第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午後96~100】

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次の文を読み94~96の問いに答えよ。
 Aさん(53歳、女性)は休日に公園を散歩中、階段から落ちて頭部を強打し、意識を消失した状態で病院に救急搬送された。病院到着時のAさんは開眼せず、声は発しているが理解不能である。痛み刺激には逃れようとする動作がみられる。

問題96 開頭手術後2日、Aさんの全身状態は良好で、硬膜外ドレーンの排液も異常所見はなく経過している。 看護師が訪室するとAさんは仰臥位で開眼し、「目が覚めたら病院にいて手術も終えていたので驚きました。今は気分もよいが、寝てばかりで背中が痛くなってきたので体勢を変えたい」と話す。
 看護師の対応で適切なのはどれか。

1.仰臥位を保持する。
2.頭側を30度挙上する。
3.頭側を60度挙上する。
4.頭側を90度挙上する。

解答

解説

本症例のポイント

・診断名:右側の急性硬膜外血腫
・緊急開頭手術後2日:全身状態は良好(硬膜外ドレーンの排液も異常所見はなし)
仰臥位で開眼し、「目が覚めたら病院にいて手術も終えていたので驚きました。今は気分もよいが、寝てばかりで背中が痛くなってきたので体勢を変えたい」と。
→開頭術後の合併症には、まず頭蓋内圧亢進症状に注意する必要がある。頭蓋内圧亢進により、①頭痛、②嘔気・嘔吐、③うっ血乳頭、④複視(外転神経麻痺)などを生じる。Cushing現象(脳ヘルニアの直前状態)で、①血圧上昇、②徐脈、③緩徐深呼吸などの症状が出現する。これらは、脳幹下部の脳圧亢進による乏血状態に対する生体の代償作用である。他にも、術後出血、脳浮腫、脳血管攣縮、感染症、深部静脈血栓症・肺血栓症などがあり、早期発見や予防を考慮した観察が重要である。

【開頭手術後に起こる合併症】
①脳損傷による神経脱落症状
②術後出血や脳還流障害による脳腫脹や頭蓋内圧損傷
③長期ベッド上安静による廃用症候群など

1.× 仰臥位を保持する優先度は低い。なぜなら、本症例の術後の経過が良好であるため。また、「体勢を変えたい」と希望もされているため。
2.〇 正しい。頭側を30度挙上する。脳浮腫による頭蓋内圧亢進で脳ヘルニアが生じると生命維持に影響があるため、頭蓋内圧が亢進しないように、20~30度ギャッチアップした状態が望ましい。
3.× 頭側を60~90度挙上する優先度は低い。なぜなら、現在は、仰臥位であり、いきなり60度以上のギャッジアップは、頭蓋内圧の変化が著しいため。めまいやふらつきなどの症状が出現する可能性が高い。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み97~99の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、男性)は1人暮らしで、妻とは5年前に死別し、子どもはいない。57歳のときに慢性閉塞性肺疾患と診断された。他に既往はない。20歳から喫煙していたが、今は禁煙している。エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、家事動作時に息苦しさが出現することもあったが、日常生活動作(ADL)は自立していた。妻が亡くなってからは食事が不規則になり、インスタント食品ばかり食べていた。入浴はせず、週に1回シャワーを浴びていた。
 1週前から日常生活動作〈ADL〉でも息苦しさが増強し、食欲がなく、ほとんど食事をしていなかったが、ジュースを500mL/日は飲んでいた。昨日の夕方に 37.8℃の発熱があったため、本日かかりつけの病院を受診した。
 【受診時の身体所見】体温 37.6℃、呼吸数 24/分、脈拍94/分、整、血圧138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 82%(room air)。
 【動脈血液ガス分析(room air)】 動脈血酸素分圧〈PaO2〉45Torr、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉58Torr。検査所見赤血球 420万/μL、Hb 10.3g/dL、白血球 9,500/μL、総蛋白 5.8g/dL、アルブミン 3.4g/dL、空腹時血糖 98 mg/dL、CRP 10.1mg/dL。
 医師の診察の結果、Aさんは慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪と診断された。

問題97 このときのAさんの状態はどれか。

1.うつ熱
2.高血圧
3.呼気の延長
4.皮膚の掻痒感

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(75歳、男性、1人暮らし、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪
・57歳:慢性閉塞性肺疾患(他に既往なし)
・1週前:ADLで息苦しさが増強、食欲がなく、ジュースを500mL/日程度の食事。
 【受診時の身体所見】体温 37.6℃、呼吸数 24/分、脈拍94/分、整、血圧138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 82% 。
 【動脈血液ガス分析 】 PaO2:45Torr、PaCO258Torr。検査所見赤血球 420万/μL、Hb 10.3g/dL、白血球 9,500/μL、総蛋白 5.8g/dL、アルブミン 3.4g/dL、空腹時血糖 98 mg/dL、CRP 10.1 mg/dL。
→慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%が慢性閉塞性肺疾患を発症する。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

1.× うつ熱とは、暑い環境にいたり、体の放熱機能が低下していたりすることによって引き起こされる熱中症状のことである。夏場は外の気温が体温よりも高いため、体の表面から空気中に熱を逃がすことができず、体内に熱がこもってしまう。また、日本の夏は湿度も高いことから、汗が流れやすくなる。
2.× 高血圧の基準として、収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合である。本症例の場合、血圧138/88mmHgであるため該当しない。
3.〇 正しい。呼気の延長が、Aさんの状態である。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患の症状の一つに、1秒率が低下するため。1秒率とは、息を努力して吐き出したときに呼出される空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量の割合である。口すぼめ呼吸を行いリハビリすることが多い。口すぼめ呼吸とは、呼気時に口をすぼめて抵抗を与えることにより気道内圧を高め、これにより末梢気管支の閉塞を防いで肺胞中の空気を出しやすくする方法である。鼻から息を吸い、呼気は吸気時の2倍以上の時間をかけて口をすぼめてゆっくりと息を吐く。
4.× 皮膚の掻痒感は断定できない。なぜなら、設問文に皮膚の状態についての記載は見られないため。

 

 

 

 

 

次の文を読み97~99の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、男性)は1人暮らしで、妻とは5年前に死別し、子どもはいない。57歳のときに慢性閉塞性肺疾患と診断された。他に既往はない。20歳から喫煙していたが、今は禁煙している。エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、家事動作時に息苦しさが出現することもあったが、日常生活動作(ADL)は自立していた。妻が亡くなってからは食事が不規則になり、インスタント食品ばかり食べていた。入浴はせず、週に1回シャワーを浴びていた。
 1週前から日常生活動作〈ADL〉でも息苦しさが増強し、食欲がなく、ほとんど食事をしていなかったが、ジュースを500mL/日は飲んでいた。昨日の夕方に 37.8℃の発熱があったため、本日かかりつけの病院を受診した。
 【受診時の身体所見】体温 37.6℃、呼吸数 24/分、脈拍94/分、整、血圧138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 82%(room air)。
 【動脈血液ガス分析(room air)】 動脈血酸素分圧〈PaO2〉45Torr、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉58Torr。検査所見赤血球 420万/μL、Hb 10.3g/dL、白血球 9,500/μL、総蛋白 5.8g/dL、アルブミン 3.4g/dL、空腹時血糖 98 mg/dL、CRP 10.1mg/dL。
 医師の診察の結果、Aさんは慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪と診断された。

問題98 Aさんは入院し、抗菌薬の点滴静脈内注射と酸素投与が開始された。病棟内の歩行の許可が出て、食事も全粥食を半分程度は食べることができた。
 Aさんに起こりうる症状で最も注意が必要なのはどれか。

1.貧血
2.便秘
3.高血糖
4.CO2ナルコーシス

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(75歳、男性、1人暮らし、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪)
・57歳:慢性閉塞性肺疾患(他に既往なし)
・1週前:ADLで息苦しさが増強、食欲がなく、ジュースを500mL/日程度の食事
・昨日の夕方:37.8℃の発熱、本日:病院受診。
 【受診時の身体所見】体温 37.6℃、呼吸数 24/分、脈拍94/分、整、血圧138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 82% 。
 【動脈血液ガス分析 】 PaO2:45Torr、PaCO2:58Torr。検査所見赤血球 420万/μL、Hb 10.3g/dL、白血球 9,500/μL、総蛋白 5.8g/dL、アルブミン 3.4g/dL、空腹時血糖 98 mg/dL、CRP 10.1 mg/dL。
・抗菌薬の点滴静脈内注射と酸素投与が開始。
・病棟内歩行可能、食事:全粥食を半分程度は食べる。
→慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%が慢性閉塞性肺疾患を発症する。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

1.× 貧血より注意すべきものが他にある。なぜなら、本症例はHb 10.3g/dLであるため。へモグロビン(Hb)の基準値は、男性14~18g/dl、女性12~16g/dlである。貧血ではあるが、男女とも10g/dl以下になると、「中等症から重症の貧血」で、貧血になると全身の細胞に酸素が行き渡りにくくなり、頭痛やだるさ、肩コリなどの症状を引き起こす。
2.× 便秘より注意すべきものが他にある。なぜなら、設問文には便秘に関する記載がみられないため。本症例の入院前の食事に関しては、食欲がなく、ジュースを500mL/日程度であった。また、入院後の食事は、全粥食を半分程度であるため、便秘が最重要されるとは考えにくい。
3.× 高血糖より注意すべきものが他にある。なぜなら、本症例の空腹時血糖 98 mg/dLであるため。高血糖症状は、著しい口渇、多飲、多尿、全身倦怠感などがある。これは、高血糖状態が続くと血漿浸透圧が上昇し、利尿が進むことで水・電解質の喪失が起こり、脱水状態に来す。高血糖の他にも、肝機能障害などの合併症、血流感染や静脈炎などのリスクがある。
4.〇 正しい。CO2ナルコーシスが最も注意が必要である。なぜなら、 本症例は、PaO2:45Torr、PaCO2:58Torr(基準値:35~45Torr)であるため。CO2ナルコーシスとは、呼吸の自動調節機構に異常が生じ、肺胞の換気が不十分となった場合に二酸化炭素(CO2)が体内に蓄積され、意識障害などの中枢神経症状が現れる病態である。慢性閉塞性肺疾患の患者は、慢性的に血中CO2濃度が上昇しており、体内のCO2濃度を感知する中枢化学受容体での感受性が鈍くなっている。したがって、普段の呼吸運動は低酸素を感知している酸素の受容体(末梢化学受容体)からの刺激によって起こっている。しかし、高濃度の酸素を投与されると酸素の受容体は体内に酸素が十分にあると判断し、呼吸中枢を抑制して呼吸運動が減弱する。その結果、体内に高度のCO2蓄積が起こり、意識障害などの中枢神経症状が起こる。

糖尿病の診断基準

・HbA1c:6.5%以上
・随時血糖値:200mg/dL以上
・空腹時血糖値:126mg/dL以上
・75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間後血糖値:200mg/dL以上

呼吸不全とは?

【呼吸不全の定義】PaO2≦60Torrである。

ここから、Ⅰ型呼吸不全かⅡ型呼吸不全か決定する。
【Ⅰ型呼吸不全の場合】PaCO2≦45Torr

【Ⅱ型呼吸不全の場合】PaCO2>45Torr

酸塩基平衡とは?

【酸塩基平衡】
血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。

 

 

 

 

 

次の文を読み97~99の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、男性)は1人暮らしで、妻とは5年前に死別し、子どもはいない。57歳のときに慢性閉塞性肺疾患と診断された。他に既往はない。20歳から喫煙していたが、今は禁煙している。エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、家事動作時に息苦しさが出現することもあったが、日常生活動作(ADL)は自立していた。妻が亡くなってからは食事が不規則になり、インスタント食品ばかり食べていた。入浴はせず、週に1回シャワーを浴びていた。
 1週前から日常生活動作〈ADL〉でも息苦しさが増強し、食欲がなく、ほとんど食事をしていなかったが、ジュースを500mL/日は飲んでいた。昨日の夕方に 37.8℃の発熱があったため、本日かかりつけの病院を受診した。
 【受診時の身体所見】体温 37.6℃、呼吸数 24/分、脈拍94/分、整、血圧138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 82%(room air)。
 【動脈血液ガス分析(room air)】 動脈血酸素分圧〈PaO2〉45Torr、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉58Torr。検査所見赤血球 420万/μL、Hb 10.3g/dL、白血球 9,500/μL、総蛋白 5.8g/dL、アルブミン 3.4g/dL、空腹時血糖 98 mg/dL、CRP 10.1mg/dL。
 医師の診察の結果、Aさんは慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪と診断された。

問題99 Aさんは順調に回復したため、退院が決まった。退院後の慢性閉塞性肺疾患 〈COPD〉の治療は、在宅酸素療法 〈HOT〉は導入せずに薬物療法を継続することになった。Aさんは、看護師に「退院後も自宅で生活したい」と話している。近隣に家事を手伝ってくれる親戚や友人はいない。
 Aさんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。 2つ選べ。

1.肺炎球菌ワクチンの接種を勧める。
2.水分を制限するよう指導する。
3.糖分を制限するよう指導する。
4.配食サービスの利用を勧める。
5.毎日の散歩を勧める。

解答1・4

解説

本症例のポイント

・Aさん(75歳、男性、1人暮らし)
・5年前:妻と死別、子どもいない。
・57歳:慢性閉塞性肺疾患(他に既往なし)
・エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、家事動作時に息苦しさが出現する。
・妻が死去後:食事が不規則インスタント食品ばかり
・入浴はせず、週に1回シャワーを浴びていた。
 【動脈血液ガス分析 】 PaO2:45Torr、PaCO2:58Torr。検査所見赤血球 420万/μL、Hb 10.3g/dL、白血球 9,500/μL、総蛋白 5.8g/dL、アルブミン 3.4g/dL、空腹時血糖 98 mg/dL、CRP 10.1 mg/dL。
・順調に回復したため退院決定。
・退院後の治療:在宅酸素療法 〈HOT〉は導入せずに薬物療法を継続予定。
・看護師に「退院後も自宅で生活したい」と。
近隣に家事を手伝ってくれる親戚や友人はいない
→なるべく「退院後も自宅で生活したい」という本人の希望を実現できるように看護師としての指導が必要となる。

1.〇 正しい。肺炎球菌ワクチンの接種を勧める。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患は、感染症が重症化しやすく、かつ慢性閉塞性肺疾患の増悪原因となるため。ワクチン接種が重要で、増悪を防ぐためのワクチンには、①インフルエンザワクチンと②肺炎球菌ワクチンの2種類がある。特に、インフルエンザワクチンは重篤な増悪を減少させ、死亡率も約50%減少させると報告されている。
2.× 水分を制限するよう指導する必要はない。なぜなら、水分制限を行うと、脱水や血栓症の危険性が増加するためである。
3.× 糖分を制限するよう指導する必要はない。なぜなら、糖尿病の診断や疑いは見られないため。糖尿病の診断基準として、空腹時血糖値126mg/dL以上であるが、本症例は98mg/dLである。
4.〇 正しい。配食サービスの利用を勧める。なぜなら、入院前から、食事が不規則インスタント食品ばかりであったため。また、家事動作時に息苦しさが出現し、近隣に家事を手伝ってくれる親戚や友人はいないため、配食サービスの利用が望ましい。
5.× 毎日の散歩を勧める必要はない。なぜなら、本症例は、エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、毎日階段昇降の実施は負担が大きすぎると考えられるため。

慢性閉塞性肺疾患とは?

慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%が慢性閉塞性肺疾患を発症する。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

 

 

 

 

 

次の文を読み100~102の問いに答えよ。
 A君 (5歳)は父親 (40歳) 母親 (38歳) と兄 (10歳)の4人家族である。A君は生後6か月のときに白血病と診断され化学療法で寛解し、退院後は幼稚園に登園していた。4歳になって再発し、兄を骨髄ドナーとした造血幹細胞移植を受けた。

問題100 A君が利用できる制度はどれか。

1.自立支援医療
2.指定難病の医療費助成
3.未熟児養育医療の給付
4.小児慢性特定疾病医療費助成

解答

解説

本症例のポイント

・A君 (5歳、生後6か月:白血病
・4人家族:父親 (40歳)、 母親 (38歳) 、兄 (10歳)
・化学療法で寛解し、退院後は幼稚園に登園。
・4歳になって再発。
・兄を骨髄ドナーとした造血幹細胞移植を受けた。
→急性白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。

→造血幹細胞移植とは、健康な骨髄に置き換えることにより造血機能を回復させる治療であり、移植前処置として大量の化学療法や放射線照射など、自分自身の骨髄の造血幹細胞をすべて破壊する治療を受ける必要がある。患者に残存している白血病などの腫瘍細胞を減少させるほか、患者の免疫を十分に抑制して移植細胞を拒絶しないようにする目的で行われる。

1.× 自立支援医療の利用は難しい。自立支援医療とは、『障害者総合支援法』に定められている。更生医療(自立支援医療)・育成医療(軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される、生活の能力を得るために必要な自立支援医療費の支給を行うもの)・精神通院医療(精神疾患の治療に掛かる医療費を軽減する公的な制度)がある。
2.× 指定難病の医療費助成の利用は難しい。なぜなら、白血病は指定難病に含まれていないため。指定難病の医療費助成とは、難病法に基づき、患者さんの医療費負担の軽減を目的として、 その治療にかかわる医療費の一部を助成する制度である。指定難病とは、「難病のうち患者の置かれている状況からみて、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、①患者数が一定の人数に達しない、②客観的な診断基準が確立しているという2つの要件を満たす疾病」である。つまり、「難病法に定められた難病のうち、医療費助成の対象となる難病」のことを指定難病という。
3.× 未熟児養育医療の給付の利用は難しい。なぜなら、本症例はすでに5歳であるため。未熟児養育医療は、出生時体重が2.000g以下、生活力が特に薄弱であるなどで入院が必要な乳児を対象に、入院医療費の一部を助成する制度である。
4.〇 正しい。小児慢性特定疾病医療費助成は、A君が利用できる制度である。小児慢性特定疾病医療費支給制度とは、児童福祉法第19条の2に基づき、児童等の慢性疾病のうち国が指定した小児慢性特定疾病の医療にかかる費用の一部を市が負担することにより、小児慢性特定疾病児童等の家庭の負担軽減を図る制度である。

(※図引用:「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」難病情報センター様HPより)

 

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