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31 重症筋無力症に合併する頻度が最も高いのはどれか。
1.胸腺腫
2.中胸膜皮腫
3.甲状腺腫瘍
4.悪性リンパ腫
解答1
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。胸腺腫は、重症筋無力症に合併する頻度が最も高い。重症筋無力症患者の約10〜15%に胸腺腫が合併し、胸腺腫患者の約30〜50%に重症筋無力症が合併する報告がある。
・胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。
・胸腺腫とは、胸腺の上皮から発生する腫瘍で、30歳以上に発生することが多く、男女同程度の発症頻度である。人口10万人あたり0.5%前後の発症頻度と、比較的稀な疾患である。
2.× 中胸膜皮腫(または中皮腫)は、胸膜や腹膜などに発生する悪性腫瘍で、アスベストの吸入との関連が強く指摘されている。
3.× 甲状腺腫瘍は、他の自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病や橋本病)との合併は比較的多く見られる。
4.× 悪性リンパ腫は、リンパ球が癌化したものである。
リンパ系腫瘍は、造血器腫瘍の中でリンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞)に生じた遺伝子異常によって腫瘍性増殖を来し、白血病や悪性リンパ腫などの病態をとる。リンパ系腫瘍のうち、増殖した腫瘍細胞が末梢血や骨髄中で認められるものをリンパ性白血病といい、腫瘍細胞がリンパ節内やリンパ節外の臓器で腫瘤を形成するものを悪性リンパ腫という。悪性リンパ腫は、リンパ節組織由来の原発性悪性腫瘍であり、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される。成人に好発し、わが国では非ホジキンリンパ腫が90%以上を占めている。リンパ腫のほとんどがリンパ節の腫脹で発症し、全身症状として体重減少、寝汗、発熱を認める場合もある。リンパ節腫大に伴い、顔や四肢など病変の末端側に浮腫を生じることもある。
32 令和2年(2020年)の患者調査における入院医療で正しいのはどれか。
1.都道府県別の受療率の差はない。
2.推計患者数が最も多いのは循環器系疾患である。
3.年齢階級別の受療率が最も高いのは80歳代である。
4.平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害である。
解答4
解説
1.× 都道府県別の受療率の差は、「みられる」。受療率を都道府県(患者住所地)別にみると、入院では、最高は高知(2,233)となっており、最低は千葉(742)となっている。外来では、最高は佐賀(6,361)となっており、最低は沖縄(3,267)となっている。
2.× 推計患者数が最も多いのは、「循環器系疾患」ではなく「精神及び行動の障害」である。外来の場合は、循環器系の疾患が最も多い(※データ引用:「令和2年(2020)患者調査の概況」厚生労働省様HPより)。
3.× 年齢階級別の受療率が最も高いのは、「80歳代」ではなく90歳代である。入院は、高齢になるほど受療率は高くなる傾向にある。外来の場合は、80歳代が最も高い(※データ引用:「令和2年(2020)患者調査の概況」厚生労働省様HPより)。。
4.〇 正しい。平均在院日数が最も長いのは、精神及び行動の障害である。なぜなら、精神及び行動の障害(特に統合失調症など)は、症状の安定や社会復帰支援に長期間を要することが多いため。患者調査では、「精神及び行動の障害」の平均在院日数が、約290日と報告されており、これは他の傷病分類(例えば循環器系の疾患は、約40日、神経系の疾患は約80日など)と比べて非常に長くなっている(※データ引用:「令和2年(2020)患者調査の概況」厚生労働省様HPより)。。
33 令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査で正しいのはどれか。
1.20歳以上女性の喫煙率は7.6%
2.20歳代女性のやせの割合は10.5%
3.20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は6.5g/日
4.20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は400g/日
解答1
解説
(※引用:「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省様HPより)
1.〇 正しい。20歳以上女性の喫煙率は7.6%である。ちなみに、20歳以上男性の喫煙率は27.1%である(※引用:「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省様HPより)。
2.× 20歳代女性のやせの割合は、「10.5%」ではなく20.7%である。「肥満者(BMI≧25kg/m2)の割合は男性33.0%、女性22.3%であり、この10年間でみると、女性では有意な増減はみられないが、男性では平成25年から令和元年の間に有意に増加している。やせの者(BMI<18.5kg/m2)の割合は男性3.9%、女性11.5%であり、この10年間でみると、男女とも有意な増減はみられない。また、20歳代女性のやせの者の割合は20.7%である。65歳以上の高齢者の低栄養傾向の者(BMI≦20kg/m2)の割合は男性12.4%、女性20.7%であり、この10年間でみると男女とも有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、男女とも85歳以上でその割合が高い」(※引用:「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省様HPより)。
3.× 20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は、「6.5g/日」ではなく9.3g/日である。「食塩摂取量の平均値は10.1gであり、男性10.9g、女性9.3gである。この10年間でみると、男性では有意に減少、女性では平成21~27年は有意に減少、平成27~令和元年は有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、男女とも60歳代で最も高い」(※引用:「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省様HPより)。
4.× 20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は、「400g/日」ではなく273.6g/日である。「野菜摂取量の平均値は280.5gであり、男性288.3g、女性273.6gである。この10年間でみると、いずれも有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、男女ともに20~40歳代で少なく、60歳以上で多い」(※引用:「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省様HPより)。
34 患者の個別性を理解するために必要な概念はどれか。
1.ダイバーシティ
2.パターナリズム
3.プライマリヘルスケア
4.ソーシャルインクルージョン
解答1
解説
1.〇 正しい。ダイバーシティは、患者の個別性を理解するために必要な概念である。ダイバーシティとは、多様性ともいい、人種、性別、年齢、性的指向、国籍、宗教、文化、価値観、身体能力、社会経済的背景など、人間が持つあらゆる違いや多様性を尊重し、受け入れる考え方である。患者はそれぞれ異なる背景や価値観、生活習慣、疾病への受け止め方を持っているため、これらを理解し、個別に対応することで、より質の高い、その人に合った医療やケアを提供できる。
2.× パターナリズムとは、父権主義ともいい、弱い立場の者の意思・判断に関係なく強い立場の者が介入・干渉し、それに従うべきだとする考えのことである。医療において、患者の意思にかかわらず、医師などの専門家に任せた治療を進めることを指す。
3.× プライマリヘルスケアとは、アルマ・アタ宣言(1978年)で提唱されたものである。すべての人に健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念である。すべての人にとって健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念である。
4.× ソーシャルインクルージョンは、1980年代にヨーロッパにおこった政策理念であるといわれている。ソーシャルインクルージョンとは、社会的包摂ともいい、社会的に弱い立場にある人々をも含め市民ひとりひとり、排除や摩擦、孤独や孤立から援護し、社会の一員として取り込み、支え合う考え方のこと。社会的排除の反対の概念である。この考えは、持続可能な開発目標(SDGs)が大切にしている「誰一人取り残さない」という理念でもある。
35 入院中のAさんは昨晩、体温が38.8℃であったため解熱剤の坐薬を使用した。今朝の検温では37.0℃であった。Aさんが「ずっとお風呂に入っていないから背中がかゆい」と話したため、看護師が確認すると背部に発汗がみられた。
客観的情報の記録で適切なのはどれか。
1.背中がかゆい。
2.背部に発汗がある。
3.坐薬の効果があった。
4.全身清拭を実施する。
解答2
解説
SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。
S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)
O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)
A=評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)
P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)
で、経過を記録する。
1.× 背中がかゆい。
これは、主観的情報である。
2.〇 正しい。背部に発汗がある。
これは、客観的情報である。
3.× 坐薬の効果があった。
これは、評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)に該当する。「坐薬使用後、体温38.8℃→37.0℃に下降」という体温の変化は客観的情報であるが、「効果があった」という表現は解釈にあたる。
4.× 全身清拭を実施する。
これは、計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)に該当する。