第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午後41~45】

 

問題41 成人への与薬方法で正しいのはどれか。

1.筋肉内注射は大殿筋に行う。
2.坐薬は肛門から1cm挿入する。
3.バッカル錠は、かんでから飲み込む。
4.点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下する。

解答

解説

経口投与薬とは?

経口投与薬は、消化管より吸収され、門脈を経て肝臓に達し、血中タンパク質との抱合などによる代謝を受けて、全身に循環する。その後、薬物およびその代謝物は、肝臓(胆汁)や腎臓(尿)より排出される。空腹時に服用する薬、食後に服用する薬、特定の他の薬と併用してはいけない薬、経口投与できない薬などに分けられる。

1.× 筋肉内注射は、「大殿筋」ではなく中殿筋に行う。他の部位としては、三角筋や大腿四頭筋などがあげられる。中殿筋が選択される理由として、中殿筋が大殿筋より厚く、重要な神経や血管がなく、便や尿などで汚染されにくいためである。また、プライバシーに配慮し、不必要な露出を避けることが大切である。ちなみに、筋肉内注射とは、血管が豊富に分布する筋肉内に注射することで、薬剤の吸収を早める目的で行われる。薬剤が容易に確実に末梢血管に吸収されるため、皮下注射の約2倍の速さで効果が現れる。
2.× 坐薬は、肛門から「1cm」ではなく指の第2関節(約4cm)挿入する。なぜなら、内括約筋部を通過し、安定した状態で坐薬を肛門内に留めることができるため。また、挿入後、1〜2分程度、ティッシュ等で肛門を押さえておくとよい。
3.× バッカル錠は、「かんでから飲み込む」のではなく唾液によってゆっくり溶かす。バッカル錠は、上唇と歯茎の間、または下唇と歯茎の間に挟んで、唾液によってゆっくり溶かすことで、口腔粘膜から吸収させる薬である。おもに、炎症を止める酵素やステロイドホルモン剤として使われている。
4.〇 正しい。点眼薬は、下眼瞼結膜の中央(結膜囊)に滴下する。結膜は、眼球と眼瞼を結びつける粘膜で、前部強膜および眼瞼の内面を覆っている。結膜全体を嚢状体とみなして結膜嚢といい、点眼液の貯留場所となり、眼の生理上重要な役割を果たしている。また、点眼後は、涙嚢部(内眼角)を圧迫する。なぜなら、涙嚢部(内眼角)を圧迫することで、薬液を鼻涙管へ流れるのを防ぐことができるため。ただし、点眼後は静かにまぶたを閉じて、まばたきをしないで約1分間目をつぶっていることも推奨されている。これは、鼻涙管を介して全身へ行き、副作用の原因となるためである。

(図引用:「~看護師イラスト集~」看護roo!様HPより)

与薬原則6つのRとは?

正しい患者 〔 Right patient 〕 同姓同名、似たような名前の患者さんと間違えないように確認します。
正しい薬物 〔 Right drug 〕 似たような名称、似たような剤形に注意します。同じ名称でも濃度のちがう薬物があります。
正しい目的 〔 Right purpose 〕 何を目的にして、薬の指示が出されているかを理解しましょう。
正しい用量 〔 Right dose 〕 指示された薬物の単位を確認しましょう(g、mg、μg、mL、mEq、U、IUなど)。同じ薬剤でも1錠、1アンプル、1バイアル当たりの薬物量が違うものもあります。
正しい方法 〔 Right route 〕 与薬方法により薬効が異なります。
正しい時間 〔 Right time 〕 指示どおりの日時・曜日かどうかを確認します。

 

 

 

 

 

問題42 成人に対する自動体外式除細動器〈AED〉の使用で正しいのはどれか。

1.胸部が濡れている場合は電極パッドを貼る前に拭き取る。
2.電極パッドは左前胸部に並べて貼る。
3.心電図の解析中にも胸骨圧迫を継続する。
4.心拍が再開されたら電極パッドを直ちにはがす。

解答

解説

自動体外式除細動器とは?

AED(自動体外式除細動器)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。

(※図引用:第110回(R3) 看護師国家試験午後24問目

1.〇 正しい。胸部が濡れている場合は、電極パッドを貼る前に拭き取る。なぜなら、皮膚が汗や水で濡れているとパットが密着しないため。胸毛が濃い場合には、電極パッドが体表に密着しないため「きちんと貼って下さい」等のエラーメッセージが流れる。この場合は電極パッドを強く押し付けて密着させるか、貼った電極パッドをはがして貼り付ける部分の体毛を除去し、予備の新しい電極パッドを貼り直す(※参考:「AED使用上の注意」小松市消防本部様HPより)。
2.× 電極パッドは、「左前胸部に並べて」ではなく、心臓を挟むように貼る。つまり、右前胸部と左側胸部に貼る。
3.× 心電図の解析中にも胸骨圧迫を継続する必要はない。なぜなら、心電図の解析中にも胸骨圧迫を行うと、異常波形の検出や誤認をする可能性が高いため。心電図の解析中は、身体に触れない。
4.× 心拍が再開されたら電極パッドを直ちにはがす必要はない。なぜなら、再び心停止が起こった場合、迅速に対応できるようにするため。装着したまま救急隊の到着を待つ。

 

 

 

 

 

問題43 経皮的動脈血酸素飽和度の測定値に影響を及ぼすのはどれか。

1.頻脈
2.高血圧
3.高体温
4.末梢循環不全

解答

解説

パルスオキシメーターとは?

パルスオキシメーターとは、皮膚を通して動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定するための装置である。赤い光の出る装置で指をはさむことで測定する。検知器を指先に装着し、非侵襲的な方法で、脈拍数と経皮的動脈血の酸素飽和度 をリアルタイムでモニターするための医療機器である。

1.× 頻脈ではなく、徐脈で影響することがある。なぜなら、末梢血流量が低下するため。
2.× 高血圧ではなく、低血圧で影響することがある。なぜなら、末梢血流量が低下、拍動の減弱するため。
3.× 高体温ではなく、低体温で影響することがある。なぜなら、末梢血流量が低下するため。
4.〇 正しい。末梢循環不全は、経皮的動脈血酸素飽和度の測定値に影響を及ぼす。なぜなら、血流が減少し、動脈拍動が減弱しているため。

パルスオキシメーターの注意点

①運動直後の数値は体動の影響がある。
②装着直後ではなく、動脈拍動を検出してから20〜30秒後の安定した値を読み取る。
③安静時の状態を測定する時は、呼吸や心拍が安静時に戻っていることを確認し測定する。
④測定部位は動かさず静止の状態で測定する。
⑤爪のマニキュアや白癬症が光の透過を妨げない。
⑥測定機器をしっかり当てる。
⑦屋外など強い光の下で測定しない。
⑧手足が血管収縮させた状態(冷たい)で測定しない。
⑨指のむくみがない状態で測定する。

(※参考:「よくわかるパルスオキシメーター」日本呼吸器学会HPより)

 

 

 

 

 

問題44 仰臥位で手術を受けた患者が術後に上肢の薬指と小指のしびれを訴えた。
 しびれの原因として考えられるのはどれか。

1.頸部の伸展
2.前腕の回内
3.肩関節の内旋
4.肘関節の伸展

解答

解説

本症例のポイント

仰臥位で手術を受けた患者:術後に上肢の薬指と小指のしびれを訴えた。
→本症例は、尺骨神経麻痺(肘部管症候群)が疑われる。肘部管症候群は、尺骨神経が肘関節背面内側にある尺側骨手根屈筋下の肘部管を通過する際に生じる絞拒性障害である。尺骨神経麻痺を来し、指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。

1.× 頸部の伸展位のみでは、神経障害が起こりやすいとはいえない。ただし、頭部後面に褥瘡が発生しやすいため注意が必要である。
2.× 前腕の回内のみでは、神経障害が起こりやすいとはいえない。ただし、肩関節内旋を伴う前腕回内ではより尺骨神経を圧迫しやすいため注意が必要である。
3.〇 正しい。肩関節の内旋は、しびれの原因として考えられる。なぜなら、肩関節の内旋により尺骨神経がより圧迫を受けるため。ちなみに、尺骨神経の走行は、上腕では内側から肘の内側を通り、前腕では尺骨に沿って走行する。
4.× 肘関節の伸展のみでは、神経障害が起こりやすいとはいえない。ただし、肘頭部に褥瘡が発生しやすいため注意が必要である。

 

 

 

 

 

問題45 Aさん(58歳)は筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉で在宅療養をしている。嚥下機能の低下が進行したため入院し、胃瘻造設が検討されているが、 経口摂取の継続を希望している。
 看護師が連携する職種で優先度が高いのはどれか。

1.言語聴覚士
2.作業療法士
3.理学療法士
4.介護支援専門員

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(58歳、筋萎縮性側索硬化症
嚥下機能の低下が進行したため入院。
・検討:胃瘻造設。
・希望:経口摂取の継続。
→本症例の入院の契機や希望から優先される職種が決められる。

1.〇 正しい。言語聴覚士は、看護師が連携する職種で優先度が高い。言語聴覚士とは、言語や聴覚、音声、呼吸、認知、発達、摂食・嚥下に関わる障害に対して、その発現メカニズムを明らかにし、検査と評価を実施し、必要に応じて訓練や指導、支援などを行う専門職である。
2.× 作業療法士とは、医師の指示のもとに手工芸・芸術・遊びやスポーツ・日常動作などを行うことにより、障害者の身体運動機能や精神心理機能の改善を目指す治療(作業療法)を行う専門職である。つまり、食事動作等、日常生活動作の回復が役割である。
3.× 理学療法士とは、医師の指示のもとに治療体操や運動・マッサージ・電気刺激・温熱などの物理的手段を用いて、運動機能の回復を目的とした治療法・物理療法(理学療法)を行う専門職である。つまり、関節可動域や筋力の向上などが役割である。
4.× 介護支援専門員とは、介護保険法等を根拠に、ケアマネジメントを実施することのできる公用資格、また有資格者のことをいう。免許という位置づけではなく、要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う。

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

 

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