第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午前36~40】

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問題36 臨死期の身体的変化はどれか。

1.尿量が増加する。
2.全身の筋肉が硬直する。
3.不規則な呼吸が出現する。
4.頸動脈が触れなくなった後、橈骨動脈が触れなくなる。

解答

解説

臨死期に起こる症状

臨死期とは、臨終が差し迫った時期である。

症状として、るい痩、ADL(日常生活活動)低下、食欲低下、水分摂取量減少、尿量減少、皮膚虚血、意識レベルの低下、死前喘鳴、下顎呼吸、末梢チアノーゼ、チェーンストークス呼吸、橈骨動脈触知不可などが見られる。

1.× 尿量の「増加」ではなく、減少し色が濃くなる。なぜなら、食事・水分摂取が低下するため。循環血漿量は減少し、それに伴い尿量も低下する。
2.× 全身の筋肉が、「硬直」ではなく弛緩する。筋肉の硬直は死後に起こる現象(死後硬直)である。
3.〇 正しい。不規則な呼吸が出現することは、臨死期の身体的変化である。下顎呼吸やチェーンストークス呼吸がみられやすい。なぜなら、死亡前の兆候として呼吸が不規則になり、換気が不十分で体の中の酸素が足りなくなるため。下顎呼吸とは、呼吸中枢機能がほぼ失われた際の異常呼吸で、全身の低酸素時に起こる呼吸である。下顎は動いてはいるが、十分な肺の酸素化はできていないという特徴を持つことから、死戦期呼吸ともいわれる。臨死期になどに認められる努力様呼吸であり、胸式・腹式呼吸が困難になると出現する。ちなみに、チェーンストークス呼吸とは、数十秒間程度の無呼吸が続いた後、外呼吸を再開すると1回換気量が次第に増加し、極大に達すると今度は1回換気量が減少して、再び数十秒間の無呼吸に至るというサイクルが続く、異常な外呼吸の仕方である。ほかにも、呼吸中枢の低酸素症(脳出血、脳梗塞)、動脈血循環の不良、低酸素血症のいずれかが原因となる。
4.× 逆であることが多い。「橈骨動脈」が触れなくなった後、「頸動脈」が触れなくなる。撓骨動脈の拍動は、収縮期血圧 80mmHg以上で触れるが、それ以下に血圧が低下すると触れにくくなる。大腿動脈は70mmHgまで、頸動脈は60mmHgまで触れる。

(※図引用:「異常呼吸」日本臨床検査医学会様HPより)

 

 

 

 

 

問題37 成人女性に対するベッド上での排泄援助とその目的の組合せで適切なのはどれか。

1.窓を開ける:寒冷刺激による排尿促進
2.上半身を挙上する:腹圧のかけやすさによる排泄促進
3.外陰部にトイレットペーパーを当てる:尿臭の防止
4.便器の底にトイレットペーパーを敷く:寝具の汚染防止

解答

解説
1.× 窓を開ける目的は、「寒冷刺激による排尿促進」ではなく尿臭の防止である。排泄後の換気することで、においの軽減を図れる。
2.〇 正しい。上半身を挙上する目的は、「腹圧のかけやすさによる排泄促進」である。腹圧のかけやすい姿勢は、①前傾姿勢、②踏み台などで股関節110度以上屈曲位を保つことである。
3.× 外陰部にトイレットペーパーを当てる目的は、「尿臭の防止」ではなく尿の飛散防止である。先にトイレットペーパーを便器に落としておくことでも、同様の効果が得られる。
4.× 便器の底にトイレットペーパーを敷く目的は、「寝具の汚染防止」ではなく消音効果である。

 

 

 

 

 

問題38 成人のノンレム睡眠の特徴はどれか。

1.体温が上昇する。
2.急速な眼球運動がある。
3.加齢に伴い時間が長くなる。
4.睡眠周期の前半にみられる。

解答

解説

ノンレム睡眠とは?

ノンレム睡眠とは、脳の睡眠といわれ、①新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が増加、②エネルギー代謝の抑制、③体温の低下があげられる。

1.× 体温は、「上昇」ではなく低下する。なぜなら、新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が増加し、発汗が増えるため。
2.× 急速な眼球運動があるのは、レム睡眠である。睡眠には、①レム睡眠(脳が活発に動いている)と、②ノンレム睡眠(大脳が休息している)がある。
3.× 加齢に伴い時間が、「長く」ではなく短くなる。高齢期では、睡眠時間は短くなり、深い睡眠やレム睡眠の減少や中途覚醒の増加がみられる。これは、加齢に伴って、睡眠と関係の深い神経の働きや、ホルモンの分泌能力が衰えるためと言われている。
4.〇 正しい。睡眠周期の前半にみられることは、成人のノンレム睡眠の特徴である。睡眠は、深いノンレム睡眠から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて、徐々に浅いノンレム睡眠が増えていく。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が増加する。レム睡眠+ノンレム睡眠で約90分周期を繰り返す。

 

 

 

 

 

問題39 穿刺と穿刺部位の組合せで適切なのはどれか。

1.胸腔穿刺:胸骨柄
2.骨髄穿刺:第3・4腰椎間
3.腹腔穿刺:腹直筋外側の側腹部
4.腰椎穿刺:上前腸骨棘

解答

解説
1.× 胸腔穿刺は、「胸骨柄」ではなく患側の第2肋間鎖骨中線上である。胸腔穿刺の目的は、悪性腫瘍、肺炎、結核、心不全などさまざまな病態で胸水が貯留し、その原疾患の診断のために胸水を採取するのが目的である。
2.× 骨髄穿刺は、「第3・4腰椎間」ではなく後腸骨稜である。胸骨を穿刺する場合もある。骨髄穿刺とは、注射器で骨髄液を吸引し、とれた組織を顕微鏡で観察することで、血液を造る機能や血液疾患の原因、腫瘍細胞の有無などを評価する。 血液・リンパのがんの診断や治療法の選択、治療効果の判定に重要な検査である。
3.〇 正しい。腹腔穿刺は、「腹直筋外側の側腹部」である。詳しくは、「臍と左右上前腸骨棘とを結んだ直線上の外側1/3の部位の側腹部」である。腹腔穿刺とは、腹腔内に針を刺し、腹水を抜くことをいう。目的として、原因が特定できない腹水の診断や抗がん剤などの注入、腹水貯留による苦痛緩和などである。
4.× 腰椎穿刺は、「上前腸骨棘」ではなく第3・4腰椎間あるいは第4・5腰椎間である。腰椎穿刺とは、診断・検査のために脳脊髄液を採取するために、脊柱管に針を挿入する医療処置である。腰椎穿刺の主な理由は、脳や脊髄を含む中枢神経系の病気の診断に役立てることである。これらの状態の例には、髄膜炎およびくも膜下出血などがある。

 

 

 

 

 

問題40 毒薬の保管方法を規定している法律はどれか。

1.薬剤師法
2.毒物及び劇物取締法
3.麻薬及び向精神薬取締法
4.医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 〈医薬品医療機器等法〉

解答

解説
1.× 薬剤師法とは、薬剤師全般の職務・資格などに関して規定した日本の法律である。第一条に関しては、薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。
2.× 毒物及び劇物取締法とは、毒物および劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とする法律である。急性毒性などに着目して、毒物や劇物を指定し、製造、輸入、販売、取扱いの規制を行うことを定めている。
3.× 麻薬及び向精神薬取締法とは、麻薬と向精神薬の乱用を防止し、中毒者に必要な医療を行うなどの措置を講じ、生産や流通について必要な規制を執り行うことによって、公共の福祉の増進を図ることを目的としている日本の法律である。
4.〇 正しい。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 〈医薬品医療機器等法〉は、毒薬の保管方法を規定している法律である。医薬品医療機器等法とは、日本における医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品に関する運用などを定めた法律である。品質、有効性、安全性を確保することなどにより、保健衛生の向上を図ることを目的としている。

医薬品医療機器等法44条2項

第九章 医薬品等の取扱い
第一節 毒薬及び劇薬の取扱い
(表示)
第四十四条 毒性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品(以下「毒薬」という。)は、その直接の容器又は直接の被包に、黒地に白枠、白字をもつて、その品名及び「毒」の文字が記載されていなければならない。
2 劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品(以下「劇薬」という。)は、その直接の容器又は直接の被包に、白地に赤枠、赤字をもつて、その品名及び「劇」の文字が記載されていなければならない。

(※一部引用:「医薬品医療機器等法」e-GOV法令検索様HPより)

 

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