第112回(R8)保健師国家試験 解説【午前6~10】

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6 A市の保健師は家庭訪問を通して、多胎児をもつ親は外出が困難なため、家族以外とのつながりが希薄で孤立化し、育児不安が高まっているという課題を把握した。この課題を解決するために、多胎児をもつ親の会で子育てが落ち着いた世代の会員が、未就学の多胎児がいる家庭を支援する新たな事業を開始することとした。
 この事業の内容で優先度が高いのはどれか。

1.買い物の代行
2.児の一時預かり
3.病院受診の送迎
4.子育てサロンへの付き添い

解答

解説

ポイント

・家庭訪問:多胎児をもつ親は外出が困難なため、家族以外とのつながりが希薄で孤立化し、育児不安が高まっているという課題を把握した。
・この課題を解決するために、多胎児をもつ親の会で子育てが落ち着いた世代の会員が、未就学の多胎児がいる家庭を支援する新たな事業を開始することとした。
→ほかの選択肢の消去理由もあげられるようにしよう。

1.× 買い物の代行より優先されるものが他にある。なぜなら、買い物の代行は、「家族以外とのつながりの希薄化や孤立化」を直接改善する支援にはなりにくいため。買い物の代行は、多胎児をもつ親の生活支援として有用ではある。

2.× 児の一時預かりより優先されるものが他にある。なぜなら、児の一時預かりは、「家族以外とのつながりの希薄化や孤立化」を直接改善する支援にはなりにくいため。児の一時預かりは、親の休息や用事の時間を確保する支援である。

3.× 病院受診の送迎より優先されるものが他にある。なぜなら、病院受診の送迎は、「家族以外とのつながりの希薄化や孤立化」を直接改善する支援にはなりにくいため。病院受診の送迎は、医療機関への移動支援である。

4.〇 正しい。子育てサロンへの付き添いが最も優先される。なぜなら、子育てサロンへの付き添いは、外出困難な親を地域の交流の場につなぎ、家族以外との関係づくりを促す支援であるため。したがって、今回の課題である孤立化と育児不安の軽減に直接つながる。

 

 

 

 

7 高血圧予防の取り組みで、食生活の改善を希望している人に対して、減塩料理教室を開催することにした。
 この教室のプロセス評価はどれか。

1.参加者の満足度
2.減塩達成者の割合
3.家族のサポートの変化
4.参加者の食生活の変化

解答

解説

ポイント

・取り組み:高血圧予防
・対象者:食生活の改善を希望している人
・方法:減塩料理教室
→ほかの選択肢の消去理由もあげられるようにしよう。

1.〇 正しい。参加者の満足度は、減塩料理教室の「プロセス評価(実施評価)」に該当する。なぜなら、参加者の満足度は、教室が参加者にとって受け入れやすく、計画どおり適切に実施されたかを評価する指標であるため。
・プロセス評価とは、事業の手順や実施過程、活動状況の妥当性を評価するものである。例えば、事業参加者の募集方法、健康診査の従事者数・受診者数、事業の実施内容等が該当する。

2.× 減塩達成者の割合は、減塩料理教室の「アウトカム評価(成果評価)」に該当する(※下参照)。

3.× 家族のサポートの変化/参加者の食生活の変化は、減塩料理教室の「影響評価」に該当する。
・影響評価とは、「実施したことで対象者にどのような変化が起きたか」を見る評価である。
例:参加者の健康意識が高まったか、運動習慣が増えたか、健診受診への意欲が上がったか。

事業評価

①ストラクチャー評価(企画評価):事業を実施するための仕組みや体制を評価するもの。
例:マンパワー、予算、会場の状況、関係機関との連携体制 等。

②プロセス評価(実施評価):事業の手順や実施過程、活動状況の妥当性を評価するもの。
例:事業参加者の募集方法、健康診査の従事者数・受診者数,事業の実施内容等。

③アウトプット評価:事業実施過程と参加状況などから直接生じた結果(数や量)を評価するもの。

④アウトカム評価(成果評価):事業の目的を達成したかどうかの最終的な成果を判断するもの。
例:参加者の6か月後のBMI値、糖尿病の治療継続者の割合、腹囲の減少率、参加者の運動回数 等。

 

 

 

 

 

8 「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」で推奨されている、市町村が行うがん検診の種類と対象年齢の組合せで正しいのはどれか。

1.胃がん検診:35歳以上
2.乳がん検診:20歳以上
3.大腸がん検診:40歳以上
4.子宮頸がん検診:18歳以上

解答

解説

がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針

(3)対象者
① 胃がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する50歳以上の者を対象とする。ただし、胃部エックス線検査については、当分の間、40歳以上の者を対象としても差し支えない。
② 子宮頸がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する20歳以上の女性を対象とする。
③ 肺がん検診及び大腸がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する40歳以上の者を対象とする。
④ 乳がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する40歳以上の女性を対象とする。
⑤ 総合がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する40歳及び50歳の者を対象とする。

(※引用:「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」厚生労働省様HPより)

1.× 胃がん検診は、「35歳以上」ではなく50歳以上を対象とする。

2.× 乳がん検診は、「20歳以上」ではなく40歳以上を対象とする。

3.〇 正しい。大腸がん検診:40歳以上
・③肺がん検診及び大腸がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する40歳以上の者を対象とする。

4.× 子宮頸がん検診は、「18歳以上」ではなく20歳以上を対象とする。

 

 

 

 

 

9 Aさん(76歳、女性、無職)は要介護1となり、1人暮らしが難しくなったため、同じ県内のB市に居住する息子家族と同居することになった。息子は勤め先のC健康保険組合の被用者であり、Aさんから保健師に「B市へ転居したら医療保険はどのようになりますか」と相談があった。
 Aさんに説明する内容で正しいのはどれか。

1.「共済保険に加入します」
2.「後期高齢者医療制度の対象のままです」
3.「C健康保険組合の被扶養者となります」
4.「B市の国民健康保険に加入となります」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(76歳、女性、無職、要介護1)
・1人暮らしが難しくなった。
・同じ県内のB市に居住する息子家族と同居する。
・息子は勤め先のC健康保険組合の被用者。
・Aさん「B市へ転居したら医療保険はどのようになりますか」と。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。

1.× 共済保険には加入しない。なぜなら、共済保険は、主に公務員等の被用者を対象とする医療保険であるため。
・共済保険とは、主に公務員や私立学校の教職員などが加入する職域保険である。共済組合が運営し、病気やけが、出産、死亡などの際に給付を行う制度である。一般企業の会社員が加入する健康保険に近い仕組みであるが、対象者が特定の職業に限られる点が特徴である。

2.〇 正しい。「後期高齢者医療制度の対象のままです」と説明する。なぜなら、75歳以上の者は、後期高齢者医療制度に加入するため。これは、同居や扶養の有無にかかわらず、息子の健康保険組合の被扶養者にはならない。
・後期高齢者医療制度とは、2008年施行の「高齢者の医療の確保に関する法律」を根拠法とする日本の医療保険制度である。①75歳以上または②65~74歳で一定の障害があると認定された人である。高齢者の医療について国民共同連帯の理念等に基づき、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行う制度を設けることにより、国民健康の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とするものである。

3.× C健康保険組合の被扶養者には加入しない。なぜなら、75歳以上の高齢者は、収入などの被扶養者基準を満たしていても、後期高齢者医療制度に加入するため。

4.× B市の国民健康保険には加入しない。なぜなら、国民健康保険は、自営業者、無職者、退職者などで、職場の健康保険などに加入していない人が対象となる医療保険であるため。しかし、75歳以上になると、原則として後期高齢者医療制度に移行する。
・国民健康保険とは、日本の国民健康保険法等を根拠とする、法定強制保険の医療保険である。病気やケガで医療機関や薬局を受診する場合に、「国民健康保険証」を窓口に提示することで医療費の一定の割合を国民健康保険が負担できる。国民健康保険の加入者は、職場の健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合)の加入者、75歳以上等で後期高齢者医療制度の加入者および生活保護を受けている人以外の方となる。

 

 

 

 

 

10 令和2年(2020年)の患者調査における精神及び行動の障害に関する動向について正しいのはどれか。

1.入院受療率は外来受療率より高い。
2.精神及び行動の障害の総患者数は500万人を超えている。
3.入院患者の半数以上が気分〈感情〉障害(躁うつ病を含む)である。
4.血管性及び詳細不明の認知症の総患者数は平成29年(2017年)調査から減少している。

解答

解説

1.× 入院受療率は外来受療率より「高い」ではなく低い。なぜなら、令和2年患者調査では、精神及び行動の障害の受療率が入院受療率188、外来受療率211であるため(※データ引用:「表5 傷病分類別にみた受療率」厚生労働省HPより)。
・受療率とは、人口10万人あたり、調査日に医療機関で受療した患者数を示す指標である。

2.〇 正しい。精神及び行動の障害の総患者数は、500万人を超えている。なぜなら、令和2年患者調査では、精神疾患を有する総患者数は約614.8万人であるため。

3.× 入院患者の半数以上が、「気分〈感情〉障害(躁うつ病を含む)」ではなく統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害である(※データ引用:「表2 傷病分類別にみた施設の種類別推計患者数 」厚生労働省HPより)。なぜなら、統合失調症では、幻覚・妄想、思考のまとまりにくさ、生活機能の低下などにより、急性期や長期療養で入院が必要となることがあるため。

4.× 血管性及び詳細不明の認知症の総患者数は、平成29年(2017年)調査から「減少」ではなく増加している。なぜなら、平成29年14.2万人→令和2年21.1万人とされているため。これは、高齢化に伴うのが要因とされている。

 

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