第113回(R6) 看護師国家試験 解説【午前16~20】

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16 抗菌薬について正しいのはどれか。

 1.ウイルスに有効である。
 2.経口投与では効果がない。
 3.耐性菌の出現が問題である。
 4.正常の細菌叢には影響を与えない。

解答

解説

抗菌薬とは?

抗菌薬とは、細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬のことである。細菌による感染症の治療に使用される医薬品である。

 1.× 「ウイルス」ではなく細菌に有効である。
 2.× 経口投与では効果が「ある」。なぜなら、抗菌薬の投与方法は、経口投与・静脈内投与・筋肉内投与などあげられるため (※参考:「抗菌薬の適正使用」)。
 3.〇 正しい。耐性菌の出現が問題である。耐性菌とは、薬への耐性を持った細菌のことで、抗生物質を使い続けていると、細菌の薬に対する抵抗力が高くなり、薬が効かなくなることがある。薬剤耐性は、耐性を持たない別の細菌に伝達され、その細菌も薬剤耐性化になり、次々に連鎖していくことがある。
 4.× 正常の細菌叢には影響を「与える」。抗菌薬の副作用として、下痢があげられる。これは、病原体だけではなく、腸内の環境を保っている細菌も抗菌薬が攻撃してしまうためである。ちなみに、細菌叢とは、多種多様な細菌が集まって存在するときの細菌集団全体の呼称である(※読み:さいきんそう)

ウイルスとは?

ウイルスは、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。ウイルスは、①DNAウイルスと②RNAウイルスに分けられる。①DNAウイルスは、細胞のDNA合成に関わる酵素を利用しゲノムを複製する。①RNAウイルスは、ウイルスRNAを鋳型として細胞質で作られ、且つ、機能する。従って、RNAウイルスは原則として細胞質で増殖する。ちなみに、DNAウイルスにはアデノやヘルペスなどが分類される。

 

 

 

 

 

17 インドメタシン内服薬の禁忌はどれか。

 1.痛風
 2.咽頭炎
 3.消化性潰瘍
 4.関節リウマチ

解答

解説

インドメタシンとは?

インドメタシンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類される。非ステロイド性抗炎症薬とは、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
消化性潰瘍のある患者[消化器への直接刺激作用及びプロスタグランジン合成阻害作用により、胃粘膜防御能が低下するため、消化性潰瘍が悪化するおそれがある。]
②重篤な血液の異常のある患者[血液の異常が悪化するおそれがある。]
③重篤な肝障害のある患者[肝障害が悪化するおそれがある。]
④重篤な腎障害のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、腎障害が悪化するおそれがある。]
⑤重篤な心機能不全のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、水、ナトリウムの貯留が起こるため、心機能不全が悪化するおそれがある。]
⑥重篤な高血圧症の患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、水、ナトリウムの貯留が起こるため、血圧が上昇するおそれがある。]
⑦重篤な膵炎の患者[症状が悪化するおそれがある。](※引用:「医療用医薬品 : インドメタシン」ニプロ株式会社様HPより)

 1.× 痛風は、インドメタシン内服薬を使用できる。痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足跳関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
 2.× 咽頭炎は、インドメタシン内服薬を使用できる。咽頭とは、扁桃腺とその周りを指し、一般にノドと言われる部分である。空気と食べ物の通り道である。
 3.〇 正しい。消化性潰瘍は、インドメタシン内服薬の禁忌である。なぜなら、消化器への直接刺激作用及びプロスタグランジン合成阻害作用により、胃粘膜防御能が低下するため。消化性潰瘍が悪化するおそれがある。
 4.× 関節リウマチは、インドメタシン内服薬を使用できる。主に沈痛目的で使用されることが多い。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

18 異常な呼吸音のうち低調性連続性副雑音はどれか。

 1.笛のような音〈笛音〉
 2.いびきのような音〈類鼾音〉
 3.耳元で髪をねじるような音〈捻髪音〉
 4.ストローで水中に空気を吹き込むような音〈水泡音〉

解答

解説

肺音とは?

肺音は、呼吸に伴う気道中の空気の流れに生じる生理的な音である呼吸音と、正常な状態では通常聴取されない呼吸音以外の肺音である副雑音に分けられる。

 1.× 笛のような音〈笛音〉は、高調性連続性副雑音である。気道狭窄が原因であることが多い。ちなみに、連続性副雑音とは、同じような音が連続して続く音(ヒューヒュー)である。聴取される代表的な疾患は、細い気管支の狭窄(喘息など)である。
 2.〇 正しい。いびきのような音〈類鼾音:るいかんおん〉は、異常な呼吸音のうち低調性連続性副雑音である。連続性副雑音とは、鼾(いびき)のようなグーという低い音(類鼾音)である。呼吸時に喉の動きによって発生し、低い音は太い中枢の気管支の狭窄によって起こる。
 3.× 耳元で髪をねじるような音〈捻髪音:ねんぱつおん〉は、細かい断続性副雑音である。細かい断続性副雑音とは、硬くなった気道が、吸気時に急に開くときの、「パチパチ」という音である。聴取される代表的な疾患は間質性肺炎である。
 4.× ストローで水中に空気を吹き込むような音〈水泡音〉は、粗い断続性副雑音である。粗い断続性副雑音とは、気道内に溜まった分泌物が呼吸にともなう空気の移動で震えて破裂することで生じる音である。聴取される代表的な疾患は肺水腫や細菌性肺炎である。

 

 

 

 

 

19 膝蓋腱反射の低下で疑われる病態はどれか。

 1.脚気
 2.壊血病
 3.くる病
 4.夜盲症

解答

解説

膝蓋腱反射とは?

膝蓋腱反射は、単シナプス反射で大腿四頭筋の筋紡錘による伸張反射である。膝蓋腱反射の【中枢】L2~L4(大腿神経)、【検査法】背臥位検査:患者を背臥位にし両膝を軽く屈曲し立てる。検者は前腕をその膝の下に入れて下肢を支える。または、一側の下肢を膝立て位にして、その膝の上に他側の膝を乗せる。膝蓋腱部を触知してその腱部を叩打する。【判定】膝関節の伸展が起これば反射出現(+)

 1.〇 正しい。脚気は、膝蓋腱反射の低下で疑われる病態である。なぜなら、脚気の症状として末梢神経障害がみられるため。ちなみに、脚気とは、炭水化物の代謝に関わる大切な栄養素(ビタミンB1)が不足するし、末梢神経障害や心不全、全身の倦怠感、食欲不振、手足のしびれ・むくみなどの症状が出る病気である。
 2.× 壊血病とは、ビタミンC欠乏が原因で起こる結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる病気である。
 3.× くる病とは、小児期に見られる骨の石灰化不全であり、主に成長障害と骨の弯曲が起こる疾患である。ビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気である。 成人期ではビタミンD依存性骨軟化症と呼ばれる。小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病とも呼ばれる。
 4.× 夜盲症とは、ビタミンA欠乏が原因で起こる暗いところではたらく網膜の細胞に異常があり暗順応が障害されて、暗いところや夜に見えにくくなる病気である。

 

 

 

 

 

20 医療法施行規則に定められている病院の一般病床における患者1人に必要な病室床面積はどれか。

 1.3.4m2以上
 2.4.4m2以上
 3.5.4m2以上
 4.6.4m2以上

解答

解説
 1~3.× 3.4m2以上/4.4m2以上/5.4m2以上に関する医療法施行規則はない。
 4.〇 正しい。6.4m2以上は、医療法施行規則に定められている病院の一般病床における患者1人に必要な病室床面積である。ほかの条件として、「病室の床面積は、内法による測定で、患者一人を入院させるものにあつては6.3m2以上、患者二人以上を入院させるものにあつては患者一人につき4.3m2以上とすること。小児だけを入院させる病室の床面積は、前号に規定する病室の床面積の三分の二以上とすることができること。ただし、診療の用の病室の床面積は、6.3m2以下であつてはならない」と記載されている(※引用:「医療法施行規則16条」e-GOV法令検索様HPより)

 

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