第113回(R6) 看護師国家試験 解説【午前21~25】

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21 無菌操作が必要なのはどれか。

 1.浣腸
 2.気管内吸引
 3.口腔内吸引
 4.経鼻胃管挿入

解答

解説
 1.3~4.× 浣腸/口腔内吸引/経鼻胃管挿入は、無菌操作が不要である。なぜなら、鼻腔や咽頭、食道、肛門部は無菌状態ではないため。ただし、患者に傷をつけてそこから感染してしまわないように丁寧な処置が必要である。また、処置する側が感染しないように予防する必要がある。
 2.〇 正しい。気管内吸引は、無菌操作が必要である。なぜなら、細菌が気管内に入ると、気管支炎や肺炎を併発するため。

 

 

 

 

 

22 成人への坐薬の挿入方法で正しいのはどれか。

 1.息を止めるよう説明する。
 2.右側臥位になるよう説明する。
 3.挿入後1、2分肛門を押さえる。
 4.肛門から2cmの位置に挿入する。

解答

解説
 1.× 「息を止める」のではなく口呼吸を促すよう説明する。なぜなら、息を止めると腹圧がかかり、坐薬が挿入しにくくなるため。
 2.× 「右側臥位」ではなく左側臥位になるよう説明する。なぜなら、解剖学的に下行結腸以下のS状結腸および直腸の走行は、左上より右下方へ走っているため。
 3.〇 正しい。挿入後1、2分肛門を押さえる。なぜなら、坐薬が排出されないようにするため。
 4.× 肛門から「2cm」ではなく3~5cmの位置に挿入する。なぜなら、肛門括約筋より深くに挿入する必要があるため。

 

 

 

 

 

23 トリアージタッグを下に示す。
 待機的治療群となるトリアージタッグはどれか。(※不適切問題:採点対象外)

 1.①
 2.②
 3.③
 4.④

解答(採点対象外)
理由:問題としては適切であるが、必須問題として妥当ではないため。

解説

(※引用:医師会の災害時医療救護体制「トリアージの区分」)

トリアージとは

トリアージとは、災害時などの制約があるなかで、治療・搬送の優先順位を決めることである。災害時においては医療スタッフや医薬品などの医療資源が限られるため、より効果的に傷病者の治療を行うために、治療や搬送の優先順位を決定するものである。

 1.× ①(黒)は、第4順位:不処置群にあたる。
 2.× ②(赤)は、第1順位:最優先治療群にあたる。
 3.〇 正しい。③(黄)は、待機的治療群(第2順位:非緊急治療群)となるトリアージタッグである。
 4.× ④(緑)は、第3順位:軽処置群にあたる。

 

 

 

 

 

24 直流除細動器の使用目的はどれか。

 1.血圧の上昇
 2.呼吸の促進
 3.体温の上昇
 4.洞調律の回復

解答

解説
 1~2.4.× 血圧の上昇/呼吸の促進/体温の上昇は、いずれも直流除細動器の使用目的に該当しない。
 4.〇 正しい。洞調律の回復は、直流除細動器の使用目的である。直流除細動器とは、不整脈の治療に使われる医療機器である。心房細動・心室細動・心室頻拍などの致死的な不整脈に対して使用される。心臓に直流電流刺激を与えて電気ショックによって心臓の異常興奮を抑制するためのものである。除細動器とAED(自動体外式除細動器)の違いは、除細動は心臓がけいれん(細動)した状態を「取り除く」ことを指すが、AED(自動体外式除細動器)は心臓に電気ショックを与えることで除細動を行う。

自動体外式除細動器とは?

AED(自動体外式除細動器)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。

 

 

 

 

 

25 代謝性アシドーシスによって起こる呼吸はどれか。(※不適切問題:採点対象外)

 1.奇異呼吸
 2.口すぼめ呼吸
 3.Biot〈ビオー〉呼吸
 4.Kussmaul〈クスマウル〉呼吸
 5.Cheyne-Stokes〈チェーン–ストークス〉呼吸

解答(採点対象外)
理由:問題としては適切であるが、必須問題として妥当ではないため。

解説

代謝性アシドーシスとは?

代謝性アシドーシスとは、腎機能低下や下痢、糖尿病、飢餓などによる脂質分解の亢進でHCO₃⁻(重炭酸イオン)が低下している状態である。重炭酸イオンを含んだ膵液や胆汁の喪失、腎臓での再吸収障害、体内の酸性物質が過剰になり、その中和のための消費増大によって起こる。代償として、CO₂を排出する呼吸代償(呼吸性アルカローシス)が起こる。

糖尿病性ケトアシドーシスは、糖尿病患者において起こる代謝異常の症状の総称である。これは、インスリンの欠乏や抵抗により、身体は脂質を燃焼してエネルギーを生み出す代わりに、脂肪酸を代謝産物のケトン体に変えるようになる。これによって、血中に過剰なケトン体が溜まり、酸性バランスが崩れる。糖尿病性ケトアシドーシスは、糖尿病が長期にわたって不適切に管理される場合によく見られ、重篤な代謝異常を引き起こす。症状には、嘔吐、下痢、渇き、呼吸困難、疲労、(特に小児で)腹痛がみられる。また、インスリン不足による脂質分解が亢進しており、ケトアシドーシスとなっていることが考えられ、意識障害を起こす可能性が高い。

 1.× 奇異呼吸とは、胸郭運動が一部において連動していない様子。一側性の気道閉塞や気胸などが要因となる。
 2.× 口すぼめ呼吸とは、呼気時に口をすぼめて抵抗を与えることにより気道内圧を高め、これにより末梢気管支の閉塞を防いで肺胞中の空気を出しやすくする方法である。鼻から息を吸い、呼気は吸気時の2倍以上の時間をかけて口をすぼめてゆっくりと息を吐く。
 3.× Biot〈ビオー〉呼吸とは、不規則に早く深い呼吸が突然中断され、無呼吸となり、また早く深い呼吸に戻る呼吸である。原因疾患は、①呼吸中枢の障害、②髄膜炎の末期に起こる。
 4.〇 正しい。Kussmaul〈クスマウル〉呼吸は、代謝性アシドーシスによって起こる呼吸である。Kussmaul(クスマウル)呼吸の原因疾患は、①糖尿病性ケトアシドーシス、②尿毒症、③重症下痢(特に小児)などに起こる。規則正しく、深く大きな呼吸である。ちなみに、頭蓋内圧亢進時の異常呼吸は、チェーン・ストークス呼吸である。
 5.× Cheyne-Stokes〈チェーン–ストークス〉呼吸とは、呼吸と無呼吸を周期的に繰り返す呼吸である。原因疾患は、①呼吸中枢の障害(脳卒中など)、②重症心不全、③高齢者(睡眠時)、④Pickwick症候群など起こる。

(※図引用:「異常呼吸」日本臨床検査医学会様HPより)

 

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