る場所に局所排気装置を設置する、といった方法がある。
・密閉化とは、粉じんが発生する機械や工程を囲い込み、粉じんが作業場に出ないようにする方法である。
・湿式化とは、水を使って粉じんの飛散を抑える方法である。

3.× 6か月以内ごとの配置転換は、粉じんによる健康障害を防止するための対策「とはいえない」。なぜなら、配置転換は必要時に検討する就業上の措置であるため。

4.× 屋内の作業場所は、「週1回」ではなく毎日1回以上の清掃を実施する。これは、粉じん障害防止規則に記載されている。
・粉じんが床や設備に堆積すると、歩行、清掃、機械の振動、空気の流れなどで再び舞い上がりる。これを再飛散という。再飛散を防ぐためにも、こまめな清掃が必要である。

5.× じん肺健康診断の結果は、「5年間」ではなく7年間の記録保存する。これは、じん肺法に記載されている。ちなみに、一般健康診断の記録は、5年間保存する必要がある。

 

 

 

 

38 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉で医療費の公費負担が規定されているのはどれか。2つ選べ。

1.コレラ
2.痘そう
3.日本脳炎
4.急性灰白髄炎〈ポリオ〉
5.腸管出血性大腸菌感染症

解答2・4

解説

MEMO

一類・二類感染症が入院医療費公費負担の枠組みに該当する。

1.× コレラは、感染症法上の医療費公費負担の対象ではない。なぜなら、コレラは三類感染症であるため。
・コレラとは、コレラ菌に汚染された水や食物を摂取することにより感染する疾患(経口感染)である。潜伏期間は、12時間〜5日で、小腸で増殖し、腸毒素(コレラ毒素)を放出する。症状は、下痢・嘔吐、それらに伴う脱水症状を生じる。

2.〇 正しい。痘そうは、感染症法上の医療費公費負担の対象である。なぜなら、痘そうは、一類感染症であるため。
・痘そうとは、天然痘とも呼ばれ、天然痘ウイルスによる感染症である。主に、人から人への接触(飛沫感染、接触感染)によって広がる。

3.× 日本脳炎は、感染症法上の医療費公費負担の対象ではない。なぜなら、日本脳炎は四類感染症であるため。
・日本脳炎とは、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染する。以前は子どもや高齢者に多くみられた病気である。初期症状として、突然の高熱・頭痛・嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもある。

4.〇 正しい。急性灰白髄炎〈ポリオ〉は、感染症法上の医療費公費負担の対象である。なぜなら、急性灰白髄炎〈ポリオ〉は、二類感染症であるため。
・ポリオ〈急性灰白髄炎〉は、ポリオウイルスによって引き起こされ、伝播は主に経口(飲食物)を通じて感染するものである。ポストポリオ症候群は、ポリオの後遺症として60歳前後で筋力低下や手足のしびれ、疼痛などの症状が現れる障害である。

5.× 腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法上の医療費公費負担の対象ではない。なぜなら、腸管出血性大腸菌感染症は三類感染症であるため。
・腸管出血性大腸菌感染症とは、ベロ毒素 、または志賀毒素と呼ばれている毒素を産生することで病原性を持った大腸菌である「病原性大腸菌」の一種である。飲食物を介した経口感染であり、菌に汚染された飲食物を摂取したり、患者の糞便に含まれる大腸菌が直接または間接的に口から入ることによって感染する。症状は、無症候性から軽度の下痢、激しい腹痛、頻回の水様便、さらに、著しい血便とともに重篤な合併症を起こし死に至るものまで様々である。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律とは?

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法、感染症法、感染症新法)は、感染症の予防および感染症患者に対する医療に関する措置について定めた日本の法律である。平成10年(1998年)に制定された。主な内容は、①1~5類感染症の分類と定義、②情報の収集・公表、③感染症(結核を含む)への対応や処置。

【「感染症法」の対象となる感染症】
①1類感染症(7疾患:エボラ出血熱 ・クリミア・コンゴ出血熱・痘そう(天然痘) ・南米出血熱・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱)
対応:原則入院・消毒等の対物措置(例外的に建物への措置,通行制限の措置も適用対象とする)

②2類感染症(6疾患:・急性灰白髄炎(ポリオ)・結核 ・ジフテリア ・重症急性呼吸器症候群(SARS)・特定鳥インフルエンザ(H5N1, H7N9) ・中東呼吸器症候群(MERS))
対応:状況に応じて入院・消毒等の対物措置

③3類感染症(5疾患:・コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症(0157等)・腸チフス ・パラチフス)
対応:・特定職種への就業制限・消毒等の対物措置

④4類感染症(44疾患:※一部抜粋。・E型肝炎・A型肝炎 ・黄熱・Q熱・狂犬病・チクングニア熱・鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)・炭疽 ・ボツリヌス症 ・マラリア ・野兎病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・デング熱・ジカウイルス感染症・日本脳炎・その他感染症(政令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開,提供・媒介動物の輸入規制・消毒等の対物措置

⑤5類感染症(46疾患:※一部抜粋。・インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ等感染症を除く)・ウイルス性肝炎(E型・A型を除く)・クリプトスポリジウム症・後天性免疫不全症候群(AIDS)・性器クラミジア感染症 ・梅毒・麻疹・百日咳・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症・その他感染症(省令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開情報提供

 

 

 

 

次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、男性、会社員)は、妻(30歳)と長女(生後7か月)の3人暮らしである。妻と長女が乳児健康相談のため保健センターに来所した。妻から「夫が毎日20本以上喫煙しています。子どもへの影響が心配です」と保健師に相談があった。

39 保健師が確認するAさんの情報で優先するのはどれか。

1.禁煙経験
2.健康診査受診歴
3.職場の禁煙対策
4.自宅での喫煙場所

解答

解説

ポイント

・Aさん(34歳、男性、会社員)
・3人暮らし:妻(30歳)と長女(生後7か月)
・妻と長女:乳児健康相談のため保健センターに来所。
・妻から「夫が毎日20本以上喫煙しています。子どもへの影響が心配です」と。
→ほかの選択肢の消去理由もあげられるようにしよう。

1.× 禁煙経験よりAさんの情報で優先されるものが他にある。なぜなら、Aさんはすでに夫が毎日20本以上喫煙している情報が確認できるため。「子どもへの影響が心配です」ということから、乳児への受動喫煙リスクを評価することが優先される。

2~3.× 健康診査受診歴/職場の禁煙対策よりAさんの情報で優先されるものが他にある。なぜなら、健康診査受診歴/職場の禁煙対策は、Aさん本人の健康管理状況を把握する情報であるため。今回の相談は、妻と乳児が来所しており、妻は「子どもへの影響」を心配していることから、乳児への受動喫煙リスクを評価することが優先される。

4.〇 正しい。自宅での喫煙場所が、Aさんの情報収集として優先される。なぜなら、生後7か月の長女への受動喫煙や三次喫煙のリスクを評価するには、家庭内でどこで喫煙しているかを把握することが最も重要であるため。
・受動喫煙とは、本人が喫煙していなくても、他人のたばこの煙を吸い込むことである。乳児は呼吸器が未発達で、体重あたりの呼吸量も多いため、たばこの煙の影響を受けやすい。
・三次喫煙とは、たばこの煙が消えた後も、衣服、髪、壁、カーテン、家具などに付着した有害物質にさらされることである。乳児は床をはい、物を口に入れ、保護者に抱っこされるため、三次喫煙の影響も受けやすい。

 

 

 

 

次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、男性、会社員)は、妻(30歳)と長女(生後7か月)の3人暮らしである。妻と長女が乳児健康相談のため保健センターに来所した。妻から「夫が毎日20本以上喫煙しています。子どもへの影響が心配です」と保健師に相談があった。

40 2週後、Aさんが妻に勧められ保健センターに来所した。Aさんは「タバコを吸うと落ち着くのでやめる気はなく、やめられるとも思えません。私は今まで病気になったことがなく、40年以上タバコを吸っている父親も健康です」と保健師に話した。
 ヘルスビリーフモデルにおける現在のAさんの状況はどれか。

1.保健行動に対する認知された障害が高い。
2.保健行動に対する認知された利益が高い。
3.疾病や健康問題に対する認知された重大性が高い。
4.疾病や健康問題に対する認知された脆弱性が高い。

解答

解説

ポイント

・Aさん(34歳、男性、会社員)
・3人暮らし:妻(30歳)と長女(生後7か月)
・妻と長女:乳児健康相談のため保健センターに来所。
・妻から「夫が毎日20本以上喫煙しています。子どもへの影響が心配です」と。

・2週後:Aさんが妻に勧められ保健センターに来所した。
・Aさん「タバコを吸うと落ち着くのでやめる気はなく、やめられるとも思えません。私は今まで病気になったことがなく、40年以上タバコを吸っている父親も健康です」と。
→ほかの選択肢の消去理由もあげられるようにしよう。

1.〇 正しい。保健行動に対する認知された障害が高い。なぜなら、Aさんは「タバコを吸うと落ち着く」「やめる気はない」「やめられるとも思えない」と話しているため。つまり、禁煙に対して心理的・行動的な困難を強く感じているため、認知された障害が高いと判断できる。
・認知された障害とは、健康行動をとるうえで本人が感じる負担、困難、不利益のことである。例えば、禁煙の場合、次のようなものがあげられる。①イライラしそう、②ストレス解消ができなくなる、③仕事中に落ち着かなくなる、④太りそうなど。

2.× 保健行動に対する認知された利益が高い「とはいえない」。なぜなら、Aさんは、禁煙によって得られる効果や価値を述べておらず、むしろ喫煙による落ち着きという利益を強調しているため。
・認知された利益とは、健康行動をとることで自分や周囲に良い結果があると感じることである。例えば、禁煙であれば、次のようなものがあげられる。①禁煙すれば子どもの受動喫煙を防げる、②自分の肺がんや心疾患のリスクを下げられる、③咳や息切れが改善する、④家族に喜ばれるなどである。

3~4.× 疾病や健康問題に対する認知された重大性/脆弱性が高い「とはいえない」。なぜなら、Aさんは「今まで病気になったことがない」「父親も健康」と話しており、喫煙による健康被害を深刻な問題として受け止めていないため。
・認知された脆弱性とは、自分が病気や健康問題になりやすいと感じることである。例えば、喫煙であれば、次のようなものがあげられる。①「自分も肺がんになるかもしれない」、②「このままだとCOPDになるかもしれない」、③「子どもが受動喫煙の影響を受けるかもしれない」などである。

 

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